「我々、亡国機業に協力してほしい。報酬は、衣食住、安全、設備。そして…俺の体だ」
「いいよ!じゃあこれからよろしくね!」
「軽!?」
俺結構勇気出して言ったんだけど…
「ちょっと一夏君!君の体も報酬に含まれているなんて、私聞いてないんだけど!?」
「私も聞いてないんだけど…兄さん?」
レイさんとマドカがすごい顔でこっちを見ている。マドカ、素が出てる。
「いや、今言ったし。篠ノ之束と俺の価値を比べたら妥当っていうか足りないんだけど…」
「いやいや、いっくん!君もうちょっと自己評価高くていいと思うよ」
え、なんで?
「ていうか束さん、いいんですか?率直に言ってウチって闇組織ですよ?」
「うーん。提示された条件はありがたいし、気の合いそうなのもいるし…何より面白そう!」
「そうですか、じゃあ…」
勝ったわ。今じゃなくても後々、束さんは入るし。今引き入れたんだったら多分、ゴーレム襲撃系と『銀の福音』も大丈夫だろう。
「でも、一個だけ条件がある」
「何ですか?」
「協力、じゃなくて亡国機業に
「「「「……?……………!?!?!?」」」」
その時、俺に衝撃が走った。
「た、束さんが…就職…?嘘だろ… そんなことは束さんが家事ができるようになることくらいありえないと思っていたのに!こ、これは姉さんに報告?いや、待て、今は亡国。ダメだな… ………フフフフフ、ボス…助けてください」
「ちょっと!みんなして酷くない!?特にいっくん!たしかに束さんはそういうことは一切できないし、クーちゃんに任せてるから覚える気は無いけども、なんか酷くない!?後、いっくん帰ってきて!!」
〜数分後〜
「ええと、分かりました、篠ノ之博士。詳細は追ってお伝えしますが、おそらくボスとの面接は免れないでしょう」
「さっきのアレが嘘みたいに… 解せぬ。ていうかいっくんその喋り方無理してるよね?顔が引きつってるよ」
「今は仕事中なんです。当たり前でしょう?束さんにはわからないと思いますが」
全く、これだから天災ニートは。
「いっくんがスッと毒吐いてくる…」
「ただ、ホントにこれだけはお願いしたいんですが、ボスには敬語使ってくださいよ?」
「敬…語…?いっくん。ソレ本気で言ってる?」
束さんがありえないような顔でこちらを見ている。アンタにとって一番無理な言葉だな。
「もちろんですよ。束さん、社会に出るにはそれ相応の態度が必要です。それがたとえ表に出ない組織でも、です」
「…グハァ!?いっくんが…いっくんが私より大人だ…」
「バカなこと言ってないで、面接までに練習してくださいね。俺はもう行きますから。ら、レイさん。ユニコーンの整備お願いします。俺は白式直してくるんで」
「ああ、任されたよ。ついでにドリルでもつけるか…」
バチィ!!
「あ、最近ユニコーンの自我と話せるようになったんで、下手なことしないほうがいいですよ。俺の塗装とか剥がされましたし」
「そういうことは早く言って欲しかったよ…今、電撃食らった」
ユニコーン過激になったな。お兄ちゃん悲しいよ。
「変なことしようとするからですよ。じゃあ、頼みましたよ」
「いっくん、白式なら私が直すよ?なんたって白式は…」
「束さんが作ったんですよね?わかってますよ」
「むむ、だったら余計にでも私が」
(白式、どっちにしてもらいたいか、ディスプレイに出してくれ」
「いっくん何言ってんの?」
おっと声に出てたか。
「束さんあれみてください」
「あれ?」
俺が指差した先には『母様には悪いけど、一夏にしてほしいです。白騎士も同意見です。by白式』と書かれた文字。
「………」
「ね?白式もういいぞ」
すっと、文字が消える。
「いっくん…いつのまにコアと会話できるようになったの?」
「白式に出会った時に。あ、こいつのコアが白騎士っていうのも知ってますよ。自我はまだいますし、マスターは俺だと認めてもらいました」
嘘偽りのない言葉、ただ今回。2回目っていうのは伏せる。
「いっくんがなんでコアと喋れるのか知らないけど、なんか… 娘を取られた気分…」
「だいたいあってるんじゃないですか?でも、その娘を俺のところに送り出したのは他ならぬ束さんです。娘の成長を喜ぶべきでは?」
クロエ・クロニクルもね。
「…そう…だね。親の知らないところで、娘は成長するんだね。いっくん、ありがとう!」
「いえいえ、逆に俺からもありがとうございます。白式と出会えてよかったです。それじゃあ、俺は行きます」
「あ、行ってらっしゃい」
そうして俺は整備課に向かう。束さん、ちょっと泣いてたな…1回目の束さんもあれだけ楽に話せたら良かったのにな。
(それにしても白式、俺で良かったのか?専門家に見てもらったほうが良かったんじゃないか?」
『えへへ〜。出会えて良かった。だって〜白騎士〜』
『はいはい、良かったですね。それより、マスターが呼んでますよ』
…白騎士がしっかりお姉さんしてる件について。
『ん?ああ、私は今回は一夏がいいよ。なんせ初めてだし、今の状態の母様がやったら、絶対なんか弄りそうだし』
(そうか。…いつもありがとな。これからもしっかり酷使するから、頑張ろうな!)
『な!?一夏の笑顔がすごい黒い!』
『それがもともとの私たちの役目でしょう?全く…』
白騎士も苦労してんなぁ…
そんな会話をしているうちに整備課についた。俺はあらかじめ持っているカードで扉を開ける。
「お仕事中失礼します。織斑一夏です」
「「「…!?」」」
中にいた数人がこちらに気づいて駆け寄ってくる。なんだなんだ、そんなに慌てて。
「「「ようこそ、S様!お待ちしておりました!」」」
「…………は?」
誰こいつら?なんで名前知ってんの?ほかの人たちもこっちに気づいて敬礼してるし。え、マジで何?
「あの、俺のコードネーム知っているのはまあいいです。でもなんでこんなに歓迎されているんですか?」
「何を仰いますか!経営難に陥りかけていた我々を、亡国の傘下に入ることですくってくださったのは、他ならぬS様ではありませんか」
…は?経営難とか初耳なんですけど、しかも救った?いや、技術がそこそこ良かったからボスに提案しただけなんだけど…
「いや一切そんなつもりはなかったんですけど…」
「それでも我々はS様のおかげでこうやって研究ができているんです!本当に、ありがとうございます!」
「「「ありがとうございます!」」」
「え…ええ、はい。どういたしまして?」
俺への信頼が厚くて逆に苦しい。隊の下っ端もここまできっちりしてないのに…
「ていうか、Sって呼ぶのやめてもらえません?今は、更識簪も来ているんです。よりによって彼女は
「申し訳ありません。配慮が足りませんでした。それで、本日は何用で?
おおっと、忘れるとこだった。
「整備課の施設を貸して欲しいんです。白式のメンテナンスをするんで。ちゃんとできるので大丈夫です。なんならそこら辺の人より十分にできます」
「分かりました。我々にも出来ることがあれば言ってください」
まあないと思うけど、特にダメージもないし、軽いメンテで済む。
「ありがとうございます。でも、更識簪のISを優先させてください。まだ完成してないんです。不具合があったら、楯無に潰されますよ」
「それは…勘弁いただきたいですね。分かりました。総動員して更識簪のISを完成させます」
そして、整備課の奴らは去っていった。
「やっと行ったか。さて、じゃあ白式。検診とマッサージの時間だ」
今後の進行における重要事項『アンケート結果がそのまま反映されるわけではありません。あくまで参考にさせて戴きます』
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凍結し、リメイクのみを制作、順次更新
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リメイク版無しでこのまま継続
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リメイク版ありで両方継続
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この作品のまま加筆修正