それと今回は短めです。
ーー???ーー
「貴方達は…」
霊夢が言いかけるが、小美人の二人が続けて言った。
「貴方が接触したコスモスとはまた別の存在です、と先に行っておきましょう」
「それはどういう…」
「霊夢、悪いけど時間がないの、詮索は後にしてちょうだい。伊佐山さん、さっそく始めましょう」
「わかった…」
小美人の二人が伊佐山の手に乗り、肩へと降ろされる。
それから四人は水晶で出来た空間を進んでいく。
「…」
状況が把握できない霊夢は一人ポカンとしている。
「霊夢、どうしたの?早く来なさい」
「え?…あ、あぁ…うん」
生返事とおぼつかない足取りで霊夢は紫達に追いつく。
何がどうなっているのか、霊夢にはまだ理解出来なかった。
(この老人は一体何なのだろう?人の気配を感じないし、もしかして霊?…いや…霊力も、生気さえも感じない、異常だわ。それに小美人って…)
「着いたわよ」
紫に声をかけられてハッとする。
霊夢は物思いにふけっていた。
顔を上げてまず飛び込んできたのはさっきよりも眩い蒼い水晶の輝き。
それに混じって金色の光もある。
いや、光ではない。
金色の何かが水晶の中にあるのだ。
それはとても大きく、そして長い、三本の線だった。
下に伸びているそれらは金色の本体のような塊に収束している。
「どこを見ているの?こっちよ」
紫が指を指す。
その先には上へと続く三本の線の続きがあった。
それは一本は壁の右側へ。
もう一本は壁の左側へ。
そして最後は自分の足元へと伸びていた。
そして霊夢はその三本の線が長い首であった事を理解する。
霊夢はそれを見てゾッとした。
身体中の皮膚が鳥肌を立てている。
霊夢が感じたのは他の何物でもない圧倒的強者の覇気だった。
生物が生存本能で察知する命の危機。
自分ではどうする事も出来ない力の差。
「この御方が龍神様よ」
隣には紫がいたが、身体中が小刻みに震えていた。
紫も怯えているのだ。
否、龍神の事を霊夢よりも知っている分より恐れており、同時に信頼している。
ゴジラを確実に倒せると。
「千年竜王、キングギドラ」
伊佐山が呟いた。
霊夢はその言葉を頭の中で反芻する。
黄金の鱗に覆われた三首の龍。
水晶越しでも伝わる圧倒的強者の風格。
しかし、これだけの存在を前にしても伊佐山と小美人の三人は微動だにしていなかった。
(本当に何者だろう…)
「それじゃあ始めよう。紫、博麗、頼むよ」
「えぇ」
「…あ、はい」
霊夢は普段から霊夢と呼ばれているので一瞬誰のことを言っているのか分からなかった。
「じゃあ悪いけど霊夢」
そう言いながら紫は自分の背後に作ったスキマから短刀を取り出す。
「封印の解除には博麗の血が必要なの」
なるほど、それなら仕方ない。
そう思って霊夢は短刀を手に取る。
「一滴だけ、龍神様が眠ってる水晶の近くがいいわ」
言われた通りに頭の近くに血を一滴、手の甲を少し切って垂らした。
「ありがとう。もう大丈夫だわ」
紫から簡単な応急処置をしてもらった。
これで封印も無事に解けるだろう。
しかし、霊夢は思いとどまる。
(あれ?流れで封印解除しちゃったけど、私って一体何の封印を解除したの?…まさか)
時すでに遅し。
轟音とともに地面が揺れる。
すると水晶にヒビが入った。
ヒビは徐々に大きくなり、枝分かれして全体的に広がっていく。
しかし、崩壊はすぐに止まった。
不気味なほどにスッと止まった揺れは霊夢を余計に不安にさせた。
すると突如として高い音が聞こえた。
空間内に響き渡る機械音のような、それでいてどこか可愛げのある音は次第に大きくなる。
そして爆発。
霊夢の目の前の水晶が爆発した。
そして次の瞬間、音の、声の発生源を霊夢は発見する。
「龍神…様…」
霊夢の前にいるのは黄金の鱗と三つの首を持った千年竜王、キングギドラだった。
ギドラは紫にその六つの目を向ける。
紫は蛇に睨まれた蛙のようにただじっとしていたが、急に顔を青くした。
「こ、困ります!急にそんなこと言われても…」
霊夢には何も聞こえないが、どうやら紫とギドラが話をしているようだ。
紫の反応からして何か勝手なことでもされたのだろうか。
すると紫の反応が気に食わなかったのか、ギドラがその眼光を一層強めた気がした。
周りにいる霊夢でさえ重圧が可視化されたように錯覚する程の覇気。
それを受けているのだから紫は尋常ではないプレッシャーを受けているのだろう。
紫の顔からどんどん色が抜けていく。
「わ、分かりました。こちらで何とかしてみせます」
話は紫の敗北という形で決着した。
するとギドラはその大きな翼を広げてどこかへと飛び去ってしまった。
「ねぇ…紫…」
「今は話しかけないでもらえると助かるわ…」
二人はそのまましばらくその場に止まった。
霊夢はその時初めて伊佐山と小美人がいない事に気がついた。
ーー幻想郷・妖怪の山ーー
ゴジラはモスラ達に背を向けて山に体を埋めたまま動かない。
モスラとバラゴンはチャンスと見たのか一斉に襲いかかる。
バラゴンがゴジラに突進をかけ、モスラが鱗粉を体に纏ってゴジラに向かう。
二体がゴジラへと近づき接触しようかというその時、ゴジラの背びれが青紫に光る
モスラは危険を察知して即座に空中で静止するが、バラゴンは止まらない。
そしてゴジラの背びれから無数の放射熱線が発射された。
バラゴンは何発もの放射熱線を槍のごとく受けた。
熱線が体を貫通してバラゴンの内部から燃やしていく。
骨は溶けて肉は爛れ、目も当てられない姿に成り果てたバラゴンは即死した。
直撃を免れたモスラも鱗粉に引火して火だるまになり、森へと落下した。
バラゴン、モスラ、ゴジラの戦いはゴジラの圧勝という呆気ない結末と当たり前の結果で終わった。
ゴジラは熱線の放射をやめてゆっくりと山から離れ、振り向く。
そこには尚燃えているバラゴンだったものがあった。
それを踏みつけて蹴飛ばすと、ゴジラは咆哮をあげた。
勝利の咆哮。
我こそが怪獣王だという声に反応するもう一つの声があった。
正確には三つの声が。
今回は短めに、後編は長くなります。
どうぞご期待ください。