Fate/GrandOrder Quatre Inconnus de Magiciens   作:オレン・オラージュ

20 / 23
みなさんどうも、マスター勢はインドを進めていますか?とオレンです。
2日かけてインドを疾走した感想は、インド勢すげえでした。カルナとラーマすげえ、あの赤いアーチャーすげえ、大いなる石像神すげえ!!とか思いながら進めてました。特に後半は王道展開とは言え涙必須でしたね!
なおガチャ結果はピックアップ2に出て来るであろうキャスターのことを踏まえてラクシュミーを引くにとどめました。お医者さんだー!

今回は黒ジャンヌとの初のご対面。なかなか先へ進めなくてこっちがじれったくなってます。

では、どうぞ!


黒のジャンヌ

 

 

 「っ……!お疲れ様です、セイバー」

  「お、おうっ……!!思った以上に、体にくるな・・・・!!」

  「まったく、重労働をするなとあれほど言ったはずだが、なんだその無様な姿は!」

  「うるせえっ!!これがかっこいいんだろ!?街の人を守ったんだぜ!?」

 

 ワイバーンとドラゴンの群れに攻撃を与えたまではよかった。だが、こちらもかなりの魔力を使ったらしい。僕もセイバーも膝をついてしまう。

 それでも、ワイバーンたちの何体かは墜落させることができたようだ。これで避難もある程度用意に進むことだろう。

 

 ドラゴンとワイバーンはどうやらこちらへ向かってきているらしい。だが、先ほどの派手な攻撃でおそらく、彼らには見えていただろう。だから援軍は直に来るだろう。

 

 とはいえ、戦闘向きのサーヴァントのセイバーは大幅に魔力を消費してしまった。しばらくは戦えない。キャスターも少し疲れている様子だし……どうしたものか。

 

 「ひとまずここにいては敵のいい的になります。街の中へ移動しましょう」

  「いや、そんな悠長なことを言ってる場合じゃねえなマスター!!」

 

 

 

 瞬間、複数の巨大な魔力の接近を感じてすぐにガントの構えをとってセイバーと背中合わせになった。

 

 僕とセイバー、キャスターを挟み込むように何かが飛来してきた。それはワイバーンの群れでも、魔術の秘術として伝えられてきたホムンクルスとも違う、人の形を持った………、

 

 

 

 「サーヴァント…………!!」

  「俺たち以外にもサーヴァントを召喚した奴がいるのか!?」

 

 そう、僕たちを挟み込んでいたのは計5体のサーヴァント達。そのうち2体僕と向き合っている。

 どこかの貴婦人のような姿をし、レイピアを手にした女性(?)のサーヴァントと巨大な十字架を手にした気品溢れる女性だ。

 ……前者が?マークなのは、どこか顔立ちが男にも似ているからだ。男性で、女性にも見えるサーヴァント、どこかで………?しかも、心なしか何か様子がおかしく感じる。

 

 「セイバー、持ちこたえられますか?」

  「2対5はきちぃかなぁ。お相手さん、かなり強そうだぜ?」

  「残念だが俺は戦力に数えるなよ」

  「えぇーっ!!」

 

 軽口を叩ける程度には二人とも元気らしい。いいことだけど、それで状況が良くなるわけじゃない。

 さっきので令呪を2回使ってしまった。カルデアの特殊仕様で1日で1画回復するとはいえ、いざという時の緊急離脱は難しいところだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その考えに追い打ちをかけるように、冷酷な女性の声が聞こえてきた。

 

  「まさかこんなことが起こるとは思わなかったわ。なんてちっぽけで、哀れなのかしら」

 

 前にいる二人のサーヴァントの後ろから、冷酷な笑みを浮かべた女性が立っていた。黒い衣装を纏い、旗を持って邪悪な笑みを浮かべている。

 

 背筋にピリリと何かが走るような気がした。あれが、おそらく立香達の言っていた………、

 

 「あなたが、もう一人ジャンヌ・ダルクですか」

  「なんだって!?」

  「あら何、もう他の私にあってるわけ?なーんだ、つまんないの」

 

 肯定した。おそらく、彼女の魔力からしてサーヴァントなんだろう。

 通信機から切羽詰まったような所長の声が聞こえる。

 

  『聞こえるシュミット!!?急いで逃げなさい!!これだけの敵性体、しかもサーヴァント5人を相手に戦うのは無理があるわ!こんなところで終わるわけにはいかない、すぐに撤退よ!!』

 「この戦力差でむしろ逃げられるかの問題ですよ?」

  『冷静に判断するな!!』

  「強がりですか?そんなちっぽけな脳で何か考えられるんですか?」

 

 安い挑発だ。乗らないに限る。現に僕にはちゃんと策がある。ガーレンもそのつもりで、『彼』を送ってきたはずだ。

 

 さて、あとは時間をどう稼ごうか思案しているとセイバーが僕の前に出た。その顔は彼らしからぬ怒りに満ちていた。

 

  「あんたがジャンヌ・ダルクだって?なんでフランスを襲ってんだあんたは!!」

  「はんっ、この国に救う価値なんてあると思ってる方がおかしいわ。あなたこそ何?こんな国に救いがあると思って?あははっ、馬鹿馬鹿しい!」

  「なんだと………!!あんたはフランスを救うために立ち上がった、聖女じゃなかったのか!!?」

 

 そうセイバーが叫ぶと、黒いジャンヌは笑顔を消し、憎しみと怒りをあらわにした。瞬間、強大な魔力の圧力が僕たちを襲う。

 

  「黙りなさい、あなたに私の憎しみの何がわかるのよ。何が聖女だ、何が救世主だ?フランスを救おうとした聖女を殺した国を、救えって!!?馬鹿馬鹿しい!!むしろ今ここで、ドラゴンの餌食にしてくれるわ!!」

 「っ………!」

  「じょうっだんだろ……!」

 

 絶句したような表情を浮かべるセイバーだが、ここで意気消沈している場合じゃない。

 僕は圧に屈しそうになるのを我慢しながら、ニヤリと笑みを浮かべる。黒いジャンヌはそれを見て眉をひそめた。

 

  「……何、その顔」

 「残念ですが、おしゃべりもここまでのようです」

  「それは、どういう」

 「セイバー!キャスターを担いで飛び降ります!!」

  「!」

 

 

 すぐに外壁の外側に向かって走った。すぐにどこからか弾幕が放たれたものの、セイバーが全て撃ち落としキャスターを担いで僕とともに10mとはあるであろう外壁から飛び降りた。

 

  「な、血迷ったのですか!?」

  「逃すか!」

 

 後ろから槍が大量に降ってきたものの、それらは遠くから飛んできた一筋の巨大な矢によって全て防がれた。

 

 瞬間、僕の体がガシリっ、と担がれ、そのまま浮く感覚があった。

 

  「あんたら大概無茶するねぇ」

 「当然です。すでにドラゴンが来ていることにカルデアは気づいていましたから、すぐに援軍でも向かわせたのでしょう。ガーレンなら放っておくことはできないでしょうから、すぐに敏捷の高いサーヴァントを向かわせる。僕らはあなたが見える位置でドラゴンとワイバーンの群れを足止めし、あなたたちに位置を気づかせて、降りたタイミングで回収してもらう。ね、計算通りでしょう?『ライダー』」

 

 僕を担いでいるライダー、ラモラック卿ににこりと微笑んで見せると、「あんた本当にたくましいマスターだぜ」と肩をすくめられた。

 

 そのまま地面に着地すると、セイバーも同じように無事に着地したみたいだ。キャスターが泡を吹いているみたいだが気にしないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、どうやら向こうも逃がしてくれるつもりはないらしい。そのまま同じように外壁を飛び降りて僕たちを追って来ている。

 

 「ライダー、他の皆は?」

  「もう来てるっての!!」

 

 そう言うが否や、複数の炎が走る僕らの横を通り抜けて後ろに向かっていった。前を見ると何人かの人影がある。かなり遠いがライダーはともかく、セイバーのスピードではすぐに追いつくだろう。

 

  「! マスター後ろから来てる!!」

 「!」

 

 担がれたまま後ろを振り向くと、確かに緑色の服を着た女性のサーヴァント………弓を持っているからアーチャーだろうか?彼女がある程度のところで止まると弓を空に向かって引きしぼり、光の矢を放った。放たれた無数の矢の雨がこっちへ降ってきた。

 

 「っ!セイバー避けなさい!!」

  「いや無理があるだろうってマスター!?」

  「いよいよ本気だな!」

 

 軽口を叩くことはできるものの、これでは当たるかもしれない。防御だけでも、と口で詠唱を唱えようとすると、

 

 

 

 

ーーボォォォォォォォォォォォォォォォォッ

  「「!!?」」

 

 途端、僕らの頭上を世にも珍しい青色の炎が覆った。その炎は矢の雨を全て焼き尽くしていく。

 

 そして、僕らの耳に聞こえてきたのは気品のある、元気な声。

 

  「フランス万歳(ヴィヴ・ラ・フラーンス)!!!!」

 

 矢の雨のなくなった空の上を、ガラスで作られたのであろうガラスの馬車が駆けていく。そこから、透き通るような歌声が聞こえてきた。

 

 「これは、歌……?」

 

 ふと後ろのサーヴァントを見ると、動きが止まっているのが見える。もしかして、歌声が発する魔術の強制力だろうか。

 ただ、これはちょうどいい。

 

 「セイバー!最後の辛抱です!!全力で駆けなさい!!」

  「おうよー!!!」

 「ラモラック卿!頼みますよ!!」

  「わかってるっての!!」

 

 

 

 

 僕らはそうして謎の援軍とともにリヨンから離脱したのであった。

 

___________________________________

 

 

 

 あの後シュミットたちと無事合流して、ジュラの森の中まで逃げ込んだ。

 途中謎のガラスの馬車の主人とも合流し、互いに無事を喜び合った。あらかじめ霊脈も見つけておいたので、これでカルデアからの補給が受けられるようになった。

 

 ガーレンとキャスニキ、モーガンが魔獣や悪霊を追い払う結界を構築し、どうにか安全な場所は確保できた。今日はここでキャンプをすることになる。

 

 

 

 

 ……で、肝心のシュミットはというと、

 

  「………………あの、ガーレン?なんでそこまで怒る必要が」

  「ありますわよね?何故いつも無茶を計算に入れるのかしら?」

  「いやこっちもサーヴァント6体は予想外だったんだけどナー」

  「ここは特異点ですのよ!?一歩間違えてたら死ぬところでしたわ!!しかもなんですのあの矢の雨は!?串刺しにでもなるおつもりですか!?」

 

 ガーレンからお説教を受けているところだった。二人分の宝具を発動した上に複数のサーヴァントと相対していたということで、ガーレンからお叱りをしているというところだ。

 

 「でも、シュミットのことだから計算づくかと思ってた」

  「あれ、立香さんご存知ありませんか?」

 「え?」

  「シュミットさんって時計塔でも無茶をしての計算も入れるって聞いたことがあります。……おそらく今回もガーレンさんが、ラモラック卿が来ることも見通して、です」

 「あー……」

 

 キャリスの言葉になんとなーくだけど納得してしまった。つまるところあれだ、付き合いが長いからこそ相手の思考も読めて、ここまで計算を建てられるってところだろうか。

 

 ……案外魔術師の友人っていうのは甘く見ない方がいいかもしれない。俺の直感だけど。

 

  「おぉー!!本当にあなたがあのマリー・アントワネット王妃か!!?すっげえっ本物だ!!サインくれ!」

  「あら、初めましてミスター・シャルルマーニュ!あなたの伝説は聞いていましてよ!」

  「へえ、君がかの皇帝の。若い姿で召喚されるものなんだね」

 

 

 

 そうそう、俺たちが会ったガラスの馬車の主人についてだ。

 ガラスの馬車の主はフランスの王妃マリー・アントワネット。他にアマデウスとエリザベート、そして清姫というサーヴァントたちだった。

 マリー・アントワネットって言えば、あの有名な『パンがなければお菓子を食べればいいじゃない』とか問題発言をしていた人だったっけ。アマデウスはモーツァルトという、偉大な音楽家。エリザベートは……確か、アイアンメイデン?の開発者だったかな。清姫はわからないけど、日本の伝説の登場人物らしい。(マシュから聞いた)

 

 

 

 

 ………前者はともかく、後者がかなり怖いのはなんでだろう。

 

 

 

 

 

 それから、アマデウスの話によるとどうやら彼らにはマスターがいないらしい。と、いうのもすでに黒いジャンヌが聖杯を持っている。聖杯戦争において聖杯を手にするのは最後の勝者だけなので、その矛盾を解消するために聖杯自身が彼らを読んだのだと思われるらしい。……簡単に説明すると、フランスの滅亡を企む彼らに対抗するためにマリーたちが召喚されたとか。

 

  「だが、相手はかなり強いと見ていいだろうな。数的な戦力でなら勝っているかもしれんが、こいつらの半数は音楽家や王族といった戦いに無縁な奴らだ。向こうは圧倒的な戦闘向きのサーヴァントと見ていいだろう」

  「うーん、見た感じだと一人はアーチャーなんでしょうね。あの矢の使い手はエミヤ君より優っているわ」

  「はっきり言わないでくれ、モーガン」

 

 キャスニキ、モーガン、エミヤの後にアルトリア・リリィがしかも、と言葉を続けた。

 

  「向こうはあのでっかいドラゴンがいます!他のワイバーンとは違う、とても強い感じです」

  「問題はそこですわね。ワイバーンの数はともかく、遠くからでもあのドラゴンはただならぬ圧力を感じましたわ。せめて、それを打開する策を考えなければ、キリがありません。シャルルマーニュが防いでくれたとは言え、そうなんども防げるわけがありませんし」

 

 説教が終わったのかガーレンが話に入ってきた。確かにあれだけすごい宝具を撃ってもドラゴンは倒れなかった。っていうか本当にドラゴンなんているんだなぁ、と感心してしまった。

 

 もしかしたらドラゴンを倒せるサーヴァントが召喚されているかもしれない、とマリーの言葉に頷き、明日からも情報収集はしようという方針をまとめたところで今日は解散となった。

 サーヴァントと違ってマスターである自分たちは休息を取る必要がある。特に今回の先頭で無茶をしたシュミットやそのサーヴァントたちは十分に休む必要があった。

 

 マシュはジャンヌやモーガンといった女性陣の話に加わっており、マリーの高い声が森の中に響いていた。

 

 

 どうやら彼女たちはいい友達になれそうだ、と少しホッとすると同時に、シュミットの疲れた表情を思い出して足がすくんだ。

 

 

 ………もし、あそこにシュミットがいなかったら、今頃リヨンの街は、人々はどうなったんだろうか。

 

 

 そう考えると、背筋が急に寒くなってゾッとした。もしかしたら思っている以上に、大変なことになっていたんじゃないか。そう考えるとシュミットや他の人が無事で安心したと同時に、きっとシュミットやガーレンの魔術師の機転があったからこそ切り抜けられたんだなぁと感心してしまった。

 

 

 

 俺もできること、探して見ないと。

 

 

 




敵側になぜかもう一人サーヴァントがいるような気もしますが、気にしないでください。彼女ぐらいしか追えないと思った結果です。

実際シャルルマーニュが黒いジャンヌや他のフランス勢に会った時ってこんな感じのような気がする。特に黒いジャンヌには驚くんじゃないかなぁ。マリーやモーツァルトには喜び半分、印象違いすぎて驚き半分だと思ってます。
なお飛んできた青色の炎はきよひーのものです。

以前感想欄でシュミットはかなり無茶をする人?って聞かれましたが、彼は無茶をしての計算づくですからなお質が悪いです。多分立香と気が合う部分があるんじゃないかと思っています。付き合いが長いからこそ相手の思考がわかってしまう、付き合いが長いって時に恐ろしい。


相変わらずの投稿はスローペースであまり見所がないと自分でも思ってますが、今後も続けていきたいと思っているのでよろしくお願いします!

では、次回もお楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。