Fate/GrandOrder Quatre Inconnus de Magiciens   作:オレン・オラージュ

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ちょっと遅れちゃったけど、皆さんもうすぐハロウィンですね!とオレンです。
FGOは石を集めるのはいいんだけど、まーた次のピックアップで消費しちゃいそうだなぁ・・・と思いながら石のカケラだけで20連分貯めました。あとファイナルファンタジー始めました。テイルズとファイナルファンタジーのコラボ・・・案外合う、かも?個人的にはクラウドとノクトが好きです。リメイクはよ!!!



今回は例のあの人登場。ある人の小説だとフルボッコにしていましたけど、私も初プレイのときはやりたい気持ちが収まらなかったです。誰かロケランもってこい!!!


では、どうぞ!



人理焼却

 

 

 

 倒した。

 俺たちの敵だったアーサー王を、生きてたラモラック卿が倒した。

 

 その事実が俺の中に染み渡り、喜びを抑えきれなかった。

 

 「やった!!俺たち、勝ったよマシュ!!」

  「は、はい……やりましたね、マスター」

 

 思わずマシュの手を握って俺は飛び跳ねる。マシュも戸惑いながらも、戦いが終わったという緊張感の解放からか安堵の表情を浮かべた。

 

  「はい、やりましたね先輩」

  「ラモラック卿!!」

 

 しゃがみこんでいたキャリスもふらふらと立ち上がり、歩いてくる自分のサーヴァントのラモラックに駆けつけた。

 

  「わりぃマスター、心配かけたな!」

  「し、しししし・・・心配したんですよぉぉぉぉぉぉぉっ!!!うわあああああんっ!!!」

 

 戦いが終わったという安堵か、はたまたラモラックが無事だったからか、キャリスは大粒の涙を流して叫んだ。

 ラモラックはそれを見て、慌ててキャリスの涙を止めようとする。

 

  「わわわっ、マスター!!泣くんじゃねえよ、俺ここに生きてるだろ!?」

  「だ、だって、だってぇぇぇぇっ・・・」

  「ほんと、本当に悪かったから!!頼むから泣き止んでくれって!!」

 

 一方は泣いて、一方は泣きやませようと焦る2人の光景を見て、俺とマシュは顔を見合わせて笑いあう。

 所長はへたりこんだまま、深いため息をついた。

 

  「ああ、もう………のんきね、あなた達は」

 「所長、やりましたね!」

  「………ええ」

 

 所長が微笑んだあたりで、体が突然重くなって俺はしゃみこんだ。

 

 あれ、体が重い………というか、なんか疲労がさっきよりも溜まってる?

 

  「藤丸さん!?どうしたんですか!?」

 「い、いや、なんか安心したら身体の力が抜けちゃって……」

  「多分マシュが宝具を使った分、足りない魔力をマスターから供給されたのね」

 

 所長がやれやれといった感じで説明してくれた。ほーぐ?って何だ?って首を傾げていると、マシュが説明してくれた。

 

  「宝具というのは英霊達が持つ道具や概念が奇蹟として再現されたものです。いわばサーヴァントの切り札、と言いましょうか。先ほどのラモラック卿の槍や鎧もおそらく宝具の一種かと思われます」

  「ああ、『円卓の速き巨槍(メタルナイト・ラモラック)』のことだな」

 

 なるほど、つまりサーヴァントの必殺技みたいなものか!

 納得していると、所長が「そんなこともわからずに魔力を注いでいたのかしら……」と呆れた目でこっちを見て来て、思わず目をそらした。

 

  「でも真名なしの宝具は使いづらいでしょうね。呪文を考えないと………」

 

 所長が少し考え込んだ後、その言葉を口にした。

 

 

 

  「『ロード・カルデアス』なんてどうかしら?」

  「ロード・カルデアス………!」

 

 その名を聞いて、マシュが嬉しそうに顔をほころばせた。

 それを見てて俺たちもなんだか笑顔が浮かんだ。戦いが終わった、今はそれが安堵の元になっている。

 

 

 あとは聖杯を回収して、元の時代に帰るだけ______________、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「吐き気がするな」

 

 

 

 そう思っていた俺たちに、冷酷な一言が辺りに響いた。

 驚いて辺りを見回すと、そこには俺たちの知っている人物が立っていた。

時代遅れのシルクハットにタキシード、少し赤みがかかるぼさぼさの挑発、どこか遠くを見ているような細い目つき。

 作りもののような笑顔を浮かべた、

 

 「レフ、教授……?!」

 

 そう、金色の器を持ったカルデアの技術顧問が、そこに立っていたのだ。

 

  「レフ………ああ、レフ!レフ!!生きていたのね!!」

 

 所長が嬉しそうに駆け寄ろうとしたが、ラモラックが所長の腕を掴んで引き止めた。マシュやキャスターも俺たちの前に出て、武器をそれぞれ構える。

 キャスターは杖を教授に向けながら、言った。

 

  「てめえ、何者だ」

  「セイバーが退去した今、君の出番は終わりのはずだ」

 

 そう教授が言った瞬間、キャスターの体が徐々に透け始めた。

 

  「げっ、強制帰還!!?確かに聖杯戦争は終わったけどよぉ!!」

 「キャスター、体が!」

  「キャスターさん!!」

 

 俺とキャリスがキャスターに呼びかけると、キャスターはしょうがねえと言わんばかりにこっちに振り向く。

 

  「チッ、しょうがねえ。あとは任せるぜ、坊主、嬢ちゃん達。次があるんだったらその時はランサーとして呼べよな!」

 

 そういってキャスターは消えた。

 どうして消えるんだ?とかランサーとして呼んでくれってどういうことだ?とかいろいろ考えたが、ラモラックが「別れを惜しんでる暇はねえぞ!!」と俺たちに発破をかけた。

 

  「いや、まさか君達のような無能がここまでくるとはね。計画の想定外にして私の寛容さの許容外だ」

 

 以前会った時よりも冷酷な反応に、俺の背筋に嫌なものが走った気がした。教授の目があの友好的なものではなく、冷ややかな反応だったことに驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

  『レフだって?レフ教授がそこにいるのか!?』

 

 いつの間にか繋がっていたのだろうか、通信の向こうからドクターの声が聞こえた。

 そういえば、教授は爆発に巻き込まれて死んだってドクターが言ってた。それじゃあ何故、彼はここにいるんだ?

 

  「その声はロマ二か。君も生き残ってしまったのか。すぐに管制室にきて欲しいと言ったのに。君といい、時間通りにコフィンに入らなかったそこの無能といい、どいつもこいつも統率の取れていないクズばかりで吐き気が止まらないな」

 

 見開いた目から侮蔑の表情が伝わってくる。

 キャリスは恐怖からか「ひっ」と悲鳴をあげて涙を流しながら、俺の後ろに隠れ、俺はその彼女を守るように立つけど、怖気が全身を駆け巡る。

 あれは人じゃない。人の姿をしているが、何かが違う。そんな気がした。

 

  「れ、ふ……?」

 

 所長も今までの教授と様子が違うことに気がついたのか、ラモラックに掴まれたまま静止する。

 

  「ああ、予想外のことばかりで頭にくる。爆弾は君の足元に設置したのにまさか生きているなんて」

 

 その言葉を聞いて、皆の間に戦慄が走った。

 さらに教授の言葉が続く。

 

  「いや、生きているとは違うな。君の肉体はもう死んでいる。だが、トリスメギストスはご丁寧にも体を失った君の残留思念をここに転移させてしまったのだろう。適性のない君の肉体では転移できないはずだからね」

 

 絶望が鋭いナイフのように突きつけてくる。

 

 それじゃあ所長は最初っから死んでいた。今までは、幽霊みたいな存在だったということだ。

 

  「だがせっかくだ、面白いものを見せてあげよう。生涯をカルデアに捧げた君に、今のカルデアがどうなっているか見せてあげよう。

 

 偽りの笑みを顔に貼り付けたまま、教授が指を鳴らした。

 すると突然水晶体が彼の手元に現れ、同時に水晶の頭上の空間が歪み、何かの映像を映し出した。

 

  「嘘っ………!!?」

 

 それを見たキャリスが小さく悲鳴をあげる。俺も驚愕の表情を浮かべてそれを凝視した。

 

 『カルデアス』………巨大な地球儀、この先の未来を証明するはずだったという地球儀。

 それがこの世の終わりを示すかのように紅蓮の炎に焼かれている。

 

  「見た前、人類の生存を示す青色はどこにもない。あるのは燃え盛る赤色だけだ。これが君の引き起こした結果だよ!マリー!!」

 

 その言葉を突きつけられ、所長の顔に絶望の顔が浮かぶ。

 

 

 瞬間、不可視の力がいつの間にかラモラックから離れていた所長の体を突然宙に持ち上げた。

 

 「「所長!!?」」

  「しまった、おい!!」

 

 ラモラックが慌てて所長の手をつかもうとするが、あとわずかのところで届くことがない。

 

  「せっかく君のために空間を繋げてあげたんだ。”君の宝物”で死ぬといい。カルデアスは高密度の情報体。ブラックホールか太陽か……いずれにしろ、人が触れれば分子レベルで分解される。生きたまま無限に死に続けるだろう」

 

 

  「いや、いや………助けて、誰か助けて!!!まだ、私認められてない!どうして、どうしてこんなことばっかりなの!?誰も私のこと評価してくれてなかった!!私は、やだ、やめて、いや、いやっ……誰か、誰か………」

 

 

 泣き叫びながら吸い込まれていく所長に俺とキャリスは思わず手を伸ばした。しかし、カルデアスの引力の方が強いのか、俺たちの方からあっという間に離れていく。

 

 

  「いやああああああああああああああっ!!!!」

 

 

 そして所長がカルデアスに吸い込まれ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「るわけないじゃない!ヒーローは遅れて登場するって聞いたことあるでしょう?つまりはそういうことよ!」

 

 所長の腰に金色っぽい何かが巻きつき、どこかへ引っ張られる。

 教授が引っ張られて行く所長に向けて不可視の力を放とうとしたが、その瞬間右腕に何かが爆発した。

 

  「ぐあっ!」

 

 不意打ちだったのか避けれず、教授は聖杯を落とした。地面に落ちていく聖杯を誰かが飛んで、聖杯を掴み綺麗に着地した。

 

 

 

 

 

 そう、その2人を、俺たちは知っている………!

 

 

 

 

 

 「ガーレン!!シュミット!!」

  「ふふっ、間一髪ってところかしら?」

  「2人とも、大丈夫かい?」

 

 そう、ガーレンとシュミット。アーチャーとの戦いを勝って出た2人が、ようやく俺たちと合流したのだ!

 

  「ぶ、無事だったんですねガーレンさん、シュミットさん!!」

  「こっちもいるぜ、お前ら!」

 

 聞き慣れた声のする方を見ると、金色の鎖を腰に巻きつけたまま呆然としている所長を姫抱きにしているシャルルマーニュとふふんと誇らしげにしているモーガンが立っている。

 

  「私の妖精文字を甘く見ないでちょうだいな。これでも私、凄腕の魔術師でしてよ!」

  「いやあ、ひやひやしたぜ。モーガンがいきなり鎖を出すわ、マスターが炎を放った瞬間にガーレン様が飛び出すわ……って俺の見せ場なくね!!?」

  「君の見せ場は戦闘でしか輝かないからね!」

  「なんかそれ悲しくね!!?」

 

 この緊張感漂う空気の中でやいのやいのと会話する4人を見て、ちょっとだけ安心感が戻ってきた。

 しかし、それを許さないものがいる。

 

  「おのれ……見逃してやったというのに、まだいたか」

  「あえて隠れて様子を見ていて正解だったよ。隙あらば奇襲をかけて殺すつもりでいたけど、その前に所長を狙うなんてねー」

  「女性の涙を誘うなんて、最低な人ですわね」

  「いや、それ論点が違うと思いますよガーレンさん………;」

 

 口元は笑っているけども目は全く笑っていないシュミットとジト見で教授を睨みつけるガーレン。

 その2人の様子に所長もはあぁ……とため息をついた。なんというかまだ出会って間もないはずなのに、なんでかいつも通りなんだなーって思えてきてしまう。

 

  「まあいい、私の使命はすでに完遂している。これならば我が王もお怒りにはならないだろう。では、さらばだ諸君。私には次の仕事があるのでな。このまま時空の歪みに飲まれるがいい!」

 

 そのまま金色の粒子となって教授が消滅した。チッ、とかすかにシュミットが舌打ちする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「っ!!?な、何だ!?」

 

 突然地震が鳴り響き、瓦礫のような、それとも岩のような何かが降り注いで来た。

 

  『まずい!特異点の崩壊が始まった!!時空の歪みに飲み込まれるぞ!急いでレイシフトだ!!』

 

 遠くで焦るドクターの声がする。すると俺たちの体が光の粒子に包まれて行く。

 それを見たシュミットがおもむろに呟く。

 

  「強制送還だ。おそらく僕たちはすぐにカルデアへ戻ることになるだろう。……おそらくサーヴァントたちも一緒に、けど所長は………」

 

 そう言って俯いたままの所長を見る。ガーレンはきつく唇を結び、キャリスは嗚咽を出しながら涙をこれ以上こぼさないよう必死にこらえている。俺は泣くこともできず、ただただじっと手を握りしめる。

 すると所長はシャルルの腕から降り、そのまま4人の前に立った。その表情は、やはりというかどこか暗い。

 

  「………ここまでのようね。レフに何か仕返しの1つや2つしておきたかったけど、このままじゃどうにもならないわね」

 「所長………」

 

 所長は首を横に振って、次顔を上げた時には行く前に見たキリッとした真剣な顔になっていた。その目にはこぼさないようにと涙をこらえている。

 

  「ロマニ・アーキマン!あなたに私の後任としてカルデアの全権を任せます!スタッフ全員聞きなさい!!我々の希望、人類最後のマスターたちを全力でサポートすること!決して逃げることも負けることも死ぬことも許しません。誰1人かけることなく世界を救いなさい!!」

 

 その言葉に、俺たちは神妙な面持ちで頷いた。キャリスも流し続けている涙を手でぬぐい、うんうんと何度も頷いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………ただ1人をのぞいて。

 

  「あら、生きることを諦めるのかしら?」

 

 先ほどから笑みを絶やさない、それどころかその笑みを意味深に浮かべる妖女がここにいた。ラモラックがそれを見て、キッとその妖女を睨みつける。

 

  「モーガン、何のつもりだ?」

  「えぇーっ、私は哀れな女の子に聞いてるだけよー?」

  「あんたのその顔じゃ何を企んでるかよくわかんないんだけど、すっごい不安だぞ?」

 

 シャルルからも怪しげな視線を向けられるが、その笑顔はますます怪しくなって来るばかり。

 

 

 

 

 その真意を問おうとして口を開いたところで、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 「ふふふふふふふふっ…………」

   「あ、あなた、何を企んでいるの……?」

 

 マスターや他の皆さんが先に帰ったのを見届けて、私はそのままの笑顔を所長に向けた。所長はびくり、と肩を揺らした。

 それを見て、私はクスクスと笑い声をあげた。

 

 「イタズラ」

  「い、いたずら?」

 「ええ。それはもう、とびっきり面白い『イタズラ』よ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーそもそも私の原点を妖精であることを、お忘れなく。

 

 

 





さて、モーガンは一体何を企んでいるでしょうか?(白々しい)

アーサー王を倒してひと安心。うちの立香君はまだゲーム感覚なところが残ってるので、もう少し勝ったことを喜んでもいいんじゃないかと思った結果。あとキャリスは今回で泣き虫確定です。まあ普通だったら泣いちゃうよね、自分のサーヴァントが生きていたりとか。

原作では戦いの前から多分宝具の説明はされていたけど、今回はされてなかったのでここで説明を。もう少し込み入った説明は立香の勉強会という形でやっていこうかなぁと考えています。私自身把握しきれていない部分もあるのでそれも兼ねて。


ラモラックは多分レフの怪しさに気づいてもおかしくないよなーって思って所長を引き止めました。ドクターが空気なのは単純に存在を忘れていたからなんだ・・・すまない。
あとちゃっかりガーレンとシュミットは聖杯を奪い取っています。目的は果たしましたがどちらかというと所長について衝撃的だったんです。多分皆忘れてる。

シリアスブレイカーことモーガン。はてさて、彼女は一体何を企んでいるのやら・・・。



次回は序章の最終話、その後のお話になります。幕間として先ほど言った勉強会などをやろうとしています。
それで第1章ですが・・・すみません、第1章から第3章は原作とは違う形で練り直そうか考え中です。まあどちらにせよ来年の話になりますが。フランス関係ならシャルル君必須だよなーとか海賊ならあのカリブの海賊出してもいいかなーとかいろいろと考えています。



では、また次回!


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