あの日の戦友たちは今敵となる   作:ゼノアplus+

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弱くなった

学園に帰った俺を待っていたのは精密検査だった。いや、おかしいだろ。表向きゴーレムにlやられてユニコーンという正体不明機に運ばれただけなのに。…当たり前だったわ。そして今は…

 

 

「聞いているのか一夏。あの時、何があった?」

 

「聞いてるよ。だからさっきから言ってるだろ?あいつにやられて、海に落ちると思ったらあの白いのに小さい島まで運ばれて、そっから記憶がないって」

 

姉さん直々の事情聴取の途中。まあどうせすぐ終わるさ。なぜなら…

 

 

「それより一夏、体は大丈夫なのか?」

 

「だから大丈夫だって!もはやその言葉の方が多く聞いたわ!ちゃんと事情聴取しろよ!」

 

 

公私混同とはまさにこのことだろう。全く、1回目の時のあの凛々しい姉さんは一体どこへ…

 

 

「いやしかし、お前はそれしかわからないのだろう?それしか情報がないんだ。後は、予想しか出来ない」

 

「予想?どんな?」

 

「……いや、あくまで憶測の域を出ないからな。気にするな(言えない。多分、束が送ってきたなんて言えない。今の一夏ならきっと殴り込んででも説教しに行く気がする)」

 

「そう、じゃあいいや(きっと、俺が束さんに説教しに行くとでも思ってんだろうなぁ)」

 

「ま、まあ一夏、今日は疲れただろう。事情聴取もこれで終わりだ。部屋でゆっくり休むといい。ああ、今回の騒動の事は…」

 

「わかってるよ。流石に言えねえよ。監視も嫌だしな。じゃあ、おやすみ姉さん」

 

「ああ、おやすみ」

 

 

そう言って部屋を出た俺は、自室へと向かって歩く。

 

(お疲れ様、白式、ユニコーン。今日は本当に助かった)

 

『一夏もおつかれ〜!全く、IS使いが荒いね!ユニコちゃんに操縦任せるなんて。ほら』

 

(そう言うなって。あれしか無かったんだ。俺がドジってたからな。てか、ほらって?』

 

 

ほらって言われても、こっちからはお前ら見えないんだけどな。

 

 

『……zzz』

 

前言撤回。姿はわからないけど、状況は理解した。

 

 

(そうだなぁ。ユニコーンには結構無理をさせたな。お前も休んでていいんだぞ?ユニコーンは無理だけど、白式の簡易なメンテナンスならしとく)

 

『あ〜、じゃあお願いするね。足の部分を特にしっかりやってほしいな。誰かさんが酷使したから』

 

いやマジで悪かったって。

 

(へいへい、お前こそ、人使いが荒い事で)

 

『いいじゃない。もうずっと、一緒に戦ってきたんだし』

 

(…そうだな。これからも頼むぞ相棒)

 

 

まだまだお前を酷使する予定なんだからな。

 

 

『そういえば一夏、結構距離があったし私も寝てたから微かにだけど、遠くからこっちを見てた奴がいるよ』

 

 

(何!?誰か分かるか?)

 

 

不味い、さっきよりももっと不味い。人によっては…消さなくちゃいけなくなる。

 

 

『ごめん、ちょっと遠すぎて、見えなかった…』

 

(そうか、いやいい。それがわかっただけでも十分か)

 

 

まさか()()が…。早急に報告しないと…

 

 

俺は足早に自室に戻った。

 

 

 

〜side out〜

 

 

〜sideセシリア・オルコット〜

 

 

他の部屋とは全てが違う。天幕付きのベッドがある部屋、ベッドの傍には、場違いな寝袋が1つ。現在の部屋の主であるセシリアにスペースを奪われた被害者のものである。その部屋のシャワールームでは、セシリア・オルコットがシャワーを浴びていた。

 

(一体あれは何だったんですの?)

 

 

自分の意中の相手が突然、あの角付きの白いISを纏った。かと思えば、瞬く間に黒い所属不明機を倒し、学園の教員部隊に囲まれた。

 

 

(わたくしは、遠距離からの観察だけに徹して正解だったかもしれません…もしあんなのが…)

 

 

想像するだけで恐ろしい。あれが無人機で無ければ、きっと、中の人は死んでいた。そう言う点では楽観的に見える。問題は、ISに乗り始めてまだ数ヶ月の人間があの超人じみた動きをし無人機を倒した事。そして…2つ目の専用機を所持している事だ。

 

 

(一夏さんはいったい、何者なんでしょうか。でも、そのあと()()()()()()()()あのISが動いていましたし… 織斑先生には報告内容を絞りましたがなんだか今になって正解な気がしてきましたわ。本人に直接聞くのもありですけど、触れたら不味い話な気がします…)

 

 

この時のセシリアにとって一番良かった事は、見たことをそのまま織斑先生に報告しなかったことだろう。もしそんなことをしていれば、命があったかも危うい。

 

 

(英国貴族としてのプライドを忘れたわけではありませんが、わたくしはまだ、死にたくありませんわ)

 

 

セシリアの知らぬところで、命が助かった。

 

 

〜side out〜

 

 

〜side 一夏〜

 

 

「はい、はい接触に成功。交渉にも応じてもらいました。え?ああ、ちょっと一悶着ありましたが大丈夫ですよ。あるとすれば、俺の事を当分見張っていた何者かがいた事です」

 

『む、お前の言う奴らか?』

 

「いえ、私の知っている奴らは気づかれるような事はしないと思います。今のところ織斑千冬にも伝わっている感じはありませんし、大丈夫でしょう」

 

『そうか、まあ警戒はしておけ。ではまた任務があれば追って伝える。ではな』

 

「ハッ!」

 

 

報告が終わり、することがなくなった。部屋ですることがないっていうのもなかなか平和なもんだな。あ、明日鈴の見舞いに行かないと…。

 

コンコン

 

部屋の扉を叩く音がする。

 

 

「どなたですか?」

 

 

「あたしよ、一夏」

 

鈴の声だ。

 

「ああ、開けてるから入っていいぞ」

 

「じゃあ遠慮なく、失礼するわね」

 

 

いつもの制服姿で入ってきた鈴だが、その見た目には傷などは見当たらない。よかった。

 

 

「鈴、体は大丈夫か?セシリアに渡した時は傷とか見えなかったが…」

 

「大丈夫よ、そんな柔な鍛え方してないから。代表候補生舐めないでよね。…アンタこそ大丈夫なの?あ、座らせてもらうわ」

 

そう言って俺のベッド、俺の横に腰掛ける鈴。心なしか距離が近い。

 

「俺も問題ないな。運が良かったらしい」

 

「そう、流石ね一夏。あたしも気絶してなかったらなぁ。結局試合もあやふやだし」

 

「お互い無事なんだからそれでいいじゃねえか。こっちだってヒヤヒヤしたぞ。お前を抱えてんのにあの野郎御構い無しにビームなんか撃ってきやがって…」

 

それに関しては嘘偽りのない本音だ。まあ、胸がない分被弾面積も少ないってことだな。

 

 

「なんか失礼なこと考えたでしょ?」

 

「いやいや全く」

 

「…まああたしが傷物になったら、一夏に責任とってもらうだけなんだから」

 

 

責任ねぇ…ん!?

 

 

「は!?どういうこと?」

 

「言葉通りよ。全く、何度も言わせないでよね。…一夏、あの時言ったじゃない。【俺には、鈴を守る力がない】って。でも、今はどう?試合の勝敗はついてないけど。あの時あたしは完全にISが解除されてた。つまりはあたしの負けよ。悔しいけどね」

 

 

だから…何だっていうんだ…

 

 

「代表候補生の、しかもあたしを倒すほど力をつけた一夏なら…私を守ってくれる?」

 

 

…可愛いな鈴。なんかちょっとあざとくなった気がする。

 

 

「そういう言い方はちょっと卑怯だろ」

 

「こんな言い方しないと一夏は捕まらないわ。言ったでしょ?あたしほどのいい女振ったこと、後悔させてあげるって」

 

 

ハハハ、全く。()()鈴に負けないほど、お前もいい女だな。本当に、俺にはもったいない女だよ。

 

 

「…え、一夏?」

 

 

気がつくと俺は泣いていた。

 

 

「ホントに…ずるいなぁ。そんなに言われたら、受け入れたくなっちまう」

 

「え?じゃ、じゃあ?」

 

「でも、ごめんな。後…後、1年待ってくれないか?それまでには、俺は全て、終わらせるから」

 

今すぐに、NOって言えない俺は、私情に流されるような俺は、本当に弱くなった。まだ、1回目。目の前に見えることで精一杯だった俺の方が、よっぽど強かった。

 

「……」

 

 

「ごめんなぁ、今すぐに答えが出せない弱い俺で。こんなんじゃ、鈴に失望されるな。すまん少し風に当たってくる」

 

 

部屋を出ようとした俺に、抱きつくような感触。

 

 

「バカ!本当に、バカ… 人間誰だって、泣きたい時くらいあるわよ!そんなことで失望するほど、あたしの気持ちは浅くないわ!一夏が何を抱えてるか、あたしは理解してあげられないけど、それでもこうやって側にいてあげることは出来る!1年?そんな短くなくても、何年でも待ってやるわ!」

 

 

…ごめんな、鈴。そして…ありがとう。

 

「ありがとう、鈴。本当に、本当に。だからさ、ごめん」

 

トンッ

 

「え…いち…か…」

 

 

ちゃんと気絶したらしい。さて、部屋に送らないとな。

 

 

『本当にそれで良かったの?』

 

(白式か、良いんだよ。そうじゃないと、そうじゃないと俺は… いや、なんでもない)

 

『……一夏がいいなら、良いんだけど…今の一夏、凄い辛そうだよ』

 

 

言わないでくれ。分かってるから、だから、聞きたくないんだ。

 

 

「すまん、鈴を送ったら、俺はもう寝る。この顔じゃあ、もう人には見せられんからな」

 

 

そして俺は鈴を部屋まで運んで、同室のティナ・ハミルトンに遊び疲れて寝たって説明して鈴を引き取ってもらった。

そんで部屋に戻った俺は速攻寝ることにした。

 

 

じゃあ、お休み。




まずいですよ!鈴さんメインヒロインルート突っ切っちゃってますよ!…どうしましょうこれ…

今後の進行における重要事項『アンケート結果がそのまま反映されるわけではありません。あくまで参考にさせて戴きます』

  • 凍結し、リメイクのみを制作、順次更新
  • リメイク版無しでこのまま継続
  • リメイク版ありで両方継続
  • この作品のまま加筆修正

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