Fate/GrandOrder Quatre Inconnus de Magiciens 作:オレン・オラージュ
皆さんどうも、やっぱり戦闘シーンの描写が一番きついなと思うオレンです。槍の戦い方の描写難しくて、今回のラモラック苦戦しました。あと地味にキャスターが空気。
FGOはイベント満載。そんな中先日ようやくトリスタンがレベルマを達成しました!噂のWスカディシステムを使いたいところですが、スカディ持ってなかったのがここにきて悔やまれるとは・・・。
ところで今度のイベントはどうやらニューヨークのようですね。今の今まで登場しなかったのが今回ついにくるのでちょっと楽しみです。アメリカが舞台ということはあのライオン頭の人の出番が・・・!!?
今回はvsセイバーとはいえ、サブタイトルは『宝具解放』です。題名のセンスがない私にはこれが精一杯です。いつになったら小説のタイトルが変わるんだろうか・・・。
FGOの序章の最終決戦です。では、どうぞ!
俺たちがキャスターに連れられてやってきたのは、どこかの山にある寺の裏手の洞窟の奥深くだった。
「全員準備はいいか?」
キャスターの呼びかけに俺たちは頷き、さらに奥深くへと入っていった。
歩いていく中で、キャリスが落ち着かない様子で辺りを見回す。
「なんだか、怪しげな魔力が漂っていて嫌な気配がしますです……」
「ああ、それは頷くぜ。この威圧感はこんなに遠く離れていても威圧感が伝わって来るな」
ラモラックも槍を握りしめて、先を見据えてキャリスの言葉に頷いた。その言葉が気になったのか、マシュがラモラックに聞く。
「あの、サー・ラモラック。この奥にいると思われるセイバーの威圧感を感じ取っているんですか?」
「ああ、あの人の圧力ってのは本当にすごいもんだぜ?」
「その言い方だとまるで、セイバーが誰か知っているみたいな言い方ね?」
所長の言葉に、ラモラックは目を閉じ、また開いて先を睨みつけた。
「ああ、嫌という程な……じゃなきゃモーガンは自ら望んで残ったりはしねえだろうな」
モーガンが、自ら?と俺たちが首を傾げていると、俺たちはいつの間にか開けた場所に出ていた。
そこで目撃する光景に、キャリス達が息を飲む。ちょっとした丘のようになっている場所で、金色の光を放つ器の前に誰かが立っているのが見える。
黒い鎧に身を固め、バイザーを身につけた色素の抜けたような金髪の少女が、黒く染まった剣を握って、静かに佇んでいた。
全身鳥肌が立ち、俺はひそかに身震いした。
するとラモラックが俺たちよりも一歩先に出て、呼びかけた。
「サー・ラモラック、ここに参上したぜ!『アーサー王』!!」
そう槍を少女・・・アーサー王に向けて叫ぶラモラックに俺たちは驚きを隠せなかった。
アーサー王、それはかの有名な『アーサー王伝説』の主人公で、聖剣エクスカリバーを携え、ブリテンを導いたと言われてる伝説の王だ。その名は世界中でも広まっているし、ゲームでもその名や物語が採用されてるから歴史に疎い俺でもよく知ってる。
知ってる、んだけど。
「……アーサー王って、女性じゃなかった?あれが本当にアーサー王なの?」
『おそらく、間違いないだろう』
すると今まで沈黙していた通信機から、ドクターロマニの顔が映し出された。
『何か変質しているようだけど、彼女はブリテンの王、聖剣の担い手アーサーだ。伝説とは性別が違うけど、何か事情があってキャメロットでは男装をしていたんだろう。ほら、昔は男子じゃないと玉座にはつけなかっただろう?お家の事情で男のふりをさせられていたんだよ』
「そ、そんなっ……」
ドクターの言葉に手で口を覆い、ショックをあらわにするキャリス。
けれどおそらく目の前の少女は王の重荷や孤独に押しつぶされているようには見えず、まさに王の如き覇気が俺に突き刺さる。
マシュやキャリスもそれは同じようで、マシュは険しかった顔をさらに険しくし、キャリスは俺の後ろに隠れた。キャスターは杖を構え、俺たちの前に立つ。
「見た目は華奢だが、甘く見るな。あれは筋肉じゃなくて魔力放出だけでかっ飛ぶ化け物だ。一撃一撃がばかみてえに重い。気を抜くとてひどくやられるぞ、嬢ちゃん」
「理解しました、全力で応戦します!」
マシュもかすかに震えながら、ラモラックの隣に立った。
と、こちらを見つめたまま動かなかったセイバーの口がようやく開いた。
「ほう、面白いサーヴァントがいるな……。それも、2人」
「なぬ!?てめえ喋れたのか!?今までだんまりを決め込んでやがったのか!!」
「ああ、何を語っても見られている。ゆえに案山子に徹していた。……ラモラックよ、今一度問おう」
「なんだ」
ラモラックは槍を下げることはせず、アーサー王の問いを待つ。
「我が下へ来る気はないか?貴様は我が円卓の1人であろう?」
「断る。そういうのはむしろランスロットやガウェインに言うもんだろ?俺としてもこっちの方が正直言って面白いし、何より……今のあんたとは『これ』で話し合ったほうが早いだろ?」
「そうか。ならば、死ぬがいい」
そう言った瞬間、アーサー王は一瞬にしてその姿を消し、次の瞬間ラモラックの前に現れ、その剣を振りかざした。
ラモラックは片手で槍を振るい、アーサー王の攻撃を受け流した。
そのまま剣戟へともつれ込み、アーサー王が魔力放出で勢いをつけた蹴りをラモラックに放つものの、ラモラックはそれを紙一重で避け、逆に槍を横薙ぎにふるえばアーサー王は飛んで宙返りをし、ラモラックの攻撃を防いだ。
「おぉっと!俺を忘れてもらっては困るな!」
するとある程度俺たちから距離を取っていたキャスターが炎をアーサー王に放った。アーサー王はそれに気づき、剣で炎をかき消し、迫っていたラモラックの顔面に蹴りを入れた。
「がっ!!」
それでもラモラックはあとずさりながらも体制を立て直し、アーサー王に向かっていった。アーサー王は剣圧を放ち、キャスターを含めた周囲の味方を薙ぎ払った。
その剣圧が俺たちにも襲いかかろうとした時、マシュがその盾を持って防いでくれた。
「先輩、大丈夫ですか!?」
「ありがとう、マシュ!」
俺がお礼を言うと、マシュは頷いてアーサー王へ向かっていった。
ラモラックが槍で攻め、キャスターは一歩下がった位置から魔術をアーサー王に向かって放ち、2人に攻撃されそうになった際にはマシュが盾で防ぐ。
3対1の戦いにもかかわらず、アーサー王は全く苦戦しているようには見えない。
始めよりも激化した戦いに、俺は不安を覚えながらマシュ達の戦いを見る。
ああ、何もできないのが歯がゆい。こんな、生死と隣り合わせの戦いが、怖い。
こんな激しい戦いが現実で起こると、こんなに 寒気がして、怖いものなのかと改めて認識する。
未だ震える体を押さえながら、俺はマシュ達の戦いを見るしかできなかった。
「その程度か、ラモラック!」
「まだまだに決まってんだろぉ!」
「ったく……そろそろとっておきを見せる時か!」
さらに戦いが過激化するのを見て、キャスターが業を煮やしたのか手を地面につける。
瞬間、アーサー王の足元から炎が噴き出し、そして
「な、なんだあれ!!?」
「木の人形!!?」
巨大な木の人形がアーサー王の足元から現れる。さすがのアーサー王やそれを間近で見ていたラモラックも驚きを隠せず、
「な!?これは……」
「我が魔術は炎の檻、荊の如き緑の巨人。因果応報、人事の役を清める社–-–」
剣を構えながら人形の腕の上をかけるアーサー王だったが、人形の手に捕まりそのあまま檻のような人形の中へ入れられた。
「倒壊するは焼き尽くす炎の檻!おら、善悪問わず土に還りな!!!」
いつの間にか燃えていた地面にアーサー王を入れた人形は倒れ、大きな爆発音とともに崩壊していった。
「………勝った、のか?」
俺は呆然としたような声で呟く。
あのでかい木の人形を出した(と思われる)キャスターはとても疲れた様子だったが、満足げな笑みを浮かべていた。
その表情をしたということは、
「勝ったんだな、キャスター!!」
「やりましたね、先輩!」
「……まさか、本当にアーサー王を倒すなんて……」
「でも、これで特異点Fはどうにかなりますよ!やりましたね、ラモラック卿!」
各々がそうねぎらいや驚きの声をあげる中、そうキャリスがラモラックに声をかけるが、ラモラックだけは眉間にしわを寄せ、アーサー王が倒れたと思われる場所を睨みつけていた。
瞬間、
「マスターあぶねえっ!!!」
ラモラックがキャリスを突き飛ばし、いつの間にか現れていた紅を基調とした大盾を構えた。
すると、大きな音ともに盾を構えていたはずのラモラックが奥の壁沿いまで吹き飛ばされた。
「ぐあぁっ!!」
「ら、ラモラック卿!!」
「まったくだ、あの程度火傷にもならん」
キャリスが立っていた場所に、なんとさっき倒していたはずのアーサー王が黒い聖剣を持って立っていたんだ……!!
突き飛ばされたキャリスは涙を流して、震えているのを見て俺は慌てて彼女に駆け寄り、マシュとキャスターが俺たちの前に立つ。
「ったく、まーだ生きてやがったか!『宝具』を打ったくせに、しぶといな!」
「かまえろ、その盾を私に見せてみるがいい」
ゆったりとしたアーサー王の歩みと同時に、ゆっくりと振り上げられた黒い聖剣には膨大な魔力が収束されていく。
マシュが一歩前に出て、盾を構える。
「魔力反応増大!藤丸先輩!キャリス先輩!所長!私の後ろに!!」
「嬢ちゃん!!」
「_______光を呑め、約束された勝利の剣」
アーサー王から放たれた光の濁流が俺達に襲いかかる。マシュが盾を構えて、その膨大な魔力を防いでいく。
怖い、怖い、怖い。
死ぬのは怖い、このまま終わりたくない。
そんな恐怖が俺の中に渦巻く。身体中が震えて、冷や汗がにじむ。
けれど、でも。
ーまだ、死にたくない……生きたい…!
気づいたら、俺は両手でマシュの手を重ねて盾を握っていた。
「先輩……!」
「あの攻撃を、防ぐぞマシュ!!!」
瞬間、俺の体の中に流れる『何か』が流れ、壮絶な痛みが身体中を走る。歯を食いしばってその痛みに耐える。
「仮想宝具、擬似展開!!!」
瞬間、眼前に展開された障壁が黒く染まった極光を防いでいく。
「ぁぁぁぁああああああッ!!!!」
マシュの叫びがこだまする。
数分が経ったような気がした。いや、そんなに経っていないのかもしれない。それでもあの光の濁流は消えない。
足元がふらつき、意識が朦朧としてくる。流れる『何か』が止められない。
身体が沈みかける。
けれど、それでもマシュの力になるんだ…!
「アーサー王、覚悟ぉ!!!」
その勇ましい声とともに、凄まじい風がなびき、何かが俺たちの前に通り過ぎていった。
瞬間、俺たちに襲いかかっていた濁流が途切れた。
「うおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
勇猛な叫び声とともに、濁流の中を駆けて行く『何か』が見えた。
俺は盾を構えなら前方を見た。
紅色の魔力を放ちながら重装備の鎧をまとった騎士が銀色に輝く馬鎧をまとった馬を走らせ、その手にある巨大なナイトランスを前に突き出して濁流を突き出していた!
「何!!?」
「え、あれって………」
「ああああああああああああああああっ!!!!!」
騎士は大声をあげながら、馬に乗って極光を突き進んでいく。アーサー王も驚いて、極光を消して迫り来る騎士の馬を斬ろうとした、が。
「遅えんだよ!!!」
振り下ろされる前に騎士はその巨大な槍でアーサー王の身体を貫いた。その衝撃で、バイザーが左目の部分だけ砕け、目を見開くアーサー王の表情が見えた。
_____________
「–−–−まだ生きていたか、『ラモラック』」
貫かれたアーサー王は騎士……ラモラックを睨みつけて、そう呟く。
騎士の兜をかぶったままのラモラックはしっかりとアーサー王を見据えて、言った。
「ああ、ようやく一本だ」
「己が執着に傾いた挙句、この有様……私を笑うか?サー・ラモラック」
「笑わねえよ。あんたは馬上戦で俺に勝った唯一の王だ。こうして一本取ったとはいえ、あんたは強い。キャスターの宝具を受けたままの傷がなかったら負けていたさ」
「………はっ」
すでに粒子化を始めているアーサー王はそう言うラモラックを鼻で笑い、何か耳に囁いた。
「___________」
「………っ!」
俺には何を言っていたか聞こえなかったけど、ラモラックが息を飲む声がした。
アーサー王は何か不敵に、しかしなぜか寂しげに微笑み、そのまま粒子となって消えていった。
アーサー王が女だって知った時のラモラックの心境
ラモラック「あれ、この人モルガンに似てね?っていうか女性だったの!?え、まじかよ!?・・・あ、でも強いから楽しませてくれるよな!!」
多分こんな感じで内心慌ててたけど、戦いたいという気持ちの方が優先的。つまり女性だと知ってもそんなのどーでもいいみたいな。
モデルとなってるキャラクターのイメージのせいか、ラモラックがやたらと短気になったクー・フーリンになってきている今日この頃。
補足すると槍で突撃していくラモラックは若干我を忘れています。多分激情でキレたためだと。地味に宝具を解放してますが、また後日。
『アーサー王伝説』では他の円卓の騎士の誰よりも騎馬戦では最強でしたが、トーナメントでアーサー王に負けたという話があるらしいので、多分ラモラックがアーサー王に向けている感情は『忠誠心』だけでなく、『負けたくない』というライバル心とか競争心のようなものがあったのかもしれないと私は(勝手に)思っています。
カムランの戦いの前に彼は死んでしまったので、円卓の崩壊に関しては多分無関心を装って、なんでそうなるんだよ!!と内心で激怒してるんじゃないかと思います。
はてさて、円卓好きの語りは置いといて、次回はいよいよあの男が登場です。他の二人とも合流していよいよ序章も終わりです。
次回もお楽しみに!