東方弔意伝   作:そるとん

7 / 117
気づいたら200UA突破してました!ありがとうございます!
評価等くれたら大変ありがたいです!


紅霧異変 物騒な女の子たち

「お留守番たのちー」

 

あはは。えへへ。真っ赤な曇天の下、縁側で休むの最高だぜ。

 

 

「…………」

 

最高だぜ。

 

 

「な、訳あるかぁあーーーーーー!!!!」

 

クッソ暇!!!出かけようにも異変解決に出かけた霊夢に『留守番してて』と言われてしまった!しかもこんな空模様でどこかのんびり散歩しようとも思えない!

あれか!?やっぱ才能的なあれかな!?こっそり俺も霊夢について行って紅魔館に行きたかった!!あーあ!

 

 

空模様と俺は非常に荒んでいた。今回の異変の首謀者は紅魔館の主人だというのだ。前々から紅魔館が気になっていた俺はこっそりついてこうかと思ったが、あんたは大人しくしてなさいと、きっぱり言われた。

たしかに才能がないけどさぁ!?役立たずどころか足手纏いになるけどさぁ!?

……そこまで分かってんなら大人しくしてようか…。

で、最初に戻る。

 

「お留守番たのちー」

 

留守番っつってもここに入ってまで強盗してこうなんて考える輩はいないだろうに。そもそもここに誰か来るとも思えないし。

まぁ、いいか、平和を味わっておこう。

ふいに、紫さんがやたらと霊夢の自慢話をしていた記憶が蘇る。つい昨日だが。可愛いというのは一目見れば分かる。というか、ここの女性は顔立ちが整っている。それに加え、強い。霊夢は特に。

心配はないだろう。相手は吸血鬼みたいだが、妖怪が蔓延るこの幻想郷のバランスを保っている霊夢だ。簡単には負けないだろう。

 

 

そんな事を縁側でボーッと考えていると、前方から謎の飛翔体が目に映った。

 

「ん?なんだあれ…人?」

「霊夢っーーー!!」

 

猛スピードで近づいて来るそれは人だった。元気に巫女さんの名前を呼ぶその人は白黒の格好で箒に跨っている。

いうなれば、ザ・魔女。

 

「いかにもって感じの魔女だな……」

「ん?何だ?お前」

「まずは自分から名乗りなさいな」

 

器用に縁側の前に着陸した魔女っ子さんは金髪のなんとも可愛らしい顔と見た目。しかし口調は少年のようだ。ははーん、さてはお前やんちゃだな?

コミュ力の上がった俺は自然と名前を聞き出せるようになった。藍先生のおかげだ。

 

「あたしは『霧雨 魔理沙』だ!普通の魔法使いをやっている!」

「俺は『シオン』。普通の人をやっている。つい最近ここに来た」

「外来人か!よろしくな!」

「あぁ、よろしくするか分からんけど」

 

もう元気いっぱいね。あなた。

魔理沙と名乗った女の子はキラキラした笑顔で話しかけてくるもんだから、俺の心は浄化されかけていた。

にしても、「普通の魔法使い」ね。魔法使いの時点で普通じゃねぇんだよなぁ……。まぁ幻想郷だし。普通なんだろ。

 

「で、そうだ、霊夢に用だっけか?」

「あぁ!そうだ!今いるか!?」

「いや、いないよ。何でもこの異変を解決するんだと。で、俺は留守番中」

「えっ!?もう行ったのか!」

「あぁ、とはいってもここを出たのはついさっきだけどね」

 

まさかこの子も異変解決に向かうなんて言わないだろうな……

いや、言うな。好奇心に関しては俺と同じ匂いがするこの子は絶対紅魔館に行くね。霊夢といい魔理沙といい、俺と同い年か年下なのに。たくましいな。

 

「魔理沙も紅魔館に行くのか?」

「あぁ!こんな空じゃあ気持ち良く空を飛べやしない!」

「ほんとな。すっごい同感」

「だよな!!」

 

この子、完全に俺と同じ匂いがする。育ち方が違っただけで、根本は同じだな。この子。

じゃあ、邪魔しちゃいかんね。好奇心を邪魔される程嫌なものはない。だからついさっきまで俺は荒んでた訳だけど。

 

「シオンは行かないのか?」

「あぁ…行きたいのは山々なんだが、生憎、魔法とか弾幕ごっことやらの才能がないんでな」

「そうなのか。空は飛べないのか?」

「いや、空は飛べるぞ。苦労はしたが」

 

ちなみに、弾幕とか、スペルカード、弾幕ごっこに関しても藍から教わった。おかげで分からない事だらけという訳ではない。とは言っても、実践はする機会が無いと思うからあまり関わらないと思うが。

 

「空飛べるんなら弾幕くらい出せると思うぜ?」

「……マジで?」

「マジで」

 

弾幕とは、霊力やら妖力を一つの弾のようにして、遠距離から相手を攻撃するためのもの。力の塊によって出来た形が弾幕。スペルカードは何というか技だ。使用するときはカードの名前を宣言して、発動する。弾幕とスペルカードを用いて相手と戦ったり、綺麗さで競ったりするのが弾幕ごっこ。

と、教わった。綺麗さで競われたら勝てる気がしないのは気のせいなんかじゃないな。

それより、俺でも出来る、とな?

 

「空飛べるんだからそれなりに力があるとは思うんだが?」

「いや、その、量とか、才能とか、そういう問題」

「あー……」

 

いや、それに関しては俺も藍も思っていた。

けれどやっぱり才能がなかったんだよ。問題点を提示したら案の定、魔理沙は苦い表情を浮かべた。

その後、フォローするかのように

 

「ま、まぁ、そういう時もある!それに、お前あんまり好き好んで勝負しなさそうだし!必要ないんじゃないかな!」

「……そうだね。なんか、ごめんね…」

「お、おう……」

 

自分より年下の女の子に全力で慰められるとは……情け無し。

まぁ、たしかに争い事はあまり好きではない。最高の反面教師であった両親からそれを学び、人に優しくする事を俺は学んだんだ。それに関しては両親に感謝している。俺のためにクソみたいな人間になってくれてありがとう。

それより、

 

「早く行ったらどうだ?霊夢一人で解決しちゃうぞ」

「あぁ、そうだな!じゃあ、この異変が終わったら改めて紅魔館に行こうぜ!」

「あぁ、そうさせてもらうよ。それじゃあ、頑張ってな」

「あぁ!」

 

元気よく返事をすると魔理沙は箒に跨り、紅魔館のある霧の湖へと向かった。

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

「相変わらず、悪趣味ね……」

 

霊夢は紅魔館の前で思わずそう呟いた。いや、言わずにはいられなかった。

途中、「あたいったらサイキョーね!」などとほざくアホ妖精を倒し、

「食べていい人間かー?」などと狂気じみた子供を倒し、

着いた目的地は紅い霧を背景に佇む、紅い洋館。

無駄に立派にしちゃって…壊し甲斐があるわね……

物騒な事を考えていると、紅魔館の門番が話しかけてきた。

 

「やっぱり来ましたか…博麗の巫女」

「当たり前でしょ。洗濯物干せないじゃないの」

 

中国の武闘家のような服に身を包む、背丈が頭一つ分程違う門番は、真っ直ぐな目で霊夢を見据えた。

 

「私の名前は『紅 美鈴(ほん めいりん)』!ここから先は通しません!」

「博麗霊夢よ。悪いけど、面倒だから通させてもらうわね」

「えっ……?」

 

美鈴の構えから、多分肉弾戦でもするつもりだったな。

だけど、残念。私とて武術を専門にしてる妖怪と肉弾戦しようなんて思わないわ。

少しだけ力を込めた弾幕を美鈴に浴びせた。

 

ーー早く帰りたいし……。

 

霊夢は、美鈴と立派な門を全壊にして、紅魔館は入っていった。

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

前々から目をつけていた紅魔館に合理的に侵入、否、訪問できる事にワクワクしていた魔理沙は全壊していた門に、その門の瓦礫に埋もれている門番を見て、言わずにはいられなかった。

 

「あいつ、やりすぎだろ……」

 

門番を尻目に、魔理沙も紅魔館に入っていった。

 

 

 

 

 

 

私がここに来たかった理由は異変解決もあるが、

 

「うお〜、すげぇ〜」

 

紅魔館がここに来てからずっと目をつけていた、この「図書館」。

膨大な量の魔道書が置かれているここは大変魅力的で、かねてよりずっと訪れたいと思っていた。なんならここに来て、数冊魔道書を盗む…借りていくのが一番の目的。借りれたらもう帰ろう。

 

「待ちなさい」

「…そう、上手くはいかねぇか……」

 

本を片手に佇む、紫色の魔法使いは魔理沙に激しい敵意を向けている。

只者じゃねぇな……

 

「なに、借りてくだけだぜ!…一生な」

「ふん、バカね」

 

お前を倒してでも借りてくぜ!!

 

「魔符!!『スターダストレヴェリエ』!!」

 

ーーーーーーーーーー

ーーーーー

 

「無駄に広いわね。この屋敷」

 

頭首を探してもう何分経つのやら。

さっきから同じ廊下を歩いてるような気がする。

一階部分を今探しているわけだけれど、どうにも気配はしない。

と、なれば二階ね。

 

「はぁ、戻るかぁ……」

 

 

 

 

 

 

玄関を開けてすぐのエントランスに戻ってきた。

二階もあれだけ長いかと思うとうんざりしてしまう。

まぁ、解決のためね……。

 

 

ーー刹那。霊夢はどこからともなく現れたナイフに周囲を囲まれた。

 

「…っ!?あっぶなぁ…」

 

何とか反応できたから、被弾は一つもなかった。

けれど、一体何処から……

 

…気配!

 

「そこねっ!!」

 

背中の方から気配を感じた。

と、同時にお札を放つ。

 

「ふぅん…中々やるのね」

「良く分かりましたね。それに躱されるとは思ってなかったです」

「メイドのくせに舐めてんじゃないわよ」

 

放ったお札を一つ残らず防いだメイドは、物騒にも手にナイフを持っていた。

 

「私は『十六夜 咲夜』と申します。お嬢様の命の下、あなたを倒しに来ました」

「メイド如きにやられる博麗の巫女じゃないわ」

「……お覚悟を」

 

瞬間、メイドは視界から"消えた"。

 

 




紅霧異変編です。オリジナル展開ありますのでご了承ください。

次回バトルシーン多めですかね。
弾幕全部把握してないから大変……。

それじゃあ、また次回!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。