東方荒神伝   作:白峰

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私の作品における古代の設定です。
原作を無理やり改変してる節があるのでご了承ください。



閑話 災いの影

ーーーー

 

そこはまさに神話の世界だった。

 

空には巨大蛾が舞い

赤い四足の龍が地を這い

そして、黄金の龍王と漆黒の破壊神が雌雄を争う

 

地は裂け、森は焼け野原に変わり、空は黒く染まった。

 

天変地異の最中、一人の少女の悲鳴が響き渡る。

 

ここは幻想郷。

怪獣の跋扈する最後の楽園である。

 

ーー妖怪の山・五時間前ーー

 

「そこの鴉天狗。一体何を…」

 

後ろから声をかけられて文は振り向く。

そこには自分よりも遥かに高い場所にいる天狗がいた。

 

「て、天魔様!どうして…」

 

天魔は文の次の言葉を退けた。

 

「その白狼天狗は生きておるのか?」

 

「は、はい!ですが意識がなく、呼吸もしてません。このままでは…」

 

文は俯く。

このままでは椛が死んでしまう。

 

「熱線の衝撃を受けて生きているだけでも上出来だ」

 

天魔は文に聞こえない程の声で呟くと文と椛の所まで降りた。

 

「時間がない。ここは儂の能力を使う。行くぞ」

 

「え?」

 

文がそう言った時にはすでに、場所が変わっていた。

下はタイルでどこか病院の様な雰囲気の場所。

正面にはデスクと椅子があり何やら難しそうな資料が散らばっている。

 

「貴方達は…」

 

すると、ちょうど扉を開けて部屋に入ってきた人物がいた。

白い髪を後ろで三つ編みにした青と赤の奇抜な服装。

 

「永琳さん」

 

彼女は迷いの竹林の中にある永遠亭で医者をしている月の民だ。

その知能は、かの妖怪の賢者に匹敵するとも言われている。

 

「うむ、この白狼天狗の治療を頼む。費用は後で払いに行く」

 

天魔はそ能力を使ってその場から去ろうとする。

 

「待ちなさい!」

 

永琳は天魔を呼び止める。

よく見ると永琳の顔はいつもの気品ある顔立ちではなく、疲れた様な活力の感じられない顔だった。

 

「あ、あの声は、まさか、復活したの?ゴジラが…」

 

それから少しの間をおいて天魔が答えた。

 

「同一個体では、なかったが…あぁ…アレは確かに奴だった」

 

「あぁ…そんな.…ダメだったの?…あぁ」

 

永琳は俯いてブツブツと独り言を言い出した。

文が天魔に振り向いた時、既に天魔はそこには居なかった。

 

ゴジラとはおそらくあの青白い閃光を放った化け物だろう。

全身が不定形で黒く大きな何か。

 

椛の治療は一瞬で終わった。

永琳が目の前で生成した薬を飲ませて終わり。

椛の顔が安らかになったところで文は永林に尋ねた。

 

「あの…ゴジラって、一体何なんですか?」

 

永琳の体がビクッとはねた。

ゴジラというワードはそれほど恐ろしいのだろうと文は思った。

 

「ゴジラ…それは…怪獣よ」

 

「怪獣?」

 

文は首をかしげる。

 

「分からないでしょうね。無理もないわ。私達月の民がまだ地球人と呼ばれていた頃の話ですもの」

 

それから永琳は長く息を吸って、話し始めた。

 

「怪獣。それは突如として出現した超巨大生物の事よ。中には体長200メートルを超えるものもいたらしいわ。妖怪とはまた別の生物よ。彼らは主に放射線を食料として生きていたわ。それだけならあまり問題は無かったのだけれど、彼らは何故か私達人間を意図的に襲ってきたの。空から、地中から、海から。死角は無かったわ。何処にも安全な場所なんてなかった。だから私達は月へと飛び立とうと決心したの」

 

ここで永琳は一旦話を切る。

まだゴジラという言葉は出てきていない。

話が続くと思った文は黙って永琳を見つめていた。

 

「でも月に住める人数には限りがあった。だから人を選ぶしか無かったの。私は選ぶ側の人間だったから良かったけど、選ばれずに地球に置いていかれる人達は黙っていないでしょ?その中の誰かだったかは分からない。でも誰かがやってしまったの。決して犯してはならない罪を」

 

『人為的に怪獣を創り出す』

 

永林はこの言葉を言う時、ずっと俯いたままだった。

 

「きっと、どうせ死ぬなら宇宙(そら)へ上がる奴らも道連れにしようとしたんでしょうね。そいつが創った怪獣は…まさに最悪だった。姿は羽毛が無く、牙のある、赤みがかった体色の鳥だった。体長は15〜80メートル。かなり個体差があったわ。問題はその主食。奴らは…あろう事か…人肉を主食としていたの」

 

「怪獣と、その人為的に創られた生物、名前は確か…ギャオスだったかしら。その二つの脅威に板挟みにされた私達はまさに絶滅寸前だった。何十年もの間戦い続けたわ。勿論私も。生き残った人類は僅かに七十万人」

 

「でも予想外のことが起こった。ギャオスが怪獣を襲い始めたの。一対一では圧倒的に劣るギャオスも私達を食らって数を増やしたんでしょうね。その頃にはギャオスが生態系の頂点に立っていたわ。地球はギャオスのものになった。そう思っていた時にヤツは現れたわ」

 

永琳の手が震え始めた。

 

「異変は突然に起こった。怪獣がほとんど姿を見せなくなったの。ギャオスに絶滅させられた?いいえ、あり得ない。いくらギャオスでもそんな事は出来やしないわ。次はギャオスの数も急激に減り始めたわ。これは一体どう言う事なのか。答えは目の前にいたわ」

 

「ゴジラ…」

 

文が呟く。

何となくわかった。

分かってしまった。

ゴジラという存在が。

 

「ええ、そうよ。調査団から送られて来た映像には巨大な黒い何かに集団で襲いかかるギャオスがいた。その数はおそらく百や千なんて数じゃないわ。空が見えなくなるほどに集まったギャオスが青い光と共に次々に肉塊と化していく。時折響くあの鳴き声。あの声は今でも忘れられないわ。そして映像の最後にはゴジラから発せられた謎の衝撃波の様なものによって全てのギャオス達が一斉に爆発する様だった」

 

永琳はいつのまにかデスクにあったカップに手を伸ばしていた。

コーヒーを一口含むと再び語り出した。

 

「その後、とある生物学者から『荒ぶる神』という意味で『ゴジラ』と正式に名付けられたわ。その後ゴジラとは幾度か戦ったけど結果は惨敗よりも酷かったわ。いや、ゴジラにとっては戦いにすらならなかったでしょうね。その後私達はようやく完成した月への宇宙船に乗って地球から脱出したわ。その時の人類総人口は五万人。皮肉にも宇宙船には七万人入る予定だったから、船内はスッカスカだったの。月へと上がる途中に不思議な引力を持つ隕石とすれ違ったがけど…まぁいいわ。それから月に住み着いた私達は地球での事を隠して全ては妖怪達の穢れから逃れるためだと自分と子供達に嘘をついたの。せめてもの自尊心だったのでしょうね。自分達の創り出した生物で滅んだなんて、笑い話にもならないわ」

 

「天魔とは地球にいた時に知り合ったの。彼は私達人間をとても憎んでいたわ。ギャオスに殺されたのは人間だけじゃ無かったの。仲間を大勢殺されたのよ。私ならそんな奴ら殺しにかかるけど、彼は和睦を申し込んで来たの。お互いもう限界だったのよ。彼は私達を月へと移住するのに協力する代わりに残った設備をそのままにして置いて欲しいと言ったわ。別にもういらない施設だったし、交渉は即成立。その一週間後に私達は月へと脱出したわ」

 

「月に入ってからもゴジラの事は監視していたわ。ギャオスはその後、ゴジラによって一匹も残らず駆逐されたわ。正確にいうと、ゴジラと後もう一体、黄金の怪獣がいたけど…」

 

永琳は疲れた様に椅子に寄りかかった。

 

「話は終わりよ。彼女、そろそろ目覚める頃だから、側に居てあげたら?」

 

「あっはい!」

 

文は扉を開けて部屋から出ようとして、立ち止まる。

 

「永琳さん」

 

永琳の方を振り向く。

彼女はハテナマークを頭に付けている。

 

「その…色々話してくれて…ありがとございます!」

 

文はそれだけ言うと、扉を閉めて椛の元へと行った様だった。

 

「…私なんかが…良いのかな?」

 

永林はデスクの引き出しから薄暗い色の勾玉を取り出す。

その勾玉は暖かかった。

 

「…ガメラ…」

 

 




永琳達がすれ違った隕石はギドラです。
その他分からない事がありましたらコメント下さい。
尚、この後にガメラ関連のタグを追加していきます。この様にネタバレを回避するために少しずつタグを追加していくのでよろしくお願いします。
次回こそは戦闘シーンを…
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