東方荒神伝   作:白峰

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 遅れてすみません。もう何回この謝罪を繰り返したのやら…。なるべく早く投稿できるように頑張りますのでどうか見捨てないでくださいぃぃ。


第五話 人里の集い

 「さぁ〜て、どなたか話せる方はいませんか〜と」

 

 魔理沙は湖の周辺の妖怪や妖精達に話を聞くべく行動しているが、ここに集まっているのは口の聞けないものがほとんどであった。

 

 「お?あれは…」

 

 湖から遠ざかっていく人影に見覚えがあった。頭には珍妙な飾りをのせた堅苦しくていかにも教師って奴。

 

 追いかけようとすると後ろから袖を掴まれた。勢いよく魔理沙は前に転ける。

 

 「痛ぇ〜何だよもう霊夢ぅ」

 

 魔理沙の目の前には大事そうに懐に何かを抱えた様子の霊夢がいた。

 

 「異変の関係者、見つけたわよ」

 

 「……へ?」

 

 霊夢の懐から出てきたモノは二人の小さな小さな人差し指ほどの人間のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「けーね先生、さよーならー」

 

 寺小屋に通う子供達はいつものように元気よく寺小屋の戸を開き、駆け出していく。歳は10にも満たない子供達ばかりだ。

 

 「最近は物騒だから気をつけて帰るように。くれぐれもだぞー」

 

 子供達が開けた戸から体を半分ほど出して『けーね先生』らしき女性が子供たちを見送る。

 

 白髪に青を基調とした服を着ており、頭には中国の冠のような帽子を被っている。

 

 彼女の名は上白沢慧音といい、この人里で寺小屋を営んでいる。彼女は人間と妖怪の中間に立つ『半人半獣』であるが、彼女のその生真面目な性格と今まで積み重ねてきた人徳により、この人里に受け入れられている。

 

 「…よし、では行くか」

 

 まだ太陽は南の空から顔を覗かせている。いつもなら親友の女性の所に遊びに(主に掃除や洗濯)行くのだが、今日の慧音にはやらなければならない事があった。

 

 慧音は子供達を見送ったあと、人の行き交う大通りへ出た。そのまま一直線に進んでいきくと大きな屋敷が見える。慧音は立派な表門に立つ二人の大柄な門番二人と軽く挨拶を交わし、中へと足を進める。表札には『稗田』と書かれていた。

 

 早足で本邸の玄関につくと急ぎつつも綺麗に靴を脱ぎ、整えて奥にある目的の部屋へと急ぐ。 

 

 三回襖を開けて着いた部屋の前で一度身だしなみを整えて深呼吸し、中へと入る。部屋の中にはすでに集まるべき人が三人全員来ていた。4つの座布団に左から男女男、空席の所は慧音の分であろう。三人は慧音に注目する。

  

 「寺小屋の授業で遅れてしまいました。申し訳ありません」

 

 慧音は頭を下げる。

 

 「いえ、その事につきましては事前に報告を受けていましたし、私は気にしませんよ」

 

 最初に答えたのは上座に座る少女だった。彼女はこの屋敷の当主であり名を稗田阿求という。彼女は『一度見たものを忘れない程度の能力』を保持している。

 

 また、阿求は『御阿礼の子』と呼ばれており、これまで約1200年間、数百年単位で転生を行っている。ちなみに阿求は九代目である。

 

 慧音とはお互いに家に呼び合うほどの仲であるが、今は他人の目もあり、他人行儀になっている。

 

 「それほど畏まらなくても、先生はお忙しいでしょう。仕方ありませんよ」

 

 次に答えたのは慧音から見て左手に座る男だ。全体的に痩せていて、優しい笑顔を見せるこの人物は名を醍醐直太朗と言い、人里で稗田家の次に大きな屋敷を持つ酒屋の主人である。

 

 彼はその昔、少年時代に慧音の寺小屋で教えを受けた者であり、彼女の生徒の中では一番に成功を収めた優秀生徒である。その為か、慧音には特別恩義を感じている。

 

 今は四十の半ばに差し掛かり、妻と二人の息子を持つ。長男には酒屋を継がせるために勉強させ、次男には寺小屋で慧音の手伝いをさせている。

 

 「ああ、先生には家の娘も世話になっとる。いつもありがとう」

 

 右手に座る男はそう答える。隆起した筋肉と立派な口髭を蓄た大柄な男は見るからに熊のようだ。

 

 彼はこの人里で警備隊を率いる四人の『頭』を束ねる『棟梁』で名を神宮司八郎と言う。

 

 「そうか、ありがとう」

 

 慧音は改めて一礼して空いている席につく。同時に阿求が話し始めた。

 

 「それでは、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。これより第63回“人里の集い”前期を始めたいと思います」

 

 “人里の集い”とは今から63年前、先代の稗田家当主が提案した定期的に里の有力者を集め、物価や治安状況を報告し合い、お互いに連携を取り、里のバランスを保つための集会である。また前期、中期、後期があり年内に計三回実施される。また、緊急時にも臨時で催される場合がある。

 

 「まず経済部門、醍醐さんお願いします」 

 

 「はい、まずは物価ですが、これは目立った変化もなく里の皆も貧富の差は若干あるものの、今のところ生活保護を受けた者は出ていません。また………」

 

          以下中略

 

 「………よって現状は留意すべき問題は無いかと思われます」

 

 「わかりました、ありがとうございます。では次に警備部門、神宮司さんお願いします」

 

 「ああ、こちらは少し…まぁ皆も存じているとは思うが…十日ほど前にあった森での大規模火災と、つい最近になって発覚した湖の巨大な物体の2つだな」

 

 神宮司が話を切り出すと、この場の雰囲気が重くなった。

 

 「まずは大規模火災だが、これの原因は“魔物"だ。火災の規模、炎の燃え方や直前に聞こえた断末魔の声から、最近になって現れ始めた魔物、それも“キマイラ”であることが分かった。」

 

 それだけなら問題ではない、慧音はそう思った。実際魔物は最近と言っても、もう出現から半年以上経つし、でなくても妖怪の縄張り争いによって森が燃えたなど、ここでは一ヶ月に一回くらいほどの事であった。

 

 神宮司は少し間をおき、それから話し始めた。少し顔が強張って見えた。

 

 「ここからが本題だが…火災が起きる直前に聞こえた奇妙な音、そして紫色の閃光、また火災現場で確認された超高熱により溶かされた木々、これらの事象に一致する妖怪または魔物は…存在しない」

 

 その言葉に三人の顔は暗くなる。

 

 魔物については紅魔館の図書館から図鑑を一時的に貸してもらっている。と言うのも、魔物が出現し始めたのは紅魔館の主に原因があるからだ。

 

 その為、里の安全を守る警備隊は全ての魔物の生態、外見、攻撃手段などを完璧に網羅している。その警備隊の棟梁が言うのだから間違い無い。

 

 「つまり、この事件は妖怪でも魔物でもないナニかがキマイラと戦い、そして勝利したと言うことである。キマイラの強さはここに集まっている者であれば承知していると思うが、紅魔館の主でも負けはしなくとも苦戦は必須であろう」 

 

 ここで神宮司は一旦話を切る。

 

 「少し長くなったな。では次にいこう。湖で発見された巨大な物体だか、これは全長約45メートルあり、ちょうどひょうたんの様な形をしていた。まぁ…その、信じられないとは思うが…これだけの大きさの物体が水に浮いている」

 

 「えっ!?…それは確かですか?」

 

 醍醐が鳩が豆鉄砲をくらったような態度を見せる。他の二人はこの事を知っていたのか、余り驚いた様子を見せない。

 

 「ああ、信じられないと思うがな…俺も最初は自分の目を疑ったよ」

 

 「私も見てきたんだ。何というか…神秘的だったとさえ感じるよ。異様な光景だった」

 

 神宮司の言葉に慧音もそう付け加える。

 

 「さらに…これは今日この場で初めて言うことだが…」 

 

 神宮司の雰囲気が一変し、阿求が言葉をかける。

 

 「どうしました?…何か不都合でも?」

 

 神宮司が言葉に詰まる。他の三人は心配そうに顔を覗き込むが、時間が経つにつれて彼の顔色は悪くなる一方だった。しかし、神宮司は言葉を続けた。 

 

 「恐ろしい事実だが…ああ、これは事実なんだ…。あの白い物体は、巨大なサナギだと言うことが…判明した」

 

 どれほどの時間だっただろう。一秒かも知れないし、一分程だったかもしれない。しかし、その間は誰も言葉を発しなかった。

 

 少しの沈黙を破ったのは阿求だった。

 

 「え?…あ、あの…アレが蛹だと?蛹と言うのは芋虫が蝶に成長するときの…あの蛹ですか?」 

 

 「ああ、そうだ。まぁ厳密に言うと繭だがな」

 

 次に醍醐が問いかける。 

 

 「まさか…一体何の根拠があって?」

  

 「リグルだよ。彼女が言うには、これはある芋虫の吐く糸と非常に近い繊維でできており、中身が未だに生きている事もわかっている、と彼女は言っていた」

 

 「それだけではまだ繭だと断定するのは早すぎませんか?妖怪の証言だけというのは…」

 

 「いや…私は、あれは生き物だと思う」

 

 慧音が醍醐の言葉を遮った。 

 

 「私はあの中で…ナニかが胎動しているのを感じた。そして…聞いたんだ」

 

 瞬間湖に行ったときの事を慧音は思い出していた。

 

 『モスラヤ モスラ ドゥンガン カサクヤン インドゥム』

 

 「非常に小さな声だった。何処から、誰が歌ったのかもわからない。でも確かに聞いたんだ。…モスラ…この単語が頭から離れないんだ」

 

 これには醍醐も反論できず、しばしの間再び沈黙が訪れた。すると午後5時を知らせる鐘がなった。

 

 「では、ひとまずこの湖の問題を念頭にまた明日、臨時集会を開きましょう。時間は今日と同じで。異論はありますか?……無いようですので、第63回人里の集い前期は一先ずの終わりとします。お疲れ様でした」

 

 強引とも言える阿求の幕引きはしかし、これで良かったのかもしれない。あのままでは結局何の意見も出ずに無駄な時間を浪費しただけだろう。流石、記憶はないとはいえ何度も人生を送っているな、と慧音は小さな親友に感心した。

 

 稗田家を出ると日は沈みかけていた。日がなくなってきたため少し肌寒く感じた慧音は、少し足早に帰ることにした。そのとき…

 

 【ゴゴゴゴ…ズズズ…ゴゴゴゴ】

 

 「…!またか…」 

 

 それは人間では到底感知できない小さな揺れだった。ここ数日で一日に数十回は起きている。しかし、それを感じることができるのは、人里では慧音くらいだった。気持ちの悪い揺れ方をするな、と思った慧音はこの事を明日皆に報告しようと決心した。

 

 

 




 なんと!後10日で!アニゴジ第二章開幕です(^^♪
 そういえば小説のpj.メカゴジラは見ましたか?私は勿論買ってやりましたよ。アニゴジ第二章見に行く人は是非是非読んでくださいね!
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