東方魔卿録   作:子アオ

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第29.5話『キマグレワンデイ』

霊夢「───出かける?」

 

デスピアズ「うむ。」

 

霊夢「なんでまた。」

 

デスピアズ「単なる気紛れだ。」

 

霊夢「………はぁ?」

 

霊夢の疑問はもっともだろう。

時期が時期である上、先日の魔理沙との事もある。そのような事をしている場合があるのか。

 

デスピアズ「まぁ貴様の言いたいことも理解できる。幻想郷の危機かもしれない時だ。」

 

霊夢「ええ。」

 

デスピアズ「加えて貴様は病み上がりだ。」

 

霊夢「ええ。」

 

デスピアズ「だから出かけるぞ。」

 

霊夢「アンタどっかで頭でも打った?」

 

デスピアズ「正常だが?」

 

霊夢はいまいちピアズの意図が分からない。

一体何がしたいのだろうか。

 

霊夢「てか出かけるって言ってもどこに行くのよ?」

 

デスピアズ「そうだな……人里、紅魔館…後は白玉楼や妖怪の山に行ってみるのも面白くはあるか。」

 

霊夢「1人で行ってなさい。」

 

デスピアズ「そういう訳にもいかん。しばらくの間は貴様の側を離れないと言ったであろう。」

 

霊夢「なら出かけなければいいじゃない。」

 

デスピアズ「貴様が我に付いてくれば良い話でもあろう?」

 

互いの間に流れる沈黙。

先に破ったのは霊夢だった。

 

霊夢「……分かったわよ。行けばいいんでしょ。ったく……。」

 

デスピアズ「決まりだな。そうとなれば早速出向くとしよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで私とピアズは今人里に向かっている。

 

ったく……なんだってわざわざ外出なんてしなきゃなのよ……めんどくさいわね……。

 

デスピアズ「面倒だ、といった顔をしているな。」

 

霊夢「当たり前でしょ。今日は神社でぐうたらしてたかったのに。」

 

デスピアズ「太るぞ?」

 

前々から思っていたが、コイツの辞書にはデリカシーというものがないようね。お仕置きが要るかしら。

 

霊夢「……。」

 

デスピアズ「なぜ睨む?気に障るようなことでも言ったか?」

 

あーもうコイツダメね。邪神皇だかなんだか知らないけどお仕置きが必要だわ。

 

デスピアズ「む?どうした霊夢?何故大幣など持って──うおっ!?待て待て待て!いくら我とてそれは効く!落ち着け!!痛い!!痛いからやめろ──!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人里につく。

ピアズは頭を片手で抑えながら溜息をついた。

 

デスピアズ「なぜ我はあそこまで叩かれた……。」

 

霊夢「自業自得でしょ。女の子に”太る”なんて単語使うアンタが悪いのよ。」

 

デスピアズ「解せぬ……。」

 

霊夢「さ、まずは甘味処にでも行きましょうか。お昼代わりに。」

 

丁度近くにあったので、そこで団子を5、6本頼んで待つ。

 

その間に、横に座っているコイツに先程から思っていた事を聞いてみる。

 

霊夢「で?なにが目的なのよ?」

 

デスピアズ「…目的?」

 

霊夢「わざわざ外出した目的よ。」

 

デスピアズ「……先程も言ったであろう。気紛れだ。」

 

霊夢「ホントかしら。なんか他に目的があるように思えるけど?」

 

デスピアズ「………。」

 

デスピアズ「いいや、何も。」

 

霊夢「なによそれ……ま、そっちが話す気ないならもういいわ。問い詰めるのも面倒だし。」

 

団子が届く。アイツに3本ほど渡したが、さっきひた隠しにされたのは少し気に食わなかったので、1本掠め取って食べてやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「で、次はどこに行くのかしら。」

 

デスピアズ「そうさな………む?」

 

霊夢「?」

 

デスピアズ「何か聞こえるな。微かにだが。」

 

霊夢「……なんも聞こえないんだけど。」

 

デスピアズは、音のするらしい森の中に入っていく。

霊夢も溜息をつきながらその後に続く。

 

デスピアズ「……まぁ、我の耳でも微かに聞こえる程度だ。人間の聴覚ならばその程度だろうな。」

 

霊夢「なんでアンタの聴力が人間より上なのが前提なの?」

 

デスピアズ「邪神も神の端くれ。神は人の上位存在だろう?」

 

霊夢「なーんか納得行かないわね……。」

 

デスピアズ「逆に聞くが、何が気に食わないのだ?別段、貴様自身を罵倒している訳ではなかろう。」

 

霊夢「アンタのその物言いよ。自分は他人の上にいる、みたいなその態度よ。」

 

デスピアズ「なるほどな……そう思ったことはないが。」

 

霊夢「……は?嘘つきなさい。」

 

デスピアズ「このような嘘つく意味があるまい。

我はそこまで自己の評価を高くつけている訳では無いぞ。」

 

霊夢「へぇ……ホントかしら。」

 

霊夢がもう少し疑ってかかってみると、デスピアズは溜息をつきながら続けた。

 

デスピアズ「戦闘ではマグナやザンドに劣る。魔術の知識がイルの足元にも及ばなければ、ヴァンほど戦の指揮が上手い訳でもない。」

 

デスピアズ「出来ることといえば、執政と能力による防護。その程度だ。」

 

霊夢「………。」

 

デスピアズ「……む、なるほど。さっきの音は”コレ”であったか。」

 

2人が森を出て見つけたのは川。

あまり強くもない流れで、水が流れている。

 

霊夢「なんだ、川じゃない。」

 

デスピアズ「ふむ……よし。」

 

デスピアズは突然川岸に座る。その手にはいつの間にか釣竿が。

 

霊夢「……どこにあったのよ、それ。」

 

デスピアズ「神力を少し編んだだけだ。この程度のものなら作れる。」

 

霊夢「へぇ……器用なのね。」

 

デスピアズ「まぁな。さて……よし。」

 

もう一本同じものを作って霊夢に渡す。

いくら鈍い人間でもデスピアズが何が言いたいのかくらいは流石に分かるだろう。

 

霊夢「え……。」

 

デスピアズ「どうした?やらないのか?」

 

霊夢「アンタがよく分からないわ……。」

 

デスピアズ「そうか。」

 

デスピアズはそれだけ返すと、釣り針を川に投げ、釣りを始めた。

やめる気配もなかったので、霊夢も隣に座り釣竿を振り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間半ほどが経過した。

 

霊夢の横には5、6匹の魚がのたうち回ってたり、そのまま動かなくなってたりしている。

 

一方デスピアズの横にはまだ何もいない。

 

デスピアズの横にはまだ何もいない。

 

霊夢「………アンタ、才能ないんじゃないの?」

 

デスピアズ「………。」

 

霊夢の竿が少し曲がる。

そのまま引っ張ると、少し小さめの魚が1匹バタバタと釣り針に食いつきながら姿を見せた。

 

霊夢「……ふっ。」

 

デスピアズ「何がおかしい。」

 

霊夢「いや、ふふっ……アンタ、今かなり可哀想よ。」

 

デスピアズ「………。」

 

デスピアズが指を鳴らすと、2人の持っていた竿が煙のように消える。

 

もう切り上げるという事だろう。

 

霊夢「あらあら。お逃げになさるのかしら?邪神皇サマ?」

 

デスピアズ「引き際というものは弁えている。帰るぞ。」

 

デスピアズは霊夢の返事を待たずにそのまま空に上がった。

霊夢もすぐに、食えそうな魚を2、3匹持ってその後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「あそこまで連れないと逆に面白いわね。」

 

デスピアズ「……放っておけ。」

 

釣った魚に米と味噌汁。それを食べながら霊夢は先程の事を掘り返していた。

デスピアズは少々機嫌が悪いのか、食べる速度が普段より速い。

 

霊夢「ふふっ、いやー…久々に楽しかったわ。面白いものも見れたしね。」

 

デスピアズ「……そうか。楽しかったか──なら今回は良しとしよう。」

 

霊夢「……。」

 

霊夢「……ねぇ、それどういう「馳走になった。食い覚ましに外に出てくる。」

 

デスピアズはそう言うと器を片付けて境内の方に歩いていった。

 

霊夢「………。」

 

霊夢「……はぁ、全く───よくわからない奴ね。」

 

霊夢も、自分の器を持って台所に行き、皿を洗い始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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