東方魔卿録   作:子アオ

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第30話『必要なこと─その1─』

ダイノ「グゥゥ………グゥゥ……。」

 

地面に丸くなって寝ているダイノ。そこに足音が近づいてきた。

 

ゴグマ「こんなところで何を寝ている?ダイノよ。」

 

ダイノ「……ォウ?」

 

ダイノは目を覚ますと、ムクリと体を起こし、ゴグマを見上げる。

 

ダイノ「ナンノ用ダ?ゴグマ。」

 

ゴグマ「拙者か?拙者はフェンの奴に頭と貴様がここにいると聞いて来た次第だ。」

 

ダイノ「ナルホドナ。ボスナラアソコニ寝テ………アレ?」

 

ダイノが後ろの方を向くと、そこには何も無かった。

ダイノが首をかしげていると、ゴグマはさらに問いかける。

 

ゴグマ「……頭は何処に行った?」

 

ダイノ「ワカンネ。サッキマデオレト昼寝シテタハズナンダガ。」

 

ゴグマ「その事、蛇噬の前で言ってやるなよ。死ぬぞ。」

 

ダイノ「アタリマエダロ。」

 

ゴグマ「だが、ここに居ないとなれば……どこかに向かわれたか?護衛も付けずに、というのは如何なものかと思うが……。」

 

「護衛なんていらんよ。全く。」

 

ゴグマが後ろを振り向くと、そこには彼らが主とする少年の姿が。

 

少年「ったく、もう護衛つけるほど弱っちゃいない。」

 

ゴグマ「それでも万が一の事を考え……む?頭よ。今なんと?」

 

少年「もう護衛要るほど弱っちゃいないって言ったんだよ。」

 

ダイノ「……テコトハ、ツマリ?」

 

少年「あぁ、もう概ね万全だ……もう少ししたら、本格的に事を起こそうか。」

 

少年の発言に、2人は笑みと頷きをもって返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──紅魔館──

 

ザンド「なるほどな──ウロヴォリアスだけじゃなくエグゼシードまでやられるか……。」

 

デスピアズ「神皇のみを狙った行動……何か裏があると見るべきか。」

 

現在紅魔館にはデスピアズと霊夢が訪れていた。

互いの近況報告を兼ねてデスピアズがここに顔を出そうと訪れ、今に至る。

 

レミリア「おまけにフランだけでなく魔理沙まで……あの外道共……!!」

 

霊夢「……ごめんなさい。私が不甲斐ないばかりに……。」

 

ザンド「おめェがそれ言ったら俺たちの立つ瀬が消えるだろうが。」

 

だんだんと暗い雰囲気になっていく話し合い。

その時突然扉が開き、誰かが倒れ込んできた。

 

イル「むぎゅっ。」

 

 

ごろごろ、どてん。

 

 

地面に額をぶつけた後立ち上がろうとすると、その背中を何者かに踏まれる。

 

パチュリー「………。」

 

霊夢「……アンタらなにやってんのよ。」

 

レミリア「イル……今度は何をしたのかしら?」

 

イル「いやワシがやらかした前提なの酷くない!?

ワシはただ机で寝てたパチュリーのほっぺを軽くペちペちして起こしただぎえぇっ」

 

パチュリー「ペちペち叩いたのに加えて頬を引っ張ったりつついたりしたわよね。また魔導書の角を喰らいたいのかしら?」

 

イル「あれすっごく痛いからネ!?ちょい!ザンド、ピアズ、レミリア、巫女さんや!!誰か助けて!!」

 

レミリア「話し合いを続けましょうか。」

 

ザンド「だな。」

 

デスピアズ「話が逸れるのは好ましくない。」

 

霊夢「で、どこまで話したのだったかしら。」

 

イル「オール無視!?」

 

嘆くイルを、パチュリーはお構い無しに踏み続ける。

 

パチュリー「いつになったらそういう性格は治るのかしら……。」

 

イル「あーそこそこ腰いい感じもうちょっと上。」

 

パチュリー「………。」

 

イル「あやべそこ肺のあっヒールの踵で首はダメじゃそこ結構痛いから痛い痛い痛いから!?」

 

 

 

デスピアズ「───して、問題はこれからどうするかだ。」

 

ピアズがそう言うと、最初から部屋にいた3人は黙り、パチュリーもイルを踏むのをやめた。

 

ザンド「どうするって……んなも1つしかねぇだろ。」

 

ザンドが言うと、イルも服のホコリを払いながら立ち上がり、続く。

 

イル「迎撃して乗っ取られた2人を取り戻すのが最善……まぁそんな簡単に行くかはわからんがの。」

 

デスピアズ「そのような当たり前の事を言っているのではない。我が言いたいのはお前達だ。レミリア、霊夢。」

 

レミリア「………。」

 

霊夢「………。」

 

ピアズの言葉の意図を察したのか、目を伏せる2人。ピアズはお構い無しに続ける。

 

デスピアズ「神皇達が居ない今、貴様らはどう戦える?」

 

レミリア「……ウロヴォリアスが居なければ勝てないわけではないわよ。」

 

デスピアズ「それはそうであろうよ。だが今までウロヴォリアスを中心の戦い方をしてきた事には変わらん。いいか、軸を差し込まない歯車というのは回らんのだぞ?」

 

レミリア「ぐっ………。」

 

霊夢「………でも、私達しか居ないのも、事実でしょう?」

 

デスピアズ「……確かに、な。」

 

デスピアズ「その通りだ。戦えぬ訳ではない以上下がるという選択肢はない。来たる時までに、なんとかするしかなかろう。」

 

ザンド「なんとかする、ねぇ……なんとかなんのか?」

 

デスピアズ「当てはある。」

 

イル「それをはよ言えぃ!」

 

デスピアズ「その時になれば話す。それまでは待っていろ。」

 

パチュリー「……何か、秘密にしておく真っ当な理由があるのよね?」

 

デスピアズ「当然。だが理由を言えば何を言えないのか言ったも同然故、そちらも今は話さぬ。」

 

パチュリー「納得しづらいけど……なんとかなるのよね?」

 

デスピアズ「確実ではないが、これ以外にと言われても検討がつかん。」

 

レミリア「……分かった。全面的に信頼しよう。」

 

デスピアズ「話のわかる子供は嫌いではないぞ。」

 

レミリア「誰が子供だ!!」

 

霊夢「はいはい一々突っかからない。ピアズも何煽ってんのよ。」

 

霊夢がピアズを睨むと、ピアズは肩をすくめる。

 

霊夢「ったく……次、ヴァンのとこ行くわよ。今日中に全員に伝えるんでしょ?」

 

デスピアズ「無論だ。では紅魔館の面々よ。これにて失礼する。」

 

ピアズはそういうや否や、足早に部屋を出ていった。

 

霊夢「じゃ、また。なんかあったらしっかり連絡するのよ。」

 

霊夢もそう言うと、ピアズに続いて部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イル「……全く、あいつの考えてる事はたまによく分からんのう。」

 

パチュリー「その言葉そっくりそのまま貴方に返すわ。」

 

イル「えー。」

 

廊下を歩きながら、どうでもいいような話をする2人。

その最中、パチュリーが突然イルに質問を投げた。

 

パチュリー「……先日の"アレ"、説明してはくれないのね。」

 

イル「………。」

 

パチュリー「だんまりかしら。」

 

イル「………別に。」

 

パチュリー「?」

 

イル「別にホントに死者を生き返らせたわけじゃない。こないだ蘇生術って言ったじゃろ?あれ半分ウソ。」

 

パチュリー「………半分、ね。」

 

イル「うむ。心肺停止の患者に心臓マッサージして息吹き返させるようなもんじゃ。雑にいうとな。」

 

パチュリー「………。」

 

イル「なんじゃその目…疑っとるのか?」

 

パチュリー「何度も嘘をつかれてるから、それはね。」

 

イル「ははっ、厳しいのう。」

 

イル「ま、この話はこれで終わりじゃ!眠いからワシ昼寝するぞ!」

 

イルはそう言うと、急に図書館に向かって走り出した。

 

パチュリー「ちょ!?待ちなさいよ!!」

 

イル「なんじゃー?もしかして一緒に寝たいとか痛ァッ!?」

 

パチュリーが投げた本がイルの頭に直撃し、イルは前に倒れ込んだ。

 

イル「痛いのぅ……暴力多い娘はモテんぞ?」

 

パチュリー「大きなお世話よ。」

 

パチュリーはため息をつきながらそう答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イル「あ、でも好きな人についついそういう反応する"ツンデレ"って性格もあるらしいだだだだだ!?

頭にヒールの踵は痛いからやめて!?」

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