なんでもできるうちの娘は、異世界ライフを落下からスタートさせる   作:オケラさん

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夏休み開始となりましたが、昼夜逆転、猛暑、課題及び夏期講習などに苦しめられるような気がしております。


朝の小話

 

 

…嫌な夢を見た。

昨日、家族の事を思い出したからだろうか?

 

俺には家族がいた。

数年前に強盗に襲われて、その時家に居なかった兄と俺だけが生き延びた。

 

父、母、兄、俺、妹、弟の6人家族だった。

俺は修学旅行に行っていて、兄は既に自立していた。

 

その後、兄の伝手でアパートを借りたが、学校は休校し、家に引きこもるようになった。

 

色々あって犯人は死に、俺も学校に復帰したんだっけか。

もう昔の事だが、今でも鮮明に思い出せる。

 

…やめよう。気分が悪い。

そうだ。今日は祭りでダンジョンに挑戦するんだったな。

 

まだ布団に埋まっていたい気持ちを押しのけて目を開けた。

…目の前には心配そうに顔を覗き込むキコちゃんとアリス。

 

「あ、起きた!大丈夫?怖い夢でも見たの?」

「おはようございます。マスター」

 

心配かけたようだ。

そんなに魘されていたのか?

 

「ありがとう。大丈夫だよ。」

「何かあったらちゃんと言ってね。力になるよ?」

 

キコちゃんがお姉さんみたいな喋り方してる…

一応ここでは先輩だし、俺はこの世界に来てまだ0歳なので間違ってはいないのか。

 

それでお姉さん振ってるのかな?

…それでも可愛いな。

 

「クハハハ!邪魔するぞ、リンよ!」

 

うーん。

朝からうるさいレオグリンドさんが来た。

 

「今日はダンジョンに行くから少し修行をすると言ってあったであろう?」

 

そうだったな。

早く準備するか。

 

 

「竜人化!」

 

そう叫ぶと同時、リンから竜の様な羽と尻尾が生える。

 

「フム。これを使ったのは初めてか?」

「そうですよ。どうですか?初めてにしては上手じゃないですか?」

 

リンは、レオグリンドに言われて昨日獲得したばかりの竜人化の練習をしていた。

 

「リンよ。竜化は使えるか?」

「いえ…スキルがないので…」

「そうか。それならば竜人化の練度を上げていくがよい。お主ならば直ぐに使えるようになろう」

「?…わかりました」

「それと、竜人化の出来は素晴らしい。初めて使ったスキルが100%近く馴染んだ状態で使える事例はそうそうない。恐らくだが、お主の身体が関係してるのだろう」

 

それからしばらく、レオグリンドによる竜の力の使い方講座と模擬戦が行われた。

 

「大分良くなってきたではないか。これはもう、竜族だと言っても騙せると思うぞ」

「いや、そんな事しませんし」

「そうだ。思ったのだが、幽霊の姿には戻れるか?」

 

幽霊の姿?

 

「お主は今、半霊だろう?幽霊にはなれるのか?」

 

確かにそうだな。この体で過ごしていた期間の方が長いのですっかり忘れていた。

さっそく試してみる。

 

するとリンの体が徐々に拡散していき、まるで急成長したかの様に大人の姿になる。

おお!本当にできた。

しかし、女性体だな…

 

「クハハハハ!大人になっても女性体とはな!お前、性転換の願望でもあったのか?」

「そんな事はないですよ?しかし、何故か基本の姿が女に…」

「だから、前にも言ったであろう?それはアリスの要素が混ざったため、そして、意識をすれば男になれる」

 

むむむ。そうか、レオグリンドさんにしては真面目に分析してるな。

ではさっそく。

 

俺は、今まで練習してきた、魔力操作の感覚と技術を生かして、男の体を形作る。

まずは全体を把握し、そして体を構成している魔力を認識して動きを掴む。

 

…おお!本当にできた!

ついに男の姿に戻る事に成功した。

 

「出来たではないか。それは前世の姿か?」

 

うーん。前の姿というよりも、中性的になってるかな?

何故だかは分からないが、学生時代の姿よりも中性的になっていた。

因みに性別は無性である。

 

そこから更に練習し、遂に学生時代の姿に戻る事ができた。

 

「おっ!それが前世の姿か。意外と早く戻れたな」

「ありがとうございます。レオグリンドさん。なにも考えずやらかす無駄にスペックの高いだけの人じゃなかったんですね!」

「ええい!無礼だぞ。それに人ではなく竜だ!…まったく。お前くらいのものだぞ?我にその様な態度をとるのは。尊敬してるのか馬鹿にしているのかどっちかにしろ」

 

と、言いつつもどこか嬉しそうなのは、偉い人そうだし、こう言った関係や態度で接する人物が少ないからだろう。

だからこんな山の中に住んでいるのだろうか?

 

「よし!後はこのまま半霊体を作るだけ!」

 

元の姿に戻るべく、拡散させた魔力を戻して固める。

…そこには、少年の頃の姿になったリンがいた。

 

「ぬぁぜだ!」

「クハハハ。答えは単純、魔力不足だろう。普通、魔力は魔法等を発動させるだけだから自分の保有魔力を10割近く使えるが、お主の場合、体の構成にも当てねばならん。

よって、並より多くの魔力を保有していようと、結局使えるのは並の魔力ぐらいになるのだ」

 

ということは何だ?

おれは学生時代の姿に戻るには人の何倍もの魔力を獲得しないといけないのか?

 

「あ、そうだ。ダンジョンには魔力を増やすアイテムの類も落ちていることもあるそうだぞ」

 

ならば何が何でもダンジョンに行かなくては。

拙者、魔力増加のアイテムを見つけるまでは帰らない所存でございます。

 




朝の話はこのくらい。
次回投稿は火曜と水曜どっちがいいですかね?

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