ヤシオリ作戦は成功し、ゴジラは凍結されたかに思われた。しかし、ヤシオリ作戦のため、高圧ポンプ車に乗っていた自衛官から衝撃の報告が挙げられた。
『尻尾に何かが、人がいる』
日の光が届かないほどの深海に、その生き物はいた。普通、水圧に耐えかねてほとんどの生き物がこの海域に近づくことすらできないが、母体から受け継いだこの30mmの機関砲を受けても傷一つつかない皮膚が、この環境でも生き抜くことを可能にしている。
???「ピーキユィーピーーー」
その生き物は口と呼ばれるであろう場所からイルカやクジラの会話手段でもあるエコーロケーションを『真似して』多数の生き物を呼び寄せる。その中からひときわ大きな獲物を見つけ…
???『キイイイイイイイイイイイイイ』
今度は胸の大きな穴から甲高い音とともに光線を出した瞬間、周囲の海水が泡立ち、獲物であるマッコウクジラの体が真っ二つに切れた。同時に、他のイルカや魚たちは蜘蛛の子を散らす様に逃げていく。
周りには何もいなくなったあと、ソレは割れたクジラの体の大きい方を持って住処へと帰っていった。
???『ガツガツ…グチャ…ギチュッ』
洞窟の中に咀嚼音が響く。小さな体からは想像もつかないほどの量を食べた生き物は、実は他の生き物を喰らう必要性はない。水と空気があれば生存可能だ。
しかし、空気の限られるこの洞窟内ではそれは最後の手段であり、できるだけ空気を消耗しない生活をしなければならない。
???「ゴチソウ…サマ…デシタ」
覚えた言葉は地上で暮らす二足歩行の生き物の言葉だ。彼らは一匹ずつなら取るに足らないが、集団となったときにその真価を発揮する。現にその二足歩行の生き物、ニンゲンによって母体は生命活動を停止せざる負えない状態に追い込まれたのだ。
???「………?ナンダ…?」
ここで生き物はいつもの洞窟とは何かが違うと気づく。そして、その人間の容姿にできるだけ近づけた体(と言っても尻尾や背びれはある)を洞窟の奥の方へと進めていく。いつもであればこの洞窟はここで行き止まりだが…
???「コレハ……ドウイウコトダ?」
しかし、洞窟の暗闇はまだ先へと続いていった。最初は気のせいではないかと思っていた生き物も、距離にして1キロ以上歩くと流石に戸惑いを隠せなくなってきた。
???「ドウナッテイル?一体、!?声が!!」
それまでどこかぎこちなかった言葉もはっきりと発音できるようになっていた。
???(まだ人間の舌や喉は完全に再現出来ていないはず。だが声だけが…なぜ…)
あまりの急変に戸惑っていると、目前から光が見えた。
???「なに!?そんな…太陽が…なぜ!?であればこの先は…地上か?…まさか…」
またしても起こった異変に頭が痛くなりそうな生き物は、とにかく日の光?を目指して進んでいった。
しばらくして光が大きくなり、深海にいたためか強い光に弱い生き物は、自分の目を細めながらしかし、警戒を怠らずにその歩を進めていった。そして、
???「ここは…木がこんなにも…!!これが『森』というやつか…」
カナダと呼ばれる人間の国へいったときに手にした情報を思い出しながらも、ここは本当にどこなのか?と思案する。
まだこのとき誰も、神も、この世界の管理者すら『ゴジラ』の出現に気づいた者はいなかった。
ゴジラ「尻尾と背びれは隠しておくか」
前置きはこれにて終了です。本編は一話一話がもっと長くなる予定なので長い間、未投稿になるかも知れません。お待たせするようですみません。