ああ、どうしてこうなったんだろう… 確かに、楽しい飲み会に最高峰の酒までついて、俺たちのテンションは爆上がりしていた。マスターだって、今までやったことのなかったレシピを挑戦したり、ロマネ・コンティの味見とか、めっちゃ堪能してた。レインだって、浴びるように酒を飲んでたしみんな各々楽しんでたんだろう。
でもさ、なんで俺はあの時あんな事を思ってたんだろうか?
誰が今の状況を予想出来るだろうか。だって…
「なんで俺は体が動かない挙句、ナノマシンの効果までほとんど使えなくて、貴女が俺の上に乗っかって居るんですかねレインさん!?」
「ん〜?なんだっていいだろぉ〜。なぁ、いちか〜」
〜遡る事、約二時間程前〜
「マスター、結構飲んでましたけど、酔ってないんですか?」
「ええ、私はアルコールに特に強い体質でして。私自身あそこまで飲んで、少ししか酔わないと思っておりませんでしたので驚いています。そういうS様こそ、私より飲んでいましたが…お体は大丈夫なのですか?」
「はい、俺は体のナノマシンでアルコールを分解出来ます。なので大丈夫です」
まあ、ロマネ・コンティをみんなで飲むときだけは、気分も味わえるようにナノマシンに分解させていない。だから少し酔い気味だ。
「なるほど…それでお代なのですが…」
「ああ、これだけあったら足りると思うのですが…どうぞ」
「拝見いたします。……ッ!?S様、この額は…?」
マスターが見たのは、俺がマスターに渡すように作った口座の番号と入っている金額が書かれた紙。
「ええ、俺はこの店が好きですし今日は、遅くまでご迷惑をお掛けしましたから、遠慮なくどうぞ」
「しかし、これでは私達が飲んだ分の4倍以上…」
あんなにしっかり飲んでいたのに、勘定だけはきっちり数えていたご様子。流石っす。
「マスターの隊のために使っていただいても結構です。これは俺からの気持ちなので。それではここで寝てるレインは俺が連れて行きますので。また、来ます」
「は、はい!ご来店有難うざいました。私も至福のひと時を過ごさせていただきました。レイン様がお目覚めの際にはお伝えいただけますよう…」
「了解です。それでは」
そして店を出る。マスターの手には、0が7個ほど並んだ数字が書かれている紙が見えた。まあ、正式に隊に所属してるし、今まで任務でも研究所とか潰したのだいたい俺だし、今背負ってるレインには悪いけど給料って点なら俺の方が高い。…ボスからの直接指名なんかになるともう桁が変わる。
「さて、ここからどうしたもんか。倉持にアメリカ代表候補生連れて行くのはまずいし…ホテル行くか…」
携帯を取り出した俺は、またまた別の隊でホテルのオーナーをやっている者に電話をかける。ちなみに俺の直接の部下じゃないけど、命を救って恩を売ったからの大抵のことはしてくれる。
「もしもし、Sだが、今空いている部屋はあるか?あ〜、レイン・ミューゼルもいるんだ。少し融通してほしい。………最上階のVIPルーム?じゃあそこで頼む。金も持ち合わせているから大丈夫だ。……貰えない?商売だろ、そこは恩人であっても割り切れ。金は払う。じゃあ部屋の準備頼んだぞ」
さて、行くか。ていうか、さっきから背負ってるレインの巨乳が背中に当たって凄い役得。酔ってる相手に手出しする気もないけど、大丈夫だよな?
そしてタクシーを見つけた俺はレインを押し込み目的地へと向かった。
30分ほど経ち、ホテルに着いた俺はレインをまた背負いオーナーに話を通して部屋に案内したもらった。その時、オーナーから熱い視線を貰ったことはもう慣れたことだ。(オーナーは女性)
「とりあえずレインはベッドに寝かせたし、俺も少し休むか」
備え付けの机の椅子に座り俺は仮眠を取っていた…
そして話は冒頭に戻る。
「いや、お前も餅つけ!じゃなくて落ち着け!」
「えへへ〜、いちか〜」
「聞いてない!?てかなんで俺体動かないんですかレインさん!せめてこれだけ教えて!」
マジでまずい。いつもなら簡単に振りほどけるが今は体はおろかナノマシンまで作用しない。助けて白式!!
………置いて来てたわー
「ん〜?わたしたちはいつもナノマシンの作用を薄くする薬と筋弛緩剤を持ち歩いてるだろ〜?何言ってんだよ〜」
は!?持ち歩いてねえよ!何が悲しくてそんな自分殺し持ち歩くんだよ!
「そんなことは無いですけどね!?ていうかこれいつ薬抜けるんだよ!」
「ん〜、5時間くらい〜?」
「長いわ!!そんな物使ってないするつもりだ!?」
「何って、決まってるだろ〜。 ナニだよ」
「おいちょっと待てレイン。落ち着こ?な、一回ちゃんと落ち着こうな!な!!」
ホントにシャレにならなくなって来た…
「おいいちか〜!ぜんざい食わねば男の恥って言うだろ〜!」
「違う!据え膳食わぬは男の恥だ!とにかくどけ!これ以上はダメだって!」
惜しいけど違う、そんな問題じゃねえ!
「どうでもいい〜?言うじゃないかいちか〜。じゃ、ヤっちゃうぞ〜」
「絶対今
そのあと何があったかは言うまでも無い。
〜翌日〜
「……やっと体が動いた。ああもうこれ、どうしたら良いんだろうか… とりあえず片付けるか」
レインに一方的に襲われた俺は、この後の事を考え憂鬱な気分だった。
「まあ、俺動けなかったし。俺は悪く無いって言えばそうなんだけど、こうなるまで止めずに酒を飲ませた俺も悪いしなぁ…」
酒の余韻に浸る為にナノマシンの効果を薄くしたのも、筋弛緩剤とかがしっかり効いた原因なのだろう。
「さて俺ができる範囲はこんなもんか… はぁ…姉貴になんて言えばいうかな。貴女の姪に薬を使われ一方的に襲われました?いやいや、無理だって。絶対信じて貰えねえって。だったミューゼルだよ?同性愛者が多いって噂のミューゼルですよ?しかもしっかり恋人持ちと事に及んでしまうとは…」
シャワーを浴び持ってきた服に着替えながら独り言を言い続けている俺。これが薄い本で有名な、賢者タイムなんだろう…
そんな時、
「うッ…頭いてぇ… んあ?ここは…?」
レインが起きたようだ。
「起きたかレイン。おいテメェ、昨日のアレはどう言うつもりだ?」
「あ?一夏か。昨日?昨日は確かマスターんとこで酒飲んでその後…ッ!?!?!?」
見るからに顔を赤くさせ、こちらを見るレイン。いや俺は被害者なんですけど…
「忘れろ!!アレは夢だった!お互い酒に酔って同じ部屋で寝てたまたま2人が同じ夢見たんだ!いいな!?」
いや、無理ですよレインさん。アレは流石に忘れられん。
「お、おう… とりあえず、風呂溜めたから入れ。その間に俺は出て行くから」
「…分かった。分かってるよな?夢だぞ?」
さらに行ってくるレインを後ろに、俺は扉の前に立つ。
「分かったって。あ、学園であっても普通にしろよ?後、亡国メンバーがいるところでもだ」
「が、頑張る」
大丈夫かな…?
「ホントに頑張ってくれよ…?じゃあな。…責任は取る」
俺は扉を閉め、部屋を出た。
〜side レイン〜
一夏が部屋を出て風呂に入った私はさっきのことを思い浮かべた。
「……うわぁぁ!!!やっちまったぁぁぁ!!!」
私は顔を真っ赤にして頭を抱える。本当にやっちまった。
「なんとかバレないようにしないと…スコール叔母さんはバレても仕方ないとして、問題はフォルテだ。アイツ勘が鋭いしもしかしたら気づくかも… いや、ヤった事は気づかないとしても男となんかあったことはバレるな…今日安全日だけど大丈夫だよな?」
ブツブツと独り言を発している私。側から見たらすごい変な人なんだろう。ここは私以外いないから大丈夫だけども。
「でも… まあ一夏なら…」
……ん!?私今なんて言った!?
……でも、案外悪くはなかったし。
「ああもう!!私が好きなのはフォルテなんだ!!何やってんだ昨日の私ぃぃ!!」
ジタバタと頭を抱え唸る私、こうでもしてないと心が折れそうだ。
「はぁ……はぁ……はぁ…。 言ってても仕方ない。とりあえず、水飲むか。騒ぎすぎて頭が痛い、二日酔いか?」
騒ぐだけ騒いで二日酔いで頭が痛くなった私は、水を取りに行った。そして水を飲んでいると電話がかかってきた。
「今かよ、誰からだ?…もしもし?」
『あッ!やっと繋がった!先輩どこ行ってたんスか?電話に出なかったから心配したっスよ』
今一番危ないヤツから電話が来てしまった…
「ああ、フォルテか。ちょっと遠出したら学園の奴に出会ってな?盛り上がってそのままホテルでゲーム三昧だったんだよ。お陰で眠い…」
嘘は言ってない。学園の奴って言ったら女子か一夏、でも私は表向き一夏には出会ってないからフォルテからしたら女子しかいない。
『あ、そうだったんスね。いや〜、てっきり外で男と逢い引きでもしてたのかと思って心配してたんスよ』
「は、はは…そんなわけないだろフォルテ?私だぞ?」
コイツなんでピンポイントに当ててくるんだよ!ある意味怖いわ!?
『そっスよね。ダリル先輩はですもんね〜』
「おい、自分で言った手前あんま言えねえけど、私貶されてる?」
『そんなことないっスよ〜。それより先輩、早く帰ってきてほしいっス!最近調子が良くて、また訓練付き合ってほしいんスよ!』
全く、フォルテは… 私がこれほど悩んでるとも知らずにいってくれるな。こんなに悩んでる私がバカみたいじゃないか。
「…ああ、分かったよ。すぐに戻るから。昼からでいいか?」
『ホントっスか!!昼っスね!?分かったっス。待ってるっスよ!!それじゃ!!』
フォルテがそう言って電話を切った。
「嵐が来たみたいだな…痛っ!?うっ…フォルテが叫んだせいか…二日酔いどうやって誤魔化すかな…」
〜部屋を出た後の一夏〜
「あんなこと言って出てきてしまったけど、スコールの姉貴には言わないといけねえよなぁ…」
流石に親族には伝えないとマズい。てか黙っててバレた時が一番怖い…
「朝早いけど出るか?まあ、かけてみるか。……………もしもし?Sですが」
『あら?一夏?どうしたの、こんな早くに…』
「いえ、その…早急に言わないといけないことがありまして…」
なぜか敬語になる俺。
『どうしたの改まって?仕事の話?私、まだちょっと篠ノ之博士のアレの反動で体修理してるんだけど…気分も悪いし。オータムはまだ寝込んでて、マドカは訓練してるし』
束さんマジでアレ使ったのかよ。アレは流石にISがあっても常人は無理なんだけど…
「い、いえ…その姉貴に話がありまして…」
『珍しいわね、どうしたの?』
「その…昨晩俺とレインで酒を飲んでまして…」
『あぁ、ついにしちゃったの?』
「え!?いやまあ、そのそうなんですけど…」
『私はいいわよ?そろそろあの子も男を知った方がいいと思ってたし。ちょうどよかったわ。何処の馬の骨かもわからない奴より一夏の方がまだ安心できるから』
ん?……ん!?
「え、あの?姉貴?どういうことですか?」
『経緯はどうにしろ、まあ仕方ないんじゃない?あの子ナノマシンあってもお酒弱いから。貴方ミューゼル家は全員同性愛者だと思ってるでしょう?全然そんなことないから、どっちかって言うと大胆なだけなのよ。男にも、女にも』
「いやでも…」
ミューゼル家のは今めちゃくちゃビビったけど、アイツ酒弱いのかよ…
『もう!ぜんざい食わぬは男の恥って言うでしょ!!いいのよ。フォルテが大丈夫そうなら』
「アイツにそれ教えたのアンタか!!違うから!!それ言葉間違ってるから!!」
『あら、元気じゃない?これなら大丈夫そうね。じゃあ切るわね』
………ミューゼル怖いわ。
今後の進行における重要事項『アンケート結果がそのまま反映されるわけではありません。あくまで参考にさせて戴きます』
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凍結し、リメイクのみを制作、順次更新
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リメイク版無しでこのまま継続
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リメイク版ありで両方継続
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