なんでもできるうちの娘は、異世界ライフを落下からスタートさせる   作:オケラさん

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キコちゃんを襲ってた盗賊達、そのうちの一人の視点です。


盗賊視点(1)

 

俺たちはサバト盗賊団。

かつては世界各地に拠点を持つ大盗賊団であった。まあ、それも過去の話だが。

 

俺の名はギル・ローラス。

昔、大勢力を築いていたサバト盗賊団に入った冒険者だ。

 

当時の盗賊団は、はぐれの冒険者や傭兵、果ては脱走兵や農民なども加えてきた。

俺が入った頃は世界規模の争いがあり、世界は混乱していた。

 

そんな中での仕事は割に合わない傭兵や兵士紛いのものばかりで、さらに住居なく、俺たちの国では食料などは全て買い占められていた。

 

そんな時に発足したのがサバト盗賊団で、あちこちの豪商を襲って食料や武器を調達したり、戦争孤児や崩れの傭兵などを仲間にして纏め上げ、ついには自分たちの安住の地まで自力で確保できるまでになっていった。

 

そして、古くから盗賊団を知る俺だが、最近の盗賊団の動きは妙だった。

なんでも、『降神教』とかいう宗教にボスの息子が嵌ってからというもの、今までの組織のあり方と変わってきたのだ。

 

あちこちから無用な誘拐や略奪を繰り返しては組織の中に建てさせた祭壇に捧げ殺し、何やら呟いている。

ボスには息子を止めるよう何度も進言したが、まだ様子を見るといい、挙句ボスまで宗教にハマる始末。

 

それでも一応盗賊団としてやっていけているし、若い奴らの面倒を見るためにも潰すわけにはいかない。どうせ碌に生きられないだろうから、牢屋にぶち込まれるのがオチだろう。

宗教を止めるよう進言していた俺は大陸の端の辺境の地に送られ、子供などの綺麗な魂を持つ人間の誘拐と、この地にあるという竜族に関する宝具を探すことを命じられた。

まあ、所謂左遷だ。大事な仕事だとか言われたが、間違いないだろう。俺が鬱陶しくなった教会か、ボスか…まあ、不要な悪事と誘拐を重ねないだけこの地で生きるのもいいか。幸いこの地には山と海があり、暮らしていけそうな洞窟もあった。同じくこの地に飛ばされてきた部下たちとのんびりするのもいいかもな。

 

ここについて、実は知っている。いや、様変わりし過ぎて最初は気がつかなかっただけだった。ここはバルドという町が近くにある、竜神の山だ。

バルドの町は、その環境から、貴族が保養地としてお忍びで来ることも多々ある。もしかしたら、その貴族の中にアイツらが目的達成に必要な宝具を持つ奴がいるとか?まあ、それならそれで適当に見つからなかったとか報告しておこう。碌な事にならない気がする。

 

最近、教会からの使いが来た。この町にも『降神教』の教会があるのだ。宝具の代用となる物を発見したため、近々儀式を行うので生贄を集めろとのことだった。部下はベテランとは言えない三流盗賊ばかりで、この町に来るのは貴族が多く、もちろん護衛も付いている為、誘拐するのは難しい。しかしやらねば俺たちが生贄となるだろう。ならばやるしかないだろう。

 

そうして俺は部下の教育と子供の誘拐計画を立てた。といってもこの町を通る二本の道のうち一本は、貴族の馬車か旅人の為、子供は少ない。いても護衛が多い為襲うのは愚策、なら反対の山と海へと続く道で逸れた子供を狙う。

 

街の子供は意外と身体能力が高く逃げられる可能性がある。そういった理由で、町の人間ではない少数の子供を狙う。

 

そうして、二人程の誘拐が成功した。

儀式には魂の綺麗さが関わるらしく、できるだけ魂を汚さないために眠らせてからの誘拐だ。

 

誘拐後も解除するまで眠り続ける呪いで眠ってもらっている。

しかし、最初は自分達の為の誘拐だったのだが、そのストレスからか、部下の何名かの性格が歪み始めている。

 

まさに盗賊というべき行動なのだが、本来は無駄な殺傷や誘拐などの不幸を嫌ってここへ移されたはずなのに、だ。

これは早めにこの仕事を終わらせた方が良さそうだ。

 

 

それから一か月後、サバト盗賊団は滅びの時を迎えることになる。




こんな駄文を読んでくださり感謝しかありません。
次回の投稿は水曜日!
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