東方魔卿録   作:子アオ

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第19話『鉄は熱いうちに』

 

目が覚めて布団から身を起こす。外を見ればまだ太陽が地平線から顔を出し始めた頃だった。

 

存外早い目覚めになってしまったが、遅いよりはマシだろう。

 

デスピアズ「さて……行くか。」

 

起きて早々と準備を始める。

朝食?要らぬ。元々食事を摂取しなければ死んでしまうほど惰弱な身体でもない。

 

霊夢はまだ寝ているようだが、起こす必要も無いだろう。無理矢理起こして一撃喰らうような事があってはたまらん。

 

外に出る。半分ほど姿を見せた太陽を見遣り、少し物思いにふける。

 

太陽…か。昔その名を冠した竜が居たとか。後に射手座の神にまで昇ったと言うが、詳しくは知らない。

自分たちが封印されていた時代にあった出来事の事など把握しかねる。

 

デスピアズ「……そろそろ向かわねばな。なるべく戻りたいものだ。」

 

地を蹴り、空に出る。

さて、今日は多くの場所を回ることになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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妖夢「──バトルしましょう。」

 

マグナ「……??」

 

朝食に使った食器を洗い、簡単な部屋の掃除を終えた。

幽々子は冥界の主人としての仕事に向かったので今は留守だ。

そうすると当然やる事が無くなる訳であり、何をしようかと考えていると、妖夢から声をかけられた。

 

マグナ「……バトル、か?」

 

妖夢「はい。珍しく2人とも時間が空いていることですし、もしだったら、と思いまして。」

 

マグナ「構わないが……なぜいきなり?」

 

妖夢「……言うなれば気分転換みたいなものでしょうか。最近マグナさんは白玉楼の仕事と異変の調査でずっと働き詰めですし……。」

 

まあ、言われるとその通りなのだが。

 

妖夢「それに最近難しい顔をしてる事も多いので……。」

 

……確かに異変に関係した事で思考を巡らす事は多いが、顔に出ていたとは。

確かにそれはあまり良くないかもしれない。

 

マグナ「そうだな。たまにはいいだろう。受けて立つぞ。」

 

妖夢「ふふっ、わかりました!負けませんよ!」

 

マグナ「それは俺とて同じこと。では庭に出るとしよう。」

 

 

2人で庭に出る。デッキを構え、いつもの掛け声と共に

 

 

妖夢・マグナ「「ゲートオープン、界放!!」」

 

 

 

2人の周囲が塗り替えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マグナ「先攻後攻、選んでいいぞ。」

 

妖夢「では、お言葉に甘えて。私のターン!」

 

妖夢「『小火竜ヒノコ』を召喚。召喚時効果でデッキを4枚オープン。」

 

 

ホワイトホールドラゴン

グラウンドブレイク

アルティメット・シャイニングドラゴン

アルティメットウォール

 

 

妖夢「アルティメットであるシャイニングを手札に加え、残りをデッキの下に。ターンエンドです。」

 

 

妖夢

R:0 T:3 H:5 D:34

 

ヒノコ:【1】Lv1

 

 

マグナ「では俺のターンだ。『ワンアイドデーモン』、そして『ボーン・バード』を召喚。ボーンバードの召喚時効果でデッキを3枚破棄し、その後1枚ドローする。」

 

 

獄土の大騎士オルダ・グラナトス

暗極天スピネルドラゴン

冥騎獅アロケイン

→トラッシュ

 

 

マグナ「さらに『旅団の摩天楼』を配置。配置時効果で1枚ドロー。ターンエンドだ。」

 

 

マグナ

R:0 T:3 H:4 D:30

 

ワンアイド:【1】Lv1

ボーン・バード:1 Lv1

旅団の摩天楼:0 Lv1

 

 

妖夢「やっぱり展開が早いですね…。」

 

マグナ「元々そういう戦い方が得意でな。準備するにも敵を叩くにも、早い方がいいというもの。」

 

妖夢「鉄は熱いうちに打て、という事ですね。私のターン。」

 

妖夢「『デブリ・ザード』を召喚。さらに『赤龍の剣刃探知機』をLv2で配置。ターンエンドです。」

 

 

妖夢

R:0 T:2 H:4 D:33

 

デブリ・ザード:1 Lv1

ヒノコ:【1】Lv1

赤龍の剣刃探知機:1 Lv2

 

 

マグナ「お前も随分と入念に準備をする。」

 

妖夢「攻める為の準備ですよ。赤も紫も、攻撃を得意とするのは共通ですから。」

 

マグナ「その通りだな。俺のターン。」

 

マグナ「さて、妖夢は俺のやり方を鉄は熱いうちに打て、と評したな。」

 

妖夢「……はい。」

 

マグナ「ならば早速実行に移すとしよう。

 

──我が統べるは闇の大地。戦の舞台にて、ただ敵を地獄へと還す者────『獄土の四魔卿マグナマイザー』召喚!!」

 

地面から吹き出た紫の柱を斬り、その中から現れるアルティメット。

もう言わずと知れたマグナのキーカードであり、彼自身だ。

 

 

マグナマイザー Lv3 BP14000

 

 

妖夢「は、はやっ!?」

 

マグナ「ワンアイドデーモンはコスト確保のため消滅。アタックステップ、マグナマイザーでアタック!」

 

妖夢「──来ましたね!」

 

トリプルアルティメットトリガーにより、妖夢のデッキの上3枚が宙に舞う。

 

 

ネオ・ダブルドロー 4

ガーネットドラゴン 4

星騎槍ガクルックス 4

 

 

マグナ「すべて4コスト。トリプルヒットだ!効果は分かっているな?」

 

妖夢「分かってます──でもさせません!【トリガーカウンター】!!」

 

マグナ「!……ほう。」

 

妖夢「『サンブレイカー』!デッキから2枚ドローし、ヒットしたカードに赤のカードがあればトリガーをガードします!!」

 

マグナマイザーの斬撃を太陽の壁が阻む。壁は斬撃を受け砕けるが、それと同時に斬撃の威力も殺した。

 

妖夢「アタックはライフで受けます!」

 

 

妖夢:ライフ5→4

 

 

マグナ「ボーンバード、続け!」

 

妖夢「それは…それもライフです!」

 

明らかなチャンプアタックだが、妖夢はそれをライフで受ける。何かあると踏んだか。

 

 

マグナ「ターンエンドだ。」

 

 

マグナ

R:0 T:4 H:4 D:29

 

マグナマイザー:【1】Lv3

ボーン・バード:1 Lv1

旅団の摩天楼:0

 

 

妖夢「サンブレイカーを引けていなければと思うと怖いですね………私のターン。ドローステップに赤龍の剣刃探知機の効果が発揮。ドロー枚数を+1。カードをドローした後に手札を1枚捨てます。」

 

 

熱血剣聖リューマン・バーンカラー

→トラッシュ

 

妖夢「こちらも行きます!召喚!『アルティメット・シャイニングドラゴン』!」

 

 

アルティメット・シャイニングドラゴン Lv3 BP10000

 

 

妖夢「さらに『太陽神剣ソルキャリバー』をシャイニングに直接合体して召喚!アタックステップ!」

 

妖夢「アルティメット・シャイニングドラゴン、お願いします!アルティメットトリガー、ロックオン!」

 

 

マグナ「む……!」

 

 

暗極天イブリース コスト4

 

 

妖夢「来ました!ヒットです!」

 

イブリースのカードが撃ち抜かれる。これはヒット時に当たり前のようにある事だが、普段のそれと少し様子が違った。

 

妖夢「ソルキャリバーの追加効果!ヒットしたカードがアルティメットカードなら、合体してない相手のアルティメットを破壊します!」

 

マグナ「何っ!?」

 

シャイニングがソルキャリバーを振るうと、巨大な炎の斬撃がマグナマイザーを焼いた。

 

妖夢「シャイニングドラゴンそのもののヒット効果は、使用しません!ここからメインアタックです!」

 

マグナ「ライフで受けよう!」

 

 

マグナ:ライフ5→3

 

 

妖夢「ターンエンドです!」

 

 

妖夢

R:0 T:5 H:4 D:26

 

Uシャイニング:【1】Lv3

ヒノコ:1 Lv1

赤龍の剣刃探知機:1 Lv2

 

 

マグナ「俺のターン……ふむ、ものの見事に捌かれるとはな。」

 

妖夢「これが私のアルティメットの力ですとも!」

 

妖夢は得意気な顔をする。マグナはその顔を見て何故だか自然と笑ってしまった。

そして同時にマグナは思う──この状況少し…いや結構マズい、と。

 

マグナ「(さて、どうするか……。)『旅団の摩天楼』を配置。配置時効果で1枚ドロー。さらに『暗極天スピネルドラゴン』、『暗極天イブリース』を召喚。イブリースの召喚時効果で1枚ドローする。」

 

マグナ「ターンエンドだ。」

 

 

マグナ

R:0 T:5 H:4 D:25

 

スピネルドラゴン:1 Lv3

イブリース:1 Lv3

ボーン・バード:【1】Lv1

旅団の摩天楼:0 Lv1 ×2

 

 

妖夢「私のターン。光より来たれ!黄金の剣聖よ!!

『アルティメット・アーク』召喚!!」

 

 

アルティメット・アーク Lv4 BP15000

 

 

マグナ「キーカード揃い踏み…か。」

 

妖夢「さらに『火星神剣マーズブリンガー』をアークに直接合体して召喚!コスト確保のため、ヒノコは消滅します。」

 

剣を携えた2体の赤い龍。その刃がマグナに向けられる。

 

妖夢「アタックステップ、アルティメットアークでアタック!アルティメットトリガー、ロックオン!」

 

マグナのデッキのカードが1枚宙を舞う。

 

マグナ「……『獄土の騎士レフティス』、コスト3だ。」

 

妖夢「ヒットです!ここでマーズブリンガーの効果、ヒットしたときの効果の発揮を取り止めます!」

 

マグナ「なに……?」

 

取り止めたにしてもアークはトリプルシンボル。アタックを通す選択肢はない。

 

マグナ「イブリースでブロックだ!」

 

イブリースが迎え撃つ…が、一瞬のうちに斬り伏せられ破壊される。

 

 

妖夢「続けてアルティメット・シャイニングドラゴンでアタック!アルティメットトリガー!」

 

またもやアルティメットトリガーが発揮。

コストは6、『デパーテッドソウル』

シャイニングドラゴンのコストは6のため、ガードとなる。

 

しかし、ソルキャリバーの効果でBP4000以下のスピリット、つまりボーンバードが破壊された。

 

マグナ「(……ここで受けるしかあるまい!)ライフで受ける!」

 

 

マグナ:ライフ3→1

 

 

マグナ「ッ……ライフ減少により、スピネルドラゴンの【Uハンド】でのバースト発動!『絶甲氷盾』!ライフ回復後、コストを支払うことでアタックステップを終了させる!」

 

妖夢「むむっ…。」

 

マグナ「(凌いだか…。)俺の「いいえ、マーズブリンガーの効果はまだ終わってません。」

 

 

妖夢「マーズブリンガーによって先程停止させたヒット効果、その停止したヒット効果を変換します!」

 

疲労していたアークとシャイニングドラゴンが起き上がる。

さらに、フィールド全体に火が走った。

 

妖夢「ヒット効果を発揮させないことでそのターンの終了時に1度だけ、自分のアルティメットを三体回復させ、もう一度アタックステップからやり直します!」

 

マグナ「ッ!?」

 

妖夢「アーク、お願いします!アルティメットトリガー、ロックオン!」

 

 

このバトルで何回目になるかというアルティメットトリガー。

めくれたカードのコストは1、『冥騎獅アロケイン』だ。

 

妖夢「ヒット!ヒット効果で、BP15000以下のスピネルドラゴンを破壊!!」

 

アークがスピネルドラゴンを斬り伏せ、マグナに突進する。

 

マグナ「……ライフだ。」

 

 

 

 

マグナ:ライフ0

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マグナ「これは俺の完敗だな……。」

 

妖夢「そんな事ありませんよ。運が良かっただけです。」

 

妖夢はそう言うが、マグナはそれを心の中で否定した。

あれは恐らく妖夢の完全勝利だろう。

 

妖夢「……あの、マグナさん。」

 

マグナ「む?どうした?」

 

妖夢「その……今、バトルして感じたんですけど……。」

 

マグナ「……なんだ?」

 

妖夢「あの……お気を悪くされ無いでくださいね?」

 

おどおどしながら話す妖夢。今のバトルで何かあった訳でもないだろうに、とマグナは思った。

 

マグナ「気を悪くなどしない。言ってくれて構わんぞ?」

 

妖夢「……では。

マグナさん、その────

 

 

 

───戦い方が、少し怖いな、と。」

 

………怖い?

意味がわからず聞き返す。

 

妖夢「はい……私のデッキはアークだけじゃありません。もう1人のエースとしてのシャイニングや防御を任せられるガーネットがいるから、安心して戦えます。」

 

マグナ「ふむ。」

 

妖夢「でも……マグナさんのデッキは、貴方を勝ちに繋ぐのが貴方自身だけなんじゃないかな、と……。」

 

マグナ「………。」

 

その瞬間、思考が開けた。

 

ザンド……奴は相棒としてデフェールがいた。ここでもそれは変わらないようだった。

ヴァン……アイツには終焉甲帝やアトラス達がいる。

イルにはスキッドメン達がいるし、デスピアズは現在三龍神と共に戦っている。

神皇達も、一体では厳しい時は2体で、それでダメなら3体で、というように戦ってきた。

 

 

 

───俺は、どうだろうか。

 

 

 

向こうにいた時は、ほぼ必ず1対多の状況で戦っていた。自慢でないがそれで負けたのは封印される時と死ぬ時の2回以外負けていない。

 

妖夢と会った時のバトル……あの時も自分で戦況を覆した。

ヴァルハランス……前述の2つと同様。

 

腕に覚えはある。戦況を覆す自信と、実際に成功した多くの事実がある。

 

 

 

 

 

 

 

───だがそれは、いつまで持つ?

 

 

 

 

 

 

マグナ「……フフッ。」

 

妖夢「……?」

 

マグナ「……なぜ奴等に負けたのか、気になっていた。勝るとは断ぜずとも、劣らぬ自信はあった。……だが負けた。」

 

妖夢「……。」

 

マグナ「まさかこんなところで答えを得るとはな。……仲間を信頼しなかった訳では無いが……今思えば、頼った事もほとんどなかったか。」

 

妖夢「……それは、仲間の人達からしたら、悲しい事だと思います。」

 

マグナ「……あぁ。」

 

妖夢「もっと…頼っていいんだと思います。マグナさんは強いですけど、1人では出来ないこともあります。

他の邪神の人達でも、幽々子様でも……私でも、頼って欲しいなって思います。」

 

強さ以前の問題。そう考えると不思議と腑に落ちた。

いつからだろうか──俺だけで充分だ、等と考えるようになったのは。

 

少し自嘲気味に笑った後、マグナは屋敷の中へ上がろうとする。しかし、数歩歩いたところで立ち止まる。言わなければならないことを思い出した。

それでマグナは、振り返ることなく

 

 

 

 

 

 

────礼を言う。ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋敷の中に入り、廊下を進む。すると見慣れた、しかしここには居ないはずの者の姿が。

 

デスピアズ「まさか四魔卿たる貴様があのような娘に諭されようとはな。宴の席での酒の肴が出来た。」

 

マグナ「……気づいていたのか?」

 

デスピアズ「部下の弱点にも気づけぬようなら邪神の皇など名乗らん。まあ、常日頃から顔をあわせている我が忠告しても、貴様は気づかなかっただろうが。」

 

マグナ「……否定はできんな。」

 

実際そうだっただろうと思った。

気づかせてくれた妖夢には感謝しかない。

 

デスピアズ「敵との戦になる前に気づいたのが幸いだな。やはり何事も早めに成されるに限る………それはそうと、我がここに来た理由だが。」

 

マグナは2枚のカードを受け取る。金と紫のカード。どちらもアルティメットだ。

 

デスピアズ「無縁塚に居た2体だ。今の貴様になら従うだろう。」

 

マグナ「……貰っておく。」

 

デスピアズ「ならいい。」

 

マグナ「……要件はそれだけか?」

 

デスピアズ「勿論だ。明け方頃に無縁塚に向かってスピリットやアルティメット達のカードを探した後、ザンドとイル、それにヴァンと会ってカードの一部を渡してきた。言うなれば戦力補充だな。」

 

マグナ「……珍しく積極的に動くな。何か訳があるのか?」

 

デスピアズ「……いや、何も。強いて言うなら勘という奴よ。」

 

デスピアズ「そろそろ神社に戻る。霊夢を1人にするのは現状良いとは言えんからな。」

 

マグナ「そうか…気をつけろよ。」

 

デスピアズ「無論。」

 

デスピアズはそう言うと足早にその場を去っていった。

入れ替わるように、妖夢の声が聞こえてくる。

 

どうやら昼食の準備をするようだ。いつもの倍作る等という言葉が聞こえたがそんなものは知らない。

マグナは早歩きで厨房に向かった。

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