東方荒神伝   作:白峰

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 やっとこ一話です。プロローグを見たという前提ですので、まだ読んでいない方はプロローグからお願いします。


第一章 GMK
第一話 上陸


 生い茂る草木、青く澄み渡った空、人が増えすぎた現代では決して味わえない純粋な空気。

 

 ここは幻想郷。表の世界で忘れられれたモノの行くつく楽園である。本来は全世界の人々に忘れられるか、この世界の『管理者』に招かれるかでなければ立ち入ることのできないこの楽園に入り込んでしまった【怪獣】が一匹、魔法の森を歩いていた。

 

 「ここは空気に毒を含んでいるのか、道理で動物がいないわけだ」

 

 姿は完全に人間そのものだが、それは背びれや尻尾を隠し骨格まで歪めているからだ。幻術でもなければ催眠でもなく、人間そのものに退化したと言ってもいいだろう。しかし、内部の構造はそのままであり、本来の能力は発揮できないものの、毒やガスなどといった害のあるものは体内で無力化、分解できる。

 

 「杉や松まである。やはりここは日本で間違いないな。全く、どうなって…いや、考えるのはもういいだろう。どうせ無駄だ」

 

 「しかし、この空気中に散布されている毒は一体どこから来ているんだ?」

 

 好奇心から彼は毒の原因を探し始める。しばらくして一つのキノコが呼吸をするように黄色い胞子を撒き散らしているのを、彼は見逃さなかった。

 

 「この傘のついた植物が原因か、どれ…」

 

 見た目からして毒々しいキノコを気にも止めずに一口で食べた。

 

 「なるほど、幻覚作用を引き起こす…キノコというのか。他にも腹痛や下痢、発熱…なかなか優秀じゃないか」

 

 顔が不気味に歪む。

 

 「では早速……グゥ……ハァ!!」

 

 腕や足の側面から肉眼では見えない程の小さな穴が空き、そこから先程食らったキノコの毒と同様の胞子をあたり一面に撒き散らした。

 

 「射程距離は3メートルといったところか…。まぁいいだろう。」

 

 満足したのか先程よりも軽い足取りでその歩を進めていく。しかし…

 

 「…!!生命反応、これは……該当する生物がいない!?」

 

 予想が外れたのか焦りを見せる。だが、その顔は新たな発見と進化への期待に満ちた笑顔に変わる。

 

 「まっすぐこちらの方へ向かってくるな。速度は時速130キロといったところか。チーターよりも速いのか」

 

 前方で土煙が上がる。 

 

 「それに大きい。3メートルはあるか。クマとチーターのいいとこ取りだな。ん、速度が落ちた。気づいたか?」

 

 そしてついにその生きものが姿を見せる。

 

 「なんと……」

 

 あまりの衝撃に唖然とする。彼の前に立っていたのは獅子の頭に山羊の胴体、そして蛇の尻尾を持つ、まさに典型的な『キマイラ』だった。しかし、そんなことを知る由もない彼はしばしの間、思考が飛んでいた。

 

 「グォォォァァ!!」

 

 「うおっと、危ない危ない」

 

 目の前にいる生き物を人間だと認識したキマイラはその鋭い爪で斬りかかる。対する彼は飛んでいた意識を取り戻し、難なく避ける。

 

 「グガァァァア!!」 

 

 「いやはや、なんだこれは。生体実験でもされたのか?可哀想に」

 

 自分なりの結論を出すが、キマイラは待ってはくれない。次々と爪や体当たりで攻撃をしてくる。

 

 「チッ邪魔くさい。………そぉら!!」

 

 「グギャャャァァァア!?」

 

 体当たりに来たところを交わし、先程のキノコの毒を数百倍にして放出する。毒に抗体を持つキマイラでも、流石にたえられなかった。しかし、混乱に陥ったキマイラは、奥の手を使う。

 

 「グゴォォォォ…」

 

 「なんだ?体温が上昇している?……!しまったっ!」

 

 瞬間、キマイラの口から火炎が飛び出す。その炎はしばらく続き、あたりの半径約100メートルを焼き尽くした。勝利を確信したキマイラは毒によって閉ざされた瞼をゆっくりと上げる。

 

 「ゴォォォォォォ……」

 

 「グガァ!?」

 

 そこには自分を攻撃してきた人間の姿はなかった。ただ、ヒトの姿を模した魔神がいただけだった。

 

 「キイイイイイイン」

 

 「ガッ!」

 

 ヤツは何だったのか。あの光は…紫色の閃光は何だったのか。キマイラはそのことを考えている間に真っ二つになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法の森から少し離れたところに人里と呼ばれる場所がある。その名通り、人間が住んでいる一般的な場所である。古風で自然と寄り添うような感じのする里で、見た目は江戸時代の街並みそのものだ。

 

 「なぁ、聞いたか?」

 

 「あぁ、森の火事だろ」

 

 着物姿の男二人が何やら話している。片方は落ち着いた茶色の着流し姿で、もう片方は黒の、こちらも着流しだ。

 

 「どうせあの魔法使いの嬢ちゃんが何かぶっ放したんじゃねえの?あの変な光もそれなら説明がつくだろ」

 

 「いや、その嬢ちゃんは団子屋でみたらし食ってたぜ。そんで火事が起きて飛んでったのさ。勘定払わずにな」

 

 火事とは2日前に魔法の森にて起こった大火事で、現場の半径約100メートルが焼け野原となっていた。また火事の直後に紫色の不可解な閃光も目撃されており、この話を聞きつけた一羽の『烏』が現場に急行したことは言うまでもない。




 ここで第一話は終わりです。幻想郷にキマイラはOKなのかなぁと思いましたが…まぁ二次作ですしいいかなって(笑)
 UA増えてて嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
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