なんでもできるうちの娘は、異世界ライフを落下からスタートさせる 作:オケラさん
ダンジョン目前でいつまでも入らなくて申し訳ありません。
登場した男は、茶髪長身で少しキザっぽい優男風であった。
「いや。お嬢ちゃん。うちのフリッツが失礼したね。お詫びとして、このお菓子をあげよう」
そう言って男が取り出したのは包み紙に包まれた半透明の球体のお菓子。
まあ、元の世界で言うキャンディだった。
「…ありがとうございます」
「それ、キコにも頂戴!頂戴!」
「ははは。ほらどうぞ。それと此処には怖いおじさんが沢山いるから、子供はこんな所に来ては行けないよ?」
あれか。ギルドに迷い込んだ町の子供だと思われてるのか。
「いえいえ。大丈夫ですから」
「いや、そう言うわけには行かない。ほら、出口はこちらだよ」
「いえ、ですから…」
さて、困ったな…
どんな事言っても言い訳としか受け取られない。
俺がどう言いくるめるか考えていると、
「あら〜いいのよぅ。彼女は冒険者よ」
「しかもBですよ!ちゃんと受注する資格もあります!」
「なっ…」
「おやおや…それはすごいですね」
Bランクというベテランの証にフリックと呼ばれた少年は目を丸くし、保護者らしき優男は少しだけ驚いた顔をした。
まあ、プレゼントのランクだがな…
とりあえずダンジョン参加の受注を済ませてしまおう。
◆
ダンジョンの入り口付近には、多くの冒険者で溢れていた。
といっても、入り口が小さいために相対的に溢れているように見えるだけだけども。
「ドキドキするね!」
「そうだね。楽しみだね」
「私はマスターについて行くだけです」
「そういえば二人は採取と討伐、どっちの部門なの?」
「さあ?分かんない」
「マスター。情報を見た限りですと…」
「おう。二人とも討伐部門だぞ」
アリスの説明を遮り登場したのは、バガスさんだった。
「あ、バガスさん」
「よお嬢ちゃんたち。体調は万全か」
「キコは大丈夫だよー。もう全力全開だから!」
「私は元より、体調の良し悪しなどはありませんので」
「ええ。大丈夫ですよ。ところで、今の話は?」
レオグリンドさんと玖苑さんならともかく、何故バガスさんも知ってるんだ?
「ああ。俺もそのギルドカードの制作に立ち会ったからな」
そうだったのか。でも、何故だ?
「どうして立ち会ったんですか?」
「ああ。レオグリンド様も流石に無茶だと思ったのか俺にギルドを説得するように言って来たんだ」
「そうだったんですか…ありがとうございます」
「いやー、いいってことよ。お前達は姪みたいなもんだし、それに昨日はいろいろあって気にしてる余裕も無かったし…」
「何かあったんですか?」
どうやらレオグリンドさんが迷惑をかけたようだが、それ以上の何かがあったらしい。
本人も居ないのに、強引に冒険者登録を上位でする事以上の出来事ってそうそう無いと思うが。
「…まあ、嬢ちゃん達には言ってもいいか。実はな…」
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