みーくんの青春   作:氷の泥

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01 没落みーくん

 シャーペンの芯が折れた。ポキリと、無慈悲に、何の予兆もなく。

 別に長く出しすぎたわけではないし、力をこめすぎたとも思わないんだけど。それでも折れた。折れる時は折れるか、と諦める。

「あ、にゃい」

 筆箱の中を探っても替えの芯がない。買い忘れていたのか、ええい面倒な。

 ……と、買いに出ようかと思った瞬間だった。

「もうウンザリ!」

 向かいに座ってスマホをいじっていた安良岡さんの、手のひらが机を叩き付けた。聞いたことのない大きな音がして、僕は正直、悲鳴がもれるほどびびった。

「ひっ、えっ……にゃに……?」

「みーくんにはもうウンザリだよ!」

 荒い手つきで椅子を引いて立ち上がった彼女が、どうやら激しく怒っているらしいことはわかった。なぜ怒っているのかは、身の覚えも無くまったくわからない。

「出てって」

「え」

「出ていって!」

「は、はいっ」

 つんざくような怒鳴り声に、思わず僕は「出ていけ」という言葉に従ってしまった。筆箱とノートと教科書を机の上に置いたまま、何も持たずに冬の風で冷えきった玄関の外へ、逃げるように出てきてしまった。

 しばらく呆然と、扉を背にして突っ立っていたけれど、鍵の閉まる音は聞こえなかった。僕の脳みそは混乱しつつも、思考能力を取り戻してきたらしい。フル回転する。

(どうする。どうするのが正解なんだ。こういう時はどうすれば、こういう時の彼女との仲直りの方法ってなんだ、まったくわからない。誰かに聞くか、いやそれだと遅いか。ネットで検索して出るのか、いや出たところで参考にならないか。そもそも何で怒ってたんだ。追い出すって相当だよな、僕なにかしたっけ。……あ、宿題どうしよう)

 置いてきてしまった勉強道具一式は、数学の先生から出された明日が期限の宿題でもある。いやそもそも、筆箱もノートも教科書も無しでは、明日からの学校で困る。……って、今はそんなことを考えている場合では。

 人の家の玄関前で立ったまま、たぶん脳みそのパワーが表情にまで回らないせいで無表情で静止しているであろう僕は、傍から見ればそこそこ不審だと思う。

 だから僕は、近くの道を通りかかった人が僕のことを見ながら通り過ぎていったことに気が付いて、今度こそ本当に逃げてしまった。早くここを離れなければ、そう思ってしまった。

 あせる気持ちとは裏腹に、ポケットから鍵を取り出し自転車に乗るまでは冷静だったと思う。ペダルを踏んですぐに、肌を切り裂くような冷たい風に当てられて思い出した。

 ああ、上着も彼女の家に置いたままだ。

 

 

 その日の晩に、安良岡さんが僕の家まで来た。

「はい」

 玄関で渡されたのは、僕が彼女の家に置いていってしまった物ぜんぶだった。

「え、あ、ありがとう」

「ごめん、帰り寒かったでしょ」

「いや、別に」

 寒いとか寒くないとか、そんなことに割く思考の容量がなかった。いや、実際には寒かったけど、なぜかそれが気にならなかったんだ。わけがわからないことだらけで、たぶん僕は自分の家に着くまで、もしくは今でも、何も考えられちゃいない。

「そう。……じゃあ」

 そっけない態度で背を向ける彼女が他人のように見えた。

「あ、あの、ねえ!」

「なに」

 振り返った彼女の顔には、もうこれっぽっちも、僕への情が残っていないように見えて、僕は言葉に詰まる。

「え、あの…………また明日?」

「別れて」

「えっ」

「別れてください」

 別れる……というのが、交際をやめるという意味なのは、なんとなくわかるけれど。わかるけれど、わかりたくない。だってそれはつまり、絶交しようって意味になる。

「さよなら」

 何一つ言葉を返せなかった僕を見限ったかのように、虫か、そうでなければ犯罪者でも見るかのような目で僕を見て、安良岡さんは帰っていった。

 一人で夜道を歩くのは危ないよ、と言うべきだったかと思いついたのはしばらく後で、それに対してなんて馬鹿なことを考えたのだろうと気付くのには、そう時間はかからなかった。

 何が起こったのか考えてもわからないので、録画しておいた番組を見ながら家族でご飯を食べて、あとは特に変わったこともせずその日は眠った。これは現実なので、明日になっても何も変わっていないのだろうなというのは、さすがにわかっていたけれど。それでも僕は一刻も早く眠りたかった。

 眠気はなかなかやってきてくれなくて、気持ちと裏腹に僕の意識が夢の中に落ちて消えたのは、時計の針が日付を跨いでからだった。

 

 

 例の宿題は提出できたし、シャーペンの芯も買った。

 隣のクラスにいるはずの安良岡さんは今日一度も見かけていない。そもそも出席しているのかを確認しに行くことさえ、今の僕にはよほど困難なことに思えて、結局彼女には今日一度も会っていない。登校しているのに彼女に会わないなんて、いつ以来のことかもはや思い出せない。

 一度帰って着替えてから、唯一の友人である久保を誘って最寄りのファストフード店に集まる。

「で、相談って?」

 久保が食べているハンバーガーは、相談に乗ってもらうお礼に僕が買うと言ったのだけれど、断られた。断るついでに「重症か」と言われた。なぜかはわからない。

「えーと、その、……カミングアウトにゃんだけどいい?」

「まあ、聞くだけ聞く」

「…………安良岡さんと別れました」

 フタ付きのカップに入った炭酸ジュースをストローで豪快に吸い上げた久保は、しらけたような顔をして言う。

「知ってた」

「えっ、にゃんで!?」

 聞いたことがある。女子の情報ネットワークというのは僕たち男子には想像もできないほど大規模かつ精密で、一人に伝わった噂は一日となしにネットワークに所属している女子全員に行き渡るという。

 もしも久保がネットワークの一員である女子と通じていたなら、たぶん安良岡さん本人から一部にだけ発信されたであろう情報が、こいつの耳に入っていてもおかしくない。

「なんでって」

「いやわかったぞ。あれだにゃ、女子特有の高性能ネットワークのおこぼれに預かったんだろ。つまり、にゃかの良い女子から聞いたんだ!」

 名探偵が犯人を名指しする時のように久保を指さす。指してから、あぁこれ失礼だなと思って、すぐに腕を下げてジュースを飲んで誤魔化した。

「いや違うけど」

「え、じゃあいよいよ意味わかんにゃい」

「逆に俺の方が意味わかんないわ。毎日のように休み時間になるたび教室から出てくっちゃべっているような、学年公認カップルみたいなやつらが急におとなしくなったら、俺みたいな鈍感なやつでもなんとなくわかるだろ。あー、何かあったんだなって」

「え、ちょっと待って、学年公認? にゃにそれ?」

 まったく初耳だった。いや、確かに仲の良い二人だなー程度には周囲から見られていると自覚していたけど、公認のカップルとやらになった覚えはない。人目につく場所でキスとかしていたわけでもあるまいし。

「無自覚かよ。有名だぞ」

「にゃか良し二人組としてではにゃく?」

「男女の仲良し二人組って言ったらそれはもうほぼ付き合ってるで確定だろ」

「いやそれはおかしい。そんにゃこと言ったらお前だって小学生の頃」

「高校生と小学生の感覚をごっちゃにして語るなよ……」

 自分は高校生として標準的な価値観を持っていますと言わんばかりの久保が繰り出す、多分に僕を馬鹿にする成分を含んだ、首を横に振る「やれやれ」みたいなジェスチャーでちょっとイラっと来た。

「……まあいいやそれは。で、それでだよ。相談の本題に入りたいんだけど」

「ああ、はいはい。何か? 彼女とよりを戻したいって話か?」

 よりを戻す、というフレーズに一瞬心が揺らぐ。彼女とはもう関わらなくたって構わないと言ってしまうと、それは嘘になるんだけど。

 でも、それでも今はなんとも言えない。よりを戻すも何も、一体何が悪かったのかを理解しないことには、何も始まらない。

「違う。別れた原因は、たぶん僕が安良岡さんを怒らせちゃったからにゃんだけど」

「たぶんとか言ってるよダメだこいつ」

「うるさい。で、にゃんで怒らせちゃったのかがわからにゃいんだよ。相談っていうのはそれ。そこを一緒に考えてほしい」

 それが分かれば、もしかしてもしかすると、ゼロではない確率でよりを戻せたりしちゃうかもしれないし。そうでなくても、とりあえずちゃんと謝ることはできる。たぶん僕が今知るべきはここだ。そして知るために必要なのは誰かの、今回の場合は友人の助けだと思う。

「……あー、なるほどね。うん、よしわかった、考えてやろう」

「ありがとう!」

 素直にお礼を言ったつもりだったんだけど、なぜか久保は苦虫を噛み潰したような顔をした。別にハンバーガーがまずかったわけじゃないだろうけど。

「で? 彼女が怒った時に、お前なんて言われたの? そこから考えようぜ」

 表情の意味が明らかになることはなく話が進んでいく。こっちから相談を頼んでおいて流れをぶった切るのもアレだし、苦虫を噛み潰したうんぬんのことは一旦忘れることにしよう。

「あ、うん。えっとね、「みーくんにはもうウンザリ!」って言われたよ」

 また久保が嫌そうな顔をした。何かと思って怪訝そうな雰囲気をたっぷり出しながら見つめてみると、彼は僕から目をそらした。

「あー、はいはい。ウンザリって言われたと」

「うん」

「お前の何に対してウンザリって言ったのかは分かるか?」

「それが分かってれば苦労しにゃいよ」

 まだ僕があの時、仮に安良岡さんに宿題を手伝ってもらっていて、その時僕が恐ろしく無能で問題が全然解けなかったとか、手伝ってもらっているのに自分だけ遊んでいたというなら、怒られるのもよくわかる。

 けれども僕は一人で宿題をやっていたわけで、別に長い時間やっていて彼女を退屈させてしまったわけでもない。せいぜい十五分くらいだったと思う。

「まず、お前その時彼女と、いつ、どこで、何をしていた?」

「放課後に安良岡さんの家で、数学の宿題をやっていました。……いや、いやでもね! 多く見積もって十五分くらいで、そんにゃににゃがい時間やってたわけじゃあにゃいよ」

 ちっ、と舌うちの音が聞こえる。

「はーリア充は大層なご身分だな。彼女の家で宿題? 自分の家でやれよそんなもん。んで、終わってから彼女と遊ぶなりしろよ。なんだよちくしょーこのやろー」

「え、ご、ごめんにゃさい」

「そこで謝っちゃうから俺もいろいろ言いにくいんだよお前には」

「ご、ごめん」

 注文した分のハンバーガーをすべて食べ終えて、包み紙をぐしゃぐしゃっと丸め込んだ久保が、ちょっと乾いた音が鳴るほど勢いよく手のひらを合わせた。豪快なごちそうさまの言い方だなと思ったら、それは違ったみたいで、脱線した話を元に戻すための気合の動きだったらしい。

「はい次の質問いくぞー! それで宿題をやっていて、どんなタイミングで彼女が怒り出したんだ?」

「どんにゃタイミングって言われても……。……あっ、シャー芯が折れた」

「シャー芯?」

「うん。折れて、替えがにゃかったから、買いに行こうと思った時だったよ。机をバンッって叩いて、ウンザリって言われた」

「お前その時、買いに行かなきゃ……とか、そんな感じの台詞を何か言ったか?」

 ハッとする。もしかして彼女は、僕が無言で動き出そうとしたから怒ったのか。宿題をサボろうとしたと思われたとか、何も伝えずにどこかへ行こうとしたことが気に食わなかったとか……。

 ……いや、ウンザリって言われるくらいだから過去に何度もやっていることを怒られたんだろうし、無言とかサボりとかには覚えがないから、やっぱりこれも違うか。

「えー、にゃにか言ったかにゃ……。えー…………うーんとねー………………あっ、まあ、言ったといえば言ったかもしれない」

「なんて言った?」

「シャー芯がにゃい……って、それだけ」

 呆れると言うよりは、何かに集中するためにといった様子で、久保が大きくため息を吐いた。その後彼がジュースを飲もうとすると、濁点のついたサ行系の独特な音が「空っぽです」と告げたので、彼はこれで注文の品をすべて胃に収めたことになる。

 僕は僕でハンバーガーは食べきってしまったし、残るはジュースだけなので、もうここからはファミレスのドリンクバーで居座る人とやっていることは変わらない。

「一つ、仮説を思いついた」

「おお、にゃににゃに聞かせて」

「いや、話す前にいくつか質問する。それで仮説が正しそうとなれば、その時話す」

「わ、わかった」

 なんだかえらく神妙だった。とりあえず僕に躊躇する理由はないので、素直に久保の作り出す流れに乗っておくことにする。

「まずお前、彼女が何か大きな悩み事を抱えているとか、何かに困っているとか、葛藤しているとか、とにかくそういう状況に居合わせたことはあるか?」

「え? あー、うん、あると思うよ。にゃんか親と喧嘩したとか言ってた時が」

「お前その時、彼女になんて言葉をかけた?」

 記憶の中からその時のことを映像化して引っぱり出してくる。

 その時の彼女が、親と喧嘩したことで怒り、悲しみ、困惑していたことは、話を聞いてからわかったことだった。なんだかいつもよりテンションが低くて違和感のあった彼女に、まだ彼女が何を抱え込んでいるのか知らなかった僕は、たしかこう言った。

「にゃにか、にゃやみがあるなら聞くよ……って言ったと思う」

 僕が答えるなり、久保が再びため息を吐いた。

 僕は何か間違いを犯したのだろうか。あの時かけるべき言葉を間違えていて、それからずっとそのことが彼女のストレスになっていたとか……。それならあり得るかもしれない。人の心を完全に理解できるとは、僕だって誰だって、言い切ることはできないのだから。

 いや、でもそうだとすれば、一体僕はどうすればよかったんだ……!?

「なあ、瞬」

「にゃ、にゃに……?」

「お前今日学校で、放課後相談に乗ってほしいって俺に言ったよな」

「言ったけど、それがにゃにか……?」

 うつむいて、おそらくは喉まで出てきているであろう言葉を、そのまま口に出してしまおうか悩んでいる。その時の久保の姿は、僕にはそう映った。

 やがて彼は決心したらしく、やたら小さな声でクッションを挟んできた。

「今から言うことに悪意はないって言ったら、わかってくれるか?」

「もちろん」

 疑う理由もなく即うなずく。

「相談に乗ってほしいって言われた俺がお前に、「どうしたんでちゅかー? 何か困ったことがあるんでちゅかー?」って言ってたら、お前どうしてた?」

「えっ、それはちょっと今後の付き合い方を考えるかもしれにゃい」

「たぶん、それなんだよ」

 わけがわからないぜ、と頭の上にハテナマークを浮かべる僕に、久保は詳しく解説してくれる。あくまで俺の仮説だけど、とまた一つクッションを挟んでから、慎重に。

「お前のその「な」が「にゃ」になる喋りが、その時の彼女にはどうしようもなく怒りを覚えるもので、ストレスだったんじゃないのか。それからずっと、親との喧嘩が仮に良い形での和解に進んでいたとしても、その後の彼女には「にゃ」と聞こえるのがストレスだったんじゃないのか」

「……ああ。そうか」

 たぶんわざと、久保は僕と目を合わせずに空になったジュースのカップだけを見ながら淡々と話してくれた。それはもしかすると、彼自身が今は僕の顔を見たくなかったから行ったことなのかもしれないけれど、それでも僕にはありがたかった。

 僕も、どんな顔をすればいいのかわからない。きっと正解を導き出した久保に、何を言えばいいのかさえ、そして別れてしまった彼女に何を言えばいいのかも、何もかも全て、わからない。

 怒らせてしまった原因を探って、ちゃんと謝ろうだなんて。甘えていたんだ僕は。

「……だとすると、僕と喋るのは相当ストレスだったろうね」

「念のためもう一度言うが、今の話に悪意は」

「わかってるよ。ありがとう。たぶん、それが正解だよ」

 さすがに詳しくは覚えていないけど、たぶん僕は静かに、無言で宿題をやっていたと思う。十五分くらいずっと無言で。それから唐突に言ったんだ、芯が「にゃ」いって。それが安良岡さんにどんな印象を与えたのか、ちょっと考えるのが怖い。

 ウンザリと言われるほど、僕は言ってきたのだろう。それだけ多く彼女と喋ってきたのだろう。そうすると、僕の彼女との思い出は、僕が彼女と楽しくお喋りしていた時、彼女は……。

「これは俺の感想なんだが」

 仮説の話を初めてからいつもに比べて小さな声で喋っていた久保が、元通りの声量を取り戻していた。

「お前は悪くないよ。そんな理由で別れるようなやつの方がよっぽど」

「やめて」

 彼が僕をなぐさめるために、別の人間を貶めようとしているのがわかった。それは正直に言って嬉しくもあったけれど、なんとなく、そこは超えてはいけない一線である気がした。

「……ごめん。ありがとう」

 感想をさえぎられた久保は一瞬気まずそうにしたけれど、それは本当に一瞬だけで、すぐにまた手のひらを勢いよく合わせて言う。

「あー、よし、帰るか。食ったし」

「そうだね」

 強引な流れの切り替えに、救われた気持ちになる。

 僕らが席を立ったあと、すぐに店員がテーブルを清掃しにやって来るのを見た。店の邪魔をしていたのではないかと不安に思うけれど、それはさすがにちょっとナーバスになりすぎている。

 これ以上落ち込むのはやめよう、と自分に言い聞かせる。もうこの話は終わったのだ。よりを戻すなんてとんでもない。彼女とのことは、今日から過去のことだ。

 お互いの家が逆方向にあるので、店を出たら久保とはそこで別れる。数時間ぶりに見た冬の空はまだ六時にもなっていないというのに真っ暗で、向かい側に見えるガソリンスタンドが夜景の役割を果たしているように見えた。

 今日は上着をしっかり着ているので、そこまで寒くはない。

「じゃあ、また明日」

「おう。じゃあな」

 僕は久保の背中を見送ることもしないで自転車にまたがり漕ぎだす。あいつだって、僕のことをいちいち見送ったりしちゃいないだろう。

 夏場ならまだ明るい時間帯。夜の道で自転車を漕ぎながら考える。

 正直、正直僕にもあった。久保がリア充様は身分がどうこうと言うように、僕にもそういう意識があった。なんというか、自分は今幸せ者だっていう、優越感みたいなものが。

 罰が当たったのだ。僕は傲慢になっていたし、それに、人への感謝も忘れていた。僕ほどそれを忘れちゃいけない人間もいないだろうに。

 ……でも、安良岡さんと付き合い始めた時、僕は確かに訊いたんだ。僕の喋り方は、不快じゃないかって。彼女、こう言ってくれた。

「ううん。むしろかわいくて私は好き!」

 彼女に甘えた僕に下った天罰が、僕から友人までをも奪わないよう祈る。彼までいなくなったら、たぶん僕はもう生きていけない。

 

 

 

 

 




 続きもちゃんと上げる予定です。あくまでも予定です。
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