翌日俺と京華の2人で病院から家までの帰路を歩いていると。
「お兄ぃ、冷蔵庫の中身大丈夫なの?」
「そーいえば、だいぶやばかったな。寄っていっても大丈夫か?」
色々あって忘れていたが本当なら昨日買出しに行く予定だったことを俺はすっかり忘れていた。
「うんいいよー。その代わりちゃんと炒飯つくってよね」
「いいぞ、約束だしな」
「やたー!」
「でもさ、お前ももうちょい料理とかした方がいいんじゃないか?女の子なんだしさ」
昔から父さんが出張に出ることはあったので俺は家事はほとんど出来るし好きたがら、京華に家事を任せっきりにされても文句はない。
だか、京華も女の子なわけでそこら辺はやった方がいいのでは?
「いや、私は料理できるし大丈夫だよ」
「……普段やってないといざって時にできない可能性も──」
──そう言っている途中に京華がこちらを上目遣いに見て、少し頬を赤らめながら、俺のセリフに割って入ってきた。
「私はお兄ちゃんの料理が食べたいの」
ズキューン!!
なんということでしょう、京華の一言により俺の心臓は停止。京華と入れ替わりで病院に行くことになってしまうのでした。
いや…これはしょうがない。普段から美味しいと言ってくれているが、ここまでのことを言ってもらったことは無い。それに付け加え”お兄ちゃん”…だと!?
普段はお兄ぃとしか読んでくれないのに…!?
脳内保存、脳内保存。
「そ、そうか。なら、しょうがないか」
そんな状態の俺には照れ隠しにそんなことを言うしかなかった。
「お兄ぃ?顔赤いよ?大丈夫?」
すごいニヤニヤしながら言ってくる……
絶対言ってるぞ…京華のやつ……
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あのあと、近所のスーパーに行き買い物をした俺と京華。
今は俺はキッチンで炒飯を2人分調理していて、京華はシャワーに入って部屋着に着替えリビングのソファに寝転がりながらラノベを読んでいた。
今朝まで入院していたとは思えないほどの堕落っぷりだ。いや、実際は入院している時も家にいたんだけどね?
それだとしても少し行き過ぎなような気がする…
「京華、テーブルの上食べれるようにしといてくれ。」
「はいはーい」
俺は出来上がった炒飯を皿にのせてテーブルに運ぶ。
「「いただきまーす」」
いつもどうりの、どこにでもありそうな平穏な日常だ。
そこに一抹の違和感を感じずにはいられない。
京華には幽霊だった頃の記憶があると自分自身で言っていた。なのに今日はその話が一度も出ていない。あえてその話題な出さないようにしているのかもしれないが、京華の魂がまた体から離れる可能性があるため、それについて京華とは少し話しておきたい。
ちなみに、京華が俺のたどり着いた結論に気づいていないという可能性は低いと思う。
うちの家は男、つまり俺と父さんよりも女の京華や母さんの方がしっかりしているし物事もちゃんと見ているし、俺や父さんが気づかないことにもよく気づく。母さんの家の血筋かもしれない。
「なぁ京華、幽霊の時の最後の記憶ってなにかわかるか?」
俺は炒飯を食べながら聞いた。
「私とお兄ぃと洋太くんの3人で裏路地にいた時のことかなー」
それを聞いて俺は1つの仮説を立てる。
京華が一昨日本屋の前で気絶した時から再び本屋の前で幽霊として目を覚ますまで、京華が裏路地から消えてから病院で目を覚ますまで。
この2つの共通点は京華の意識が完全に途絶えていること、それとその時間の幅がだいたい同じということ。
つまり、京華の魂が体から離れる時と入る時は数時間京華の意識が完全になくななる必要があるのでは──?
考え込んで急に黙ってしまった俺を不思議に思ったのか京華が声をかけてきた。
「お兄ぃ?どしたの、大丈夫?」
「ん?ああ、いや、少しな…」
京華の皿に目をやるとそこはもう空になっていた。
いつもの事なんだがやっぱり嬉しいよな、こういうの。一昨日のラーメン以降ずっと1人で飯を食っていたため、誰かと食卓を囲めるっていうのは結構幸せなことなんだな、と今更ながらに思う。
俺も残っていた自分の炒飯を平らげ、話始める。
「京華、次いつ幽霊になるかも、とか分かったりしないのか?」
「わかってたらもうお兄ぃに言ってるって」
そして京華は、それにと続ける。
「あんまり気にしてても意味無いでしょ?だからさ、今までどうり過ごしていこうよ」
はぁ……なんだか俺は随分と考えすぎていたらしい。今の状況を理解しないと京華が体に戻れなくなってしまう、とか京華は内心すごく不安何じゃないのか?とか思ってたけど、思い詰める必要は無かったらしい。
もしもの時はもしもの時考えればいい。一見後回ししてるだけにしか見えないが、こんな状況に限って言えばそんなことはないだろう。
今ある情報だけじゃ考えたって何もわからないから今は、今までどうりにしてようよと。
京華は言ってくれているのだろう……もしかしたら俺が拡大解釈している可能性もある。
「そうだな」
俺はなるべく柔らかくなるように笑った。
「あ、そうだ、京華。一応言っておくけど友達とは遊んだりできないからな?急にぶっ倒れたらみんなびっくりするだろ」
そう言うと京華は少しだけ目を見開いて携帯を取り出した。
「あぁ、うんそうだねー」
ものすごい勢いでメールを打っている。
意外なところで抜けている京華だった。