東方魔卿録   作:子アオ

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第13話『笑んだ睨み』

 

──紅魔館──

 

藍「 ──という訳で、明日また同じ時間に博麗神社に来て欲しい。」

 

ザンド「……。」

 

マグナとヴァンが件の2体を倒した数刻後、藍によってそれを知った紅魔館の面々。

ザンドが大きなため息をついた。

 

イル「事が動くのが早いのう……。」

 

レミリア「同感ね……。」

 

藍「すまないな。だがこの短時間で成果があったものだからな。悪いが、なんとしても来てもらわないと困るよ。」

 

イル「つっても何するんじゃ?その2体を尋問でもすんのか?」

 

藍「その予定だ。」

 

ザンド「はぁ……この手の奴らが下手に口を割るタマでもnグフゥッ!?」

 

ザンドの背中に何かが激突し、途中で言葉を遮られる。

 

ザンド「……なんだよ、フランドール。」

 

フラン「帰ってきたら遊ぶって言ってたでしょー!」

 

レミリア「……あのね、フラン。今は私達は重要な「てなわけでオレ外すわ。」ちょっと?」

 

レミリアの制止も聞かずにザンドはフランと部屋を出ていった。

それと入れ替わりで咲夜が入室してくる。

 

咲夜「紅茶をお持ちしました。藍、貴方も飲んでいって。」

 

藍「ではお言葉に甘えて。」

 

咲夜「…ザンドが妹様と部屋を出ていったけど、いいのかしら?」

 

イル「フランドールと遊ぶのを建前に逃げおったな。」

 

レミリア「アイツめ……。」

 

藍「ハハハ……。では明日、頼めるかな?」

 

レミリア「……わかったわ。咲夜、明日も同じ時間に博麗神社に出向くから、準備を。」

 

咲夜「かしこまりました。」

 

藍「助かるよ。…では、私はこれで。」

 

イル「気ぃつけてな。」

 

レミリア達が明日来るのを確認した藍は、すぐにスキマで帰ってしまった。

 

イル「メテオヴルムにヴァルハランスか……なんでまたそんな奴らが。」

 

レミリア「その2体は名前こそ幻想郷でもそれなりに有名だけれど、どういったスピリットなの?」

 

イル「ワシもよく知らん。一つだけ言えるのは、悪意をもって戦いをするような奴じゃない。2体ともな。」

 

咲夜「……だとしたら、操られている…とか?」

 

イル「もしくは幻想郷にワシらが居るのに気づいて、ワシらを掃除しに来たか、じゃな。後者ならまだ対話の余地はあるが……前者なら黒幕突き止めるまでずっとこんな感じじゃろ。」

 

レミリア「不愉快ね。さっさと黒幕を始末してやりたいわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「さっきは何のお話をしてたの?」

 

ザンド「なんか異変が起こってるらしくてな。それの事だ。」

 

フラン「ふーん……最近は異変なんてなかったのに。」

 

ザンド「どうせすぐ終わるだろ。終わるまでオレもレミリアも忙しいから、あんま遊んでやれねぇぞ。」

 

フラン「…わかった、早く終わるといいね!」

 

ザンド「そうだな……早く……ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──博麗神社──

 

デスピアズ「 ──ッハハハハハ!急展開にも程があろう。」

 

霊夢「うるさいわよ。まあ、急展開だっていうのには同感だけど。」

 

紫「私もよ。では明日、今日と同じ時間に。2人もそれで宜しくて?」

 

霊夢「了解。」

 

デスピアズ「構わない。だが、具体的には何をするのだ?」

 

紫「……2体の尋問…あとはあの2体と交戦した彼らからの報告、といったところでしょうか。」

 

霊夢「アンタ話し方戻しなさいよ。胡散臭い。」

 

デスピアズ「昼頃に霊夢に叩かれたせいで貫禄もなにもないしな。」

 

紫「……ともかく、明日は今言った事の他にも、2人にも本格的に調査に乗り出してもらうわ。いいわね?」

 

霊夢(さらっと戻したわね。)

 

デスピアズ(戻したな。)

 

紫「じゃあ私はこれで。今日も早く寝ることね。」

 

紫がスキマで戻った後、少し間を空けてデスピアズが突然笑い出した。

 

霊夢「何よ、気持ち悪い。」

 

デスピアズ「クククッ…いや、あまりにも事態が早く動いたものでな。」

 

霊夢「それはさっき聞いたわよ。同じ事で笑ってばかりだと気色悪いわよ。」

 

デスピアズ「女とは思えぬ言葉遣いの人間に言われたくはないな。」

 

デスピアズがやれやれといった身振りをする。霊夢はそれが勘に障ったのか、デスピアズの頭を叩こうと、大幣を振る。

 

デスピアズ「─おっと。2度は同じ手は喰わんぞ?」

 

大幣はデスピアズが張った障壁に阻まれ、衝撃音が響く。

 

デスピアズ「すぐに手を上げるのは如何なものかと思うがな。」

 

霊夢「アンタのその上から目線な態度が治ったら考えてあげる……ご飯にするわ。片付けはよろしく。」

 

デスピアズ「ハァ……仕方ない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の昼前、昨日博麗神社に集まった面々が再び会していた。

 

ザンド「へぇ、コイツらがねぇ。」

 

イル「2体とも本物じゃのう。」

 

昨日捉えた2体を囲んでいる構図である。

すると、マグナが一歩前に出て2体に問いかける。

 

マグナ「さて……貴様らに質問しよう。答えたくなければそれで結構。」

 

ヴァルハランス「貴様らに開示する報せは有らず。」

 

ヴルム「そういうことだ。諦めるがいい。」

 

ヴァン「僕らを狙った目的は?」

 

ヴァル・ヴルム「「……。」」

 

霊夢「何が目的で襲ったのかしら?」

 

ヴァル・ヴルム「「………。」」

 

ウロヴォリアス「……貴様らはグラン・ロロから来た、間違いないな?」

 

ヴルム「……そうだが。」

 

エグゼシード「その様子だと、俺達とは違って自分の意志できたみたいだな。」

 

レミリア「……分かってはいたけど埒があかないわね。いっそのこともう殺す?」

 

幽々子「せっかちさんねぇ。」

 

咲夜「私もお嬢様と同意見です。」

 

ヴァン「ハハ……こんがらがってきたぞ……。」

 

皆ある程度分かってはいたが、全く口を割らぬ2人にどうすべきか決めあぐねていた。

 

紫「……1度この2体のことは放置しましょうか。先にマグナ殿とヴァン殿に話を「待て」

 

紫の言葉を遮って、デスピアズが2体の前に出る。

デスピアズがしゃがみこんで2体と同じ目線になる。

 

デスピアズ「最後にひとつ質問がある。『YES』か『NO』の2択だ。」

 

ヴァル・ヴルム「「……?」」

 

デスピアズ「貴様ら───

 

 

 

 

───自分が自分であると証明できるか?」

 

 

マグナ「……どういうことだ?」

 

霊夢「質問の意味が私たちでもわかんないんだけど。」

 

デスピアズ「理解する必要はない。して、答えはどうだ?」

 

ヴァルハランス「……肯定する。」

 

ヴルム「……同じく。」

 

デスピアズ「………そうか。わかった。」

 

紫「……今のは?」

 

デスピアズ「いや、特にどうということは無い。ただの個人的な質問だ。」

 

「しかしながら、中々いい的を射ているとは思いますよ。流石は邪神皇殿。」

 

咲夜「的を射ている……どういうことで───ッ!?」

 

咲夜が声の方にナイフ数本を投げる。しかし、その声の出処に居た男は左手で全て弾き飛ばした。

 

「素晴らしい技をお持ちのようだ。警戒心も高い。従者とはかくあるべきでしょうな。」

 

全員「「「──!!??」」」

 

全員が声の方を振り向く。すると、そこには黒に近い紫髪、そして紫の服を着た男の姿が。

 

男「お初にお目にかかります。吸血鬼のお嬢、そしてその従者の方。さらには亡霊の姫に妖怪の賢者、巫女の方、最後に邪神の皆々様。仕事で少々お邪魔させていただいています。」

 

透き通るような声で、誠実な口調で話す男。

邪気や悪戯心のような感情は一切混ざっていなかったが、そこにいる全員が彼を警戒した。

 

男「まずは驚かせてしまったことをお詫びします。

仕事というのも、その2体を引き取りに来たと言うだけですので、終わり次第すぐにここから立ち去ります。」

 

ザンド「へぇ、テメェがコイツらの上司か。」

 

レミリア「親玉が自分から出向いてくれるのはありがたいわね。」

 

前に出たのはザンドとレミリア。それに続いてイルと咲夜も前に出る。

 

男「御二方を返すつもりは無い、と仰りたいのでしょうか?」

 

イル「見りゃわかるじゃろ。お前さんさては察しが悪いタイプじゃな?」

 

男「これは耳が痛い。全くもってその通りです。」

 

困ったように男が苦笑いする。すると、後ろから声が聞こえた。

 

ヴァン「そういうわけだからコイツらの回収は諦めなよ。ついでに君の無事も。」

 

気がつくとヴァンは男の後ろの上空に居て、退路を塞いでいた。

男はため息をつく。

 

男「逃げに回るのは得意ですよ。ですが私も『アイツらを回収してこい』と命令を受けているので、手ぶらと言うわけには行きませんが。」

 

男「そこで、です──これで決めませんか?」

 

男が取り出したのはデッキ。すなわち、バトスピで決めようという事だ。

 

イル「──いいじゃろう。ワシがやる。」

 

イルが他の3人よりも前に出る。するとザンドが抗議に出た。

 

ザンド「人の獲物とるんじゃねぇよ。」

 

イル「一応ここにいる全員の事を考えて言ってるんじゃがなぁ……仮にワシ以外だとしたらピアズぐらいじゃろ。」

 

男「──では、イマージョ殿。お手柔らかに。」

 

ザンド「おい、テメェまで「まあ見てろ。ワシにも考えがあるんじゃよ?」……ッチ。」

 

ヴァン「情けない真似しないでよねー。」

 

イル「(お前さんには言われたくないのう……)んじゃ、やろうかの。」

 

男「承知しました。私が勝てばそこの者を回収して帰らせて頂きます。貴方が勝てば甘んじて縄に入りましょう。」

 

イル「いいぞ。……その前にじゃが、お前さん何者じゃ?」

 

イルがそう問うと、男は目を丸くした。

身元を聞かれるとは思っていなかったらしい。

 

男「何者、というほどのものでもございません。『 蛇噬(ダク)』とお呼びください。仲間内での私の渾名です。」

 

イル「了解じゃ。じゃあ蛇噬や。お手柔らかに(・・・・・・)、のう?」

 

蛇噬「フフ──承りました。」

 

 

 

 

イル・蛇噬「「ゲートオープン、界放!!」」

 

 

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