「そこで待っていてくれ」
「あ、はい……」
ここに来るまでの記憶はあまり覚えていない。なんか、色々なところを歩いていたら、ここに着いていた。金髪の九尾「八雲 藍」に連れて来られたのは、何でも幻想郷の管理者なるものの家らしい。ちなみに、藍はその管理者の式らしい。九尾を式に使うレベルとか、考えただけで血の気が引くよ。
「どうぞ」
「あっ、ありがとうございます……」
俺の前にお茶を差し出すと、俺と向かい合わせに藍は座った。
「で、俺はどうしてここに……」
「あぁ、昨日現れたばかりの君はまだ霊夢としか会っていないんだろう?」
「は、はい……」
「だから、ここの管理者に挨拶させておくべきだなと思ってな」
「挨拶ですか……」
その管理者とやらも多分人ではない。妖怪だろう。
ちゃんと挨拶出来るかな。あいにく、そういった知識は皆無だ。
教わったこと無かったし。
1人不安に苛まれていると、奥の部屋に繋がる襖が開いた。
「ーーあなたが、新しい外来人?」
「あっ、はい。シオンです。こんにちは」
「えっ、えぇ…こんにちは」
突然出てきた美人に話しかけられた俺は焦って、数秒で自己紹介と挨拶を済ました。長い金髪は見る者を魅了するようで、紫のドレスに身を包んだ姿はとても綺麗だった。多分、この人が管理者だろう。
「とりあえず、藍、少し外してもらえるかしら?」
「分かりました」
「ぁえっ……」
あまり認識のない美人と2人きりにされそうな俺は驚きと不安が混じった声を上げた。
「それじゃあ、また後でな」
「あぁ…はい……」
奥の部屋に入っていった藍としばしの別れを告げ、幻想郷の管理者に向き直る。
「私は八雲紫。ここの管理者をやっているわ」
「はい。お話は聞いております」
「ふふっ…そんなに緊張しなくていいのよ?」
ガチガチに緊張している俺を優しく解いてくれるような声は、
ーーどこか胡散臭い。
人の感情に敏感になってしまった俺は、優しい声の裏に何かが隠されていることを察した。何を考えている。詳しくまでは読み取れないが、ここはいつも通りにしよう。
「…で、何かあるんですか?」
「いーえ?特に何も」
「え?本当に挨拶しに来ただけ?」
「まぁ、そうね。強いて言うなら新しい外来人を一目見ておきたかっただけよ」
なんか拍子抜け。見るからにツワモノ感漂う目の前の管理者は、特に理由もなく俺と会ったのか。
てっきり、「この世界にあんたは必要ない!!往ねぇ!」とか言われるもんかと……。
「何か失礼な事考えてないでしょうね?」
「へっ…!?いや別に…」
ナチュラルに心読まれた。油断ならない。
ともかく、何も無いようで安心した。胡散臭いことに変わりないが。
と、安心した矢先に、紫の表情が変わった。
「ただ、あなたにとても興味を持ってるの…」
「え、そんな面白い人間じゃないですよ」
「ほんと、面白くないわ」
ゾッとした。やっぱ殺されるんだろうか。
凍った声は攻撃力を持っているような感覚だ。闇を感じる笑みは背筋を這い回る悪寒そのものだ。
もう、覚悟を決めるか……。大人しく死んどこう。
覚悟を決めると、紫は口を開いた。
「……ーーでしょうね…」
「は、はい…?」
「霊夢に何もしてないでしょうね!!!??」
「……は!?」
え、霊夢!?何もしてないって何が!?何の話!?
「え、一体何…「昨夜、博麗神社に泊まったそうじゃない!変なことしてないでしょうね!?してたら殺す!!」…しっ、してない!してない!」
「そう、ならいいわ」
なにゆえにここまで心配しているのか……。
あ、何となく分かった。
受け継がれる程大切な「博麗の巫女」に、「幻想郷の管理者」。
大方、何か繋がりがあるんだろうな。2人とも大切な存在だし、何となく話が繋がった。
それよりも、この人過保護なのか?霊夢を管理しているのもこの人だろうけど、これじゃあ保護者じゃないか?
うーん、そこそこ残念美人か。
「じゃあ、改めて」
「……?」
「ようこそ、幻想郷へ。幻想郷は全てを受け入れるわ!」
「えぇ…ありがとうございます」
素敵な笑顔をするなぁこの人。何だかこっちまで笑顔になりそうだ。
いや、多分笑顔だったろうな。「全てを受け入れる」か。
ここなら、生きてみたいと思えるんだろうか。
不覚にも、この世界を、もっと知りたいと思ってしまった。
こんな好奇心、いつぶりだろうか。
早く、色々なところを見てみたい。
少し早いが、
「それじゃあ、俺はお暇します」
「えぇ、幻想郷を満喫するといいわ」
一度会釈をして、また幻想郷へと繰り出そう、
と、したところで。
「ちょっとまて。シオン」
「…?どうしました?」
いつの間に、後ろにいた藍に呼び止められた。
「その様子だと何事も無かったんだな。良かった。それよりも」
「はい?」
「お前飛べないだろう?」
「……普通はね」
藍先生の幻想郷での生き方レクチャーが始まった。
シオン「当分、人里に行けそうにないな……」
キャラ崩壊のタグも付けたそ……