東方荒神伝   作:白峰

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 遅くなってすみません。何分忙しかったもので…。
初めて感想及びご提案をいただきました!ありがとうございます。私もやる気がみなぎってきました(⌒▽⌒)
 それではどうぞ。


第三話 揺れ動く楽園〈後編〉

 「…………………………。」

 

 あたりは一面火の海と化した森の中に一糸まとわない姿の男が、今にも崩れ落ちてきそうな燃え盛る木のもとでジッと息を潜めている。

 

 その先には白黒の衣服に、トンガリ帽子を深々とかぶり、箒を持った一人の少女がいた。

 

 「よし、そうと決まれば!!」

 

 そう言って箒にまたがった少女は上空へ急上昇し、そのまま何処かへ飛び去ってしまった。

 

 男は少女が見えなくなってからもその方角をしばらくの間睨み続け、十分ほど経ってようやく目線を変えた。

 

 しかし、警戒はそのまま怠らず、辺りを目回す。

 

 (ここにいるのは不味いな、すぐに移動するか)

 

 すると、男の体から何かが擦れ合うような嫌悪感を抱く音がしたと同時に、血と肉片が当たりに散らばった。

 

 見ると、男の背中の部分からヒイラギの葉っぱのような刺々しい形のした三列の背びれが現れ、更には肉の上から骨がむき出しになっている尻尾が生えた。

 

 腕や足はブチブチと筋の切れる音と一緒に出血しながら伸びていく。胸には大きな穴が空き、頭は真ん中にくぼみのある異様な髑髏へと変わった。

 

 その姿は人と言うにはあまりに異質すぎた。真ん中にくぼみのある顔と、唇が無く歯がむき出しになった口。穴の空いた胸に綺麗に三列に並んだ刺々しい背びれ。そして人間にはあるはずのない尻尾。

 

 「我は死なり、世界の破壊者なり」

 

 その言葉だけを言い残し、彼は文字通り『消えた』。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔法の森の山火事から数日後、人里はいつもと同じように賑わっていた。

 

 「みたらし団子はいかが〜、お茶もつけるよ〜」

 

 「おかーさーん、あれかってよぉ〜」

 

 「今晩は何にしようかしら」

 

 親子、夫婦、子供、大人、男、女、誰も彼もが平和な日々を過ごしていた。そこに命の危険はなく、危機感を抱く者もまた、いなかった。 

 

 だからこそ気づけなかった。度重なる異常な事態に。気づくことができなかった。悲劇の前触れに。

 

 【ゴゴゴゴゴゴゴ】

 

 数秒の間、小さな地震が人里を襲う。

 

 「いらっしゃい!サービスするよ!」

 

 「いけません。さっさと帰るわよ」

  

 「よし、今晩はさばの味噌煮に決まりね」

 

 しかし、里の人々は気づいてないのか、気にもとめていないのか、地震のことを言う人はいなかった。

 

 道端の地蔵の顔が割れていた事にも気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幻想郷に海はないが、かわりに霧の湖と呼ばれている湖がある。この湖は周囲を木々に囲まれており、妖怪や妖精が集まりやすく、住処としているモノも多い。

 

 「だいちゃーん、はやく!」

 

 白いシャツの上に青いワンピースを着た少女が森の中から出てきた。しかし、少女と言うには余りにも小さすぎる身長と背中に生えた六つの氷の羽が彼女が妖精である事を表している。

 

 名前はチルノと言い、この湖を住処とする妖精の一人である。

 

 「待ってよぉ〜チルノちゃん。」

 

 チルノのあとから来たのは緑の髪をサイドテールでまとめた青い服装の妖精だった。こちらはトンボの下羽のような羽をしていて身長はチルノより少し高い程度だ。

 

 彼女は大妖精といい、種族名がそのまま名前となっている。

 

 「ハァ、ハァ…チルノ…ちゃん…はや…すぎ」

 

 「ふふん、やっぱり幻想郷最強のあたしは素早さも最速ね!」

 

 「あははは…ブレないね、チルノちゃん…」

 

 二人は霧の湖の前で一度立ち止まった。

 

 「チルノちゃん、それで『見せたいもの』ってなに?」

 

 息が整った大妖精がチルノに呼びかける。

 

 「えっとね、湖の向こう側にあるんだけど。う〜ん、霧が濃くて見えないなぁ」

 

 湖の周りには濃い霧が立ち込めており、向こう側はおろか、周囲十メートル先すら確認できない。

 

 「もう少し近寄ればわかるんじゃない?」 

 

 「じゃあ行こー。ついてきて、大ちゃん」

 

 二人は少し浮いて、それからチルノを先頭に湖の上を平行に飛んでいった。

 

 

 

 二人のそばに小さな地蔵があったが、彼女たちには気づけなかった。

 

 

 

 「うーん、そろそろ見えると思うんだけど…いてッ!」

 

 先頭を行くチルノが何かにぶつかった。

 

 「大丈夫!?チルノちゃん!」

 

 「うぅ…あたいは大丈夫だよ。あッ!それよりこれだよ、大ちゃん!」

 

 チルノ達の前には壁が立ちふさがっていた。白一色のその壁は固く大きかった。

 

 瞬間、霧が晴れていく。

 

 「うわぁ〜〜。大っきい〜〜」

 

 「ねッ!すごいでしょ!」 

 

 白い壁はヒョウタンの形をしていた。それは湖に浮いており、全長は40メートル以上はある。何かを包み込んでいるような、まるで繭のような物体だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 場所は移る。ここは幻想郷の東端にある神社。名前は『博霊神社』という。外見は一見こじんまりした普通の神社で、周囲にはケヤキやクヌギ、松など様々な木々が乱立している。

 

 その神社の縁側に、一人の少女が座っている。 

 

 「ふぅ〜…今日も平和ねぇ〜…」

 

 緑茶をすすりながら和んでいるその十代前半の少女はきれいな黒い髪に大きな赤いリボンをつけて、赤を基調とした巫女『風』の服を着ている

 

 「平和ねぇ〜……暇ねぇ〜………」

 

 少女の名前は『博麗霊夢』。この魑魅魍魎の跋扈する幻想郷において、妖怪退治を主に生業としている。

 

 「そういえばこの神社の神様ってなんて名前なのかしら?そもそも神様なんて祀ってるの?」

 

 余りにも暇だったのか、それとも巫女であるのに自分の祀っている神様の名前をすら知らないことに羞恥を感じたのかはわからないが、霊夢はまだ緑茶の入った湯飲みをおいて縁側から本殿の方へと入っていった。

 

 「意外と広いのよね、この神社」

 

 本殿には普通、宮司以外のものは何人たりとも入れないのだが、博霊神社には宮司はおろか神主すらいなく、巫女である霊夢が一人で管理している。

 

 「祀ってる神様がいるのなら何処かに御神体があるはずだけど…」

 

 霊夢はそこら中の引き出しや畳をひっくり返して探していた。すると、ある畳の下に空洞になっているのを見つけた。その中からかなり年季の入った木箱見つけた。

 

 「あら?鍵がかかってる…。これの中に御神体があるのかしら?」 

 

 木箱には鍵がかかっており、開きそうにない。

 

 「むぅ、めんどくさいわね。このッ!」

 

 霊夢は木箱を掴んで思いっきり叩きつけた。木箱はそれほど重くなく、霊夢の腕力でも十分に持ち上げられた。

 

 数回叩きつけると、木箱の錆びついた鍵が壊れた。

 

 「やった!どれどれ中身は…。ッ!これはッ!」

 

 中には黄金の欠片が入っていた。大きさは直径15センチ程で、魚の鱗のような形をしていた。

 

 「やったわ!これでもう一日中ゴロゴロしてても暮らせる!もうお賽銭に悩まされることもない!」

 

 先程までゴロゴロしていた自分のことは棚に上げて喜ぶ霊夢だが、このとき大変な過ちを犯していた。

 

 「やった!やった!大金持ち〜!」

 

 黄金を掴みながら裸足で境内を駆け回る霊夢。しかし、破壊した木箱が入っていた畳の下にはもう一つ、石で作られた小さな地蔵が入っていた。 

 

 その地蔵の背中にはこう書かれいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

            

     『千年竜王 魏怒羅(ギドラ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 前回であまり時間はかからないと言っていたにもかかわらず、かなり未投稿のまま放置してしまい、すみません。言い訳としては一身上の都合と言うわけで許してくださいm(_ _;)m
 GMKを見たことがある人は、最初の地蔵が出てきた時点でわかってくれたかもしれません。いいですよね〜あの白目ゴジラ。容赦ない感じがなんとも(笑)
 ちなみに「我は死なり、世界の破壊者なり」とはギャレゴジの際に出てきた言葉で、元ネタはバガヴァット·ギーターというヒンドゥー教の詩篇の一節です。詳しく知りたい人はこの言葉をそのままググれば出てきます。
 これからも頑張っていくのでよろしくお願いします。
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