ご無沙汰してます
畳廿畳です
大変長らくお待たせしました
話の方向性がまとまり、ストックも少し溜まりましたので投稿を再開していきます
今話を含め、以降かなりの捏造設定を盛り込んであります
ご容赦くださいm(_ _)m
また、たくさんの感想・活動報告へのコメント、ありがとうございました
返事を書けていない方は申し訳ありませんでした
でもちゃんと読んで活力になっておりますのでご寛恕くださいm(_ _)m
とまれ、早速どうぞ
紅く染まる夜に響くは、聞く者の胸にまで届く慟哭。
一人の男の、赤と透明の涙を孕んだ天をも貫く咆哮。
喜びか、悲しみか、嬉しさか、悔しさか。
常人に計り得る感情なのか、否か。
何を思い、何を感じて泣き叫ぶのか。
誰にも分からないが故、誰も身動きが取れなかった。
奪った命に振り返りもせず、使った懐刀は手から滑り落ち。
ただただ叫喚していた。
駆けつけた宇治木も、共に駆けてきた鎌足も。
この場に居合わせていた剣心も、蒼紫も、外印も、エミーも。
誰一人として、悲鳴にも似た叫びを止める事はできなかった。
燃え盛る炎の音よりも大きく、燃え上がる火の壁よりも高く。
どこまでも大きく、どこまでも高く。
その痛ましい彼の声は、何よりも鮮烈だった。
それが、どれほど続いただろうか。
悲哀と痛切に満ちた、それでもどこか美として目と心に焼き付いてしまう光景は、やがて唐突な終わりを迎えた。
その声が次第にか細くなっていくと、遂には途切れ、上げていた顎も落ちる。
そして、糸が切れたマリオネットのように、十徳は崩れ落ちた。
「狩生!」
「狩生殿!」
「狩生くん!」
周りに集っていた各人が我に帰り、倒れている十徳のもとに駆け寄る。
そして、各々が彼のあまりの容態の悪さを見て、盛れ出る悲鳴を噛み殺した。
「ちょッ、これはマズ過ぎるわよ!早くなんとかしないと……なんとかしなさいよ!」
「分かっている!外印、貴様なら治せるだろう?!貴様の腕なら、少なくとも延命はできるハズだ!」
「無論、このまま師を見殺しにするつもりはない。死の間際の心の輝きは戦いの中にこそあるべきだ。それ以外での死は決してさせん。だが……」
明確な答えを避けようとする言に、宇治木が声を荒げて詰め寄ろうとするより先に、剣心が口を開いた。
「根本的に治療ができないのでござるか?それとも、懸念事項が?」
「後者だ。手順は思い付く、段取りの目星もつく。だが時間との戦いともなれば人手が足りん。人体の構造に詳しい医者……いや、この際贅沢は言わん。頭の回転の早いーー」
「一人、日本語の通じる西洋人の医者に心当たりがある。拙者からその者に協力を請おう。どこにお連れすればよいでござるか?」
剣心の頭の中に、昼間出会った心優しき流浪の医師が思い浮かんだ。
これは偶然か、それとも彼を取り巻く運命なのか。
少しだけその事に思考が傾いたが、直ぐに今はそれどころではないと打ち消す。
ともかく、彼女ならあるいは。
そう思って剣心はエルダー女医を推挙した。
「相分かった。だが私の館までの道順を説明する時間も惜しい。道案内は……してくれるな?」
外印は斬鋼線で十徳を簀巻きにし、そして背負うと髑髏マスクの奥にある視線を宇治木へと向けた。
「それはッ……」
一刻も争う今の事態。
本当なら直ぐにでも頷き、緋色の髪の男に従って走り出したいのだが、そうもできなかった。
理由は、その視線の先にある。
「……疑われるのは十分に理解できる。だが、もう
「百歩譲って、
「その懸念も理解できる。だが、仮に俺がまだコイツを殺すという意志を持っていたとして、そしてお前がこの場に残るとして、それでどうなる?殺すまでの時間が若干伸びるだけだぞ」
「貴様ッーー!」
気色ばんで詰め寄ろうとする宇治木とそれを飄々と受け流す蒼紫。
その二人にため息混じりに外印が告げた。
「楽しく話し合いたいのなら勝手に続けていろ。私たちは先に行って師を助けるため全力を尽くす。師の死を遠回しにもたらそうとするのなら、ここでお別れだ」
そして、本当に十徳を背負いながらゆっくりと走り出そうとした。
が、ふと視界の隅に映った一人の西洋人女性が目に留まった。
「H, Hey… I'm gonna…」
不安げに、されど十徳を案じるように一歩踏み出そうとするエミー。
だが、浮きかけた足は直ぐに止まり、十徳のもとには行けなかった。
言葉が通じず、意思の疎通も儘ならないが、それでもエミーは理解していたのだ。
住んでいる世界が違う、と。
目の前にいる人たちは、根本的に身を置いている場所が違うのだ。
母国のイギリス軍人ですら、ここまで熾烈な闘争環境には居ないだろう。
そんな彼らの、十徳のもとにエミーはとても近付けなかった。
片鱗は薄々と感じていたし、十徳の異常さは成る程そういった世界に身を置いているからこそなのだと、今にすれば納得できる。
故にこそ、外印、鎌足、剣心、蒼紫、宇治木の視線に身を貫かれ、十徳に近付きたいと思っていても足は地に根を下ろしたかのように全く動かなかった。
でも、これは当然の線引きなのかもしれない。
私じゃあ向こう側には行けない。
死と隣り合わせの環境になんて、とてもではないが居られない。
そんな私に出来ることなんて、そんなの、ここで見送るだけしかないじゃないの。
エミーが諦めの吐息混じりに、そう考えながら足の力を抜こうとしたときだった。
『構わん。ついて来たければ来ればいい』
『…へ?』
外印が英語で話し掛けたのだ。
『師の知り合いなのだろう?師が訳あってお前と知り合ったのだ、ならばそれを無下にするのは弟子として許されん。故に、来たければ来い。だが、きっともう二度と元には戻れんぞ』
とても流暢とは言えないが、それでもおおよその内容を聞き取れたエミーはその内容を聞いて数秒間停止した。
元には戻れない。
それはいったいどういう意味か。
“元”とは、いったい何を指すのか。
戻れなくなったら、私はどうなるのだろうか。
そんな思考が頭を駆け巡るが、しかし直ぐに打ち払った。
このまま十徳を見送れば、なんでかもう二度と会えない気がする。
それは、絶対に嫌だ。
二度と会えなくなるなど、そんなの願い下げだ!
この気持ちがジャーナリズムから来るものなのか、それとも別のものから来るものなのか。
それは一切分からないが、それでもこの正体不明な胸を急かす焦燥に従って、エミーは大きく頷いた。
『構わないわ。彼の無事を確かめられるなら、ジャーナリストであることも放棄してみせる』
『…悪いが聞き取りは上手く出来ないのだ。来るか来ないか、行動で示してもらうぞ』
そう言うと、外印は改めて十徳を背負い直し、急ぎ足で館へと駆けて行った。
その後ろを、忠犬のように十徳の背を支える鎌足と、そしてエミーが続いた。
「では、俺はお前に着いて行こう。それならば多少はよかろう」
「……」
その三人の背を見送ること数秒。
蒼紫が再び口を開き、宇治木に提案した。
「宇治木殿、と云ったな。今はそれが最善でござる。それに、この男の言は信用できるでござるよ。この男は嘘を吐けるほど器用ではござらん」
これで話は終わり、これで結論とする。
そんな意味合いを込めて、剣心は言い切ると踵を返して走り出した。
二人に目もくれず、現状での全速力だ。
一分一秒も惜しいと思う剣心にとって、もはや宇治木も蒼紫も着いて来ようと来なかろうとこの際どっちでもよかった。
着いて来なくても、最悪目的地をしらみ潰しに探す気にすらなっていたのだ。
例えそうなっても、ここでの口論で浪費する時間よりかは断然早いと判断したのだ。
「ちッ。えぇい、くそったれが!蒼紫と云ったな、遅れてはぐれるなよ?!」
「誰に言っている」
宇治木は髪を掻き毟ると、直ぐに剣心の背を追い掛けた。
無論、その後ろを蒼紫が追走する。
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先に館へと戻ってきた外印は手術台に十徳を乗せ、改良もとい治療の準備を始めていた。
服を鋏で切り、全身を露にすると症状を確認する。
裂傷、銃創、火傷、打撲、等々。
目に見えるだけでもあまりに多い怪我。
しかも、そのどれもが重傷と言ってもいいほどだ。
特に眼部と腹部。
前者は額から頬にかけて大きく切り裂かれていて、眼球はとうに破裂して影も形も無かった。
眼窩に止めどなく血が溜まり、その都度綿で吸い取っている。
後者は自らを刺し貫いた傷だ。
傷口は小さいが、血は止めどなく溢れてきている。
内臓を貫いていたら致命的だ。
早急に確認し、縫合しなければならない。
それに加えて、義手の接合部は正視に耐えないグロテスクさを呈していた。
今は既に義手を切り落としているため、もう熱を送ることはないが、それでも自身への被害を無視して酷使し続けていたことが容易に見てとれる。
呼吸も荒く、顔面は本来の白い肌をなお青白く染めあげ、痙攣も始まっている。
外印ですらこの状態の十徳を改めて見て、こう思った。
生きているのが不思議な状態だ、と。
だが、生きているのなら重畳。
全力を尽くすまでだ。
「とにかく血を足さねばどうにもならん。以前、師から教わって型分けした血では足りんかもしれんな」
てきぱきと台の横に器具を準備していく外印。
かつて右腕を治療したときと同じように、様々な物が陳列されていく。
「他の者から血をもらうか。だが遠心分離機に突っ込んで型を調べねばならないし、そちらに構う余裕もない……やはりあと一人はほしい」
ストックしてある血袋を吊るし、管を通して直接十徳の血管に注ぎ込む。
そして先ずは、死に至る大きな外傷から手をつけていく。
さしあたり、先ずは腹部だ。
消毒済みの鋭利なナイフで切開し、どんどん奥へと指を突っ込んでいく。
カチャカチャと、ぐちゃぐちゃと静謐な空間にそんな音だけがするなか、どたどたと扉の向こうから音がした。
すわその勢いのまま扉が強引に開け放たれるかと思いきや。
「うっさいわよ!狩生くんの傷に響いたらどうすんの!ここから先は入っちゃダメなんだからね!」
「いや、しかし……この通り医者を連れてきたのでござるが」
「な、それを早く言いなさいよ!ほら、あんた。そんなお面は着けてちゃダメだからね。そこの酒度の高いお酒で手を洗って、服もそこの棚の中にあるやつに着替えなさい」
「W, well…これは、なんですカ?」
「知らないわよ。細菌がどうとか雑菌がどうとか言ってたけど、何一つ分からなかったわ。分かる事と言えば、私たちは絶対にこの部屋に入ってはいけないってことだけかしらね。さ、そんなことより早くして!今は一刻も争うのよ!」
外で強制待機させられていた鎌足とエミーが、駆け付けてきた剣心とエルダー女医と宇治木と蒼紫に待ったを掛けたのだ。
そして有無を言わさずエルダー女医の背を押し、支度をさせる。
『あんた、英語圏の人ね?お願い。力を貸してちょうだい』
『ッ、え?貴女は?』
『ここ横浜の英字新聞の記者よ。あんたの慌てる気持ちはよく分かるわ。私だって今の状況はほとんど理解していないし、何が何やらさっぱりだもの』
ようやく言葉が通じる相手を見つけて少しばかり嬉しさが込み上げてくるが、エミーはそんな感慨をすぐに押し止めて、そして懇願する。
『けど、この中にいる今にも死にそうな人は、絶対に死なせてはいけない人なの。それだけは、そのことだけは理解できている。だからお願い、彼を助けて……』
エルダー女医の手を握りながら、呟くように言葉を溢す。
言葉は通じずとも分かっていた。
今の十徳は非常に危険な状態にあり、生存率は極僅かであるということを。
だがそれでも、否、だからこそ。
自分ではどうしようもないから、例えよく分からない相手でも必死な気持ちで助力を請うのだった。
剣心たちは英語で話すエミーの言葉の意味を杳として掴めなかった。
だが、彼女が真剣であるということは容易に分かった。
そして何故だろう。
彼女が本気でエルダー女医に助けを請うていることもまた、容易に分かった。
『……分かりました。きっと助けてみせます。私の全力で貴女の、貴女たちの大切な人を助けてみせます』
握られる手を力強く握り返すと、エルダー女医は今度は日本語で周りの人たちに言った。
「大丈夫デース。私も医者の端くれ。全力で患者の命を助けるのが仕事ですカラ」
間延びした、どこか肩の力が抜けてしまうような宣言。
しかし、外した仮面から覗けた愛らしい瞳には不屈の精神から来る確かな決意があった。
クリミア戦争を契機に、フローレンス・ナイチンゲール女史のおかげで自国の医療分野の門戸は女性にも大きく開かれた。
衛生観念が刷新され、看護婦の誕生によって戦争での死者数は格段に減った。
だが、それはあくまで“自国軍”の範囲内の話。
ナイチンゲールが自軍の後方基地または野戦病院で活躍したのに対し、
敵の命すらも救う偉業を為していたのだ。
ナイチンゲールに拒絶されても、なお人を助けたいという一心で私財を擲って医療活動に専念したというのに。
なのに陽の目を浴びているのは、常にナイチンゲールの方だ。
恩師の活躍は忘れ去られつつあり、その偉譚も技術も自らを除けばもうほとんど逸失されかけている。
命を救う行為に、敵も味方もないハズだ。
生命とは、そんな人間が勝手に作った線引きに囚われない尊いものなのだ。
だからこそ。
自分もそんな線引きを超え、更には国境と海を超えて、教えられた医術をあまねく人々に施したい。
例え事情を知り得なくても、零れ落ちそうな命が目の前にあるのなら全力で助ける。
それが自分の存在意義なのだから。
そして、消毒した手を汚さないよう、剣心に開けてもらった扉をくぐると、その光景に度肝を抜かれた。
「What's…?!」
部屋の中心にある台の上に寝かされているのが患者なのだろう。
衣服を纏うことなく、眠るように横たわっているのだから。
ならばその傍らで、その眠る者の腹を裂いているのは一体?!
「来たか…日本語はどれほど解せる?」
腹を裂く手を止めることなく、その相貌をちらとエルダー女医に向けただけで直ぐに顔を戻した人は、果たして医者なのだろうか。
「No, ア、日本語大丈夫デース……それより、貴方は医者なのデスか?」
「そんなことはいいからとっとと手伝え。お前がどれ程の知識と技術を持っているかは知らんし、すり合わせをしている時間的余裕もないのだから、一先ず私の指示に従え」
「え、わ、分かりマシタ!」
あまりな物言いに、しかしエルダー女医は眉をしかめることもなく大きく返事をすると、二人に駆け寄った。
体内に残った弾丸が後々に死を招く、という事実は統計学的観点から流布され初めているのだ。
故に異物を摘出するため、患部を切り開く医術は確かに存在する。
恩師はかつて、クリミアにて従軍した医師にそうアドバイスをしたと言っていた(実行はされなかったが)。
故に、切開の行為を見て驚きはしなかった。
行為には驚かなかったが……
「……ッ!」
患者の有り様が酷かった。
エルダー女医は従軍経験が無いため、戦傷者を扱ったことがない。
そのため、負傷者の惨さは話と書物でしか知らなかった。
いや、こういった患者が大勢いる野戦病院の方がきっと酷いのだろうが、それでも眉根に皺が寄ってしまう。
一体この国際港ヨコハマで、何をしたらこんな酷い状態になるのだろうか。
「時間が無いと言ったハズだ。呆然と突っ立っているなら出ていけ」
「あ、そ、スミマセン。わ、私は何をしたら…?」
そうだ。
今はとにかく患者の命が最優先だ。
死という本来逃れられない動物的宿命を、人間だけが持てる唯一の術でもって覆す。
その事だけに集中するんだ!
斯くして。
外法の者と西洋の女医が協力し、大手術が始まった。
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「……何度言わせるんだ、お前たち。邪魔だぞ」
「む、相すまぬ」
「申し訳ないでござる」
「ごめんなさいね」
『…?』
「……」
手術は休みなく続いている。
夜が明け、陽が頂点に差し掛かり、次いで傾き始め、そして再び没しようとしたとき、手術室から出てきた外印が開口一番に放った言葉だ。
目線の先には、廊下に座って待っている五人がいた。
宇治木、剣心、鎌足、エミー、蒼紫だ。
彼らは手術が始まってからずっと廊下で待機しているのだ。
用を足すためや軽い飲食のため部屋を出てくる外印(とエルダー)が、その都度邪魔だと指摘するのだが彼らは場所を変えようとしない。
二度ほど、外に赴いていた人らもいたが、基本は皆がここで待機している。
なお、その二度とは、一度は宇治木と蒼紫が各々の部下を回収しに行った時のこと。
無論、その時にもいざこざがあったが、剣心立ち会いの下で説明と説得が行われ、表面上は事なきを得た。
もう一度は、鎌足と宇治木と蒼紫による現場の工作だ。
流石に、鎌足が拠点としていた廃倉庫と燃え盛った倉庫を隠蔽することはできない。
誤魔化す方法も思い付かなかった。
頭を悩ませていた鎌足と宇治木に、観柳に押し付けてはどうかと蒼紫が提案した。
これに飛び付いた宇治木が、早速蒼紫と協力して工作活動を実施したのだ。
「はあ……師が心配なのは分かるが、ここに居たところで何も変わりはしない。そう言っているだろう」
「居ても居なくても変わらないのなら、居る方を選ぶ。そう言ったハズよ?」
「拙者らに他に出来ることはござらんか?自分達の手当ては先ほど済ませたし、今は手透きなのでござるよ」
「手術に関して手伝ってもらうことはない。血を分けられる宇治木以外は無用だ。敢えて言うならば、此度の騒動で動き出す敵対組織に警戒すべきではないのかね?」
「警戒監視は俺と宇治木の部下で事足りている。しかも今は敵の影すら見えん。用心は重要だが、今以上に人を割く必要性は無い」
「不足の事態が起こり得る可能性は、此方の方が高いだろう?もしもの際、死に際の顔ぐらいなら看取らねばなるまい」
ああ言えばこう言う。
お前らどんだけ師が好きなのだ、という言葉はグッと堪えて飲み込んだ。
「……はぁ、もういい。せめて通路の端によって邪魔にならないように居てもらいたいものだ」
外印は匙を投げて廊下を進んでいった。
馬鹿どもに構っている時間的余裕はないのだ。
本当ならこういった小休止の時間も惜しいのだが、集中力の欠如は作業効率を著しく損なわせるため、合間合間に無理矢理にでも心身を休めなくてはならない。
師を手術中に死なせてしまったとあれば、きっとコヤツらに斬殺されかねないしな、と嘯きながら。
斯くて三日三晩に及ぶ大手術は、五人の取り巻きが見守るなか、二人の健闘によって成功裏に終わった。
メアリー・シーコールは実在の人物です
表記した逸話も史実です
エルダー女医のバックボーンを描写するにあたり、結びつけてみました
彼女がどのような信念で流浪の医者をやっているのか、考えに考えた結果です