僕と死と消えない呪い   作:白黒羽

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二十一話 出番かな

地獄の番人(西村先生)によってあの世へと(補習室)連れ去られたBクラス4人とFクラス2人を僕と13人で敬礼しながら送っていった後。僕らは足をBクラスへと進めていた。

 

このままBクラスへと到着できたら僕らの暗殺対象であるBクラスの大将と(わざとではない、偶然だ。対象と大将をかけたわけではない)対面することができ一気に根本君の首を取れるのだが、そううまくいかないのがこの世の中。相手も自分たちの兵隊4人が敗れたのに気づき、僕らを始末すべく新しく兵を送り込んできた。その数6人。

 

どうやら相手はまだ僕たちをなめているらしい。

まっ、そのほうが油断してくれて助かるんだけどね。

 

「「「召喚」」」

 

キーワードを唱え Bクラス6名の前に召喚獣がそれぞれ1体ずつ現れた。

壁のように立ち尽くす6名を前に、僕らは足を止めるほかなかった。

これ以上前へと進みたかったら僕らは彼らを倒すしかない。

そのことをここにいる僕の班全員は分かっているようで身構える。

 

やる気があるのはうれしいことなのだがここで全員で突っ込んで全員が死んでしまったら雄二の作戦に影響が出てしまうので

僕は横溝君と須川君の二人だけを指名して前へと出るように頼んだ

 

「・・・ちょっと、バカにしてるのかしら?」

 

そう声を上げたのはきれいなピンク色の髪を肩まで伸ばしている女子生徒だった。

声色と彼女の表情から察するに二人しか出なかったことに少しむかついたらしい。

 

多分二人しか出なかったことで僕らが彼女らをバカにしていると思っているらしい。

別にバカにしてるわけではない。

これは立派な作戦であり戦法だ。

 

須川君と横溝君は前回のDクラス戦で一番『動いていた』。より正確に言うと『動かしていた』だ。

動かしていたのは当然召喚獣である。二人はここにいるFクラスの中で一番召喚獣を動かす回数が多かった。

分かりやすく言えば僕をのぞいてこの中で一番召喚獣を操作した時間が長く、一番経験があるっということになる。

 

だが、いくら経験があるからといってFクラス2名がBクラス6名に勝てるとは僕も思ってはいない。(失礼だが)

僕が二人だけに頼んだのには理由がある。

 

それは

1、相手が怒る。

 

別の言い方をすれば挑発するためだ。

この学園ではほとんどの人が上位関係にうるさい。

かなり上位にいるはずのBクラスである自分たち6名を相手にFクラスが13人もいるのに2人しか出さないことに苛立ちを覚えないわけがない。

上位関係にうるさいのであればなおさらだ。

 

前に出る前に僕は横溝君と須川君にあらかじめ相手を挑発するようにと頼んでおいたので。

これがうまくいけばつかみは大体できてるはずだ。

 

そして

2、倒しやすくするため。

 

人間や生き物は感情に身を任せやすい。

よって相手を怒らせれば怒らせるほど

感情を高くすれば高くするほど

相手の動きは単純になり読みやすくなる。

 

加えてBクラスの皆はこれが始めての実践だ。

操作能力も高くないと考えていい。

 

相手が感情に身を任せて、怒りを頼りに須川君たちに突っ込んでくれればその横から控えてもらっている11人に突撃させればいい。

まっすぐ来るっと言う動きは横からや正面以外の動き(力)にめっぽう弱い。

 

たとえるのなら突きだ。

刀、棒、拳とかの突き攻撃は横から力を加えるだけですぐに方向を変えてしまう。

 

突撃するっと言う動きも同じだ。

横からの力で方向を変えてしまうのであれば 当然、体勢を崩される。

体勢を崩すと大きな隙が生じるものだ、その隙に攻撃を加えられるのでこちらが有利になる。

 

体勢を崩さずともBクラスは実践経験もないので操作能力がFクラスより高いとは到底思わない。

僕みたいなイレギュラーな存在がないかぎりだけどね。

 

「あなたたちバカなの?私たちはBクラスよ、Fクラスのあなたたちが私達に勝てるとでも?それも6人いるというのに2人だけとはナメられたものね。それとも単に律子が言ったみたいに私達をバカにしているのかしら?」

 

冷静にすらすらと言ってきたのは律子と呼ばれた子とは違うもう一人の女子生徒。

黒い短い髪にしゃんとした面構えがなんとも印象的な子であった。

 

「真由美、説明してやっても無駄よ。戦力差が分からないほどのバカみたいだから。」

 

律子と呼ばれていたピンク髪の少女は真由美と呼んだ黒髪の子の前に立ち

呆れたような様子で言った。

 

ここで僕らが怒れば 目的と逆になってしまい 雄二の作戦に影響が出てしまう。

ここは隊長として皆を落ち着かせる言葉の一つや二つを言ったほうがいいのだが。

 

「なんかピーピー騒いでるぞ」

「さっさとはじめればいいものを」

「んなこたぁどうでもいいのに」

「やべ、昼飯食ったのに腹減ってきた」

「パンならあるけど食うか?」

「サンキュ~」

 

さすが、Fクラスバカにされるのに慣れている集団。

しかも緊張感というものがひとかけらも存在しないのか購買のパンを片手に雑談し始めていた。

 

「「・・・・・・」」

 

ここまで相手にされなく、緊張感がないのを見て、しかも目の前の自分たちを無視してパンなんかを食べている相手を前にすると

当然怒りが込みあがる。その証拠に二人の少女は無言で拳をプルプルと震わせていた。

 

別に頼んだわけでもないのに相手を挑発してくれちゃったよ。

須川君と横溝君に頼んだんだけどねぇ・・・・

 

「あなたたち・・・・やっぱり私達をなめているのかしら。」

 

眉間をぴくぴくと動かしながら言うピンク髪の少女

 

おおぉ~怒ってる怒ってる。

 

後は前の二人がさらに挑発してくれれば完璧だ。

 

「はん、俺がなめているは人生と世界と吉井だけだ。」

「表へ出ろ」

 

「すいません冗談です、だから肩から手をどかしてください。なんかメキメキと鈍い音がががががぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「分かってないようだからもう一度言うよ、『相手』を挑発しろといったんだ。誰が『僕』を挑発しろなんていった?えぇ?」

 

僕は肩から手を離さずに横溝君の耳に小さい声でつぶやいてやった。

すると彼は震えながら ひゃいっと答えた。

今度こそ分かったようなので手を肩からどかしてニッコリ笑顔でよしよしと彼の頭をなでてやった。

そのときの彼の表情は涙目だったのは気のせいだろう。

 

「あの、隊長?横溝のやつの顔が真っ青でしかも汗がものすごいんだがなにかあったのか・・・」

 

引きつった表情で須川君は僕に聞いてきた

 

「うん~、なんもないよぉ~。きっと緊張してるんだよぉ~だから須川君フォローお願いね」

 

「あっ・・ああ、分かった」

 

そう須川君が言ったのを確認した僕はBクラスの連中をチラッと見た。

見るからに不機嫌そうだ。

 

皆、ガン無視されたのが気に食わなかったようなのでこっちを睨んでいた。

ここまできたら後はもう一歩って所だ。

 

「ふん、ナメていると言ったらどうすんだぁ~。二人しかでなかったのはお前らなんて俺たちで十分だからだよ。それと後ろにはまだ11人もいるんだぜ。俺たちを入れたとしても13人だお前たちの2倍の人数はいる。それをお前ら、6人だけってかぁ~?ナメているのはどっちかな。」

 

よーし、そのまま挑発してってね須川君

 

「あなた、数よりも質って言葉しっているかしら?質で言えば私達のほうが圧倒的に上よ。だから6人だけでも勝てるわ。」

 

またもピンク髪の子、気が強いのかな?結構簡単に挑発に乗ってくれてる。

 

「あなたたちは数でしか戦えない。質が最低クラスなのだから数で戦うことしかできない。そう、まるでゴキブリよ。」

 

ゴキブリという表現にカチンと来たのか須川君は眉間をピクンと少しだけ動かした。

やばいなこっちが怒ると台無しになってしまう。

なので・・・・

 

「そのゴキブリの集団に君たちの仲間4人はやられたみたいだけどね」

 

「よっ吉井。」

 

片手で須川君を制止して僕が前に出る。

 

「くっ・・・・それは・・・・かっ数の暴力よ!」

 

「数よりも質・・・じゃなかったけ?」

 

ニヤリと笑みを浮かべる僕に彼女は一瞬たじろぐ

 

「さっき6人だけでも勝てるって言ってたけど・・・・・あれってさぁ~・・・・・6人『しか』遅れなかったんじゃないの?」

 

「なっ・・」

 

言葉に詰まる彼女。

やはりそうか・・・・・

 

「君たちはどうやら大多数の人たちを僕らのクラスに向かわせたらしいね・・・・・」

 

「なっ!?」

 

なぜっと言う表情を見せる彼女に僕は微笑みながら説明してあげた。

 

「あれれ~?さっき、誰かの叫び声が聞こえたりしなかったぁ~・・・僕らの教室から。それもかなり大人数の叫びだったねぇ~。あれって大体8人はいたんじゃないのかなぁ~。」

 

僕が微笑みながらそういうとBクラス6名はハッと何かに気づいたような表情を浮かべた。

そして黒髪の真由美と呼ばれていた少女が口を開いた。

 

「けど、それだけで何故6人しかこれないって分かったのよ」

 

「今・・・・・・答えを教えてくれたじゃないか。」

 

ニヤリと笑う僕に彼女はしまったとばかりに口を手で覆っていた。

 

戦争や勝負事では残りの人数や合計人数が勝負の決め手になることだってある。

数っと言っているがよりハッキリ分かりやすく言えばデータだ。

 

データとは情報 色々なことでは情報が何よりも大事だ。

情報を元にする戦い方が一番勝率がある戦法だ。

 

情報を元にする戦い方がもっともうまい者を僕は知っている。

僕らのクラス代表である坂本雄二だ。

 

彼だけではなくこういう戦法は僕もよく使う。まっ、昔はつかってなかったけどね。昔は何も考えずにただ命令されるがままか突っ込んでいただけだけど。今は冷静に物事を判断したり分析できるとは思っている。

 

「冗談だよ、別にカマをかけたわけではないよ。元から知っていたのさ。僕らの代表はBクラスに何人いるか知っているんだ。Bクラスには合計26人。結構少ないほうだね。それで倒したのが4人、今目の前にいるのが6人 クラスを襲撃しにいったのが大体8人。これで18人だね。今動けないのは倒した4人と襲撃しにいって逆に僕らの地獄のような痛みを与えるトラップにかかって仲良くお寝んねしてる8人?で合計12人かな。っと言うことは今クラスで控えているのは8人だけ。しかし代表はうかつに前に出るわけにはいかないから実質7人。そして代表は必ず護衛をつけているはずだ、よってクラスから離れられないということになり・・・・・・今実際に突撃できるのは・・・・・・・君たちだけって事になるんだよねぇ~」

 

微笑みから僕はいつの間にかニヒルに悪い笑顔になっていたらしくBクラスの何人かが引いていた。

それと同時に驚いているように見える。

 

「まっ・・・これはアクマでも推測なんだけどねぇ~」

 

再び怪しまれないように僕は微笑んだ。

ニッコリ笑顔で接すれば(多分)警戒しないだろう。

僕はあまり目立ちたくはない。

 

「なんで・・・・・クラスが襲われることに気づいたのかしら?」

 

声を上げた主は黒髪の少女

 

その答えを言うのに僕は少し間を開けてニヤリと笑った。

 

「言わないよ」

 

悪い笑みから一転して僕は無表情で言った。

もう限界。顔が、主に頬の筋肉が痛い。

作り笑いももう限界だよぉ~。何年間も笑ったことがなかったから痛い・・・

作り笑いでも疲れるなぁ。

 

 

「君たちは・・・・・・僕と僕の親友3人を甘く見すぎていた。僕たちは君たちをなめていたのではなく・・・・君らが僕らをナメていたんだよ。」

 

「なっ・・・・・・・」

 

しまった・・・・怒りが消えてる・・・

どうしよう・・・・

余計なことしちゃったなぁ~。

 

ったく・・・しょうがないか。自分でやってしまったからには・・・・・・

 

 

 

自分でなんとかしないとね。

 

 

「ごめん、須川君、横溝君。悪いけどさっきの挑発とか忘れていいよ。失敗しちゃった。」

 

「「えっ?」」

 

「だから・・・・・・・・・・僕が、なんとかするよ」

 

無表情で僕は片手を前にかざして・・・・・・・キーワードとなる言葉を唱えた。

 

「召喚!!」

 

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