東方魔卿録   作:子アオ

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第11話『招集・遭遇』

 

デスピアズ「……む。」

 

鳥のさえずりで目が覚めた。体を起こして周りを見渡すとそこは鳥居の上。そういえば昨日はここで眠りについたのだったな。

 

デスピアズ「……正午まではあと三、四刻と言ったところか。」

 

もう少し寝ているつもりだったが、まあいい。

鳥居の下に降りると、丁度あの巫女が出てきたところだった。

 

霊夢「あら、早いわね。」

 

デスピアズ「目が覚めただけだ。それよりも、集合の時間まであとどれほどだ?」

 

霊夢「3時間ぐらいね。朝ご飯、食べる?」

 

デスピアズ「……何?」

 

霊夢「だから朝ご飯。」

 

あぁ、そういうことか。どうやら我が思っていたよりも気が利くというべきか、その辺りの保障は抜け目なくしてくれるようだ。

 

デスピアズ「では頂戴するとしようか。」

 

霊夢に連れられ中に入る。朝食が神社の外観と(良い意味で)比例しない内容なので少々驚いたが。

 

食べ終わる頃には、例の時間まで残り二刻と半分ほどになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日の昇りが進んできた頃、神社の鳥居の前に2つの影が着地した。

一人は桃色の服の亡霊── 幽々子。もう1人、これは言うまでもなくマグナだ。

 

幽々子「時間ギリギリになっちゃったわねぇ。」

 

マグナ「誰のせいだと思っている?」

 

幽々子「それはもちろんマグ「お前が人里の甘味処にいちいち寄ろうとしなければもう少し早かったろうに。」何よー主人のせいにするのー?」

 

マグナ「せいにするも何もその通りだろうに。早く行くぞ。」

 

鳥居を潜り、神社の境内に入る。そこには複数の人影が居た。

翼の幼女にメイド、紅い髪の高身長の男、そして青い長髪に眼鏡の男。

虫のような羽が生えた緑髪の少年。

長い黒髪に金目の男に紅と白の巫女服を来た少女。

 

マグナは男達に、幽々子は少女達に見覚えがある。

 

ザンド「お、これで最後か?」

 

イル「らしいのう。」

 

ヴァン「おーマグナー!お久ー!」

 

デスピアズ「貴様が刻限ギリギリとは、珍しいこともあるものだ。」

 

マグナは外見が変わっていても顔と名前が一致する事に笑いがこみ上げそうになるが、抑えて彼らに対応する。

 

マグナ「随分と風貌が変わったな。まあお互い様だが。」

 

霊夢「遅いわよ幽々子。」

 

幽々子「予定の時間より早いんだからいいじゃない。」

 

レミリア「どうだか。もう少し余裕を持つべきではなくて?」

 

幽々子「私のせいじゃないわよ~。マグナが寄り道ばっかり

 

咲夜「どうせ貴方が団子屋にでも寄り道したんでしょうに。」

 

バレバレである。

 

マグナ「で、邪神全員と幻想郷の要人を集めて何を話そうというのだ?」

 

霊夢「まあそうなるわよね。えっと…「マグナマイザーだ。マグナでいい。」ん。マグナの言うことももっともだし、早く始めたいんだけど……。」

 

ザンド「何か問題でもあんのか?腋巫女よォ。」

 

霊夢「その言い方止めなさい。」

 

デスピアズ「奴がまだだな。妖怪の賢者が。」

 

イル「呼びつけたのってその賢者さんじゃなかったっけか?──

 

そんな風に、まだ姿を見せない紫の事をああこう言いながら、ついでに自己紹介なども済ませたりして5分程。

 

突然空間が裂け、1人の女性が現れる。

 

紫「皆さん、お待たせしましたわ。此度は「遅い!」

 

 

スパァンッ!!

 

 

紫が霊夢に大幣で叩かれる。

2、3度叩かれた後、ズレたナイトキャップを直しながら話を戻す。

 

紫「……今回招集をかけたのは他でもない、この新聞の1件です。」

 

紫が新聞を見せる。昨日、霊夢達が読んでいたものだ。

 

紫「この事態に多少の警戒心を抱き、皆様を集めた次第です。ヴァンディール殿、この時の事をご説明願えますか?」

 

ヴァン「え?う、うん。確かアレは──」

 

 

 

ヴァンディールは自らが覚えている範囲の一部始終を話した。

妖怪の山を襲った赤い竜。その竜が仕掛けてきたバトルスピリッツでの勝負。初対面だというのに名を知られていたこと。

 

 

ザンド「……なるほどねぇ。」

 

咲夜「本当に見覚えはないのかしら?忘れてる、とか。」

 

イル「いんやー、ヴァンは敵味方問わず顔を覚えるのは得意じゃ。忘れる事はないじゃろうて。」

 

霊夢「向こうがどっかでアンタらの事が書かれた本でも読んだんじゃないの?」

 

レミリア「姿形がグラン・ロロの時と別物になっているのよ。本で見ただけじゃ判別できないはずだわ。」

 

霊夢「む、それもそうね……。」

 

幽々子「それで、調査をしようという事かしら?紫。」

 

紫「えぇ、その通り。姿が変わった上で彼を判別したという事は、貴方達が幻想郷に来ているのを知って襲撃してきた、もしくは貴方達を送り込んだ張本人という可能性もあります。」

 

マグナ「なるほどな……だが、調査とは言うが、具体的に何をするのだ?敵の背景や正体、目的、数もわからんというのに。」

 

マグナの一言で周りが静まり返る。

 

マグナ「ん?どうした?」

 

デスピアズ「問題はその1点という事だ。襲撃してきたのは一体で、なにか有力な情報を漏らした訳でもない。」

 

ザンド「じゃあ意味ねぇじゃねぇか。」

 

レミリア「それとも、それについて何か案があるとでも?」

 

霊夢「何かあるの?アンタ。」

 

デスピアズ「ない。」

 

イル「それだと話がここで止まるぞい…。」

 

ヴァン「……ねぇ。」

 

マグナ「どうした?まだ何かあるのか?」

 

ヴァン「うん。あの日、戦って勝った後、アイツが引く間際にこう言ったんだよ。」

 

 

 

 

『今回ハ負ケダ。ダガマタ戦ウコトニナルダロウ。』

 

 

 

 

ザンド「…へぇ。」

 

幽々子「また向こうからコンタクトがある、って事かしら?」

 

ヴァン「その認識であってると思う。だから、優先するのは調査よりも、迎撃準備…かな?」

 

咲夜「なるほど…備えておけば、迎え撃つ形で捕縛する事も出来るかもしれない、と。」

 

咲夜の言葉にヴァンは頷く。しかし、ヴァンはそこから 言葉を続ける。

 

ヴァン「でも、情報を集めて回るのも必要だと思うよ。向こうがどれだけいるかは分からないし、僕達だけを狙うとも限らないしね。」

 

霊夢「それもそうね…。」

 

デスピアズ「まとめると、あちら側の襲撃に備えた迎撃準備、そして人里等を回って目撃情報等の収集、か……現時点で出来ることとしては上々だな。」

 

レミリア「だったら、幻想郷に元からいるメンバーは八雲紫を経由して、お前達邪神は…」

 

ザンド「ヴァン経由だな。」

 

マグナ「ヴァンが適任だろう。」

 

イル「ヴァン一択じゃろ。」

 

デスピアズ「ヴァンディールだな。」

 

全員がヴァンの名前をあげる。当の本人もあー、やっぱり?と言ったような表情だが。

 

ザンド「オメェの能力なら立ち回りやすいからな。」

 

ヴァン「やっぱりそうなるよね……了解。じゃあ僕は紫さんと共有ってことで。」

 

両サイド共に、ひとまずの情報網は完成。

 

紫「では幻想郷の皆は私に、貴方達邪神はヴァンディール殿に情報を共有。敵と接触した際ですが…その場合は私に連絡を。すぐに向かいます。」

 

デスピアズ「とりあえずはこんなところか……後は今後の進展次第だ。解散でいいだろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

集まった面々は解散し、人里の付近。レミリア達紅魔館のメンバーが帰投している途中だった。

 

レミリア「迎撃か……正直気に食わないわね。」

 

イル「仕方ないじゃろ。今はこれしか出来んのじゃし。」

 

咲夜「にしても……意外ね。」

 

イル「意外?」

 

咲夜「えぇ。ウロヴォリアスから話を聞いた限り、貴方達が協力するとは思わなかったから。」

 

イル「……まあ、正直バックレたいと思わないわけでもないんじゃがなぁ。」

 

ザンド「本音を言うと同感だ。それでも一応今は紅魔館に身を置いてるからな。レミリアがやるのにオレ達がやらないって訳にはいかねぇだろう。」

 

レミリア「もし貴方達が紅魔館に居なかったら?」

 

ザンド「……さぁな。ま、今回は何故かリーダーもやる気出してるし、それなりに働くさ。」

 

『リーダーがやる気を出している』

これがどういう意味かをレミリアと咲夜は知り得なかったが、道中で2人にそれを聞くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デスピアズ「……。」

 

霊夢「どうしたの?」

 

皆が帰った後、デスピアズはしばらく固まっており、それを不思議に思った霊夢は彼に声をかけた。

 

デスピアズ「いや……奴らも全く変わらんと思ってな。それだけだ。」

 

霊夢「本当にそれだけ?」

 

霊夢は追ってデスピアズに問いかける。

数秒の間のあと、答えが返ってきた。

 

デスピアズ「……あぁ、勿論だとも。それよりもうすぐ昼時だ。我は先に中に居るぞ。」

 

デスピアズはそう言って神社の中に入っていった。

 

霊夢「……そうね。私も準備しようかしら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽々子「彼の様子が変?」

 

マグナ「あぁ。ヴァンも何となく感じただろう?」

 

ヴァン「え?うん……一応。」

 

妖怪の山までの同行という事で、一緒に空を移動する3人。その途中でマグナが呟く。

『ピアズの様子が少しおかしかった』と。

 

幽々子「私は彼の普段を知らないからどうとも言えないけども……どのあたりが?」

 

マグナ「そうだな…まず今回の事に協力している時点で中々に珍しい事だが……。」

 

ヴァン「まぁね。でも……ピアズがマジになってるのって、もっと珍しいよね。」

 

マグナ「あぁ。神皇達との最終決戦でしか見たことがない。」

 

幽々子「…今回の件に心当たりがある、とか?」

 

ヴァン「かもしれないね。もしかしたら───

 

 

───ねぇ。」

 

ヴァンが話を切って2人にアイコンタクトを取る。

2人が頷き、3人とも進行方向を少しズラした後、後ろを向く。

 

マグナ「思ったより早かったな。」

 

ヴァン「まぁ、魚は早く連れた方がいいけどね。」

 

3人の視界の先には黒い鎧のロボットと、朱の竜。

2体ともこちらに向かって飛んできている。

 

 

マグナ「幽々子、妖怪の賢者に連絡を。ヴァン、竜の方は任せたぞ。」

 

ヴァン「りょーかい!」

 

ヴァンとマグナは2体の下に飛んでいく。

距離がそこまで無かったためか、あっという間に両者は鉢合わせる。

 

竜・ロボ「「……ターゲット。」」

 

ヴァン「バトスピで挑んでくるのはアイツと同じか…。」

 

マグナ「問題なかろう。早く終わらせてしまうぞ。」

 

 

 

「「「「ゲートオープン、界放!!」」」」

 

 

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