──紅魔館──
藍「 ──という訳で、明日また同じ時間に博麗神社に来て欲しい。」
ザンド「……。」
マグナとヴァンが件の2体を倒した数刻後、藍によってそれを知った紅魔館の面々。
ザンドが大きなため息をついた。
イル「事が動くのが早いのう……。」
レミリア「同感ね……。」
藍「すまないな。だがこの短時間で成果があったものだからな。悪いが、なんとしても来てもらわないと困るよ。」
イル「つっても何するんじゃ?その2体を尋問でもすんのか?」
藍「その予定だ。」
ザンド「はぁ……この手の奴らが下手に口を割るタマでもnグフゥッ!?」
ザンドの背中に何かが激突し、途中で言葉を遮られる。
ザンド「……なんだよ、フランドール。」
フラン「帰ってきたら遊ぶって言ってたでしょー!」
レミリア「……あのね、フラン。今は私達は重要な「てなわけでオレ外すわ。」ちょっと?」
レミリアの制止も聞かずにザンドはフランと部屋を出ていった。
それと入れ替わりで咲夜が入室してくる。
咲夜「紅茶をお持ちしました。藍、貴方も飲んでいって。」
藍「ではお言葉に甘えて。」
咲夜「…ザンドが妹様と部屋を出ていったけど、いいのかしら?」
イル「フランドールと遊ぶのを建前に逃げおったな。」
レミリア「アイツめ……。」
藍「ハハハ……。では明日、頼めるかな?」
レミリア「……わかったわ。咲夜、明日も同じ時間に博麗神社に出向くから、準備を。」
咲夜「かしこまりました。」
藍「助かるよ。…では、私はこれで。」
イル「気ぃつけてな。」
レミリア達が明日来るのを確認した藍は、すぐにスキマで帰ってしまった。
イル「メテオヴルムにヴァルハランスか……なんでまたそんな奴らが。」
レミリア「その2体は名前こそ幻想郷でもそれなりに有名だけれど、どういったスピリットなの?」
イル「ワシもよく知らん。一つだけ言えるのは、悪意をもって戦いをするような奴じゃない。2体ともな。」
咲夜「……だとしたら、操られている…とか?」
イル「もしくは幻想郷にワシらが居るのに気づいて、ワシらを掃除しに来たか、じゃな。後者ならまだ対話の余地はあるが……前者なら黒幕突き止めるまでずっとこんな感じじゃろ。」
レミリア「不愉快ね。さっさと黒幕を始末してやりたいわ。」
フラン「さっきは何のお話をしてたの?」
ザンド「なんか異変が起こってるらしくてな。それの事だ。」
フラン「ふーん……最近は異変なんてなかったのに。」
ザンド「どうせすぐ終わるだろ。終わるまでオレもレミリアも忙しいから、あんま遊んでやれねぇぞ。」
フラン「…わかった、早く終わるといいね!」
ザンド「そうだな……早く……ね。」
──博麗神社──
デスピアズ「 ──ッハハハハハ!急展開にも程があろう。」
霊夢「うるさいわよ。まあ、急展開だっていうのには同感だけど。」
紫「私もよ。では明日、今日と同じ時間に。2人もそれで宜しくて?」
霊夢「了解。」
デスピアズ「構わない。だが、具体的には何をするのだ?」
紫「……2体の尋問…あとはあの2体と交戦した彼らからの報告、といったところでしょうか。」
霊夢「アンタ話し方戻しなさいよ。胡散臭い。」
デスピアズ「昼頃に霊夢に叩かれたせいで貫禄もなにもないしな。」
紫「……ともかく、明日は今言った事の他にも、2人にも本格的に調査に乗り出してもらうわ。いいわね?」
霊夢(さらっと戻したわね。)
デスピアズ(戻したな。)
紫「じゃあ私はこれで。今日も早く寝ることね。」
紫がスキマで戻った後、少し間を空けてデスピアズが突然笑い出した。
霊夢「何よ、気持ち悪い。」
デスピアズ「クククッ…いや、あまりにも事態が早く動いたものでな。」
霊夢「それはさっき聞いたわよ。同じ事で笑ってばかりだと気色悪いわよ。」
デスピアズ「女とは思えぬ言葉遣いの人間に言われたくはないな。」
デスピアズがやれやれといった身振りをする。霊夢はそれが勘に障ったのか、デスピアズの頭を叩こうと、大幣を振る。
デスピアズ「─おっと。2度は同じ手は喰わんぞ?」
大幣はデスピアズが張った障壁に阻まれ、衝撃音が響く。
デスピアズ「すぐに手を上げるのは如何なものかと思うがな。」
霊夢「アンタのその上から目線な態度が治ったら考えてあげる……ご飯にするわ。片付けはよろしく。」
デスピアズ「ハァ……仕方ない。」
翌日の昼前、昨日博麗神社に集まった面々が再び会していた。
ザンド「へぇ、コイツらがねぇ。」
イル「2体とも本物じゃのう。」
昨日捉えた2体を囲んでいる構図である。
すると、マグナが一歩前に出て2体に問いかける。
マグナ「さて……貴様らに質問しよう。答えたくなければそれで結構。」
ヴァルハランス「貴様らに開示する報せは有らず。」
ヴルム「そういうことだ。諦めるがいい。」
ヴァン「僕らを狙った目的は?」
ヴァル・ヴルム「「……。」」
霊夢「何が目的で襲ったのかしら?」
ヴァル・ヴルム「「………。」」
ウロヴォリアス「……貴様らはグラン・ロロから来た、間違いないな?」
ヴルム「……そうだが。」
エグゼシード「その様子だと、俺達とは違って自分の意志できたみたいだな。」
レミリア「……分かってはいたけど埒があかないわね。いっそのこともう殺す?」
幽々子「せっかちさんねぇ。」
咲夜「私もお嬢様と同意見です。」
ヴァン「ハハ……こんがらがってきたぞ……。」
皆ある程度分かってはいたが、全く口を割らぬ2人にどうすべきか決めあぐねていた。
紫「……1度この2体のことは放置しましょうか。先にマグナ殿とヴァン殿に話を「待て」
紫の言葉を遮って、デスピアズが2体の前に出る。
デスピアズがしゃがみこんで2体と同じ目線になる。
デスピアズ「最後にひとつ質問がある。『YES』か『NO』の2択だ。」
ヴァル・ヴルム「「……?」」
デスピアズ「貴様ら───
───自分が自分であると証明できるか?」
マグナ「……どういうことだ?」
霊夢「質問の意味が私たちでもわかんないんだけど。」
デスピアズ「理解する必要はない。して、答えはどうだ?」
ヴァルハランス「……肯定する。」
ヴルム「……同じく。」
デスピアズ「………そうか。わかった。」
紫「……今のは?」
デスピアズ「いや、特にどうということは無い。ただの個人的な質問だ。」
「しかしながら、中々いい的を射ているとは思いますよ。流石は邪神皇殿。」
咲夜「的を射ている……どういうことで───ッ!?」
咲夜が声の方にナイフ数本を投げる。しかし、その声の出処に居た男は左手で全て弾き飛ばした。
「素晴らしい技をお持ちのようだ。警戒心も高い。従者とはかくあるべきでしょうな。」
全員「「「──!!??」」」
全員が声の方を振り向く。すると、そこには黒に近い紫髪、そして紫の服を着た男の姿が。
男「お初にお目にかかります。吸血鬼のお嬢、そしてその従者の方。さらには亡霊の姫に妖怪の賢者、巫女の方、最後に邪神の皆々様。仕事で少々お邪魔させていただいています。」
透き通るような声で、誠実な口調で話す男。
邪気や悪戯心のような感情は一切混ざっていなかったが、そこにいる全員が彼を警戒した。
男「まずは驚かせてしまったことをお詫びします。
仕事というのも、その2体を引き取りに来たと言うだけですので、終わり次第すぐにここから立ち去ります。」
ザンド「へぇ、テメェがコイツらの上司か。」
レミリア「親玉が自分から出向いてくれるのはありがたいわね。」
前に出たのはザンドとレミリア。それに続いてイルと咲夜も前に出る。
男「御二方を返すつもりは無い、と仰りたいのでしょうか?」
イル「見りゃわかるじゃろ。お前さんさては察しが悪いタイプじゃな?」
男「これは耳が痛い。全くもってその通りです。」
困ったように男が苦笑いする。すると、後ろから声が聞こえた。
ヴァン「そういうわけだからコイツらの回収は諦めなよ。ついでに君の無事も。」
気がつくとヴァンは男の後ろの上空に居て、退路を塞いでいた。
男はため息をつく。
男「逃げに回るのは得意ですよ。ですが私も『アイツらを回収してこい』と命令を受けているので、手ぶらと言うわけには行きませんが。」
男「そこで、です──これで決めませんか?」
男が取り出したのはデッキ。すなわち、バトスピで決めようという事だ。
イル「──いいじゃろう。ワシがやる。」
イルが他の3人よりも前に出る。するとザンドが抗議に出た。
ザンド「人の獲物とるんじゃねぇよ。」
イル「一応ここにいる全員の事を考えて言ってるんじゃがなぁ……仮にワシ以外だとしたらピアズぐらいじゃろ。」
男「──では、イマージョ殿。お手柔らかに。」
ザンド「おい、テメェまで「まあ見てろ。ワシにも考えがあるんじゃよ?」……ッチ。」
ヴァン「情けない真似しないでよねー。」
イル「(お前さんには言われたくないのう……)んじゃ、やろうかの。」
男「承知しました。私が勝てばそこの者を回収して帰らせて頂きます。貴方が勝てば甘んじて縄に入りましょう。」
イル「いいぞ。……その前にじゃが、お前さん何者じゃ?」
イルがそう問うと、男は目を丸くした。
身元を聞かれるとは思っていなかったらしい。
男「何者、というほどのものでもございません。『
イル「了解じゃ。じゃあ蛇噬や。
蛇噬「フフ──承りました。」
イル・蛇噬「「ゲートオープン、界放!!」」