なんでもできるうちの娘は、異世界ライフを落下からスタートさせる   作:オケラさん

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投稿が滞ってて申し訳ないです。
ストック切れとリアルで忙しくて更新頻度がガタ落ちしています。
取り敢えず落ち着くまでは二週に一つは投稿くらいで頑張ります。


リンVS優男 (2)

優男が小袋を投げつけてきた。

それをすんでの所で回避…出来なかった。袋が目の前で破裂し、あたりに砂塵をまき散らす。

 

(視界潰しか…)

 

「召喚!人喰いの肺魚 (デザートイーター)!」

 

続けて優男が召喚を行使する。

人喰いの肺魚デザートイーターは普段は砂漠に住む体長1メートルから巨大なものは6、7メートルにもなるという、砂漠を横断するキャバンなどから恐れられている組合危険指定の猛獣である。

 

基本的に雑食で、近くを通るものはなんでも口に入れてしまう。入らないようなら吐き出すが、大抵はそのまま飲み込んでしまうという恐ろしい生態である。

 

陰鎖の束縛(シャドウバインド)!呑め!人喰いの肺魚(デザートイーター)!」

 

砂塵で視界が遮られる中、背後の陰から飛び出てきた複数の影狼がその影を操る力で作った鎖がリンに殺到する。

しかし…

 

(子供騙しだな)

 

真正面からではなく搦め手で有利に運ぶ。なるほど良い手だろう。

しかし、それが相手になんの影響も与えない様な手であれば、全く意味をなさない。どころかスキを晒すことになるだけだ。

 

今回の様に、周囲の魔力を感知して動いているリンやそういったモンスターに対しては先程の砂塵の目潰しなど意味をなさない。

しかし、砂塵の中でも目が見える肺魚を使役していながら優男は気づかなかったのか?という疑問もあるだろうが、まあ無理もないだろう。

 

リンの見た目が人喰いの肺魚の様であったならば優男もこんな手は取らなかっただろう。しかし今は、どう見ても華奢で色白の美少女なのだからまさか人外だとは思いつきもしないだろう。

 

リンは壁にカモフラージュしていた魔力の一部と魔触を擡げて周囲を一振り。一周するとそこには鎖ごと魔触に絡め取られ動けなくなっている影狼と、魔力の壁で固められた肺魚がいた。

リンは操る魔力の一部を日本刀の様な形状に変化させて取り出す。そして軽く振るとズルリと、形容するならそんな感じで肺魚の首が落ちる。それを魔力をあやつり受け止めて、もう一匹も同じように首を落とす。

二つの首を取った後、狼達を拘束していた魔触をキツく締め上げる。それらは次第に肉に食い込み、首をはねた。

狼達から血が出る事はなく、灰の様になり崩れ落ちた。肺魚は同じく血は出なかったが、その巨体が地面に落下して砂埃を吹き上げる。

 

リンは肺魚と狼の首をそれぞれ一つずつ手に取って弄る。

 

(確かにこの口の大きさなら小柄な大人までなら一飲みにできるな…大柄だとしても鎖で拘束して殺した後に魚が食べるんだろう)

 

などと考察していると砂埃が晴れてくる。

 

「なっ……ヒ、ヒィ!」

 

男からは酷い困惑の声と、一拍遅れて恐怖に怯えて声をあげる。

仕方ないだろう。手に持てなかった首を魔触や魔力で固定している為に複数の首が中に浮いており、その異様なシルエットがまだ薄く残る砂埃に投影されているのだ。

 

「証拠隠滅にも持ってこいのいいコンボだなぁ?ま、それでトドメをさせればだけどな」

「そ、そんなバカな…」

 

(だがこれじゃあ冒険者などの戦いを日常とする人間には通用しないだろうな…せいぜい村人や貴族ぐらいか?)

 

黒服の記憶にも無かったため、いつ誰に使ったのかは分からないが、おそらく町の外れとか何かをうっかり見られた時に使っていたんだろう。

 

「くっ…二重召喚:女王蜘蛛タラトス!毒沼の主デバルフ!」

 

優男が新たな召喚術を行使し、二つの魔法陣から巨大な蜘蛛と、毒々しい色をした魚(?)が現れた。

蜘蛛は見た目はトゲトゲしており色は黒っぽく見える。魚(?)の方は紫と緑と黄土色をそれぞれキャンパスにぶちまけた様な模様をしており、さらには蛙の様な巨大な足が前後に生えていた。

 

「うわっ…」

 

これには流石のリンも食欲が減る様な感じがした。とはいえ蛙は鶏肉の様な味がするらしいし、本体は魚がっぽいので案外おいしいかもしれない。

 

リンはそんな事を考えつつ優男を注視する。

はじめに動いたのは蜘蛛だ。リンめがけて口と尻から糸を射出する。その糸は途中で細い複数の細い糸に分かれて逃げ場を埋めるようにリンに迫る。

 

(面攻撃は避けられないからっと…)

 

「ファイアウォール!」

 

リンは回避は困難と判断し、魔法での迎撃を選択。

初級の炎魔法:ファイアウォールは、その名の通り炎の壁を出現させるだけの単純な魔法だ。通常は魔法を習得する上で習うものであり、魔法で作り出した炎を操る訓練によく使われる。

習いたてであれば少しの詠唱と後は魔力操作の練度さえあれば容易にこなす事ができ、高位の魔法職ならばそれこそ無言で視線を向けるだけでも発動できる。

 

そしてまだ魔法を習得して一ヶ月もたっていないリンが魔法を扱えるのは、スキル『魔法使い』の恩恵だった。

初級の魔法を無詠唱で発動出来るスキルであるが、ぶっちゃけアリスの持つ『魔術師』には劣る。

 

それどころか魔法の練度が上がればスキルに頼らず初級程度の無詠唱は自然と身につく。

しかし、今のリンには有難いスキルであるし、魔力体である事も合わさりより性能が上がっていた。

具体的には効果範囲の拡大と威力の増大である。

 

炎で防げる範囲も物質量も増え、さらに糸は燃えやすい。よってたかが糸で逃げ道を塞ぐくらいではどうって事ないのである。

炎の壁が糸を燃やし続ける中、向こう側からの攻撃が炎の壁を破って飛んでくる。

それを後ろに飛び退く事で回避して攻撃の正体を見極める。

それは紫色の液体であり、地面に着弾するとともにそこがジュワジュワと煙を上げながら溶けていく。

 

(毒?いや酸か?触れるのはまずいタイプの攻撃か)

 

リンが今までしてきたのは近接戦闘のみ。習ってはいたが魔法戦の実戦経験は無し。初級魔法なら無詠唱で撃てるが魔力量にも限りがあるため無駄撃ちは出来ないし、そもそも初級魔法が通用するかもわからない。

 

(体の一部を分解して魔法に流用すればいけるか?だがこんなクズども相手に身を削るのも嫌だしな…さて、どうしたものか…)




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