なんでもできるうちの娘は、異世界ライフを落下からスタートさせる   作:オケラさん

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毎週水曜日の0時に投稿しております。
アドバイスや感想待ってます。

主人公視点に戻りまして、ダンジョン探索開始となります。
アドバイスや感想、しおりなどがあるとモチベが上がります。
よければよろしくお願いします。


ダンジョン探索は戦場かと

ダンジョン探索は戦場だった。

死ぬのではないかとも思った。いや、バガスさんが一緒じゃなければ今頃死んでいたかもしれない。

…そう、あの冒険者の波によって!

ダンジョン探索開始の合図がされた直後、獣の咆哮かと思えるような雄叫びと、地を割らんばかりの地ならしを伴い、冒険者達が入り口に殺到した。

その波に飲まれそうになっていた俺たち三人を、バガスさんが回収して空に避難させてくれた。

最初は呆然と抱えられていたが、気がつけば皆、宙に浮いて人の波が引くのを待っていた。

 

…はて?アリスとキコはいつのまに飛べるようになったのか?

俺?俺は幽霊だし、竜の加護でな羽も出せるし。キコちゃんは、何か透明な板のようなものに乗り、アリスは自然に浮いていた。

…あれ?こいつら今、エプロンドレスとスカートタイプの袴じゃん!スカートの中見えちゃうじゃん!女の子なんだからもう少し意識しなさいよ!

 

「アリス?キコちゃん?堂々と浮いているけども君たち今、スカートだよね?もう少し、乙女の恥じらいとか持とうか?」

「マスター。お言葉ですが、それはマスターにも言えることかと?」

「元男だしへーきへーき。何だったら男の子にでもなっとこうか?」

 

 

 

俺とアリスがそんなやりとりをしていると、

 

「おーい!何してるのぉ〜?早く降りないの?」

「スカートの件なら大丈夫だ。もう下に人はいねえし、みんなダンジョンに夢中でそれしか目に入ってないのさ」

 

のんびりとしたキコちゃんの声と、呆れたようなバガスさんの声が中断した。

確かに、下にはもう受付のお姉さんしかいなかった。

 

 

「ダンジョンって広いんだねー」

「人工的な迷路ではなく、自然の洞窟による迷路なのですね」

「ああ。ダンジョンは基本的にこういった形態のものが多い。そこらへんはダンジョンマスターが弄れるらしいが、これはデフォなんだそうだ」

「そうですか。ところでどのダンジョンも地下へと延びるものなんですか?」

「いや、そうとは限らねぇ。これはたまたま地下へと続いているだけだ」

 

バガスさんの説明をうけながら、ダンジョンの奥へと進んでいく。

中は暗く、はじめは足元も覚束なかったが、今では周りに漂う狐火と光球が辺りを明るく照らしている。キコのスキルとアリスの魔法によるものだ。

それで俺はというと、

 

「なんだいそりゃあ?水晶かい?」

 

最近使えるようになった魂魔掌握(スペルハック)の練習と、性能の確認をしていた。

どうもこのスキル、魔力を感知、利用するだけでなく、操作や凝縮、拡散といった事まで出来るらしい。効果範囲は広く、本人が把握しきれるなら割とどこまでもいけそうな感じである。

普通の人だと、半径0〜10メートルくらいかな?俺は玖苑さんの指導を受けているし、体が魔力で構成されている分、自然体でもある程度は把握できる。半径7〜20メートルくらいかな?集中すれば、30や40メートルくらいまではいけそうな感じである。

 

具体的にどんな事が出来るかというと、魔力を凝縮させて道具を形作ったり、魔法陣を離れたところから展開したりといったものだ。他にも、スキルの実験も並行して行っていた。

特に面白かったのが眷属生成だ。

 

自分の魔力などで眷属を作り出す事が出来るスキルで、さらに眷属と視覚などの共有ができる。これにより暗所や狭い場所などで環境に適した索敵もできる。

さらにそれで得た経験やスキルは俺に帰結し蓄積していく。コウモリ型の眷属を生成して探索していたのだが、お陰で暗視や反響定位(エコーロケーション)などを獲得できた。

得られるスキルは一般スキルが多いが、時々、種族スキルと思しきスキルを獲得したり、種族や称号が追加されたりと大変有用であった。

 

(まあ、コウモリになる時など来ないと思われるが…)

 

ただ、制限としては一度捕らえたりした個体でないと模倣できない事と、スキルの獲得には個体差があるらしいって事くらいだろう。

 

そして今やっているのが魔力を凝縮して道具を作る事。さっきまで作っていたのが、魔水晶という純粋な魔力が固まってできる宝石だ。サイズによっては相当高値で売れるらしい。魔力の凝結は割と起こるらしく、こういったダンジョン内でも魔石と呼ばれる手のひら以下の大きさから魔鉱石と呼ばれる人間大の大きさの鉱石が見つかるらしい。これに魔法を込められないかや、武器を形作って魔法を込められないかと言った実験をしていた。

 

「なにそれ!アリスおねーちゃんみたい!」

「え⁉︎アリスもできるの?」

 

キコちゃんの衝撃的な発言に思わず聞き返してしまった。アリスもできるなら俺だけの出来る事が無くなっていくじゃん。それになんで教えてくれなかったんだ…

 

「出来るよ!前の戦いでやってたの!凄かったよ!でも、リンおにーちゃんのは剣の形の宝石みたい!」

「そうですね。マスターが成長のため手伝わないでとおっしゃっていたので教えませんでした。それとマスター、それでは剣の形をした魔水晶ですよ」

 

元気のいいキコの肯定と、いつのまに混ざったアリスのアドバイス。

 

「マスター。土魔法などを併用すると真剣が作れますよ」

「そうなのか…って、あれ?」

 

アリスは言いながら、宙をつかんだと思ったら、その手には刀が握られていた。

言われた通りやってみるが、結果は土塊の剣、鉄塊の剣、木刀などと、どうも単一の素材のものばかりになってしまった。

 

「…うーん?」

「熟練度の問題じゃねえか?アリスちゃんはお前さんより、というより俺よりも遥かに精密に正確に魔法を操っている。お前も練習していけば、そのうち出来るようになるだろう」

「その間は、キコにたくさん宝石作ってね!」

 

アリスがいつからそんな事が出来るようになったか聞きたいが、アリスはもともとなんでも出来たし、そういう風に作ったからな…不思議ではない、と思う。

 

「他にはなにが出来るんだ?」

「うーん、こんなのですね」

 

そう言い、リンが数メートル先に瞬間移動した。

 

「あとは、こんな所ですかね」

「わあ!凄い凄い!」

「なるほど。マスターならばそのような事も可能なのですね」

 

今度はリンが分身したり、腕が複数本に増えキコとアリスに賞賛を浴びる。

魂魔掌握は魔力を操作できるスキルであり、体が魔力で構成されている幽霊ならでは使い方だろう。

アリスとはまた違った使い方であった。

 

(なんとなくできる気がしたからやってみたが、案外出来るもんだな)

 

ぶっつけ本番だったため、リンは内心驚いていた。

 

「凄いなぁ…ところで、その体は魔力で出来ているんだよな?だったら魔水晶なのか?」

 

そういえばそうだ。俺の体は魔水晶じゃないが、魔力の塊である。一体どういう事だろうか?

 

「違います。確かにマスターの体は魔力の塊ですが、魔水晶よりも遥かに高密度、高純度の魔力塊てます。魔石、いやもはや鉱石の類ではない、未知の物質です。魔水晶よりも色が半透明の青から青白くなっているのも、より高密度だからでしょう」

 

魔力とは、そこら辺に空気と同じく漂っているため分かりにくいが、実は青白い色をしているのだ。

アリスがそこまで分かったのは、魔法:解析(アナライズ)によるものである。

 

「へえ…解析系の魔法か?そんな事まで分かるんだな」

「ええ。個体についての内面的な事は分かりませんが、外面的な情報、例えば対象の状態や材質などは分かります。」

 

そんな事も分かるのか。

知らない事が多すぎるのに、一緒に来たはずのアリスはこの世界にちゃんと適応できていて、なんだか流行に乗る娘についていけずに呆けている父親の気分だな…(完全に想像でしかないが…)

 

「そうか。ところで、その事はあまり他の人には言わない方がいいぞ。」

「なぜですか?」

「魔力はこの世界の主要なエネルギーで、術者の魔法は勿論、魔道具から日常生活まで幅広く必要とされている。よって、魔水晶や魔石、魔鋼といった、魔力を多く含むものは常に需要があり、高値でも売れる。」

 

あ、はい。だいたい分かったわ。

キコちゃんはポカンとしてるけど…

 

「そこで?高純度の魔力?魔石や魔鋼よりも上の?そんなの知られたら、誘拐されて最悪四肢をバラされ内臓も捌かれて綺麗に売り飛ばされるぞ。気をつけるんだな」

 

他にも、同じ理由で半霊人やエルフ、狐獣人や中には子供を誘拐するという事が、黒い噂であるらしい。

アンデットはどうなのかって?アンデットは危険だから、冒険者の依頼に回って来たりするらしい。そもそも魔物からは時々、魔晶と呼ばれれる魔力の塊が採れるらしく、そこは常識なのだとか。

 

さて、他のスキルの確認や魔物との戦いも学んでおきたい所だが…

先に突入した冒険者達があらかた狩ってしまったのか、獣一匹いやしない。

 

「お!そろそろだな。前を見ろ」

 

ずっと暗い一本道の先、眩い明かりが見えてきた。

その先へ抜けると、広大な空洞に建てられた木造の建築群とそれらに群がる冒険者たちの姿があった。

 

「さあ着いたぞ。ようこそ!唯一ダンジョン内に存在するダンジョン探索用の道具がそろったダンジョン街!始まりの地へ!」

 




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