なんでもできるうちの娘は、異世界ライフを落下からスタートさせる 作:オケラさん
まだこの町で過ごす回が続くと思います。
「魂魔掌握スペルハック!」
無事にスキルは発動出来たようだ。
おお!体の全動きがはっきりとわかる。まるでTPS視点のゲームをしている気分だ。
おそらく、このスキルは魔力を感知できるのだろう。
証拠に、周囲の魔力の動きもはっきりと認識できる。
魔力制御の練習をしていた際、これと似たような感覚があった。といっても、ここまではっきりとは分からなかったし、持続時間も短かった。スキルでこんなに簡単に出来るなら俺の苦労はなんだったんだ…
よし、スキルはこれから活用するとして、悔しいから魔力制御の練習も続けよう。何かできるかもしれないし。
戦いに意識を向ける。バガスさんが目の前から消えた。
いや、そう錯覚するほど早く動いたのだ。
現れたのは背後。鋭い拳が炸裂する。本気で殺しに来てない?
俺はすぐさま反応して拳を流す。と、同時にバガスさんが消える。こんどは高速移動ではなく転移だ。左後ろから再び拳を突き出す。
これなのだ。先程から、この高速移動と転移を混ぜて翻弄し、スキあらばラッシュをかましてくる。
ぶっちゃけ転移は察知できないし、高速移動も周りの影響が殆どないため、とてもわかりづらい。まあ、移動は転移に対してタイムラグがあるため、辛うじて反応できてはいるのだが、転移に対しては影響なく消えたら転移と見なしてその場から飛び退いている。
どうやら転移は連発できないらしく、状況把握のためか一瞬停止するので、転移と移動を見誤ることが無ければ捌ける。これを可能としているのは認識できれば対応でき、さらに効率よく身体強化できるこの体のおかげなんだけど。
俺の体は全て魔力で出来ているため、身体強化などの効率が大変いい。それでも反応がやっとなんだがな。
まあ、相当な綱渡りをしていた訳だが、今となっては簡単だ。移動と転移の違いが、魔力の流れの違いからすぐ分かる。
魔力の中を移動してくのと、いきなり場所が変わるのがはっきりと分かる。おまけに転移して来た場所すら手に取るように分かるわけで、対応も随分と楽になった。
高速で背後に回り放たれた拳を受け流し、カウンターを決める。今まで防戦一方だったため、いきなりのカウンターをモロに受けてしまったようだ。が、まだダウンには足りない。
先に相手に背をつけさせた方が勝ちとなっていて、それは風や衝撃などでもいい。俺は身体強化の他に最近覚えた剛力といった魔法も併用し、時には風魔法で飛ばそうと試みるも圧倒的な力により全てに反応されて耐えられ、ただの牽制としてしか意味を成さなかった。
しかし、軽いとはいえ一発モロに入ったという事は、後はどうにか力の大きさを解決出来れば勝機は見える。
おそらくカギは竜の加護の使い方だろう。バガスさんの身体能力は化け物並であるが、竜の加護を使ったうえでこれなのだ。
反応はできているから、後は竜の力に対抗出来れば…竜をイメージするんだっけか?
俺は少し出来た余裕で現状を整理した。そして、竜をイメージする。バガスさんが加護を使って変化したのは身体能力と魔力量かな?
別に火を吹いたりして来るわけではないし、おそらくそうだろう。竜を体に宿すイメージかな?
「っ!」
意識が、感覚が、急激に鋭くクリアになっていく。竜が人型でその力を使えたらこんな感じだろうな、というような感覚だ。
上手く言葉にできないが取り敢えず身体能力が上がったのは分かる。
──〈高速思考〉を獲得しました。──
──〈竜人化〉を獲得しました。──
──〈竜の権能〉が解放されました。──
──種族に霊竜が追加されました。──
──〈混沌〉を獲得しました。──
何やら一気にアナウンスの様な声が聞こえてきた。魔法を獲得した時には無かったから、おそらくスキルや加護関係だろう。
今は調べている時間はないが高速思考は有用だな。さっきよりも状況把握がしやすくなった。
あれだ、所謂スポーツ選手とかにある、ゾーンというやつだ。周りがゆっくりに感じられ、とても落ち着いて考えられる。
加護の力を使おうとしたら、思わぬ拾い物をした。
ところで、無事に竜の力は使えるのかな?これで力不足とかなったらどうしようもないんだが…
俺はバガスさんの拳に合わせてカウンターをする。正中線にクリーンヒットした拳は、そのままバガスさんを吹き飛ばす。
そのまま壁にぶつかり、倒れ…なかった。膝まではついたが持ちこたえられた。
しかし、結構エグいな。俺が当たっていたら一発KOだろう。それどころか、冗談じゃなく体に穴が空いたりして…いや?粉砕されるかな?
まあ、当たらなければどうという事はない!
攻撃が通用し、相手の攻撃にも反応出来るならば、まともかそれ以上の試合が出来るだろう。
追撃を仕掛けようとした俺の攻撃を躱し、接近した俺に拳を突き出してくる。
追撃に失敗したので、それを躱して後ろに跳躍して距離を取る。
着地直前を狙って迫るバガスさんを、風魔法で着地地点をズラす事で躱す。
そして方向転換して再び目前まで迫るバガスさんを力で受け止める。
そのまま体勢を崩して今度は鳩尾辺りを狙う。バガスさんは見えてないにも関わらず、後ろに跳び回避する。
マジかよ…あの体勢からどう跳んだんだよ。
真剣な表情になったバガスさんが、今度は高速で四方八方から攻めてくる。
余裕を消す事は成功したらしい。が、なんか翼みたいなの生えてるんですけど…
ええ…あんなことも出来るのかよ。
まさしく360度。そう!地中からも時折火柱が上がるのだ。
うーん。360度というより、全方位かな?幸いに魔力を感知できるので、魔法などは事前に回避できるが、それに加えてバガスさんの攻撃も捌かなくてはいけない。
不味いな…あまりにもバガスさんの動きが早すぎて、見てからの回避では間に合わなくなりそうだ。事実、先程から危ない場面がいくつかある。
打開策としては、相手の動きを把握する術を身につける、近寄らせない手段の確立、攻勢に出て決着をつける。ぐらいかな?
ぶっちゃけ最初の二つは出来る手段が浮かばないので無理だが、最後の方は出来ると思う。先程から牽制にしか使ってなかった魔法。使い様によってはチャンスを生み出せるかもしれない。
風魔法を使い、周囲を吹き飛ばす様に展開する。これでも少し遅くなる程度だと思うので、水魔法と氷魔法を追加してさらに足場を制限する。毒魔法で毒霧を漂わせ、展開してあった風魔法と混ぜる。土魔法で周りの足場をぬかるみにして迎撃拠点の完成だ。
結構エグいものが出来たのでは?イメージするだけなので、この間1秒にも満たない。火柱を突き上げても、あんなの当たらないし、魔法で相殺できるだろう。
なんて考えていたら、地下から魔力の反応があった。俺は迎え撃とうとして、氷魔法を用意する。水魔法にして水蒸気爆発が起こったりしたら目も当てられないからな。
地面に火柱が吹き上がる直前、俺の足元が凍っていき、そのまま地下へと伸びていく。瞬間、俺はその場を跳びのいた。物凄い危険を感じたのだ。
直後に、俺が立っていた場所が爆ぜた。おそらく爆発系の魔法だったのだろう。爆発系の魔法を火柱に隠して、火柱と氷が相殺して中の魔法がでてきたってところかな?
おかげでせっかく作った拠点から出てしまった。さらに、意識が逸れた。気づけば目前に迫る手、身体能力が上がっていても躱しきれないだろう速度、これは詰んだな…
こんな駄作をここまで読んでいただきありがとうございます。
誤字脱字アドバイス及び感想などあればお願いします。