東方魔卿録   作:子アオ

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第15話『成さねば成らぬ異変解決』

「───。」

 

とある部屋。この部屋には見覚えがある。

紛れもなく自分の部屋だ。

 

旧世界、世界の中で邪神がもっとも大きな勢力だった頃、自分が使っていた部屋だ。

 

部屋を出て、廊下を移動する。

体の大きいアルティメット達に配慮された廊下は、人の身になった今見てみれば相当の大きさだ。

 

廊下を進み、テラスに出る。

そこから見えたのは火だった。

 

戦の火。

 

邪神とスピリットが戦っている。

建物が崩れ、悲鳴や叫びがあがる。

 

 

『──状況はどうなっている!?』

 

『敵の3分の1がもう広場まで来てる!空にはその倍!このままだと押し負けるよ!』

 

『ヴァンディールは広場に迎え!空は我が対処する!!』

 

『了解!!』

 

ヴァンディールが広場に向かった。が、自分は追わない。

追うのはもう一方の方。つまり空に向かう。

 

空に出ると、光が見えた。

 

光線を照射して周囲を薙ぎ払う邪神──言うまでもなく自分だった。

 

そこからは何度も同じ光景を見ていた。

向かってくる敵を周りの奴らごと薙ぎ払う。

別の方向からまた向かってくる。

 

薙ぎ払う。

 

薙ぎ払う。

 

薙ぎ払う。

 

そうしていくと、敵の残りは約3割ほどとなっていた。

倒し切るために前に出て、もう一度光線を──

 

 

 

 

 

 

 

『思ったよりやるねぇ。こりゃ計算外だ。』

 

嘲笑うような声が耳に入り、上を見上げる。

 

黒い龍だった。本来の自分より少し小さい体躯の黒い龍。

そしてその上に乗るのもまた黒き龍。

後者の体躯は自分と比べるまでもないが、明らかに他のスピリットとは違う。

 

「──。」

 

『……!!』

 

 

 

 

 

「『おまえは───』」

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、そうだ。コイツは───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──いい加減起きろッ!!!」

 

突然頭部に激しい痛みを伴い、目を覚ます。

頭をさすりながら体を起こすと、視界に入るのは紅と白。

 

霊夢「ったく、いつまで寝てるのよ。さっさと起きて布団片付けなさい。」

 

デスピアズ「はぁ……何も大幣で叩くことはなかろう。」

 

霊夢「そう思うならさっさと起きろ。」

 

デスピアズ「……。」

 

はて、自分を邪神皇と言い出したのはどこの誰であったか。

その者がこの状況を見たら、腹を抱えて笑い出すだろう。

 

霊夢「起きて朝食食べたらすぐに出るわよ。」

 

そう言うと霊夢は部屋を出ていった。

 

デスピアズ「はぁ……全く、横暴な女よ。」

 

嫌な夢に最悪の目覚め。

厄日の始まりを予感した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「………んにゃ?」

 

起きたら目の前に本が積まれていた。

あ、そっか。ワシ寝落ちしたんじゃった。

 

机に突っ伏した状態で顔だけ回すとパチュリーが同じ姿勢で寝ていた。

 

可愛いのう──なんて思いながらしばらく眺める。すると彼女の片目が空いた。

 

パチュリー「……んぅ?」

 

イル「ぐっもーにん、パチュリー。寝顔ごち

 

 

激痛。

 

本の角(金具付き)がこめかみに落ちてきた。

エグいぐらいに痛い。

 

イル「……アルティメットトリガークリティカルヒッ

 

 

激痛。

 

これに関してはちょっと理不尽じゃないのか。

 

流石に3回目は嫌なので、体を起こして椅子から立ち上がる。

そしてすぐさま出かける準備をする。

 

パチュリー「いきなりどうし……あぁ、そういうこと。」

 

そういうことだ。昨日の件もあって、朝からザンドと調査に出ることになっているのである。

 

パパっと準備して図書館を出ようとすると。

 

パチュリー「……いってらっしゃい。気をつけて。」

 

決めた。ワシ今日がんばる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イルが外門に着くと、そこには3人が立っていた。

 

ザンド「おせぇぞ寝坊野郎。」

 

イル「いやーすまんすまん。」

 

ザンド「ったく……じゃ、行ってくらぁ。」

 

咲夜「気をつけて。夕方までには切り上げてきなさい。」

 

咲夜の言葉に2人は頷き

 

美鈴「あ、人里に寄ったらお土産にお団子お願いしまーす。」

 

美鈴の言葉は有意義に無視して紅魔館を出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イル「──お前さん空飛べないの致命的では?」

 

ザンド「うっせ。仕方ねぇだろ。」

 

徒歩で道を歩く。ザンドは飛べない、かと言ってイルがザンドを担ぐのは不可能なのでこうなる。

 

イル「まあたまには歩きもアリじゃの。よーし!今日は頑張るぞいっと!」

 

ザンド「なんだそのテンション……。」

 

イル「パチュリーからいってらっしゃいを貰ったからのう!今日の儂は一味違うぞー!」

 

ザンド「へいへい。勝手にやってろ。」

 

イルがおかしな事を言ってザンドが呆れるのもいつもの事である。道を歩いていると、見知った顔が視界に入る。

 

 

妹紅「…あれ?喧嘩コンビじゃん。どしたの?」

 

藤原妹紅。イルとザンドの喧嘩を見てから、2人のことを『喧嘩コンビ』と呼んでいる。

 

ザンド「ちょいと仕事でな。」

 

イル「仕事か?」

 

ザンド「仕事だろ。」

 

妹紅「どっちなのさ。」

 

妹紅が笑いながら突っ込む。ザンドは妹紅に例のことを聞いてみることにした。

 

ザンド「なぁ、妹紅。ところで──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹紅「なるほどねぇ……いや、そういう奴はまだ見てないし、聞いてもいないかな。」

 

ザンド「そうか、サンキュな。」

 

妹紅「力になれなくて悪いね。じゃ、頑張って。」

 

ザンド「おう。」

 

言葉を交わして、2人は妹紅と分かれる。

 

 

 

 

ザンド「んじゃ、手当り次第行くとするか。」

 

イル「望み薄じゃがのー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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準備を終え、神社の外に出た2人はこれからどう動くかを話していた。

 

霊夢「──調査って言っても、雲を掴むような話よね。手がかりは主犯の1人に潰されるし、敵がいつどこに出るかも分かったもんじゃないし。」

 

デスピアズ「……今まで多くの異変を解決してきたと聞いたが、その貴様でも今回は難解か?」

 

霊夢「あのねぇ。今までの異変は紅い霧だとか春が来ないだとか間欠泉だとか、発生源がなんとなく特定できるものばっかだったのよ。

でも今回は『敵が襲ってくる』だけ。しかも主犯は恐らくグラン・ロロの奴らでしょ?」

 

デスピアズ「今までと根本的に違う、と?」

 

霊夢「そゆこと。……はぁ、仕方ない。アイツの家にでも行きましょうか。って訳で、早速行くわよ。」

 

デスピアズ「……どこにだ?」

 

デスピアズが霊夢にそう聞くと、霊夢は少し気だるそうに答えた。

 

 

 

 

 

 

霊夢「──魔法の森よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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私は魔法使いである。

名前は霧雨魔理沙。

 

魔法の研究をしたりバトスピをしたり、まあどこにでもいる普通の魔法使いだ。

 

ここ最近はずっと家に籠って魔法の研究に没頭している。

 

研究というのは1度始めると止まらないもので、昨日も気がついたら日が暮れてた。

 

でも研究ばかりしていては体が鈍る。今日は久しぶりに霊夢のとこにでも行こうか、などと考えていたら──

 

 

 

コン、コン

 

 

 

魔理沙「ん?」

 

どうやらお客ようだ。

 

魔理沙(珍しいな……アリスか?)

 

そう、珍しいのだ。私は他人の家に出向く事はあっても家に来られることはあまり無い。

 

魔法の森に住んでいる以上は仕方ないけどな。

 

さて誰か、と思いつつドアを開けると、そこにはさっきまで思い浮かべていた友人の姿が。

 

霊夢「久しぶり。最近全く来ないから死んだのかと思ってたわ。」

 

魔理沙「おいおい出会い頭に言うセリフにしては縁起でもないな。魔理沙さんはいつでも元気だぜ?」

 

互いに軽口を叩くのも慣れたもの。付き合いが長いからこんな会話も自然に出てくる。

すると、霊夢の後ろにもう1人、私の知らない姿が木に背を預けていた。

 

「……その白黒が魔理沙という奴か?」

 

霊夢「そうよ。アンタもこっち来なさい。」

 

魔理沙「なんだ?男作った報告にでも来たのか?魔理沙さん妬いちまうぜ?」

 

霊夢「バカ言ってんじゃないわよ。ただの異変調査の協力者。」

 

魔理沙「……異変?」

 

異変と聞いちゃ黙っちゃいられない。とりあえず2人を中に入れる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デスピアズ「──というわけで、現在調査中だ…と言っても調査を始めたのは昨日今日で、まだほとんど何も成果は上がっていないのだが。」

 

名前をデスピアズと名乗った黒髪の男は、やれやれといった様子で言葉を切った。黒幕やその目的が一切不明瞭な異変か。面白そうだぜ。

 

霊夢「そゆこと。アンタも何か見てないかと思って来たんだけど……。」

 

魔理沙「最近は家に籠りきりだったからな。特にそういうのは何もみてないぜ。」

 

霊夢「そうよねぇ……。」

 

魔理沙「にしてもグラン・ロロねぇ……エグゼシード達がこっちに来るまではただのマユツバだと思ってたけどな。」

 

霊夢「そんなん私もよ。確かめようがないんだし。」

 

魔理沙「そういやアイツは?家に置いてきたか?」

 

霊夢「寝てるわよ。アイツバトルの時ぐらいしか起きないし。」

 

デスピアズ「……して、霊夢よ。これからどうする?」

 

霊夢「そうねぇ……とりあえず近辺を捜索して、何もなければ今日は切り上げましょうか。」

 

魔理沙「よし、私もついてくぜ!」

 

霊夢「は?なんでよ?」

 

魔理沙「人手は多い方がいいだろ?それに最近体を動かしてないし、たまには運動もしないとな。」

 

霊夢「……まぁいいけど。なら早速行きましょうか。」

 

デスピアズ「分かった。」

 

魔理沙「外で待っててくれ。箒取ってくる。」

 

2人にそう言って、魔法道具を置いてある部屋に入る。

そして机に立てかけてある箒を取って

 

魔理沙「……?」

 

違和感を感じて窓に目を向ける。

 

魔理沙「……気のせいか?」

 

霊夢『魔理沙ー!早くしなさーい!』

 

魔理沙「っと、鬼巫女の催促だ。今行くのぜー!!」

 

一瞬感じた違和感を頭の隅に追いやって、我が家を出た。

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