思い立ったら吉日と昔の人は良い事を言った。けれども都合よく現場に着くわけもなく。
植物モンスター『ぷにっと萌え』は前に数歩、後ろに数歩歩きつつ思案に暮れる。
創作モノならば一気に場面転化するところなのに都合よく事が進まないのはもどかしい。
だからいってポンポンと場面が頻繁に切り替わっては自分の居場所をすぐに見失う。
「何事も地道に移動するのが安全策なんだよな」
便利な魔法ばかりに頼ると急に
足腰を今更鍛えられるとは思えないが、無心に歩くのも精神的には健康になれるかもしれない。
◆
『アインズ・ウール・ゴウン魔導国』は地下にあり、地上は『旧エ・ランテル』という大都市が名目上自国扱いとなっている。
アンデッドが徘徊する墳墓だから観光客を呼び難い、という部分は少なからず気になっている。
そもそも『ナザリック地下大墳墓』は
徒歩だけで『バハルス帝国』に行けなくはないが結構な時間がかかる。もちろん空を飛んだり、転移しない場合だ。
「専門機関が偏っていると向かうのも一苦労だ」
文明レベルの問題をどうこう言っても仕方が無い。
ここには便利な科学技術は無いのだから。
思索に耽りながら墳墓の周りを三周ほどする。
地上に露出している施設は古びた霊廟と倉庫のようなものがいくつかあるだけ。周りはほぼ草原だ。
地図で見ても村や都市から意外と離れた場所にあり、滅多に人が通らない。
ここはそれほど寂れているとも言える。
(こういう時はハムスターに頼るか)
「〈
事前に繋がりを作っておいた相手に魔法を使う。
この魔法は無闇に人と話せたりはしない。
ただ、使用すると奇妙な効果音が鳴るのが謎である。
『むっ? 拙者に何者かの言葉が届いたでござる』
「ぷにちゃんだよっ」
声色を変えて軽くお茶目を演出してみた。
『?』
「……ハムスケ、地上に来られる?」
自分はなんてバカなことしているんだろうと自己嫌悪に陥ったので、すぐに元の調子に戻す。
『おお、殿のご友人の……、
音声は明瞭。
相手は比較的近くに居る――という証拠かは自信が無い。
限界距離についてはまだ未検証なので音声を何処まで伸ばせるのか本当は調べておく必要があった。
通話先に居るのは二メートルほどの大きさがある『ジャイアントハムスター』というモンスターの『ハムスケ』だ。――ちなみに
現地特有の生き物で既に二百年近く生きているとか。
尻尾は蛇のように
モンスターの器官を自分の肉体に接続する
どういう人生や経緯があったのかはあまり覚えていないようだ。興味が無かったのかもしれない。
『ユグドラシル』には無い技術でとても興味深い。
「お、お待たせしたでござる」
第六階層から自力で登ると結構な時間がかかるものだ。
◆
ナザリック地下大墳墓は十の階層構造を持つ。
一つ一つは数キロメートルもの広さがある空間で、序盤の階層は迷宮状になっている。
案内地図が無いのでハムスケは第一から第三階層辺りで大抵は迷子になる。今回はちゃんと案内でも受けたのか一時間もかかっていない。
『至高の四十一人』からの招集なのでシモベ達が気を利かせたのかもしれない。
「早速だが私を乗せてバハルス帝国まで連れて行ってくれないか?」
「帝国でござるか? それは構わないでござるが……。殿達に連絡する時間を頂きたいでござる」
現在ハムスケの飼い主はぷにっと萌え達のボスともいうべき存在『アインズ・ウール・ゴウン魔導王』だ。彼に何も連絡しないでいると後々お叱りを受けてしまう。もちろん自分諸共に。
ハムスケの言葉に快くぷにっと萌えは頷きで応える。
――戦士でありながら――いくつかの魔法を扱えるので『
――『プレイヤー』たるぷにっと萌えは気にしないのだが――自分達が所有するアイテムを第三者が勝手に使う事はとても畏れ多いと感じている。それ故に気軽に手渡したアイテムでも驚かれてしまう。
(私が持っていようとシモベが持っていようと同じアイテムなんだけどな)
重要なのは
これが現地の住民の所有アイテムなら小言は無い。
◆
連絡を終えて遠出の許可が出たハムスケに早速飛び乗る植物モンスター。
行く先はバハルス帝国。
直線距離で四日ほどかかる。もちろん、ハムスケの速力で。
地図の縮尺はかなり適当なので実際の距離は結構長い。
(休憩なしでも二日半ほどか)
「急かさないからゆっくり進んでいいからね」
「了解したでござる」
のんびり進むと一週間くらいかかる。
ナザリックを出てすぐ到着できるのは旧エ・ランテル。
そこから平野と川や山を越えて帝国領に入る。
長大な国境壁で隔たれているわけではないので通る事自体は容易である。そもそも国境で
おそらくモンスターの脅威の方が高いからだと思われる。
(そもそも未開拓地が多いのに領土拡張とか、どうしてするのか……)
財政的に困っているとか農作物が不作とかならまだ理解出来る。
単なる軍事国家だから、という理由では流石に他者を納得させる材料にはなり得ない。
それとも自国での支持率向上が目的で民衆を扇動しているとか。
(争いの火種は色々と考えられるけれど……。政治的な戦いを積極的にしてほしいところだ)
二国間協議とか。
宣戦布告でしか相手と触れ合えない風潮でもあるのか。
それはそれでファンタジー世界っぽいけれど。
◆
色々と考えつつ二日後に最初の大都市に到着し、ハムスケを休ませる。
疲労無効のアイテムが
異形種であるぷにっと萌えは帝国では顔合わせは済んでいるので偽装する必要は無い。それと植物モンスターという事もあり――市民達に驚かれはしても――怖がられる事は今は無くなった。
最初は物珍しさが先行して色々と混乱した事があったが、すぐに沈静化した。
「……騎乗動物扱いしていたが……」
(ハムスケはどこで寝かせたらいいんだ?)
今までは森の中で寝泊りしていたので馬小屋で眠るのは気にならないかもしれない。けれどもぷにっと萌えは申し訳ない気持ちになる。
知性あるモンスターなので。
単なる家畜なら気にしなかった。
「
唐突にハムスケが言った。
気を利かせたつもりなのか――唐突に思い出したのかは分からないが――質問を投げかけられたら応えないわけにはいかない。
知識欲がある者は大歓迎だ。
他の者の目があるので講釈し易い場所に移動する。――と言っても馬小屋の近くにしか適当な場所はなかった。
側にロープで繋がれている馬を眺めつつぷにっと萌えはハムスケに説明する。
◆
そもそも魔法はモンスターを攻撃するものばかりではない。――少なくとも『ユグドラシル』に実装されていた魔法は実に多彩だ――それは転移後の世界にも応用が利く。
名称はほぼ同じ。しかし、効能は自分達が知りえている知識と違うものがあるようだ。
例えば持続時間であったり、触媒などの物質要素の変質。費やされる経験値といったものだ。
もちろん、この世界独自の魔法も存在していた。
代表的なところでは『
「ハムスケ君。結論から言えばそんな魔法は無い。魔法のアイテムならば存在すると答えておくよ」
「魔法ではなかったのでござるか!?」
膨大な数の魔法の中に一つくらいはありそうだと思われても仕方がない。
少なくともぷにっと萌えの持つ知識では『存在しない』としか言えない。
探せばあるのか、と聞かれれば首を傾げるところだ。
実際に噂などで『
「魔法以外にも
「馬を生み出す魔法はどうでござるか?」
「それは……、いくつか知っている。そもそも乗騎動物を生み出す魔法だから時間経過などで消えていく。自然界では生きていけないタイプが多い」
物は試し――と言いたい所だがぷにっと萌えにも出来ない事はたくさんある。
自分が取得していない魔法とか。
知識はあっても都合よく魔法が使えないのは少し残念に思う。けれどもそれがプレイヤーとしては当たり前の事だ。
全ての魔法を持つなどシステム的に――というかゲームのルールに反するのではないのか、と。
だが、条件次第では全ての魔法を扱うことは不可能ではない。
しかし、人々は知らない。と、胸の内で力強くぷにっと萌えは叫ぶ。
その『チート』すら魔法リストに記載されていることを。
第十位階に『
大抵の不条理は実は大した事がないのではないかと考えている。
ちなみに第二位階という低レベルの『
上位に『
殆ど使わない魔法なので使い方は急には浮かばなかった。大量のモンスターに襲われた時用かな、と。
◆
馬に関連する魔法は召喚物と一緒だが結構ある。
初期で覚えるとすれば『
「普通の馬を召喚する。もちろん手綱や鞍もセットで」
「馬だけの召喚ではないのでござるね」
何の為にそんな魔法があるのかを突き詰めても答えが出そうにない。というか、誰が考えたのか知りたいようで、知るのが怖い気もする。
思考を戻し、一つ上の魔法『
これは最大で
「続いて『
この魔法は術者の技量で馬がパワーアップしていく特性がある。
「その一つ上には『
これは複数の軍馬で牽引する馬車を召喚する。
「使い道は一々説明できないが……。平和な街には無縁な過剰戦力だ」
「拙者は使い道までは聞きたいとは……。とても興味深い話ではござるが、単なる興味で結構でござるよ」
「空気の読めるハムスケはいい子だな。君を物騒な現場に放り込みはしないが、勤勉な生徒は大好きだ」
書き留める紙が無いのが残念な点だが仕方がない。
――使用には限界があるが――説明には自分の知識が許す限り可能となっている。
◆
折角なので――と言いつつぷにっと萌えは『
現地の文字は既に解読済みなのでハムスケにも支障なく読み聞かせる事が可能となっていた。
「『
瓶に煙を封じ込め、魔法を唱えると煙で出来た馬のクリーチャーが現れる。もちろん、騎乗する為の召喚魔法だ。
「類似の魔法に『
違いあるとすれば『
取得している
「次は『
「……色々とあるのでござるね。これらは混乱したりは……するのでござろうか?」
「自分で覚えたもの以外は流石に考えられないよ。一々細かい魔法より一気に全部盛りでいい、とか最小限がいいとか、色々と要望はあるだろうさ」
ぷにっと萌えも細かい魔法をすべて網羅したいとは思わない。
コレクショク出来るのであれば持っているだけで満足できる。
「位階などの説明は省いているがまだ低レベル帯だ。たかが乗騎動物の召喚に高い位階魔法は勿体ない」
戦闘用はもちろん高い位階の方がいいに決まっている。それと書いていて本当に多彩な魔法に改めてびっくりする。
◆
召喚物はだいたい説明したので次は騎乗に関するものだ。
黒板に『
「これは動物に魔法をかけるものだ。馬の代わりにする魔法と言った方が分かり易いかな。効果が切れれば元の感覚を取り戻す」
ハムスケにかければ他の軍馬達と同じような行動を取れるようになる。
「回復に『
魔法の中には特定の条件下でしか使えないものがある。
水の中とか空中に居る時だとか。
他には特定の種族専用という魔法もある。
「『
「……拙者に魔法をかけると殿を振り落とすようになると?」
恐る恐る言うとぷにっと萌えは頷いた。
この魔法は馬にかける。――馬以外でも――乗騎動物なら大抵はオーケーかと思われる。
魔法を受けると騎乗されることを嫌がるようになる。
位階は最底辺なので魔法を嗜むハムスケなら
「『
今は専用の鞍があるのだが、戦闘に際しては邪魔になるはずだ。
とはいえ、都合よくそういう魔法を使う機会が無いので、強引に乗ってしまえば意味が無くなる。
続いて『
『
『
どれだけ馬好きなんだよ、と言われるかもしれない。
こんな魔法をゲームで駆使する場合は何が考えられるのか。というよりはここまで豊富に取得する意味があるのか疑問だ。
後は『
最後に騎乗する上で無くてはならない操縦者の存在を思い出す。
黒板に『
◆
サモンとコールは共に召喚魔法だが違いは以下の通りだ。
コールによって呼ばれたクリーチャーは殺されれば本当の意味で死ぬ。
サモンは殺されるとその場から消えて元の世界に送り返される。姿を取り戻す為に一日一杯は再召喚出来ない。
ついでに『騎乗』と『乗騎』の違いは前者が上に乗る者。後者が下になる動物のこと。
「おっとと、興が乗って話込んでしまったな。こんなところでは資料も揃えられないから言える範囲は限られている。今日はゆっくりと休んでくれ」
「難しい話でござったが、魔法とは奥が深いのでござるな」
――ハムスケの場合は魅了とか洗脳系が理解され易いと思いつつ――ぷにっと萌えは宿屋に入っていった。
生徒に教えるにしても充分な資料を揃えなければ数個の魔法でやる事がなくなってしまう。
そんな事を考えつつ自室で精神統一に入る。もちろん、外部からの探知が無いか調べてから。
◆
次の日に移り変わり――ハムスケにしっかりと食事を取らせた後――すぐには出発せず軽い運動をさせた。
適度に運動させて心身ともに健康になってもらいたいという
準備体操などをしておかないと途中で具合が悪くなるかもしれない。
魔法で何でも解決するのは健康面で不安が残るので。
(急ぐ用事は無いし。ここからなら私一人で行くこともありかな)
そんな事を言えば足元の『
このまま帝都に向かってすんなりと魔法学院に入れるかと聞かれれば難しいかもしれない。
事前連絡していないので。
急な来訪は混乱の元だ。まずは手続きから始めなければならない。
◆
しっかり三十分間運動した後で帝都『アーウィンタール』に向けて出発する。
道中には雑魚とはいえモンスターが出てくる可能性がある。とりあえず、シモベ連中には見張りだけを命令しておく。
――何かの実験に使うかもしれないので。
(帰りは転移でいいか)
何日か滞在する気でいるので。最後までハムスケを付き合わせる気は無かった。
のんびりと風景を楽しむのもまた旅の楽しみでもあった。
風景を一瞬で替える転移は実に味気ない。けれども面倒だと感じれば使ってしまう。
これが元々の世界であれば何をするにも人力だ。――機械文明があるとしても。
「………」
しばし風景を眺めつつ魔法のことも考える。
移動している間、乗騎動物と一体化する魔法がある。
実際には魂となり動物に乗り移り、本体はしっかりと動物に掴まったままになるという。
他には非実体の召喚魔法とか。
細かい『フレーバーテキスト』までは覚えていないが多彩過ぎるからこそ戦略の幅が膨大になる。
魔法以外にも
とにかく魔法とは誰がどのような意図を持って作り上げたのか。
(でも膨大だからこそ面白い)
ゲームには越えられない壁がある。だが、この世界にはその壁が無い。――たぶん無い。
誰かに作り上げられたシステムには限界があり、遊ぶプレイヤーがどう頑張っても抗えない現実がある。
実装されていない方法を実現できない『仕様』の壁。
それを突破する事は基本的にできない。――仮に出来てしまうとゲーム的に何らかの障害が生まれる。
その為にたくさんのルールが設けられ、安全に楽しくプレイヤー達は遊べるのだ。
そんなゲームから解放された世界に自分たちが居るわけだが。
ゲームシステムを許容する異世界。それがいつまでも維持できるわけがない。
だが、少なくとも600年以上維持されてきた。
それはつまり自分達が想像しているよりも世界が強固である証拠とは言えないか。
そんなバカな事があってたまるか。
そう叫びたいところだが現実に今も存在し続けている。
結果がここにあるのだから否定しようがない。
今日明日にでも世界が崩壊する、というようなテンプレート的な悲劇は起きる気配を見せていない。
確かに明日急に世界が滅びない証拠は何処にも無いわけだが。
考えすぎるのは良くないとしても忘れてはいけない問題だ。
――ということを過去に転移してきたプレイヤー達も考えたかもしれない。
(結果としては何も起きずに寿命を全うしたりして死んだのかもしれないけれど)
人間種が居れば勇者として伝説に残るものだ。――実際に英雄としての逸話は存在する。
今回の転移者である自分達はこの先をどう生きればいいのか。
意味も無く楽しく過ごせるほど甘い人生ではあるまい。
◆
途中で野宿を交えた次の日に帝都に到着する。
久しぶりの小旅行のようで楽しかった。
黙っているのが苦手な者には拷問に匹敵するかもしれないけれど。
感慨に耽っている場合ではない。到着して早々ハムスケを転移で送り返す事にする。
最初から転移で来れば良かったとは思わない。時にはゆっくりとした時間を楽しみたいのだ。
結局は楽な方法を選んでしまうのが残念な点だ。
便利な魔法があるのだから使わないのはかえって勿体ない。
「それで……、
一口に転移系といっても色々ある。
それは次の機会にでも講釈するか――騎乗の魔法でたくさん述べたし――と思って説明をやめる事に決めた。
「では『
ハムスケが所望した魔法は転移というよりは通り道を創る魔法だ。
名前からして転移だから間違ってはいないか、とぷにっと萌えは軽く鼻を鳴らすような態度を取る。
植物に鼻という部位は形だけあるかもしれないが身体機能の殆どは本当に植物と大差が無い。
それは今述べることでは無いので脳裏から追い出す。
◆
仲間に連絡すれば五分と経たずに近くに門――というか空間に穴が空く。
大人が充分に通れる大きさがあり、その魔法は時間経過によって消える。もちろん術者の意思ですぐに閉じることも可能だ。
二点間を魔法の力で結ぶ上位転移魔法『
門自体はその場で留まっているので移動は自力だ。
ハムスケに礼を述べて見送れば一人ぼっちとなる。
もちろん足元の影や少し離れた場所に不可視化したシモベは今も残っているけれど。
「シモベを付き従えていないと外出もままならないとは」
と、思わず愚痴を口に出して言ってしまった。けれども別に後悔は無い。
知らない土地なのだから。何が起きるか分からなくて当たり前だ。
本来ならば不安で一杯となるところなのだが、既に何度か来ている場所だ。
勝手知ったるよその国である。
入る前からある程度の様子は頭に入っている。だから迷う事は殆ど無い。一軒一軒の内部構造までは把握していないけれど。
異形種だが検問は簡単に通れる。
顔合わせは済んでいるので。何のトラブルも起きはしない。
偽装する手間が省けて楽だとさえ言える。
「ご苦労様です」
挨拶は社会人の基本。
異世界で異形種で人智を超えた能力を持とうと自分は結局のところ異邦人である。だからこそ相手の世界を尊重しなければならない。
◆
帝都に入ったた後、植物モンスターに気付いて振り向く人間達に出くわす。
立場が違えば自分も驚いたり、興味本位で顔を向けたりする。だから気にしない。――というのは少し無理がある。
気になる時はとことん気になるものだ。その気持ちは理解出来る。
だからといって一々彼らに挨拶はしない。
亜人も住んでいるのだから時間が経てば自然と人は散っていく。
(それまでは奇異の目は仕方が無い)
滅多に来ないし。
毎日のように来ていれば人々の興味は自然と薄れていく。――それが危険なモンスターでなければ。
自分は友好的な植物モンスターだよ、と自分からはふれ回らないが今はただ我慢するのみ。それを煩わしいと思うのは最初だけ。
◆
色々と考えつつ歩いているといくつかの建物を見つけた。
一つは『帝国魔法省』だ。
魔法による様々な利用方法を本格的に研究している専門機関。
務めている人間は第五位階まで習得しているプロフェッショナル達だとか。
国を挙げて研究に取り組んでいる題材は主にアンデッドモンスターの利用方法とモンスターが自然発生する仕組みの究明だ。
ゲームでは勝手に出てくるモンスターの現象を『
これを異世界の彼らは
普通ならバカにするところだ。だが、この世界の住人はゲームの事情を知らない。
ここでは全てが絵空事ではないからだ。
生まれた時からあらゆるものが身近に存在し――空想の産物と
ほぼ、というのは自分達以外の転移者が彼らに様々な知識などを伝えた歴史があるので完全に断言する事が出来ない。
◆
――ぷにっと萌え達からすればバカみたいに思えるのだが――自分達も彼らの立場に立てば同じ研究に携わる可能性が――きっと――高い。
どうしてモンスターが存在し、魔法が存在するのか、と。
考えればキリが無い。けれども思考する事は嫌いではない。
そうして目的地であり、二つ目の施設『帝国魔法学院』の門前に到着した。
〈
系統:防御術 位階:魔力〈一〉、その他(
構成要素:音声、動作、焦点/信仰(小さなベル1つと細い銀の針金1本)
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 効果範囲:空間上の1点を中心とした半径6mの放射 持続時間:2時間×術者レベル
備考:この魔法は精神的な警報または音声による警報を発する。魔法の効果を適切な場所にかけたら、それ以降サイズが超小型以上のクリーチャーが警戒範囲に侵入したり接触したりする度に警報を発する。発動の時点で精神的な警報と音声のどちらにするか選択する。精神的な警報は違和感のようなものを術者に感じさせる。音声は鈴の音。術者が睡眠中の場合は目覚めさせる効果がある。『ユグドラシル』というゲームには実装されていない。
〈
系統:総合術 位階:魔力〈十〉
構成要素:音声、動作、物質(願いの個数×1レベル分の経験値。最大で一度に5回分)
備考:術者は己の望むように現実を改変できる。しかし、制限もある。魔法効果によって次に記載する効果を一つ選択する事が出来る。一つ、術者にとって対立系統の魔法でなければ第九位階以下のいかなる魔力系魔法も再現できる。一つ、術者にとって対立系統の魔法でなければ第八位階以下のいかなる魔法も再現できる。一つ、術者にとって対立系統の魔法を含む第八位階以下のいかなる魔力系魔法でも再現できる。一つ、術者にとって対立系統の魔法を含む第七位階のいかなる魔法も再現できる。一つ、他の多くの魔法の有害な効果を元に戻す事が出来る。一つ、クリーチャー1体に様々な能力的ボーナスを与える事が出来る。最高で5回分。その時、魔法の持続時間は瞬間となる。一つ、負傷や肉体的な障害を取り除く事が出来る。対象はクリーチャー1体×術者レベル。全員の傷を癒すことと毒を取り除くことを同時には出来ない。一つ、死者を蘇らせる事が出来る。効果は『
〈
系統:心術(強制)(精神作用) 位階:魔力〈一〉、その他(
構成要素:音声、動作、物質
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 目標:精神を持つ動物1体 持続時間:瞬間
備考:目標となった動物1体は騎乗されることを嫌う。この目標に対して騎乗していた相手は振り落とされる。
〈
系統:心術(強制)(精神作用) 位階:その他(
構成要素:音声、動作、物質(黒い布切れ)
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 目標:中立的か友好的な動物1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:目標の動物に特定用途の戦闘騎乗を訓練する。この用途は動物が元々持っていた芸などと置き換わる。魔法が終了すれば元に戻る。
〈
系統:変成術 位階:その他(
構成要素:音声、動作
距離:接触 目標:接触した術者の特別な乗騎1体 持続時間:1分×術者レベル
備考:目標となった特別な乗騎1体(または類似の
〈
系統:召喚術(創造) 位階:魔力〈十〉、信仰〈十〉
構成要素:音声、動作
距離:中距離(約30m+3m×術者レベル) 効果:門を1つ創造 持続時間:瞬間、または精神集中(10秒×術者レベル)
備考:二点間を次元的に結ぶ門を創造する。転移先の情報を限りなく正確に知りえていなければならない。精神集中している限り、魔法は持続する。
〈
系統:召喚術 位階:魔力〈四〉、その他(
構成要素:音声、動作
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 効果範囲:馬のようなクリーチャー1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:この魔法は6頭までの馬を召喚することができる。効果は『
〈
系統:召喚術(招来) 位階:魔力〈二〉
構成要素:音声、動作、物質(少量の馬の毛)
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 効果:乗馬6体 持続時間:2時間×術者レベル
備考:この魔法は馬か小馬を6頭まで召喚できる。効果は『
〈
系統:召喚術(招請)(善、可変) 位階:その他(
構成要素:音声
距離:3m 効果:招請された術者の特別な乗騎1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:
〈
系統:召喚術(創造) 位階:その他(
構成要素:音声、信仰
距離:接触 目標:接触した術者の特別な乗騎1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:目標となった特別な乗騎1体(または類似の
〈
系統:変成術 位階:その他(
構成要素:音声、動作、信仰
距離:自身 目標:術者 持続時間:1分×術者レベル
備考:自身が騎乗している乗騎の鞍または背中に接着される。鞍に留まる用途の〈騎乗〉判定にボーナスを得る。また意識を失ってもこの乗騎から落下しない。強い力で引っ張れば引き離す事が出来る。
〈
系統:変成術 位階:その他(
構成要素:音声、動作、信仰
距離:接触 目標:接触した術者の特別な乗騎1体 持続時間:2時間×術者レベル
備考:目標となった特別な乗騎1体(または類似の
〈
系統:召喚術(創造)(力場) 位階:その他(
構成要素:音声、動作、信仰
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 目標:接触した術者の特別な乗騎1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:目標となった特別な乗騎1体(または類似の
〈
系統:召喚術(創造) 位階:魔力〈四〉、その他(
構成要素:音声、動作、物質
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 効果:創造された馬車1台および幻影の馬1体以上 持続時間:1時間×術者レベル
備考:四人乗りの馬車1つを創造して『
〈
系統:召喚術(創造) 位階:魔力〈二〉
構成要素:音声、動作、信仰
距離:その場 効果:創造された牡鹿のようなクリーチャー1体 持続時間:10秒×術者レベル
備考:大型サイズの幻影の牡鹿1体を自身の隣りまたは既に騎乗した状態で創造する。突き飛ばしの能力を持つ。『
〈
系統:変成術 位階:その他(
構成要素:音声、動作、信仰
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 目標:術者の特別な乗騎1体 持続時間:1時間×術師やレベル
備考:目標となった特別な乗騎1体(または類似の
〈
系統:死霊術 位階:魔力〈七〉
構成要素:音声、動作、物質(金貨500枚相当の価値があるオパール1つ)
距離:自身 目標:術者 持続時間:効果が発揮するまで永続
備考:術者は次に瀕死状態となった場合5%×術者レベルの確率で自身の魂のみが異空間の避難所まで転送される。ただし、死体および装備品はそのまま。その後、最低1日後には死亡した地点に再出現し、肉体が再構成される。
〈
系統:変成術 位階:魔力〈一〉、その他(
構成要素:音声、動作、焦点
距離:自身 目標:術者 持続時間:1分×術者レベル
備考:この魔法は非魔法の運任せのゲームに干渉してその確率を操作できる。
〈
系統:変成術 位階:その他(
構成要素:音声、動作
距離:接触 目標:接触した動物1体か魔獣1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:目標となったクリーチャー1体は移動速度全般に対しての強化ボーナスを得る。また、早歩き相当の野外活動を
〈
系統:召喚術(治癒) 位階:その他(
構成要素:音声、動作
距離:接触 目標:接触した術者の乗騎 持続時間:瞬間
備考:この魔法は『
〈
系統:召喚術(創造) 位階:その他(
構成要素:音声、動作
距離:その場 効果:創造された牡鹿のようなクリーチャー1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:大型サイズのクリーチャー1体を創造して、自身または指定した騎手1体の乗騎とする。
〈
系統:召喚術(創造) 位階:魔力〈三〉、その他(
構成要素:音声、動作
距離:その場 効果範囲:馬のようなクリーチャー1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:大型サイズの馬のようなクリーチャーを1体召喚する。術者レベルによって砂地、泥や沼の上でも何の支障も無く移動速度を落とさずに走る事が出来る。更に水の上、空の上に飛行能力まで備える。
〈
系統:召喚術(創造) 位階:魔力〈四〉
構成要素:音声、動作
効果:幻影で出来た戦車と馬 持続時間:1時間×術者レベル
備考:術者は牽引用の馬のようなクリーチャー4体1組付きの重量型二輪戦闘馬車を召喚する。操縦は術者が指定した人物。乗客は6人まで運ぶ事が出来る。
〈
系統:召喚術(創造) 位階:魔力〈三〉、その他(
構成要素:音声、動作
距離:約3m 効果:幻影で出来た人間のようなクリーチャー1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:小型または中型の人間のようなクリーチャーを召喚する。どのような姿かは術者が裁量で決める事が出来る。このクリーチャーはあらゆる搭乗物を操縦できる。もし、このクリーチャーが攻撃を受けた場合は消滅する。
〈
系統:力術(力場) 位階:魔力〈一〉
構成要素:音声、動作、物質(水銀一滴)
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 効果:1m四方の半透明の板 持続時間:1時間×術者レベル
備考:半透明の板を創造する。この板は50kg×術者レベルまでの重量を運ぶ事が出来る。常に1mのところに浮かび、水平を保つ。魔法の距離内で水平に浮遊し、術者の移動速度に合わせて付き従う。特に指定されない限り、術者との間に常に5mの間隔を保つ。持続時間が切れれば板は消滅する。それにより乗せていたものは全て下に落ちる。『ユグドラシル』というゲームには実装されていない。
〈
系統:召喚術(創造) 位階:その他(
構成要素:音声、動作、焦点(金貨5枚相当の価値がある密閉できる瓶1つ)
距離:その場 効果:煙の馬のようなクリーチャー1体 持続時間:1時間×術者レベル
備考:焦点具となった瓶1つに煙を集める。その後、この魔法の持続時間中にこの瓶の栓が抜かれた場合、馬のようなクリーチャー1体が創造されて、瓶を持つ術者はそれに騎乗する事が出来る。
〈
系統:変成術 位階:その他(
構成要素:音声、動作
距離:接触 目標:術者の特別な乗騎1体 持続時間:10秒×術者レベル
備考:目標となった特別な乗騎1体を得る。
〈
系統:召喚術(招来) 位階:魔力〈一〉
構成要素:音声、動作、物質(少量の馬の毛)
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 効果:乗馬1体 持続時間:2時間×術者レベル
備考:乗馬として役立つ馬か小馬を招来する。この乗馬は
系統:召喚術 位階:魔力〈三〉
構成要素:音声、動作、物質(少量の馬の毛)
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 効果:超大型の馬1体 持続時間:2時間×術者レベル
備考:大型クリーチャーの乗騎に向いている超大型の馬1体を招来する。この乗馬は
〈
系統:変成術 位階:信仰〈二〉、その他(
構成要素:音声、動作
距離:自身 目標:術者 持続時間:10分×術者レベル
備考:〈騎乗〉判定にボーナスを得る。また、特別な乗騎1体に騎乗している間は更にボーナスが上昇する。
〈
系統:力術 位階:信仰〈十〉
構成要素:音声、動作(奇跡の個数×1レベル分の経験値。金貨10枚以上の価値ある物質要素を必要とする魔法を再現する場合は各魔法ごとに指定された物質が必要)
距離:再現される魔法にちなむ 効果範囲:再現される魔法にちなむ 持続時間:再現される魔法にちなむ
備考:この魔法は祈り願う。まず術者は何が起こってほしいかを宣言し、願う。第九位階までの信仰系魔法ならば再現できる。第八位階までの魔法を再現できる。特定の魔法の有害な効果を元に戻す。また逆に同程度の効果を持たせることも出来る。強力な奇跡を願う場合はそれ相応の物質要素を必要とする。死者を蘇生させる。術者と味方または装備品をまとめて『
〈
系統:変成術(言語依存) 位階:魔力〈一〉、その他(
構成要素:音声、動作、焦点(銅線1本)
距離:中距離(約30m+3m×術者レベル) 目標:クリーチャー1体×術者レベル 持続時間:10分×術者レベル
備考:術者は伝言を囁いて伝え、また、受け取る事が出来る。近くに居る者も伝言を聞く事が出来る。伝言を受け取ったクリーチャーは術者が聞き取ることのできる返事をささやき返すことができる。ただし、言葉の壁を乗り越えることはできない。相手に伝える為には口で話すか囁かなければならない。ユグドラシルでは指定した相手ならば遠距離でも支障なく言葉を伝えられる。転移先の世界ではまだこの魔法は未発達であり、真偽を疑う者が多い。
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系統:召喚術(招来) 位階:魔力〈三〉、その他(
構成要素:音声、動作、物質
距離:近距離(約10m+2m×術者レベル×2) 効果:馬と小馬1体 持続時間:2時間×術者レベル
備考:馬と小馬を1体×術者レベル分招来する。魔法の完成時に飾り紐、