東方魔卿録   作:子アオ

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第21話『不可解』

ヴァン「……。」

 

妖怪の山を飛び回るヴァン。普段は他の天狗と班を組んで行う懲戒任務だが、近頃はヴァンのみ単身で行っている。

 

理由は単純明快。無駄に火が回るのを避けるためだ。

腕にも逃げ足にも自信があるため、単身の方が何かと対処しやすい。

 

もっとも、そのような事態は未だ1度として起きていないが。

 

 

ヴァン「……。(今日も怪しい奴は居ない……にしても、今日は妙に静かだなぁ……。)」

 

1度地面に足をつき、辺りを見回す。

あまりにも静か過ぎる。

 

ヴァン(小さい妖怪1匹すら見当たらない……ん?)

 

ヴァンが少し先を見ると

 

 

ヴァン「──!?」

 

 

ヴァンはその先に向けて走り出す。

その表情は少しばかりの焦りが見えた。

 

ヴァン「大丈夫!?」

 

そこに居たのは倒れた1人の天狗。

急いで駆け寄って、意識を確認する。

 

「んァ、アンタか……ウゥ……。」

 

怪我はしていないようだが、完全に弱りきっているようだった。

 

ヴァン「どうしたの!?今から運ぶからしっかり「しん……に……しゃ……銀のか……と……」……ッ!ねぇ、ちょっと!!」

 

弱々しく呟いた後は、ヴァンの問いかけに答えることは無かった。

ヴァンが歯を軋ませていると、突如背後から気配を感じる。

 

ヴァン「ハッ!!」

 

振り向きざまに鎌を振るうと、向かってくる刀とぶつかり、金属の音が響く。

ヴァンが目に捉えたのは、緑の袴を来た男だった。

見覚えは全くないが、今のヴァンにとってはどうでもいい。

恐らく先程事切れた天狗を襲った1人であろう事は明白だ。

 

ヴァン「えいっ!!」

 

男「む!?」

 

体重を乗せて鎌を押し込むと、男は抵抗することなく跳んで後退する。

ヴァンは流れるように、そのまま鎌で後方180°を薙ぐ。

 

後ろの木々が吹き飛ぶと同時に、1つの銀色の影がヴァンの頭上を超えて男の隣に着地した。

 

銀色「おいおい!話ちげーっての!簡単に間合い離されてどうすんだよ!?」

 

男「拙者に戦闘面での期待をするのは間違いであろう。自他ともに弱いのは知れていることよ。」

 

銀髪の男と袴の男が口論を繰り広げる。

少しの間の後、両者ともにヴァンの方を向いた。

 

ヴァン「……さっきの彼を殺ったのは?」

 

銀髪「名前くらい聞いたって良くね?俺っちは『フェン』。ちなみにさっきの天狗の奴を殺ったのはコイツさ。」

 

男「名乗らねばならぬものか?……まあいい。拙者は『ゴグマザン』。特に名を上げる事も出来なかった弱小者よ。」

 

ヴァン「あっそ。僕の名前は知ってるだろ?」

 

フェン「もち。ヴァンディールの名前はグラン・ロロでも結構有名だったからな。酉と卯をいっぺんに相手取ったんだろ?大したもんだ。」

 

ゴグマ「御託はよかろう。拙者達が相見えた今起こる事はただ一つのみよ。」

 

ヴァン「だね。じゃあ死ね。」

 

ゴグマ「概ね予想通りだな……ターゲット。」

 

ヴァン「!」

 

ゴグマ「捉えればもう拒否する選択肢はなかろう?」

 

ヴァン「……いいだろう。」

 

ヴァンもデッキを構える。

両者ともに戦闘態勢だ。

 

 

ゴグマ「ゲート「上だ!避けろ!」!?」

 

フェンとゴグマザンが左右に散る。すると、2人の居た場所に光の柱が降り、その場所を焼いた。

 

フェン「……へへっ。随分とデカい魚が釣れたじゃねぇの。やっぱ仕掛けって楽しいわ。」

 

デスピアズ「……なるほどな。アレは貴様が書いたのか。」

 

現れたのはデスピアズ。突然の乱入にヴァンは驚く。

 

ヴァン「えっ!?なんで!?」

 

ヴァンの問いに答える代わりに、ひとつの便箋を投げ渡す。そこには

 

ヴァン「『明日妖怪の山でドンパチやるから来なすって。アンタの部下死ぬかもだしな。』……え、これで来たの?」

 

フェン「来ない選択肢ないっしょ。『部下の命』って言われたらねぇ?」

 

デスピアズ「何を勘違いしているのだ?

釣り針にサメがかかって逆に喰われる事態を想定していないようだな。」

 

フェン「おーおー言うねぇ。……──。」

 

デスピアズ「何?」

 

フェン「いや、なんでも。ゴグマザン、風の卿を頼むわ。俺っちは王様の接待やってるからよ。」

 

ゴグマ「荷に負けているのではないか?」

 

フェン「どうだかねぇ?」

 

デスピアズ「結局そうなるか。ターゲット。」

 

フェン「トラッパーをターゲットとは言い得て妙だな!上等!」

 

ゴグマ「……行くぞ。若き名将よ。」

 

ヴァン「……いいだろう。全力で迎え撃とう!」

 

四人「「「「 ゲートオープン!界放!! 」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ゴグマ「望むなら先攻は差し上げるが、如何するかな?」

 

ヴァン「……なら貰おうか。僕のターン。」

 

ヴァン「『獄風の小隊アントマン』を召喚。召喚時効果で1コアブースト。ターンエンド。」

 

 

ヴァン

R:1 T:3 H:4 D:35

 

アントマン:【1】Lv1

 

ゴグマ「ターンを貰おう。『百刀衆 風来のベニカミ』を召喚。召喚時効果でコアブースト。ターンエンドよな。」

 

 

ゴグマザン

R:1 T:3 H:4 D:35

 

ベニカミ:【2】Lv1

 

 

ヴァン「僕のターン。『バーゴイル』を召喚し、召喚時効果でコアブースト。さらに『邪神域』をLv2で配置。ターンエンド。」

 

 

ヴァン

R:0 T:4 H:3 D:34

 

バーゴイル:【1】Lv3

アントマン:1 Lv1

邪神域:0 Lv1

 

 

ゴグマ「ターンを貰う。『三十三代目風魔頭首ヤタガライ』を召喚。召喚時効果で2コア貰うぞ。」

 

ゴグマ「では我が得物が1つ、お見せしよう……『風王銃ヘビーエグゾースト』を召喚。ヤタガライよ、それを持つがいい。」

 

ヤタガライがヘビーエグゾーストを担ぐ。すると次の瞬間、ヤタガライの周囲に暗雲がたちこめる。

 

ヴァン「!?」

 

ゴグマ「ここでもうひとつ効果が発動する……系統:神銃を持つブレイヴの召喚時、そのブレイヴ、及びその持ち主に煌臨する!!

 

 

────我が力は”老い”の象徴。盛者必衰の理の体現。『闇輝石六将 百刀武神ゴグマザン』、ヤタガライに煌臨せい!!」

 

 

ヤタガライが雲に隠れる。

そのしばらくあと、雲が一閃の下に切り払われ、姿を見せたのは銃と刀を構えた武士だった。

 

 

ゴグマザン Lv1 BP8000+5000→13000

 

 

ヴァン「こんな早くに……!?」

 

ゴグマ「そこまで驚くこともなかろうに。ターンエンド。」

 

 

ゴグマ

R:0 T:7 H:2 D:34

ゴグマザン:【1】Lv1

ベニカミ:1 Lv1

 

 

ヴァン「僕のターン。『獄風の探索者カゲロウ・シーカー』をLv4で召喚。召喚時効果、デッキを3枚オープン。」

 

 

絶甲氷盾

インファナルウインド

邪神域

 

 

ヴァン「チッ…手札に加える対象が居ないから全部破棄。」

 

ヴァン「続けて『ネオ・ダブルドロー』を使用。デッキから3枚ドロー。そして『命の果実群生地』を配置。支払うコストはアントマンを消滅させて確保。」

 

ゴグマ「よく動く……。」

 

ヴァン「そりゃどうも。もう一度『ネオ・ダブルドロー』を使って3枚ドロー。ターンエンド。」

 

 

ヴァン

R:0 T:【6】 H:6 D:24

 

バーゴイル:1 Lv3

カゲロウシーカー:1 Lv3

邪神域:0 Lv1

命の果実群生地:0 Lv1

 

 

ゴグマ「ターンを貰おう。『テッポウナナフシ』を召喚。召喚時効果発揮。手札を全て捨て、そちらの手札の枚数分ドローする。」

 

ヴァン「……。」

 

ゴグマ「裏目に出た……とは思っていないようだな。顔に出さぬだけ、という事もあるが。」

 

ヴァン「フン……。」

 

ゴグマ「……『蒼き蜂皇オオセイボゥ・A』を召喚。召喚時に3コアブースト。テッポウナナフシを合体し、ゴグマザンをLv2に。」

 

ヴァン(…来るか!)

 

ゴグマ「仕掛けさせてもらおうか。オオセイボゥでアタックだ!」

 

ゴグマ「アタック時効果でターンに1度回復。さぁ、どうする?」

 

ヴァン「ライフだ!」

 

オオセイボゥがテッポウナナフシを構え、ヴァン目掛けて2発撃つ。

その2発でヴァンはライフを2つ奪われる。

 

 

ヴァン:ライフ5→3

 

 

ゴグマ「では次だ!ゴグマザンでアタック!」

 

ヴァン「させるか……バーゴイルで「フラッシュタイミング!」なっ!?」

 

ゴグマ「我が肉体を喰らい、現れ出でよ!!【煌臨】、『煌陸帝フォン・ダシオン』!!」

 

ヴァン「煌臨…!!」

 

ゴグマザンの身体を光が上書きしていく。光が消えると、一体の緑龍に姿を変えていた。

 

ゴグマ「系統:誕晶神を持つゴグマザンに煌臨した時、ソウルコアの支払いを無視する。

さらにフォンダシオンの煌臨時効果!BP4000以上のそちらのアルティメットを全て疲労させるとしよう!!」

 

フォンダシオンの咆哮でシーカーとバーゴイルが吹き飛ばされる。

ヴァン「ッ……通すかッ!!フラッシュタイミング、【烈神速】召喚!!」

 

ゴグマ「ほう…!」

 

ヴァン「Lv4で来い、『アルティメット・セイリュービ』!!そして迎え撃て!!」

 

セイリュービがフォンダシオンを迎撃する。

爪と剣、銃と尾がそれぞれぶつかり合う。

 

ゴグマ「やりおるわ……だがそれでは残りの2体のアタックで終わりだ。ただの足掻きにしかならんぞ?」

 

ヴァン「足掻きかどうか見せてやるよ……アルティメットトリガー!」

 

ゴグマ「む…!?」

 

ヴァンが人差し指を向けると、ゴグマのデッキの1番上がオープンされる。

 

ゴグマ「コスト7、『百刀衆 煌刃のミヤマ』だ。」

 

ヴァン「ヒット!アルティメットトリガーのヒット効果で、オオセイボゥを疲労させる!!」

 

セイリュービが放った風に巻き込まれ、今度はオオセイボゥが吹き飛ぶ。

そんな事も気にせず、セイリュービはフォンダシオンに剣撃を放つが、フォンダシオンは銃を盾に捌いていく。

 

数合の撃ち合いの後、セイリュービが2本の剣を投げ、対するフォンダシオンは銃の引鉄を2回弾いた。

 

銃弾と剣は、1本はそれぞれ相殺し合うが、もう一本はすれ違い、両者に直撃。相打ちとなった。

 

 

ゴグマ「見事なり……ターンエンドだ。」

 

 

ゴグマ

R:0 T:5 H:4 D:27

 

ヘビーエグゾースト:3 Lv1

オオセイボゥ:3 Lv2

ベニカミ:【2】Lv1

 

 

ヴァン「僕のターン……ひとつ聞く。」

 

ゴグマ「何だ?」

 

ヴァン「さっきお前はお前自身を煌臨の土台としてフォンダシオンを煌臨させた……オオセイボゥじゃなかったのは何で?」

 

ゴグマ「……と、言うと?」

 

ヴァン「仮にも自分の身体だ。それをそう易易と他人にやるのはどうかと思ってね。」

 

ゴグマ「一理ある……が、拙者にはそれは当てはまらん。」

 

ヴァン「……?」

 

ゴグマ「結論から言うとしよう……拙者はな。弱いのだよ。」

 

ヴァン「…弱い?」

 

ゴグマ「左様。所詮戦の才に恵まれなかった身だ。であるならば、自らが戦って死ぬより、力ある者からそれを借りればいいだけの事。」

 

ヴァン「……。」

 

ゴグマ「元よりそれで失うものなどない。自らを捨てる事で頭の益になるならば、それが最上というものだ。」

 

ゴグマ「理解したか?」

 

ヴァン「……あぁ、わかったよ………お前が厄介だってことが。」

 

ゴグマ「ほう……。」

 

ヴァン「バーゴイルを召喚しコアブースト、命の果実群生地の効果でさらにコアブースト。」

 

ヴァン「邪神域をLv2に上げ、疲労させる。これで次に召喚するアルティメットの召喚条件を無視する──

 

──初陣だ、気合い入れなよ!

召喚『アルティメット・ギガ・ガルレイヴ』!!」

 

複頭の狼が吠える。ヴァンの新しいアルティメットだった。

 

ヴァン「ギガガルレイヴの召喚時効果で味方すべてに1つずつコアブースト!つまり4コアブースト!」

 

強烈な勢いでコアブーストをしていくヴァン。ゴグマもこれには舌を巻く。

 

ヴァン「真打はここからだ────我が統べるは地獄の暴風。その風は同志を鼓舞し、敵に敗北を与えん!『獄風の四魔卿ヴァンディール』Lv4で召喚!!」

 

 

ヴァンディール Lv4 BP22000

 

 

ゴグマ「来たか……!」

 

ヴァン「アタックステップ!ヴァンディールでアタック!」

 

ヴァンディールが上空に飛ぶ。そして、それと同時に空に穴が空いた。

 

 

ヴァン「我が魂よ!風の暴威となって吹き荒れよ!【ソウルドライブ】発揮!!」

 

ヴァン「ソウルドライブの効果、アルティメットが三体出るまでデッキを破棄し、その三体を召喚に必要な要素を全て無視して召喚する!!」

 

 

止まない風の森

木星神剣ジュピターセイバー

神狼テンペスター

神虎ベンガウル

邪神域

絶甲氷盾

絶甲氷盾

獄風極天クルビデンス

 

 

ヴァン「テンペスター、ベンガウル、クルビデンスをそれぞれ召喚!コアは小型のアルティメット達から確保する!」

 

空の穴から三体のアルティメットが降りてくる。

 

ゴグマ「たった一ターンでこれ程まで展開するとはな……だがまだ終わらんよ!」

 

ゴグマ「フラッシュタイミング、ヤタガライの【アクセル】を使用!そちらのテンペスター、クルビデンス、ギガガルレイヴを疲労させ、こちらのオオセイボゥとヘビーエグゾーストを回復させる!」

 

フィールド全体を包む風が巻き起こり、ヴァンのアルティメット達は押さえつけられて、ゴグマのスピリット達は逆に立ち上がる。

 

ヴァン「ならこっちだって!フラッシュタイミング、『インファナルウインド』!!

ソウルコアが除外されている状態なら、相手のスピリットを全疲労させ、こっちのアルティメット全員に3コアずつコアを追加する!!」

 

ヴァンディールが鎌を払うと、先程回復した2体も含めて全てのスピリットを吹き飛ばした。

 

ゴグマ「使い所を見誤ったか?ブロッカーが居なくともこちらのライフは削りきれまい!」

 

ヴァン「どうだかね!ここでクルビデンスのLv4効果!

系統:邪神を持つアルティメット、つまり自身とヴァンディールにシンボルを追加する!」

 

ヴァンディールが鎌でゴグマのライフを奪う。

その後すぐさま後退し、今度は鎌を投げてダメージを与える。

 

ゴグマ「なん……!?」

 

ヴァン「ヴァンディールの効果で、アタックを通したアルティメットは、追加でライフを奪える!

続け、ベンガウル!」

 

ヴァンの指示でベンガウルが吠え、ゴグマに突進する。

 

 

ゴグマ「ッ────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───流石だな。」

 

 

 

 

 

 

ゴグマザン:ライフ0

 

 

 

 

 

 

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