なんでもできるうちの娘は、異世界ライフを落下からスタートさせる 作:オケラさん
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土地の修復が終わり、ゲイルが口を開いた。
「あ、いや…確かに修復はされましたが…これは、なんというか。修復というより整地と言うべきでは…」
ゲイルの言う通り、そこには元あった森などは無く、だだっ広い平地が広がっていた。
「いろいろと利用出来るようになって良いではないか?」
「いや…そうなんですけど」
ゲイルはたった一夜でこれ程広大な平野が出来たことが騒ぎにならないかという心配をしていたのだが、レオグリンドに聞く気はなさそうだった。
「まあ、レオグリンド様はここにも様々な施設が並び、活気と目新しいもので溢れて欲しいと思ってるだけですから」
玖苑が、何を言っても無駄だと言うように、ゲイルを説得する。
玖苑の言う通り、レオグリンドは土地を整地した事でそこに生まれるだろう新しい施設や需要、活気を求めていた。
それ以外は聞く耳を持っていなかった。
(さて、これからこの場所がどうなっていくか…楽しみだな)
レオグリンドが、これからの発展について夢想していると、
─ガキィィン─
ものすごく硬質で、凄まじい爆音が轟いた。
「なんだ?」
「玖苑!」
「──っ!レオグリンド様!山に張ってある結界に凄まじい勢いで何かが衝突!」
「何かだと…」
「Gyagooooo!VOOOOLL!」
その時、魔獣のような雄叫びが轟いた。
「あれ⁉︎男の死体は?」
あたり一帯を整地されてあたりを見渡せるようになった視界に、倒したはずの男の死体が見当たらない。
「VOAAAAAA!」
再び、咆哮が轟く。
それと同時に、先ほどの硬質な衝撃音が、何度も響き渡る。
「まさか!」
一同は驚愕の表情を浮かべて、その方向に顔を向けた。
─ズドォォン─
今度はまた違った、鈍い衝撃音を伴い、その方向から男が吹き飛ばされてきた。
「ふん。どうやって我の探知から逃れたか知らんが…貴様、今何をしようとしていた?」
「レオグリンド様。おそらくですが、もはや意識は残ってないかと思われます。レオグリンド様の探知は生き物の思考を探知して読み取りますが、本能で生きる獣などにはあまり効果はありません。この男は自分に狂化をかけ、理性が無くなったことにより、探知できなかったのではないでしょうか?」
「え…だったらよ、玖苑さん。俺たちじゃなくて山に向かったのはどういった理由だ?」
理性がないと言うのなら、何を目的として動いていたかだ。ただ暴れるだけなら山に向かう理由がない。生き物を殺すにしても、近くにバガス達がいるので該当しない。では、山に向かった理由は何なのか?
「おそらく…キコやアリス、リンが目的であろう。ただ結界に惹かれたのなら、そこらへんの方向を狂わせる結界がある。リン達のもとへ向かって、結界とぶつかった…ということだろうな」
「で、でもなんで?」
「餌として、自分を強化するために、今の力で手の届き尚且つある程度の強化が見込める対象だったのだろう」
レオグリンドはそう説明した後、「まぁ。そんな事、我が許さぬがな」とボソリと呟いた。
◆
狂化した男の暴走は一瞬で終わった。
「ふん!」
立ち上がろうとした男に対しての、レオグリンドの追撃で叩きつけた拳。それにより頭を潰されて動かなくなった。
「情報も無いのでは、生かす必要もなし。さて玖苑、帰るか」
「お待ちください。まだキコとアリスの冒険者登録が済んでいません」
「おお。そうか、では行こうか」
レオグリンドはその気配だけで畏怖させそうな雰囲気から一転、好々爺然とした表情になり言った。
こうして一同は一度町に戻り、ギルドでアリスとキコの登録を済ませることにした。
「なぜ出来んのだ!」
「ですから、町を救ってもらいましたが、そこは本人のいない状態でのDランク登録と譲歩したあるでは無いですか。それにダンジョンに潜るだけでは、Dランクでもできます」
ギルド会館にて、レオグリンドの声が響く。
レオグリンドと対面に座り話しているのは、この町のギルド支部のギルドマスターである。
少し小太りだが、昔は腕の立つ冒険者だったらしく、ランクA+の実力者であったという。
「ダメだ。BとDでは差がありすぎるし、第一、ランクが高いほど権利が確保されるのだろう?ならば最低でもCは貰おうか」
「ですから、規則ですので…これ以上破るわけには…」
そうなのだ。今回の譲歩についても規則を破って相当譲っている。それに、ギルドマスターが出れば解決できたかも知れないと考えており、町を救ったと言ってもこれ以上の譲歩は出来なかった。
仕方ないだろう。多数派は狂化する前の男しか見てないし、実力がある三人の意見を聞いても、多数派に対して半々というところだった。
たしかにキマイラを素手で倒したのは凄いが、それはギルドマスターでもできただろう。
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