東方魔卿録   作:子アオ

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第26話『いつも通りの朝』

 

紅魔館の一室。

私物はほとんど無く、家具もタンスと簡素なベッド、そして鏡のみ。

そしてそのベッドには寝ている1人の男が。

 

ザンド「……ンァ?もう朝かよ……。」

 

ザンドだ。ベッドから体を起こし、二、三度首を振ったあと、タンスから雑に執事服を引っ張り出して、着替える。

 

ザンド「ん、おっけ。」

 

ふと、鏡を見る。そこには当然だが、執事服を来たザンド自身の姿が。

 

ザンド「この服にも随分と慣れたもんだなァ。……さて、今日も仕事だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザンド「適当でいいか。」

 

咲夜「ダメに決まってるでしょう。手を抜くのは許さないわよ。」

 

ザンド「へいへい。」

 

咲夜にお叱りを受けながら朝食の準備を始める。30分程で全員の分が完成した。

 

咲夜「じゃあ私はこれを運んでお嬢様を起こしてくるわ。妹様の方をお願いね。」

 

ザンド「あいよ。」

 

最低限の会話のみを交わした後、それぞれ厨房を出る。

紅魔館の日常が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「おはようございます、お嬢様。朝ですよ。」

 

レミリア「……んぅ~。」

 

咲夜が声をかけると、レミリアが目を覚ました。

 

咲夜「既に朝食の準備が済んでいます。パチュリー様やイル、小悪魔ももうダイニングルームでお待ちしておりますので。」

 

レミリア「……分かった。先に行っていてちょうだい。」

 

咲夜「よろしいのですか?」

 

レミリア「ええ。」

 

咲夜「承知しました。では、失礼します。」

 

レミリア「ありがとう。」

 

レミリアが咲夜を先に向かわせた事に特に意味は無い。

なんとなく、そういう気分だったのだ。

 

レミリア「さて……。」

 

レミリアはタンスの中から着替えを取り出し始める。

着替えを見つける頃には、中が乱雑になってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザンド「……さて。」

 

一方ザンドは地下室に繋がる階段を降りている。

距離としてはかなり長いが、走っていくとその音でフランが起きてしまう事があるのだ。

 

ちなみにその際、フランに怒られているので、こうして歩いて向かっている。

 

階段を降りきり、廊下を進む。

 

ザンド(今いきなり元の姿に戻ったりしたらどうなるんかねぇ……まぁ、壁と天井全部ぶっ壊すだろうが。)

 

などと考えながら、廊下を歩く。

しばらく歩いていくと、扉が見えてくる。言わずとも分かる、フランの部屋である。

 

ザンド「毎回思うがもうちょっと距離考えた設計にして欲しいよなぁ……ったく。」

 

ノックも無しにドアノブに手をかけ、ドアを開ける。

 

 

ザンド「おーい、フランドール。朝飯出来たから起こしに来たぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「おはよう、皆。」

 

パチュリー「えぇ、おはよう。」

 

小悪魔「おはようございます。」

 

美鈴「おはようございます!!」

 

レミリア「朝イチから大声出さないでよ……。」

 

美鈴「あはは、すみせません……。」

 

レミリア「全く……イル、貴方どうしたの?」

 

レミリアがイルを見ると、イルはテーブルの上に突っ伏してダウンしていた。

 

レミリア「……また徹夜したのかしら?」

 

美鈴「睡眠時間の削りすぎは体に毒ですよ。」

 

小悪魔「普段から寝ている人が言うと説得力ありますね。」

 

レミリア「へぇ?」

 

美鈴「ちょ!?小悪魔さん!?あぁ、ええとですねお嬢様、これは「面白いことを聞いたわね。」咲夜さああああああん!?」

 

イル「おぬしらうるさいのぅ……朝ぐらいもう少し静かにせぃ……。」

 

レミリア「……で、何があったの?」

 

パチュリー「寝すぎよ。昨日は普段の倍くらい寝たせいで、逆に体が動かなくなってるのよ。」

 

イル「そゆことじゃぁ……。」

 

レミリア「はぁ……情けない。」

 

イル「うるへぇ……。」

 

小悪魔「そういえば妹様とザンドさんは?」

 

レミリア「……そういえば来てないな。何故だ?」

 

パチュリー「朝から2人で遊んでるのかしら?」

 

美鈴「いやー、流石のお2人でもそれは……。」

 

咲夜「……仕方ないわね。お嬢様、私が様子を見てき──

 

咲夜がそう言おうとした瞬間──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───爆発音が響いた。

 

 

 

レミリア「ッ!?」

 

パチュリー「……敵襲かしら。こんな朝早くから。」

 

イル「……地下室に行く階段のとこじゃな。お前さんら!行くぞい!」

 

イルの言葉に全員が頷き、部屋を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイニングに居た面々が地下室への階段にたどり着くと、扉が壊れており、そこは煙が舞っていた。

 

 

レミリア「……?」

 

が収まり始めると、煙の中にはザンドが立っていた。

ただし、両手に剣を持ち、階段の方をじっと見たままだが。

 

レミリアがザンドは駆け寄って

 

レミリア「ザンド!何してるの!?それにフランは──」

 

 

 

 

 

 

ザンド「───見てみろ。」

 

 

レミリア「え?」

 

レミリアは階段の方を見遣る。すると、暗闇の中からフランが歩いて出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───炎剣では無く、ガラスのようなもので出来た剣を携え、普段とは一転した青い双眼を光らせながら。

 

レミリア「………え?」

 

フラン?「あぁ、人が集まってきてしまったか。ブラムザンドを早めに殺しておいて、スムーズに事を済ませたかったのだけれどね。」

 

フランの声ではない声が聞こえる。

ザンドとイル以外は、その状況に戸惑い、硬直してしまっていた。

 

咲夜「妹様…?」

 

フラン?「この子の事だね。しばらく体を借りているよ。何、事が終われば五体満足で返すさ。」

 

イル「……何モンじゃ?お前さん。」

 

ザンド「スピリットなのは見てわかるが……感じるモンが他の奴らと全然違ぇな。神か何かか?」

 

フラン?「ご明察。僕は『フェニックス・ゴレム』という者だ。虚神、と言えば大方のことは分かるかな?」

 

パチュリー「虚神……?確か、グラン・ロロに昔からいる神、だったかしら。」

 

美鈴「知ってるんですか?」

 

パチュリー「グラン・ロロの伝承が書いてある本に乗っていただけよ……曰く、『万物を滅ぼす六柱』と。」

 

フェニックス「そこまで知られているのか。僕達も無駄に有名になってしまったね。さて、僕が彼女の体を借りている理由だが。」

 

フェニックス「……ターゲット。」

 

フェニックスゴレムがレミリアを指差す。

すると、レミリアのポケットが光を放った。

 

フェニックス「辰の十二神皇……その首、貰うとしよう。」

 

ザンド「てめぇ……最初にオレに喧嘩ふっかけてきてターゲットはレミリアだァ?」

 

フェニックス「君に気づかれるのは予想外だったのでね。荒い気性から鈍いのかと予測していたよ。」

 

ザンド「……へぇ。言うねぇ。今すぐここでぶっ殺「ザンド、待て!」

 

イル「そいつが使ってるのはフランの体じゃぞ!そいつを剥がせない今手は出せん!!」

 

ザンド「ッ……ちっ!」

 

フェニックス「そういうことだ。ちなみに、バトルフィールドなら、僕を剥せるよ?」

 

レミリア「………いいでしょう。受けて立つわ。起きなさい、ウロヴォリアス。」

 

ウロヴォリアス「……今回は珍しく深刻なようだな。いいだろう。」

 

フェニックス「では始めようか。」

 

レミリア「……先程の言葉、嘘はないな?」

 

フェニックス「あぁ、勿論だ。先程の言葉も……辰の十二神皇の首を貰うという言葉もね。」

 

レミリア「それは有り得ないな。お前はここで捕まえる!!」

 

 

 

2人「「ゲートオープン!!界放!!」」

 

 

2人の間の空間が光、2人を呑んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザンド「レミリアの奴、大丈夫だろうな……?」

 

咲夜「……信じるしかないわ。今出来ることはそれしか……。」

 

ザンド「……チッ。」

 

 

 

 

────紅魔館の異変が始まる。

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