妹が浮いている!? 夏休み編   作:Damy

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第4話です


兄妹と協力者

俺は自室のベットに倒れ込み、さっきメモ用紙のこと、京華のあの状態、あのおじさんについて考えを巡らせ整理し推理し予想する。

 

まずあのメモ用紙、おじさんの名前、電話番号、仕事先の3つが確かに書かれていた。なのに、病院からの帰り道で見た時は文字化けのようなものがに書き換えられていた。

そしてさっきの意味不明な文章にさらに書き換えられていた。

 

意味不明とは言ったが意味はわかるか。書いてあるこたとは至極単純なものだったしな。

でも理解はできない。ていうかしたくない。

あの文章の意味は京華の魂が体から抜けて出てきていること、そしてそれがたぶん俺にしか見えていないということ。これを理解しろ。って言うことだろ?

 

そして所々に書かれていた“今回“という言葉。これは次があるってことだ。それにその後に書かれていた“協力者“と“京華が体に戻れなくなる“の2つの事柄───

 

次に京華の魂について、俺にしか見えないし触れない。俺以外のものに触ろうとしたら全部すり抜けるらしい。

あと、睡眠は必要っぽいな今俺の部屋に浮きながら寝ているし。

 

そして1番謎な、今までも充分に謎だったがそんなの冷静に解析できるぐらいに“おじさん“が謎だ。

この状況を故意に作り上げたと思われる人物。

俺にメモ用紙を渡し、目が覚めた京華の目の前にいたと思われる人。

俺以外に京華が見える人間。

 

さらに、俺も京華もおじさんのことを思い出そうとすると記憶に靄がかかったような感覚になる。

謎すぎる。現時点では推理も予想もできない。

とりあえずなんとかして情報を集めるしかないか?どうやって?

 

「お兄ぃ、さっきからブツブツうるさい。キモい」

「今必死にお前の事考えてるんだから少し我慢してくれない?

それにきもいとか言わないであげて…」

「お兄ぃもう寝たら?」

「ねぇ?会話のキャッチボールしよ?野球のノックじゃないんだから」

「はい、もう寝る。」

 

京華は俺を無理矢理にベットに寝かしつける。

わー、わー、京華に襲われるー

「お兄ぃちょっと落ち着きなよ」

そう言いながら京華は俺の頭に手を置き優しく撫で始める。なんか、むず痒い…

 

「確かに意味わかんない状況だけどさ、焦ったって意味無いよ。お兄ぃが冷静になればこの状況もどうにかなるよ。きっと。」

すごい買われようだな…でもな京華、その手避けてくれなきゃドキがムネムネしちゃって冷静になれないんだよね。お兄ちゃん。

 

そう言おうと思い京華に視線を向けるが…

「寝てるし…」

普通ではありえない体勢で寝ていた。

浮きながら寝るのってなくそうだなぁ。

とこの状況にそぐわない感想を抱きながら俺も京華に習って眠ることにした。

 

─────────────────────────

ブー、ブー──ピン、ポーン、ピンポン、ピンポン

と枕元でなり続ける携帯としつこいインターホンの音によって俺は憂鬱に目を覚ます。

 

「うるせぇ、しつこい、誰だよコノヤロウ」

寝起き特有のイラつき加減で乱暴に携帯を開きそこに表示された名前を見る。──島崎 洋太

「ってことは玄関にいるのも洋太か…」

そう結論づけ玄関へと向かいドアを乱暴に開く。

 

「しつこいぞ洋太、しつこいやつはモテねぇぞ」

「いや、カズが来ないせいだからな?10分は待ってたからな、俺。

それにお前よか俺はモテる」

予想通り玄関前にいたのは洋太だった。

てか、10分も待ってたのかよ……どんだけ俺のこと好きなの?お前。

しかもこいつホントにモテるからな…ムカつく

 

「で、何の用ですか?宗教の勧誘ならお断りしますよ」

「いや、昨日のメール。心配してきてやったんじゃねぇか」

メール……送ったっけな、こいつに。

「京華ちゃん入院したんだろ?」

「いや、そうだけど俺お前にメール送ってないような気がするんだけど」

 

何寝ぼけてんだ?こいつ。といった感じの目を向けながら携帯の画面を見せる洋太。

確かに差出人は俺になってるな…てか、カズじゃなくて和人って設定してるんだな。

そう思いながら俺は自分の携帯を取り出す。

 

「お兄ぃ、どしたの?」

「ん、あぁ京華。おはよ。」

俺よりあとに起きてきた京華は天井をすり抜けて俺の元によってきた。残念ながら昨日の京華が幽霊どうこうの話は、現実のことだったようだ。

 

「おい、カズ?どうしたんだ?お前…

京華ちゃんが入院したショックで幻覚でも見え始めたのか…?」

一瞬何言ってるのかわからなかったがすぐに思い当たる。

 

やべ、京華は俺以外に見えなかったんだ。

「あぁー、洋太。とりあえず上がれよ。」

そう言ってリビングを指さしながら俺は階段を上っていき自室を目指す。

 

昨日から着替えてないしそれに──

「お兄ぃ珍しいね。お兄ぃが動揺しないなんて」

「まぁな。昨日から色々あり過ぎたからな」

──京華と相談するためだ。

 

「なぁ京華、洋太にこの状況を話そうと思うんだけど、いいか?」

「別にそれはいいけど…どしたの急に?」

「洋太に差出人が俺になっている、メールが届いていたんだ。俺は送っていないのに。」

俺は着替えながらさっき確認した送信済みメールボックスを京華に見せるという器用なことをする。

 

「たぶん洋太にメールしたのはあのおじさんだ。

んで、昨日のメモ用紙に書いていた協力者。

あれは多分洋太のことだろ。これで一応全部に説明がつく。」

”ヒントは本屋の前”これだけ説明できてないけど、これは後で考えよう。

 

「お兄ぃどーしたの?いつもより頭いいって言うか、ちゃんと物事が見えてるっていうか…」

「京華が落ち着いているおかげだよ」

と俺は京華にできる限りに優しく微笑む。

 

だって考えても見ろよ。目が覚めたらいきなり幽霊になっていたのに京華はこんなに落ち着いているんだぞ?こんな良くわからない、それに1ヶ月後には体に戻れなくなってしまうかもしれないというのに。

それなのにこんな落ち着いた振る舞いをしているのは俺に心配をかけないためとかだろ?

それぐらいは義理ではあるが俺は京華の兄貴だ、わかるさ。というかわからないはずがない。

 

そんな考えが表情に出てしまっていたか、それとも妹として兄の考えが伝わってしまったのか京華はそっぽをむいて頬を朱に染めた。

「うっさいし……」

 

うぉ……っ。何この生き物…可愛すぎなんですけど!!

そんな考えも伝わってしまったらしく、もしくは俺が何も反応しないため聞こえてないと思ったのか

「うっさいし!」

もう1度同じことを大声で言った。

 

 

 

 

─────────────────────────

リビングに戻った俺と京華は洋太に京華のこと、それにおじさんとメモ用紙のこともすべて話した。

話を最後まで聞いていた洋太はいまいちピンと来ていない感じだった。

 

まぁそーなるわな、俺だってわかりきっているわけじゃない、むしろわからないことの方が多いい。

だから、今は京華が幽霊になっているということだけ知ってもらえればいい。

 

「洋太後ろ向いて」

怪訝そうな顔をするが素直に後ろを向く洋太。

「んで、なんか適当にサインだしてくれよ。ちゃんと俺に見えないようにな。」

「??お、おぉ。わかった。」

「グー、パー、グー、チョキ、4、1」

俺はそのサインをすべて当てる。マジックとか、なにかに反射させて洋太の手元を見ている訳ではない。

 

「な、なんでわかるんだよ…」

振り返りながら怖いものを見るかのような視線で俺を見てくる洋太。

「お前の目の前に京華がいるんだよ。んで、京華にお前のサインを教えて貰ってわかったって理由」

 

「今日のお兄ぃ冷静すぎ…ちょっとキモいかも」

「京華ぁ……キモいとかマジトーンで言わないであげて……」

「あ、ごめん…」

俺の声が本気で落ち込んでいるのに気づいた京華はすぐに謝ってくれた。

 

その間ずっと俺と、俺の視線の先をキョロキョロと見ていた洋太が

「今、京華ちゃんと話してるのか?」

「あぁ、そうだぞ。信じてもらえたか?」

「あぁ、信じる。お前は一人芝居とかできない奴だからな」

「うるせ」

よし、洋太にもこの状況を話し終わったことだし。てか、信じるのはえぇなこいつ。

次はどうするか。と少し考え込む。

 

そんな俺を怪訝に思ったのか

「ねぇお兄ぃ、とりあえずヒントの本屋の前に行かない?」

「なぁ、結局その協力者?は何すりゃいいんだ?」

と2人が全く同じタイミングで聞いてくる。

ちょっと?息ぴったりすぎませんか?

少し洋太に苛立ちを覚えたので華麗にスルーさせてもらう。

 

「そうだな、本屋に行くか」

「協力者は本屋に行くのか?意味わからんぞ」

「今のは京華に言ったんだよ」

この状態めんどくさいな……

そう思いながら俺は外に行く準備を始めた。

 

 

 

 

 

─────────────────────────

本屋の前、俺と京華は不思議な光景を目の当たりにした。

「なんで誰もペンキに目もくれずに歩いてるんだ?」

「ペンキ?そんなのどこにあるんだ?」

 

────!!

見えていないのか?これも京華と同じく魂だけの存在ってことなのか?

じゃあなんで俺には見えている──?

それに、なんか違和感?がある。

その違和感を確かめる為に俺はコンクリートに染み付いた赤いペンキに触れた。

 

ベチャッ──

「ペンキが乾いていない?」

おかしい、このペンキが床にぶちまけられてから一日近くがたっている。かわいていないはずがない。

 

そう思いながら俺は手についたペンキをマジマジと見る。

そして周りの通行人の靴を観察する。が、やはり誰の靴裏にもペンキは付着していない。

「なに?ここにペンキがあるのか?」

そう言いながら洋太はペンキが付いているコンクリートを触り──

「うおっ──!!」

──驚いたかのような声を上げて尻餅をつく。

 

その手には赤いペンキが付着していた。

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