「いたぞ!こっちだ!」
少年「おぉっと、見つかっちった。」
見つかり、逃げ出す少年と、それを追う集団。
集団は包囲、待ち伏せなどあの手この手で少年を追い詰めるが、逃げ場を無くしても少年は一瞬で別の場所に移動する。
そのせいでかれこれ2時間はこの状態が続いている。
少年「……フフッ。」
「!また消えたぞ!」
再び少年が消えたのを見て、周囲のそれぞれ別々の方向に走り出す集団。数分と待たず、先程まで少年がいた場は静寂に包まれた───のだが。
少年「フフフッ、毎度毎度別の場所に行くとは限らないもんね~。」
先程までいた場所にいきなり現れた少年。
誰も居ないのを確認すると、少年はその場に寝そべる。
少年「あー面白かった。でも少し疲れちゃったし、そろそろこの山っぽい場所を離れようかなー……っと。」
少年は立ち上がり、そこから飛び立とうとする。
が、その前に後ろから声がかけられた。
「──貴方が、先程報告のあった侵入者ですね?」
少年「ん?」
少年が振り向くと、先程の集団と同じ格好をした少女が。先程の集団の中には居なかったように思い、少年は首を傾げる。
少年「あれ?もしかしてさっきの人達のお仲間さん?」
少女「……その様子では、貴方が報告の者で間違いないようですね。この『妖怪の山』に何の用です?」
妖怪の山。少女は確かにそう言った。だからさっきの彼等は尻尾が生えていたりしたのか、と少年は自分で納得する。
少年「用っていう用はないんだよねー。」
少女「用もないというのに白狼天狗の懲戒隊を何時間もおちょくって……。」
少年「あ、あの人達天狗さんなんだ……知らなかった……。」
少女「そのまま立ち去れば良かったものを。連行させてもらいます。」
少年「お断り……だねっ!」
少年は先程のと同じ手段で消える。少女は一瞬驚くが、数秒そこに留まった後、すぐにその場を離れた。
少年「ここまで来れば流石に分からないでしょ……。」
一方、少年はさっきの場所からそれなりに離れた場所に居た。走ったような後が見られないのを見ると、これまでの奇妙な移動手段は彼の能力だろうか。
少年「いやぁ、新手が来るとはね……とりあえずここを離れ「見つけた。」!!」
少年が振り向くと、約十数歩というところの距離を先程の少女が走ってくるのが見えた。少年は驚きながらも、また『消える』。
少女「また……次は────
少年「なんで分かったんだよ……ビックリしたぁ……。」
一回目よりも遠めの距離に移動した少年。
すぐに見つかったことに慌てたのか、少し冷や汗をかいているのが分かる。
少年「流石にまた見つけられたらたまったもんじゃないよ……もうさっさとここから──
「───見つけた。」
少年「──!?」
少年がまた声の方に振り向くと、そこには少女の姿が。
少年「なんでまた……!?」
少女「大人しくついてきてもらいたいのですか……。」
少年「嫌な予感しかしないからお断りします!」
少女「そうですか……なら「椛隊長!!」
一触即発の状態に投げられた声。
2人はその声の方を向いた。
椛「どうしました?」
「また別の侵入者です!今度はこちらに怪我人まで出ています!」
椛「!?……わかりました。案内を。」
少年(?……見逃してくれる感じかな?)
「では……その前に、あの者はどうしますか?」
椛「……残念ですが、彼に構っている暇はありません。行きましょう。」
少女「そこの貴方も、今回は見逃しますので、早々に立ち去るように。」
そう言うと、椛と呼ばれた少女は部下を連れて別の方向に走っていった。
少年(別の侵入者……もしかしたら皆の内の誰かかもだし……行ってみようかな。)
少年は数秒考えた後、先程2人が向かった方向に飛んでいった。
椛「あれか!」
椛が現場に着くと、十数人の天狗達と1匹の赤い竜が戦っていた。
椛は竜の死角から飛びかかって斬りつけるが、浅くしか入らなかった上、気づいた竜に回避の間も無く吹き飛ばされる。
椛「くっ……硬い……。」
竜「……Grrr……。」
両者とも構えて様子を見ていると、1人の人影が竜に向かってくる。竜はそれに気づき、後ろに飛んで避けた。
椛「なっ!?貴方は!!」
少年「ちぇー、赤い竜が居たからアイツかと思ったけどハズレかぁ……首つっこみ損だったなぁ……。」
椛「立ち去れと言ったはずです!」
少年「てへっ☆」
椛の忠告を無視したことを少年が誤魔化していると、先程は唸るだけだった竜が言葉を発した。
竜「ヴァン……ディール……。」
少年→ヴァンディール「あれ?僕のこと知ってる感じ?ってことは君スピリットか。」
竜「GAAAAA!!」
竜が吠えたのを見てヴァンディールと呼ばれた少年が構える──が、その瞬間両者の間に光が発生し、周囲を呑み込んだ。
ヴァン「ん……なんだここ……バトルフィールド?」
竜「ソノトオリダ。」
ヴァン「ってことは
竜「察シガイイナ。」
ヴァン「じゃあパパっとやっちゃおうか。先攻どうぞ。」
竜「フン、オレノターン。」
竜「ネクサス、『恐龍同盟本拠地』ヲ配置。ターンエンド。」
竜
R:0 T:【4】H:4 D:35
恐龍同盟本拠地:0 Lv1
ヴァン「僕のターン。『ビートルゴン』をLv4で召喚。そして『ビートルゴン』の効果でメインステップ中に自身に赤と緑のシンボルを1つずつ追加。」
ヴァン「ネクサス『邪神域』を配置。『ビートルゴン』のレベルは下がるよ。ターンエンド。」
ヴァン
R:0 T:4 H:3 D:35
ビートルゴン:【1】Lv3
邪神域:0 Lv1
竜「オレノターン。『恐龍同盟ステゴラール』ヲLv2デ召喚。『ステゴラール』デアタック!」
竜「アタック時効果、1ドローシテBP+3000。サラニ『恐龍同盟本拠地』ノ効果デ疲労状態ノ地竜ハスピリット、ブレイヴノ効果ヲ受ケナイ!!」
ヴァン「ふーん……ライフで「フラッシュタイミング!」ん?」
竜「【煌臨】発揮ダ!!」
ヴァン「!?」
竜「ソウルコアヲ支払ウコトデ『ステゴラール』ニ新タナスピリットヲ重ネル!!『恐龍同盟 鎧角のドレッドロサウルス』、煌臨!!」
ヴァン「……煌臨……?」
突如ステゴラールを炎が包む。しばらくすると、その炎の中からステゴラールとは全く別のスピリットが現れた。
竜「『ドレッドロサウルス』ノ煌臨時効果!煌臨元ノカードノ数ドロースル!!」
ヴァン「……それでもライフで受けるのは変えないよ!」
ドレッドロサウルスがヴァンに突撃し、ライフを奪う。
ヴァンは衝撃でほんの少し後に後退する。
ヴァン:ライフ5→4
ヴァン「痛ッ……くっ……!!」
竜「ターンエンドダ。」
竜
R:0 T:【3】H:5 D:32
ドレッドロサウルス:2 Lv1
恐龍同盟本拠地:0 Lv1
ヴァン(思ったより全然ダメージが来る……カウンターを警戒してちょっと慎重に行こうかな………。)
ヴァン「僕のターン。『ビートルゴン』をLv4に上げて『バーゴイル』を召喚。召喚時効果でコアブースト。」
ヴァン「それで『ネオ・ダブルドロー』を使うよ。アルティメットがいるから3枚ドロー」
ヴァン「ターンエンド。」
ヴァン
R:0 T:3 H:5 D:31
バーゴイル:1 Lv3
ビートルゴン:【2】Lv4
邪神域:0 Lv1
竜「オレノターン。『赤の探索者エドウィック』ヲ召喚。召喚時効果デデッキヲ3枚オープンシ、【煌臨】ヲ持ツスピリットヲ加エル。」
ジュラシックスピア
恐龍同盟 マノブロウサウルス
恐龍覇者ダイノブライザー
竜「ガハハ!『ダイノブライザー』ヲ加エ、残リヲ破棄。サラニネクサストスピリットノレベルヲアゲル。」
竜「ターンエンドダ。」
竜
R:0 T:1 H:6 D:28
ドレッドロサウルス:【3】Lv2
エドウィック:1 Lv1
恐龍同盟本拠地:1 Lv2
ヴァン「僕のターン。(相手の動きが止まった……行くか。)ビートルゴンのレベルを4に。」
ヴァン「そして『木星神剣ジュピターセイバー』を召喚。召喚時効果で自分のアルティメットにコアを1つずつ追加。」
竜「ココニキテ緑ラシイ動キヲシテクルナ。」
ヴァン「まだまだ、『
ヴァン「『ジュピターセイバー』を『終焉甲帝』に
ヴァン「合体アルティメットでアタック!『アルティメットトリガー』ロックオン!」
竜のデッキの1番上が公開される。公開されたカードは『恐龍同盟 鉄面のダスプレトン』。コスト5だ。
ヴァン「ヒット!ヒットしたことで、相手のスピリットを2体疲労させる!そしてメインアタックだ!」
竜「甘イゾヴァンディール!
フラッシュタイミング、『ジュラシックスピア』!!
ダブルシンボルノアルティメット、ツマリ『終焉甲帝』ヲ破壊!!」
地面から巨大な刃が数本突き出て、終焉甲帝を串刺しにする。終焉甲帝は破壊され、ジュピターセイバーが宙に舞う。
竜「サラニ【煌臨】ヲ持ツ『ドレッドロサウルス』ノ下ニ手札ノ『恐龍同盟 刃雷のエレクトロサウルス』ヲ追加スル!!」
ヴァン「くっ……ジュピターセイバーは残す!アタックはまだ続いてる!」
竜「ライフノヒトツ程度、クレテヤル!!」
竜:ライフ5→4
ヴァン「くっ…ターンエンド。」
ヴァン
R:0 T:6 H:4 D:30
ジュピターセイバー:【3】Lv1
ビートルゴン:2 Lv4
バーゴイル:1 Lv3
邪神域:0 Lv1
竜「オレノターン。『ドレッドロサウルス』ト『エドウィック』ヲLv2ニ。ソシテアタックステップ。」
ヴァン(何もせずにアタックステップ?……何が目的だ……?)
竜「『エドウィック』デアタック!
フラッシュ、再ビ【煌臨】ダ!!」
ヴァン「また煌臨……さっき加えた奴か!!」
竜「ソノトオリ!イデヨ、我ガ分身、『恐龍覇者ダイノブライザー』!!
『ドレッドロサウルス』ニ煌臨!!」
ダイノブライザー Lv2 BP16000
ヴァン「お前のキーカードか……!」
竜「オレノキーカードデアリ、オレソノモノ。コノ力、トクト味ワエ!!煌臨時効果発揮!」
ダイノブライザーは出現地面を踏みつけ、揺れを起こす。その後、咆哮と共に炎を放ち、ヴァンのフィールドを焼け野原にした。
竜「貴様ノBP10000以下ノスピリット、アルティメットヲ全テ破壊!!ソシテ『エドウィック』ノメインアタック!!」
ヴァン「くっ……ライフで受ける!」
ヴァン:ライフ4→3
竜「『ダイノブライザー』、オレ自身ノアタック!」
ヴァン(削りきれもしないのにフルアタックか……!)
竜「ココデ『ダイノブライザー』ノ【連覇】ヲ発揮!!オレノ下ニカードガ3枚アレバ、ソレヲ破棄スルコトデオレノターンヲ再ビオコナウ!!」
ヴァン「なっ……!?」
ダイノブライザーがヴァンに爪をお見舞いしてライフを削った。
ヴァン:ライフ3→2
ヴァン「ぐっ……!」
竜「エクストラターン。『恐龍同盟 ドロマエオー』、『暴双龍ディラノス』ヲ連続召喚。」
ヴァン「……随分と……並べるねぇ。」
竜「絶望ダロウ。コレデ貴様ノ負ケダ。アタックステップ、『ディラノス』でアタック!」
ヴァン「負けかどうかはまだ分からないだろ……『絶甲氷盾』を使うよ!!このバトルの後アタックステップを強制終了!アタックはライフだ!」
ヴァン:ライフ2→1
竜「チッ……マアイイ。ターンエンドダ。コノ状況ヲ覆スナドデキマイ。」
竜
R:0 T:4 H:4 D:24
エドウィック:1 Lv1
ダイノブライザー:【1】Lv1
ディラノス:1 Lv1
ドロマエオー:1 Lv1
恐龍同盟本拠地:1 Lv2
ヴァン「僕のターン……。」
ヴァン(まずい……このターンで決めなきゃ負ける……。)
竜「無理ダナ。イクラコアガアロウガ手札ガ3枚デハドウニモデキマイ。」
ヴァン「うるさいな……ドローステップ!」
ヴァンがカードを引く。勝負はこのドロー次第だろう。
ヴァン「……ん?」
ヴァン「……ま、やるだけやってなるように、か。」
竜「…?」
ヴァン「───真打登場ってね。」
ヴァン「我が統べるは地獄の暴風。その風は同志を鼓舞し、敵に敗北を与える───『獄風の四魔卿ヴァンディール』Lv4で召喚!!」
ヴァンディール Lv4 BP22000
竜「貴様ノ本来ノ姿カ……。」
ヴァン「そゆこと♪さて……勝負を決めようか。『ヴァンディール』のアタック!!」
ヴァンディール「我が魂は風そのもの。今こそその風は吹き荒れん!!【ソウルドライブ】発揮!!」
ヴァンがソウルコアを砕く。
すると、上空に裂け目のようなものが開く。
ヴァン「まずは自分のデッキをアルティメットが三体出るまでオープンする!」
ヴァンのデッキが1枚ずつ開かれていく。
獄風の小隊アントマン
止まない風の森
ドクロスリーパー
アルティメット・カイザーアトラス
甲殻伯メタリフェル
ネオダブルドロー
インファナルウインド
アルティメット・ウシワカ
ヴァン「そうして出たアルティメットを全て、召喚条件とコストを無視して召喚する!来い!!」
裂け目から三体のアルティメットが降りてくる。
竜「ナンダト!?」
ヴァン「さあ僕のアタックだ!どうする!?」
竜「『ダイノブライザー』デブロック!!『ディラノス』ノ効果でBP+5000サレ、合計13000!」
ヴァン「足りないね!僕のBPは22000だ!」
ダイノブライザーがヴァンディールに飛びかかる。
ヴァンディールは飛んで躱すが、ダイノブライザーは持っていた武器を投げつける。
ヴァンディールがそれを鎌で弾いた瞬間、その瞬間ダイノブライザーの炎がヴァンディールを襲った。
しかし、既にヴァンディールは裂け目を使ってダイノブライザーの後ろに移動しており、ダイノブライザーを鎌で両断した。
ヴァン「続いて『メタリフェル』でアタック!『アルティメットトリガー』ロックオン!」
先程と同じように竜のデッキの上が公開される。
カードは『絶甲氷盾』、コスト4だ。
ヴァン「ヒット!『ドロマエオー』と『ディラノス』を疲労させる!」
メタリフェルが剣を振るい、2体を吹き飛ばす。その後、竜に斬りかかり、ライフを奪う。
竜「グァッ……ダガオレノライフハマダ3。マダ「負けないって?甘いよ。」!?」
すると、ヴァンディールが鎌を投げて竜のライフを奪う。竜は突然の事に驚愕する。
ヴァン「僕のLv4効果、アルティメットのアタックが通った時、お前のライフを追加で奪う!これでラストだ。『アルティメット・ウシワカ』!!」
ヴァンの宣言でウシワカは上空高く飛び、急降下して竜に蹴りを入れる。それと同時にヴァンディールがもう一度鎌を投げつけ、竜のライフを削り切った。
その頃、椛達は突如出現したバトルフィールドに困惑していた。
どうするか決めかねていると、バトルフィールドが崩れ、先の両者の姿が見えた。
ヴァン「さて……ダイノブライザー、だっけ?……残念ながらお前の負けだよ。」
竜→ダイノ「……ククク。」
ヴァン「…何笑ってるのさ。悪いけどここで殺「今回ハ負ケダ。ダガマタ戦ウコトニナルダロウ。」!?」
瞬間、ダイノの後ろに次元の穴のようなものが出現し、ダイノを呑み込んだ。
ヴァン「逃がしたか……まあしょうがないか。」
「おい、そこの貴様!」
ヴァン「ん?」
ヴァンが振り向くと、先程の天狗達が抜刀して構えていた。
ヴァンはそう言えば居たね……と呟き、もう逃げる気力もなかったため、両手を上げて彼等の方にゆっくりと歩いていった。
ヴァン(やっぱ他所のいざこざに下手に首突っ込むもんじゃないなぁ……。)