なんでもできるうちの娘は、異世界ライフを落下からスタートさせる   作:オケラさん

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やっとこさダンジョンです。
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ダンジョン街

「さあ着いたぞ。ようこそ!唯一ダンジョン内に存在するダンジョン探索用の道具がそろったダンジョン街!冒険の入り口へ!」

 

おお…なんだか活気のある所に出たな。

印象としては、街というよりは市のようだな。

バザーとか開かれていそうな感じだ。

 

「準備を忘れた奴らや長期ダンジョンに潜る奴、安全さ故に避難場所として使う奴らと様々だ」

「長期…?ダンジョンは1日では無いのですか?」

 

前世の感覚から、祭りは前夜祭を含めても最長でも四日くらい。一般的には二日ほどだと思う。

 

「1日?誰がそんな事言ったんだ?ダンジョン祭は七日間ぶっ続けで開催だぞ?」

「七日間も⁉︎」

「祭り以外にも、あと二ヶ月くらいは入れるしな。さて、俺もここでスタッフをしなくちゃならねえ。お前らとはここでお別れだ」

「そうですか。お仕事頑張ってください」

「それと、せっかく美少女なんだから言葉遣いをどうにかした方がいいぞ?」

「いったいどうしろと…」

「さあな。後ろの嬢ちゃんたちに聞いたらどうだ?」

 

後ろを振り向くと、アリスとキコがキラキラとした顔でこちらを見ていた。

 

「じゃ、そういう事だ。せいぜい楽しんで来るんだな」

 

そういうと、バガスさんは人混みに消えていった。

 

 

さて、ここはダンジョンに潜る前に色々と準備するところらしいが…

なにせ初心者。なんもわからん。

二人はわかるかと、アリスとキコを見る。

 

「リンおにーちゃん♪いや、おねーちゃんだね」

「マスター。では早速参りましょう」

 

何を思ったか二人は、ウキウキとしながら俺を連行する。

 

「え?いきなり潜るの?準備は…」

「大丈夫です。家を出る前に玖苑様とレオグリンド様が持たせてくださいました」

「そうそう。だから心配しなくて大丈夫♪あとアリスおねーちゃん。様じゃなくて玖苑おねーちゃんって呼んでって言われてたじゃん」

「そうでしたね…人を気安く呼ぶのはどうも慣れておらず…ありがとうございます。キコ」

 

朝、レオグリンドさんと訓練していた時に色々と準備がされていたらしい。

そのまま二人に連れられてダンジョン街からダンジョンへと向かう。

ダンジョンへと潜るための横穴。その入り口横に並ぶ受付に人が並んでいる。

どうやら冒険者のようである。冒険者は皆一度受付に並び、ダンジョン奥へと向かっているようだ。

 

「さて、私たちも行きましょうか」

「そうだね。ルールは守らなきゃね」

 

三人で冒険者の列に加わる。

あまり手続きはないようで、意外とスムーズに進んでいる。

 

「おいおい。なんで半霊人がこんなトコにいるんだぁ?しかも子供」

「おおかた、ダンジョンに入りたくて忍び込んだか?これだからガキは…」

「お嬢ちゃん達ぃ?ここは怖〜い所に行く所だから、さっさと退きましょうね〜?」

 

ガラの悪い三人組に絡まれた。

細身で不健康そうな男、寡黙で睨むような短髪の男、下卑た笑みを浮かべた特徴のない男。見た感じ男三人のパーティのようだ。

 

「お兄さんが安全な所に案内してあげるから。さあおいで」

「いえ。結構です。これでも冒険者ですので」

「どうしてもダンジョンに入りたいのか?受付を通れるとでも思ってるのか?どうやってここまで侵入したかは知らんがどのみち無理だ。わかったらさっさとそこを譲れ。邪魔だ」

「いえいえ。これでもお…私はランクBの冒険者でしてね。受付もきちんと済まして来ました。後ろの二人はCでして。パーティのランク的にはC +くらいですかね?お兄さん達は幾らくらいでしょうか?」

「嘘言ってんじゃねえ!てめえらみてえなガキが冒険者だ?しかもランクBとC?ハッ!ガキども。痛え目見ないとわかんねえのか?あ?」

 

細身のやつは完全にチンピラだな。

危ない危ない。さっきはあやうく俺と言いそうになった。

寡黙なやつは一応不機嫌とわかる表情でこちらを睨んでいる。

特徴のないやつは…あ、アイツ。キコちゃんに触ろうとしてる!

 

俺は急いで男の手を止めた。

 

「何してるのですか?」

「いやなに。出口まで案内しようと思っただけだよ」

 

男は先ほどの下卑た笑みから紳士的な微笑みにかえてそう言った。

うん。敬語が喋りやすいしボロが出にくいかな?

 

ギリリと男の腕とそれを掴んでいる俺の腕が拮抗する。

 

「お、お嬢ちゃん…凄い力だね。ちょっと離してくれないかな?」

「解けと言われて不審者の拘束を解くバカがいると?」

「フン。何をしている?所詮は半霊人、半端者のガキ相手だぞ?他の二人は…一人は半霊人か?一丁前にドレスなんか着やがって…あと一人は狐獣人のガキが…退かないと言うなら力ずくで退けてやる。覚悟しろガキども」

 

この寡黙そうな男、半霊人の子供に親でも殺されたのか?さっきからやたらとて嫌味と敵意を向けてくる。

 

「やるってんなら相手になりますが…いいんです?ここには多くの冒険者がいます。あまり派手にしてはマズイのでは?」

「そ、その通りだぜ。なあお前達もそう思うよな。い、いや〜勘違いさせて悪かったな。俺たちは親切心から言っていたんだがな。ははっ…脅しみたいに聞こえちゃったかな〜?」

 

なんだ?チンピラが急に態度を変えたぞ?

チンピラの視線の先を追うと、そこにはこちらを睨みつける冒険者達の姿があった。

あ!よく見たら昨日からいた人とかが多いな。

 

「よしなよ君たち。彼女達はれっきとした冒険者さ。それに、子供相手に怒るのは大人げないんじゃないかな?」

 

そういって俺たちを止めに来たのは、今朝あった生意気少年の保護者らしき優男だ。

 

「ちっ!精々気をつけるんだな。ガキども」

「…フンッ」

「チッ……」

 

男三人は、不機嫌そうな表情でそう言い捨ててそっぽを向いた。

 

(一応、列から退くことはないのか…)

 

「次の方〜。お進みくださ〜い」

 

気づいたら最前列まで来ていた。そのまま受付も済ましてしまおう。

受付を終えた俺たちは一度、宿屋のような施設へ向かう事にした。

 

 

「さて、まずは色々と確認が必要だ」

「ん?持ち物は大丈夫だよ?」

「そうみたいだけど、格好とかだよ。さっきみたいにまた絡まれたり、無いとは思うけど冒険者に襲われたりしたりし無いとは限らない。現にさっきチンピラに絡まれたじゃ無い?」

「では、私とキコは目立たないようにローブでも羽織っていましょう。どうやら、そのような格好の魔術師が多ようですし。マスターはどうされます?」

「うーん。とりあえず男になって…」

「それはいけません。先ほどのマスターの姿を見ていた者たちとの矛盾が生じます」

「そうだよ!女の子の方がいいよ!どっちも可愛いけど、言葉遣いを練習するんでしょ?」

 

はて?どうやら俺の女の子化計画がいつの間にやら進んでいるようで?

 

「とりあえず、後衛のみだとまた変なのに絡まれるだろうし、バランスも悪いから俺が前衛をやるよ」

「違うでしょ!俺じゃなくて私!」

「せめて僕、ではいかがでしょう?」

「俺でいいじゃん!ボクっ娘じゃなくてオレっ娘で!」

「それでは少々、見た目が可愛すぎますね」

「いや、それは…」

「オレっ娘をしたいのでしたら、もう少し見た目の操作を熟練させましょう。今できるのは、その姿とマスターの幼少期ですよね?」

 

うぐ…反論できん。

完璧になるよう作ったうちの娘に論破された…

 

「だぁ!ならこれでいいんじゃない?」

 

そう言うとリンは体を変化させていく。

少しすると、リンの体は変化を止め、そこには全身鎧姿になったリンがいた。

 

「これならどう?」

「凄いすごーい!中にはリンおねーちゃんがいるの?」

「こんな感じ」

 

リンは兜を脱いで見せる。

そこには空洞があり、リンの姿は無く青色の球が浮いているのみだった。

 

──種族に動く重鎧(リビングアーマー)が追加されました。──

 

ふいに脳内に響く女性の声。

この前もそうだったが、なんなのだろうか?

システム音みたいなもんかな?

だが、ここは異世界ではあるがゲーム内などでは無い。

うーむ。わからんな。

すんなりこの形になれたのも謎だし…

同じアンデット繋がりとか?

 

「動く重鎧ですか。しかしそれはアンデットでは?」

「中身見られなければ問題ない無い」

「それでもマスター。マスターのジョブと合わないのでは?」

「うーん。それもそうだな…」

 

他の姿になれるか試してみたが、スケルトンなどのアンデット系はすんなりと変身して、どういうわけか種族に追加された。

が、他のものは中途半端だったり、バランスが悪かったりと、やはり練習が必要なようだ。

 

「うーん…」

 

リンは唸りながら体を変化させていく。

全身が骨になり、それに魔力がまとわりつき、徐々に形を作っていく。

 

「うーん。やっぱり子供だな」

 

リンが変わったのは男性型の体型と顔。

しかし、元が中性的だったせいか、どちらかというと可愛い男子という感じだ。

オトコの娘枠にも入ると思われる。というか入るだろう。

 

「あははは。まだ女の子みたい」

「服が男性用だからわかりますが、ドレスなどを着たら分からなくなってしまいますね」

 

キコとアリスに大ウケである。

 

「マスター。一度、こちらをお召しになってくださいませんか?」

 

そう言ってアリスが差し出すのは、どこから取り出したのか、フリルの多くついた甘ロリドレス。

 

「収納魔法:衣装倉庫〈クローゼット〉です。魔法とはなんとも便利ですね。置き場所も持ち運びも気にしなくていいとは…」

 

そしてアリスはいつのまにか背後に回ると、リンを強制的にドレスに着替えさせた。

 

「ち、ちょっと!何するのさ」

「いえ〜とてもお似合いですよ?」

「なんで脱ごうとするの?似合ってて可愛いよ?」

 

うぐ…キコちゃんのキラキラした瞳の攻撃が…

これ、分かっててやってるなら相当だぞ…

 

「マスター。ではこうしましょう。何もそうはならなくてもいいのです。なりきり演技をすればいいのですよ。まあ、男だと主張したところで、その姿ではどこまで信じてもらえるか不明ですがね」

 

成る程。ロールプレイか。

ならTRPG、ロールプレイ推奨派のこの私、美少女だろうと幼女だろうと演じてみせようではないか。

 

「こんにちは。半霊人のリン・フォールです」

「あれですね。前の世界であった、おじさんが美少女になりきって動画配信するやつみたいですね。」

「それだと段々と女の子になるんですけども?」

「そこは、どう転んでも得しかないので。一つの個性と考えれば」

 

リンは諦めたようにため息をついた。

演技ならいいかと割り切り、美少女となる事を決めた。

容姿の操作を熟達すればいずれ戻れる、そう考えてそれまでは美少女でいいかと妥協した。

もともと、ほぼ毎日この姿なのだ。今更格好良さや男らしさに未練などない。そもそも、元の姿にもそんな要素は欠片ほどしかなかった。

やるからには全力。演技もその役と自分を置換するレベルで入れ込み、成り切る。

今日ここに正式に、半霊人の美少女、リン・フォールが誕生したのである。

 

 




最近、どっぷりとVtuber沼にハマっておりまして、今ではすかっり一仔犬でございます。
それと、夏アニ終わりましたが、秋で皆様のおすすめは何ですか?私は漫画で読んでる「転スラ」「ガイコツ書店員」「うちのメイドがウザすぎる」辺りを見る予定です。

感想などあればお願いします。
あと、皆様のおすすめなどあれば気軽にどうぞ
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