東方荒神伝   作:白峰

15 / 15
更新遅くなってすみません。中々時間が作れず、投稿が遅くなってしまいました。これから頑張っていきますので応援のほど、よろしくお願いします。


第十二話 大怪獣総攻撃〈後編〉

「恋符『マスタースパーク』!」

 

大空から突如現れた虹色の光線がゴジラを襲う。

悲痛な叫びをあげながらゴジラは地面に倒れ伏した。

 

「最大火力、手加減なしのマスパはどうだい?ゴジラさん」

 

今度はゴジラが放射熱線を放つ。

 

「っと危ない」

 

咄嗟のところで魔理沙は放射熱線を回避する。

ゴジラは魔理沙を睨みつける。

魔理沙は額に汗をかいていた。

 

(私の持てる限りの最大火力をぶつけて平然としてやがる。やっぱり一筋縄じゃいかないな)

 

魔理沙は空中でゴジラの攻撃を待つ。

 

(さっきは様子を見ていたが、背中からのビームが厄介だ。出来るだけ背後に回らずに攻撃を避けながら削っていくしかないな)

 

魔理沙はこの幻想郷において強者の位置にはいない。

だからこそ彼女は考えて勝ってきた。

相手の手の内を読み、一つ一つ可能性を潰していく。

そして今回はそれが彼女を生かす結果となったのだ。

 

様子をうかがう魔理沙にしびれを切らしたゴジラは背びれを光らせる。

 

(やはりあの背中のトゲトゲが光った時にビーム撃ってくるのね。そしてその間は動きが鈍くなる!)

 

「恋符『マスタースパーク』!」

 

虹色の光線に再びゴジラは倒れる。

 

「二発目のマスパだ、流石にこたえたよな?」

 

しかしゴジラは雄叫びをあげ再び魔理沙へと放射熱線を放つ。

 

(おいおい、これじゃ話にならないぜ)

 

魔理沙は再びゴジラと正面から対峙する。

 

(とりあえずわかったことは弾幕に対する防御力が異常に高いこと、動きは鈍いこと、そして…)

 

ゴジラが再び吠える。

それは魔理沙に対する宣戦布告のように長く、低く、響いた。

 

「敵と認識した相手を殺すまで攻撃し続けること」

 

魔理沙とゴジラ。

両者が攻撃体制に入ったその時。

 

「神祭『エクスパンデッド・オンバシラ』!」

 

ゴジラめがけて巨大な柱が降り注ぐ。

ゴジラは低いうなり声をあげて柱に潰された。

 

「やぁ魔理沙。荒神相手によくやるねぇ」

 

「ほんと、命があるだけありがたいんだからね!」

 

魔理沙の頭上には守矢の神々がいた。

 

「加奈子、それに諏訪子も。一体どうして守矢の神様方が手助けしてくれるんだ?」

 

「いやなに、あいつとは現世でちょっくらやりあった仲でね、まぁボコボコにされたんだが…流石にこの幻想郷までめちゃくちゃにされちゃあ居場所がなくなっちまうからね」

 

「やっつけることはできなくても痛い目見せて大人しくさせれば…まだ芽生えてないみたいだしね」

 

「あぁ、憑代はまだ完全に取り込まれたわけじゃなさそうだな。形が定まっていない」

 

神奈子と諏訪子は何やら考え込んでいる。

 

「お前達…一体なにを言ってるんだ?ゴジラは…怪獣なんだろ?」

 

魔理沙の目が疑いに変わる。

 

「あのちびっ子姉妹はそう言ったのか?」

 

神奈子が聞き返す。

魔理沙は思わずたじろいだ。

その目にはわずかな怒りがあった。

 

(小美人のことを知っている…過去に何かあったのか?)

 

その隙にゴジラが起き上がり咆哮をあげる。

ゴジラは怒り狂ったように尻尾を振り回して暴れまわり、背びれは今までにない輝きを見せている。

 

「あらら、奴さんお怒りだ」

 

魔理沙と神奈子は目の前で暴れ狂うゴジラに目線を向ける。

 

「なぁ神奈子、あいつのビームを受け止めることは出来るか?」

 

「放射熱線のことだな。…オンバシラをフルで使って一度限りなら可能だが、何をする気だ?」

 

すると魔理沙はニッと笑った。

 

「あのデカブツの口の中にぶっ放す」

 

「なるほど、確かに内側からならダメージを与えられるかもしれない」

 

「なら私はミシャグジさまで動きを止めるよ。タイミングは魔理沙に任せる」

 

「オーケー。そんじゃあ行きますか!」

 

魔理沙たちはゴジラと対峙する。

 

「神奈子、本当に耐えられるんだな?強がってないよな?」

 

「私は神様なんだぞ魔理沙。舐めてもらっては困る」

 

ゴジラは怨敵でも見つけたかのように神奈子、諏訪子を見据えた。

 

「少し…いいか?」

 

神奈子は真剣な表情を作って魔理沙に話しかける。

 

「諏訪子と私は諏訪大戦後を共同統治という形をとって終わらした。だが…私達は犠牲を出しすぎたんだ…」

 

諏訪子が続ける。

 

「諏訪大戦で死んでしまった戦士たちの怨念はこの結果を良しとしなかったの。当然よね、死んで勝ったのに、死んで負けたのに、生き残った私達が仲良くしましょうなんて…犠牲が無駄になったのと同じようなものだもの」

 

神奈子が少し怒気を交えて話した。

 

「そして諏訪大戦から十数年が経った頃、その怨念たちが一つの憑代のもとに集まって私達の前に現れた。私達はそれをゴジラと呼んだ……わかっただろ?ゴジラは怪獣なんて柔なもんじゃない。アレはいわば残留思念の塊、怨みという感情そのものなんだよ」

 

「私達神々はその規格外の強さから神と認定し、【荒神 呉爾羅】としてとある島に封印したの。でも私達が生まれる遥か前からゴジラは存在し、姿形を変えて出現していた。怨みという概念が確立された、その時から…」

 

ゴジラが一際大きい咆哮を発する。

 

「さて、話はここまでにして…そろそろ頼むよ魔理沙」

 

「あぁ、わかった」

 

魔理沙はさっきの話を頭の片隅にしまい、ゴジラに集中する。

 

するとゴジラの背びれが光る

 

「よし!神奈子、オンバシラを作って備えてくれ!諏訪子は離れた位置から拘束の準備だ!」

 

「了解!」「わかった!」

 

神奈子は自分の前に文字通り山のような特大のオンバシラを作る。

諏訪子は神奈子から数百メートル離れた地点で降下し、地面に手をついて何事か唱え始めた。

 

「さぁ荒神よ、どんと来いッ!!」

 

ゴジラから放射熱線が放たれる。

 

オンバシラはメリメリと削れていくが、神奈子が後ろからさらに続けて作り出しており、オンバシラの長さはほぼ一定に保たれている。

異変に気付いたゴジラは放射熱線の出力を上げたようで、神奈子が若干押され始めた。

 

放射熱線が神奈子に届くまであと20メートル、10メートル、5メートル、2メートル…

 

「うおおぉぉぉぉぉぉ!」

 

神奈子の魂の叫び声とともに、神奈子はオンバシラの作成スピードをグッとあげた

そしてついにゴジラが根負けし、放射熱線を切らしてしまう。

神奈子は額に玉の汗をかいてぐったりと空中に浮遊している。

 

「諏訪子!!」

 

「お願い、ミシャグジさま!」

 

魔理沙の掛け声とともに諏訪子の近くから土の大蛇が現れ、ゴジラに巻きつく。

大蛇の大きさは凄まじく、ゴジラをも超えている。

締め上げられたゴジラは苦しみの声を上げる。

 

「今だッ」

 

魔理沙はミニ八卦炉を取り出してそれを…

 

「セーフティ解除、出力最大、くらえぇぇ!」

 

ゴジラの口へと放り込んだ。

オレンジ色の光を放ちながらミニ八卦炉はゴジラの口内へと転がり込んだ。

やがて土の大蛇が朽ち果て、ゴジラが束縛から解放される。

 

するとゴジラの体からオレンジ色の光が漏れはじめた。

光はどんどん強くなり、同時にゴジラは苦しみ、暴れはじめた。

しかし光は強くなる一方で、やがてゴジラの体から高い機械音が聞こえはじめた。

光がゴジラの体を埋め尽くした。

そしてゴジラの体はだんだんと膨張を始め…

 

【グギャァァァア】

 

断末魔とともにゴジラは首から下が爆発四散した。

腹部からはピンク色の臓器がグチャグチャになって飛び出し、赤黒い血がゴジラの周囲に湖をつくっている。

妖怪の山はその半分がゴジラの血で赤く染まり、早めの紅葉をむかえた。

 

腹の穴から後ろの妖怪の山が見えるほどの深手を負ったゴジラは立ったまま沈黙している。

 

「よっしゃあ!」

 

魔理沙が歓喜の表情を浮かべる中、諏訪子と神奈子は以前険しい顔をしたままゴジラを睨みつけている。

 

「いや…あれを見ろ」

 

神奈子が指をさしたその先には

 

 

ーーーーーー

 

 

ここはどこだろう。

私は誰だろう。

 

暗い闇の中にあった私の意識が覚醒していくのがわかる。

光がかすかに見える。

オレンジ色のまばゆい光。

 

体が熱い。

 

それまで感じもしなかった熱を感じる。

自分の鼓動がうるさいほど鳴り響く。

逆に言えばそれほどまでに静かな空間。

 

そしていきなりの爆音。

それまでの静寂が嘘だったような音が私の世界で起こった。

音は私の世界の壁を粉々にした。

 

外に見えたのは青い空に浮かぶ三つの影。

一つは愕然とこちらを見て、もう一つは私を指差して、最後の一人は私を何か哀れなものを見るような目で見る。

 

そして見られていることに気がついた私は…

 

私は、私は?

 

私とは…私は何だ?

 

得体の知れない恐怖が私を襲う。

 

「…嫌だ」 『何が嫌なんだ?』

 

私の声に何かが答える。

その声はどこか私に似ていた。

幾重にも重なったその声は私を酷く無力にさせた。

 

「私は私だ」 『違う、私達だ』

 

「違う」 『違わない』

 

私は自分を囲む闇がまた強くなるのを感じた。

そして、それが堪らなく嫌だった。

 

「私は、お前達とは違う」 『違わない、お前は私、私はお前だ』

 

私は自分が何かに溶けてしまうような感覚に陥った。

 

「止めろ、私は私だ、お前達とは違う!」 『違わない俺達は…ゴジラだ』

 

「違う!私は…私は…ッ!」

 

私は今出せる最大の声を持って吐き散らす。

自分の中にある一つの名前。

それは私のものではないが、唯一良いものだと思える名前だった。

 

「私は…ゴロウ……そうだ、牧五郎だ」

 

するとそれまで私を覆っていた闇が怯み、世界が明るく照らされた。

生まれてから初めて味わうこの感覚。

それが喜びという感情だと理解するのには、まだもう少し時間が必要だった。

 

ーーーーーー

 

神奈子が指をさしたその先にはゴジラの腹の中に触手のようなもので拘束された人の影があった。

 

否、それは人の形を模してはいるが、長い尻尾や白い骨格のようなもので覆われた体をしており、人と呼べるようなものではなかった。

 

「あ、あれって…人間、なのか?尻尾みたいなものまで生えてるぞ。それに骨格のような…」

 

「あんな憑代…見たことあるかい?神奈子」

 

「いや、今まで憑代となったのは強い怨みを持つ人間だけだった。まさかバケモノまで憑代にするとは…それにしてもあんなヤツは見たことがない。妖怪でもないようだし…」

 

すると腹の周りの肉が動き始め、何と再生し始めた。

拘束されているモノは何とか抜け出そうともがいていたが、やがて力尽きたのか、抵抗をやめた。

 

「まずい!憑代とゴジラを切り離さなくては」

 

「私が行く!」

 

「魔理沙!」

 

魔理沙が猛スピードでゴジラの腹の中へと向かっていく。

ギリギリでゴジラの腹の中へと到達した魔理沙はそのまま拘束されているモノを片手で掴み、そのスピードを落とすことなくゴジラの再生したての薄肉を破って体内から脱出した。

 

「やった!」

 

諏訪子は喜ぶが、神奈子は異変に気付いていた。

 

「まだだ!ゴジラの再生は続いているぞ!」

 

憑代を取り除かれてなお、ゴジラの体の修復は続き、傷が完全に治る。

 

【ギャァァァォォオ】

 

ゴジラは復活の咆哮をあげ、背中と口、そして尻尾からも放射熱線を放出する。

それまで青紫だった熱線は青色に染まっていた。

 

「クソッ…もう憑代の一部と同化していたか!」

 

「これじゃ…私たちの勝ち目はもう…」

 

神奈子と諏訪子の目は絶望に変わる。

 

「あらあら、守矢の神様もこの程度?」

 

二人の前に現れたのはいつものフリフリのドレス…を赤黒い血で濡らしてどこか不機嫌気味な紅魔館の吸血鬼、レミリアだった。

 

「おねーさまー、もう帰ろうよ〜。ベトベトで気持ち悪いぃ」

 

後ろには同じく血でベトベトになったレミリアの妹、フランが手をぶらぶらさせて血を落とそうとしている。

遅れて、傘をさしていたためか唯一いつも通りのメイド服を着た咲夜が続く。

 

「だからこそよ…こんな仕打ちを受けて、お礼の一つもしないで帰るのは失礼じゃない?」

 

「お嬢様、一度屋敷に戻って出直しても遅くはないかと」

 

「うっさいわね!だいたい何でアンタだけ傘もってんのよ、私達だけずぶ濡れじゃない!それにこの血、舐めてもちっとも美味くないわ!まだおっさんの血でもすすってた方がマシよ!」

 

「そのような経験がおありで?」

 

「ないわよ!」

 

「お、お姉様、おじさんの血なんて吸ったこと…あるの?」

 

「ちょ、ちょっと?ドン引きしないでくれないかしら?咲夜の冗談だからね?しかも無いって言ったわよね?」

 

目の前で繰り広げられるコントに冷ややかな視線をおくる者が二人。

 

「んっ、ゴホン!後は私たちに任せて、貴方達は指でも咥えて見ているのね」

 

「待て!そいつはお前達でどうこうできる相手では」

 

神奈子が言い終わる前に金色の光線が三つ、空から大地に降り注ぐ。

 

「ッ!」

 

咲夜は時間を止めてレミリアとフランを光線から回避させた。

 

「ありがと、咲夜…まったく次から次…へ…と…」

 

そこにあったのは、あるはずのない二つ目の太陽。

金色の鱗を輝かせ、ゆっくりとそれは降り立った。

ゴジラはそれを視界に入れると、初めて重心を深く取り、構えをとった。

 

「綺麗だわ…とっても…」

 

フランはその神々しさにしばらく魅入っていた。

 

幻想郷に降り立った金色の龍。

その名はギドラ。

 

かつてこの博麗大結界を創造し、紫をはじめとする賢者達にその力の一部を与えた真の幻想郷創設者。

 

絶対強者

 

千年竜王

 

キングギドラ

 

ついに、破壊神と天の守護神の戦いが始まる。




紅魔館勢の扱い正直迷いました。誤字や脱字等ございましたら御連絡ください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。