東方弔意伝   作:そるとん

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そるとんですっ!見切り発車感あります。


もっふもふの出会い

まぁ、確かに、話していたら日も暮れていたし、妖怪もいるみたいだし、確かに危ない。

けれど、けれどね。同性とですらまともに話したことのない俺が、出会ったばかりの子ーーましてや異性ーーの家に泊まるなんぞ……。

死んでしまいそう。いや、1回死んでるんだが。

ほんとにこれでいいのだろうかという困惑と、こんな奴のために何から何まで申し訳ないという気持ちで俺の心は騒がしい。

 

「シオン!夕飯出来たわよ!」

「あ、はい…あ、ありがとうござます…」

 

なんで敬語なのよ。と言われたが、これは謝罪と感謝を込めた精一杯のお礼だから。ほんとにごめんね。

あ、夕飯美味しかったです。

お風呂までありがとうございました。お風呂に1つの菌も入れないように肌が焼けるほど体を洗ったんで多分大丈夫です。

 

 

そんなこんなで、

就寝時間。

 

「シオンは明日どうするの?」

 

寝室に入る前に、霊夢が俺に聞いてきた。

ちなみに、俺は居間で寝させてもらうことにした。寝相悪かったら申し訳ないし。

でも、そうだな……何もやる事が決まっていない……。

…あ、待てよ。妖怪がいるとか言ってたな。つまり、人ーーなのかは分からないがーーが少なからずいるという事か。

そういえば、木造の建物だったり、紅い屋敷だったりがあったなぁ。

うん、そうと決まれば。

 

「明日は色々な所に足を運んでみようと思う」

「え、大丈夫なの?ここの住人なんて何しでかすか分からないわよ?」

「あぁ、心配しなくとも、色々回って見たいんだ。思うままに、歩いてみたい」

「ふぅん……」

 

この世界なら、自分の足で歩けそうなんだ。

ちゃんと、二本の足で、しっかりと立てるかも。

だからな、まずは歩く練習だ。

 

「気をつけなさいよ。何もなかったら、ここに帰ってくるのよ?」

「あぁ、分かった。本当に優しいなぁ…霊夢は…」

「500円のお礼よ!」

「はいはい……」

 

次はもう少しお金を多く持ってきてあげよう。

 

「じゃあ、おやすみ」

「あぁ、おやすみ」

 

ーーーおやすみ。だなんて、数年ぶりだ。

少しだけそわそわしたが、いつもとは違って静かで、空気の流れる音だけが耳に入る。

あぁ、心地が良い。

明日がちょっとだけ楽しみなんだ。

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

「じゃあ、気をつけてね」

「あぁ、本当にありがとう。行ってきます」

 

朝ごはんも済ませ、何も持たずに日が上ったばかりの幻想郷に一歩足を出した。そういえば、俺も飛べるのかな……。それはまたいつか教えて貰おう。

 

色々と考えていたら、博麗神社はもう見えなくなっていた。

…うん、じゃ、どこに行こうか。

完全に計画なんて立てて無かった。馬鹿だわ。

あ、そういえば、森が多い幻想郷の中に、一部住宅街みたいな所があったなぁ……。

うんそこに行ってみよう。

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

「あれ?人ばっかだ」

 

博麗神社のある山をそのまま下ると、そこについた。

あまり遠くは無かったから疲れはしなかった。

けれど、人しかいない。妖怪もいるって言うからちょっと身構えてたけど、住民全員が仲睦まじそうに話している。うーん、平和。

それに皆んな着物で家は全て木造だ。うーん、和風。

いいねぇ、こういうの落ち着く。この雰囲気、たまらなく好きだ。

なんで俺パーカー何だろ。着物着て自殺すれば良かった。

 

「そうか…全てを受け入れるってそういう事ね」

 

霊夢が幻想郷の説明にあたって教えてくれた

ーーー幻想郷は全てを受け入れるわ。

何となく意味が分かった。改めて、ここは幻想郷という名前がピッタリなのだと実感した。

にしても、ここまでのびのび出来るとは……!!

 

「ぼちぼち行くかぁ……」

 

この先には何があるんだろう、とか思ったからにはもう止まらない。

何なら端っこまで行ってしまおう。そうしよう。

ワクワク感を抑えられず、鼻歌交じりにゆっくり歩いていたら、

少し、かなり少し、とても少し!気になるものが見えた。

 

「…………んぁ?狐?」

 

ーーーの、しっぽが九つある。しかも八百屋さんの野菜と睨めっこしている。

 

んなぁるほどぉ……九尾…ね。

楽しみが本か星空観察くらいしか無かった俺は、なにかの本で読んだことがある。

狐の頂点で、とても位が高いらしい。

うん、拝んだこう。何か良い事がありそうだ。

 

南無南無、なんて馬鹿な事してたら、

 

「…ん?」

「…えぁ」

 

バッチリ目が合った。

 

「ごめんなさ〜い……」

 

逃げよう。何されるかわからないと霊夢が言ってたし、早めに逃げとこう。

幸い、この距離なら追いつけやしな、

 

「逃げなくてもいいじゃないか」

「どぅるぅうえぇええええええええええええええ!!!」

 

何で真横にいるんですか瞬間移動ですかそうですか?

九尾とは一体何なのか理解していたつもりが、いざ実感するとなると恐怖を感じる。

が、恐怖したのはその一瞬だけ。

金髪の美人から溢れ出る仏オーラが何とも暖かい笑顔を作り出している。

 

「むぅ…そんなにビックリしなくてもいいじゃないか…」

「あ、あぁ、ごめんなさい……」

 

頬を膨らましている姿は何とも若々しく感じる。

妖怪すげぇや。

 

「うん、まぁ…服装を見るに君は外来人だね?」

「あ、はい。つい昨日、ここに来たばかりで」

「昨日!?夜中ずっと歩いていたのか!?」

「あ、いえ、昨晩は霊夢のところに泊めてさせてもらって…」

「霊夢……?」

 

やっぱりか。そう広くない幻想郷に、代々受け継がれているほど重要な「博麗の巫女」。

きっと知っているだろうと名前を出したが当たってたみたいだ。狐美人は少しだけ顔をしかめた。

何か面倒な事になると思った俺は、そうそうに逃げ出ーー

 

「君、ちょっとウチによって行かないか?」

 

ーーせる事なく、早速めんどくさい事になった。




一応、紅魔館の異変の前です。
オリ展開あるかと思います。
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