あの日の戦友たちは今敵となる   作:ゼノアplus+

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VSボーデヴィッヒ

41話

 

 

 

6月ももう終わりが見えてきた。学校は学年別トーナメントの雰囲気になっている。

 

 

「簪さん、準備はいいか?」

 

「うん、大丈夫」

 

 

学年別トーナメント当日、俺たちはトーナメント表の前にいた。

 

 

「それにしても今日の第1試合とは運が良かったよ」

 

「……最初に手の内を明かすことになるから良くないんじゃない?」

 

「普通はそうだけど、手の内を晒してそれで優勝したらカッコイイだろ?」

 

「ふふっ、確かに!」

 

 

俺個人としてはさっさとコトを起こせるから良いんだけどな。

 

 

「まあ、初戦の相手がこの2人だとなかなか骨が折れるけどな」

 

 

トーナメント表の第1試合には、

 

第1試合『織斑一夏、更識簪 VS ラウラ・ボーデヴィッヒ、シャルル・デュノア』

 

 

「……シャルルが公平にするために抽選でペアを組んだって言ってたけど、よりによってボーデヴィッヒとか」

 

「……多分この学年最強のペアだと思う」

 

「いやそこは多分大丈夫だと思うぞ」

 

「なんで?」

 

「ボーデヴィッヒは連携を取ろうとしないはずだからな。実質2対1対1みたいなもんだ」

 

「……なるほど。まあ、訓練通りにやれば大丈夫だよ。倉持の凄さ見せないとね」

 

「そうだな。頑張って勝とうぜ」

 

「うん!」

 

 

俺たちの機体はどちらとも倉持技研が製作した事になっているから、他の企業から目をつけられることはないと思いたい。俺は無理だけど。

 

ていうかやばいな。現時点、俺以外で1年最強の2人が相手となると、簪さんと連携を取りながら力を抑えるのが難しいな〜。面倒だし、VTシステムはさっさと終わらせよう。よく分かんなかったんでぶった斬りましたって。

 

 

 

 

〜sideシャルル・デュノア〜

 

 

……早めに一夏と組んでおけばよかった。よりによってボーデヴィッヒさんとペアになるなんて……

 

 

「おい、デュノア、私は織斑一夏をやる。お前はペアの方の相手をしろ。手は出すな」

 

「別に良いけど、危なくなったら加勢させてもらうよ?僕も企業のメンツがあるから負けられないんだ」

 

 

すごく不機嫌そうなボーデヴィッヒさん。黙っていれば可愛いんだけどなぁ……

 

 

「ふん、貴様の助けなどいらん。……と言いたいところだが、この前の戦闘で織斑一夏の実力はそこそこある事がわかった。万が一にも私が危険なんて言う状況はあり得ないが……」

 

「分かったよ。よろしくね」

 

「……ああ」

 

 

思ってたイメージと違うなぁ。なんか自分一人で倒せる!!みたいな感じかと思ってたけど、結構素直?

 

 

「……私以外が、アレを持っているなんて……誰が認めるか……!!」

 

 

前言撤回、やっぱり難しい!!

 

 

 

 

〜side一夏〜

 

 

「まさか一戦目の相手がお前らだとはな」

 

「僕の正直驚いてるよ。運がいいのか悪いのか」

 

「良いんだろうぜ?少なくともソイツにはな」

 

「ッ!!織斑一夏……貴様だけは……私が私であるために……絶対にここで潰す……!!」

 

 

なんか昔のマドカみたいなこと言ってら。

 

 

「出来るものならやってみろ、相手してやるよ。簪さん、デュノアを頼んだ」

 

「うん、私も初めての実戦だから頑張る」

 

 

俺たちはISを展開し、試合開始の合図を待つ。

 

 

5、

 

(白式、今回も無茶するぞ)

 

 

4、

 

 

『……もう慣れたよ。せめて負担がかかりすぎないようにしてよね』

 

 

3、

 

 

(努力はするさ。よろしくな)

 

 

2、

 

 

『はーい』

 

 

1……試合開始。

 

 

「叩きのめす!!」

 

 

開始直後、ボーデヴィッヒがプラズマ手刀を展開させ突っ込んできた。簪さんとシャルルは空中に移動、お互い牽制を始める。俺はと言うと……棒立ちだ。

 

 

「ッ!、貴様、舐めているのか!!」

 

「いや、至極真面目だぜ。必要がないだけでな」

 

「貴様!!」

 

 

俺は雪片を出し鍔迫り合いになる。

 

 

「1対1でいいのか?せっかく強い奴が仲間だと言うのに」

 

「ふん、貴様なんぞ、私一人で充分だ!」

 

「じゃあ、俺は頼らせてもらおうかな!」

 

 

俺がそう言った瞬間後ろから6発のミサイルが飛んでくる。

 

 

「なにッ!?」

 

 

ボーデヴィッヒが俺から距離を取る。ミサイルは俺の目の前に落ちるが俺は後ろに引いて回避。

 

 

「大丈夫一夏?」

 

「ああ、ナイスタイミングだ」

 

「僕のこと忘れてないかい!」

 

「もちろん、簪さん」

 

「うん」

 

 

同じところにいた俺と簪さんを狙ってデュノアが剣で追撃。

 

 

「あなたの相手は私だよ」

 

「ッ」

 

 

簪さんは超振動薙刀の『夢現』で切り返す。ごめんな簪さん、任せる。

 

 

「こちらから行くぞボーデヴィッヒ」

 

 

俺は瞬時加速で正面から突撃。

 

 

「甘い!!」

 

 

ボーデヴィッヒが右手を突き出し『AIC』の予備動作に入ったのを見て俺はさらに動く。

 

 

「お前がな!!」

 

 

とてつもないGがかかるのを無視して俺は急停止、からの右に抜け、雪片で装甲部分に一撃入れる。『AIC』に集中していたボーデヴィッヒは避けきれない。

 

 

「ッ!!このッ!!」

 

「おっと危ないッ」

 

 

お返しとばかりにプラズマ手刀で切り込まれるが難なく回避。

 

 

「もう一撃だ……ッ!?」

 

「やらせないよ!」

 

 

上からアサルトライフルの雨。簪さんと戦いながらこっちも見てんのか……

 

 

「ふッ!!」

 

「うおっと!?」

 

 

隙を見てボーデヴィッヒも攻撃してくる。今度はワイヤーブレードも混ぜた多段攻撃。

 

コイツら地味に連携が取れてる!?

 

 

「ああもう!!『雪羅』!!」

 

 

これ以上ギアを上げるとかえって怪しまれるから仕方ない。俺は『雪羅』を展開してエネルギーシールドで身を守る。

 

 

「あんまり無駄なエネルギー使わせんな!」

 

「知るか」

 

 

今度はレールガンで正確に俺を狙ってくる。

 

 

「私も……忘れないで!」

 

 

簪さんの荷電粒子砲『春雷』がレールガンの弾にあたり爆発。普通なら視界困難だが……ハイパーセンサー状況下だとそんなものないに等しい。

 

 

「逃すか!」

 

 

ボーデヴィッヒがまた『AIC』を発動する。……が、避けやすい。

 

 

「当たらねえよ!」

 

 

1回目の時、鈴が『AIC』は空間作用兵器だと言った。つまり爆発の煙の歪みを見れば一目瞭然。

 

 

「くッ!なぜ当たらん!」

 

「発動までが遅すぎるんだよ。眼を使ったらどうだ?あ、制御できないんだっけ?ゴメンゴメン」

 

 

俺は一瞬だけ瞳を発動させ目を金色に光らせる。……一瞬でも少し来るな。

 

 

「ッ!?貴様ァァ!!」

 

「分かりやすい攻撃だ、これでも食らえ」

 

 

俺は雪片を投擲、勢いがついていたボーデヴィッヒは避けきれず逆に吹っ飛ぶ。

 

 

「ぐうッ!?」

 

 

さてと、簪さんは…… ッ!!

 

簪さんの方を見ると、今まさにデュノアのパイルバンカー『シールド・ピアーズ』が炸裂しようとしていた。

 

 

「させるか!!」

 

 

俺は投げた雪片を拾うことなく瞬時加速でデュノアに迫り蹴り飛ばす。

 

 

「え、うわッ!?」

 

「一夏!?」

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん」

 

 

俺がISを蹴り飛ばしたことに驚いてるのか、唖然とした顔で受け答えする簪さん。

 

 

「変なことしないでよ一夏。びっくりしたよ?」

 

「あれくらい予測しようぜシャルル、これはタッグマッチなんだからな」

 

「そうだね。そろそろ本気でいかせてもらうよ」

 

「簪さん、アレ、かましてやれ」

 

「いいの?」

 

「おう、ドーンとな」

 

「うん!」

 

 

俺は簪さんに一言告げボーデヴィッヒを倒すために戻る。そろそろ復帰してるだろ。

 

 

(白式、荷電粒子砲を使う。出力を15%まで落としてくれ)

 

『いいの?まともにダメージ入らないよ?』

 

(地面にしか打たないからいい)

 

『分かった〜』

 

 

流石相棒、いい仕事してくれるぜ。

 

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

 

叫び声の方を向くと。大量のミサイルが変幻自在な動きでデュノアを追い詰めていた。……よく考えたら恐ろしいな。怖さが違う。

 

簪さんの第三世代兵装『山嵐』。厳密には第三世代なのはそのシステムのマルチロックオンシステムだが、山嵐は6×8、48発のミサイルを手動で操作している。つまりは、回避行動を取れるミサイルが48発、自身に迫ってきている状況。現に今もデュノアが必死な形相でミサイルを撃墜している。アレを撃墜できるデュノアの技術もスゲーけどな。

 

ていうか何気に瞬時加速使って逃げてるな……いつの間に覚えたのか。高速切替も使って、必死すぎるだろ。

 

「私を無視するな!!」

 

「ッ……おっと」

 

 

復帰したボーデヴィッヒがレールガンで俺を撃つ。体をそらして交わしたが、レールガンの弾はデュノアを追いかけているミサイルの一部にあたり爆発した。

 

 

「あっ……」

 

「ボーデヴィッヒさんナイス!ふッ!」

 

 

すまん簪さん、マジで。

 

 

「危ないじゃないか」

 

 

俺は『雪羅』の荷電粒子砲で射撃。ボーデヴィッヒの手前にあたる。

 

 

「ッ!!遠距離兵装……」

 

 

少し警戒の色を濃くしながら、下がっていくボーデヴィッヒ。俺はその間に雪片を拾い立て直す。

 

……そろそろ決めるか。これ以上の戦闘はエネルギーがキツイ。先にデュノアからか……。

 

 

俺は瞬時加速を使い戦闘中のデュノアの背後を取る。

 

 

「悪いが先に落ちてもらうぜ?『零落白夜』」

 

「え!?しまった!!」

 

 

一瞬だけ、最大出力で『零落白夜』を装甲が無い部分に当て一気にシールドエネルギーを減らす。

 

 

「これで……!!」

 

 

そこへ待ってましたと言わんばかりに簪さんが『春雷』でトドメを刺す。

 

 

 

『ラファール・リヴァイヴカスタム、シールドエネルギーエンプティ』

 

 

「簪さん、タイミング完璧!このままボーデヴィッヒも」

 

「うん、任せて!」

 

「舐めるなァァ!!」

 

 

そこへボーデヴィッヒがプラズマ手刀で迫って来る。俺はまた鍔迫り合いの形を取りボーデヴィッヒを抑える。

 

 

「もうお前を守るナイト様はいないぜ?」

 

「そんなもの、私には必要ない!」

 

「その意地が命取りだったな!」

 

 

直後俺はボーデヴィッヒを弾き、離れる。

 

 

「逃すものか……ッ!?」

 

 

俺が離れた理由、簪さんがまたミサイルを48発撃ったからだ。最初は俺をロックオンしていたが途中から簪さんの操縦でボーデヴィッヒにターゲットが移ったんだろう。直前まで、警告文が映らなかったのか避ける動作をすることなく、全弾しっかりボーデヴィッヒに命中する。

 

 

「ぐッ!?うぅ……!!」

 

 

必死に耐えているが、おそらくもう無理だろう。……後は仕上げだ。

 

 

〜side ラウラ・ボーデヴィッヒ〜

 

 

(負けるのか……私が本物だと……証明出来ないまま……)

 

 

なぜただの一般人だった奴が『越界の瞳』を持っているのか……いや、どうでも良い。

 

 

(なぜ、私は奴を倒す力がないのだろう……)

 

 

私は軍で育ち、教官の指導のもとに最強に至ったはずだ。

 

 

(……欲しい。奴を……いや全てを……薙ぎ倒し……蹂躙する力が!!)

 

 

『汝……力を欲するか?己の身を捧げ、全てを喰らい尽くす力が……』

 

 

それは悪魔からの甘い言葉。

 

 

(……力を、寄越せ!!)

 

 

Damage level ………D.

Mind condition ………Uplift.

Certification ………Clear.

 

《Valkyrie Trace System 》………boot.

 

 

Extra phase………standby.

 




〜???〜


「何も感じないな……もうすこし何か思うところがあると思ったが……」

「私も……準備は出来たし、もういいのでは?」

「まだだ、万が一、喰わないという可能性もある」

「……もう少し待ちましょう」

「ああ、全ては我らが望むラグナロクの為に」

今後の進行における重要事項『アンケート結果がそのまま反映されるわけではありません。あくまで参考にさせて戴きます』

  • 凍結し、リメイクのみを制作、順次更新
  • リメイク版無しでこのまま継続
  • リメイク版ありで両方継続
  • この作品のまま加筆修正

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