あの日の戦友たちは今敵となる   作:ゼノアplus+

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視点の切り替わりが多いです。


頼ることの大切さ

43話

 

 

〜ラウラ・ボーデヴィッヒ〜

 

 

(……私は……どうなったのだろうか)

 

 

織斑一夏と戦っていたところは覚えている。そのあと、黒い何かに包まれたことも。

 

 

(ここは……どこなのだろうか……)

 

 

見えるのに見えない、聞こえるのに聞こえない。形容しがたい感覚だ。

 

 

(それにしても……織斑一夏は……強かった。私の思っていた以上に)

 

 

今の状況を考えても仕方ないと思い、思考を切り替える。

 

 

(なぜあのレベルの強さを……いや……強さとは……なんなのだろう)

 

『そんなもん人に聞くな。自分で見つけろ』

 

(……ッ……分からないんだ。私が求めていた強さは、幻想だった)

 

『それはお前が姉さんしか知らなかったからな』

 

(それでもあの人は、私の憧れだった)

 

『憧れることは悪いことじゃない。でもなボーデヴィッヒ、お前は人間なんだ。……自由なんだよ』

 

(自由だから……なんなんだ……)

 

『お前はこれから世界を、国を、街を、人を見ていくんだ。この広い世界でたった1人の事しか見ないなんてもったいない。まずは、周りの人に頼ってみろ』

 

(……誰に……頼ればいいんだ)

 

『じゃあ、まずは俺を頼れ。まあ……血縁関係はないけど兄貴みたいなもんだからな』

 

(……それは)

 

『なに、俺は手伝うだけだ。どうするかはお前が決めろ。それが……お前の、

 

ラウラ・ボーデヴィッヒとしての、最初の一歩だ』

 

 

お前は……なぜ……

 

 

(なぜ……そんなに強いんだ……)

 

『……強くねえよ』

 

(え……?)

 

『もし、俺が強いんだとしたら……』

 

(………)

 

 

『大切なものを……守る前に、自分が壊れてしまったから。自分が強くならないと、守れないから』

 

(……いつ?)

 

『……いつ、か。難しいな、アレは……誰も知らないいつかの日だよ』

 

 

それ以来、声は聞こえなくなった。

 

 

(なるほど……私は……ラウラ・ボーデヴィッヒとして、やり直せるのか)

 

『幸せになれ、ラウラ・ボーデヴィッヒ。私は……お前は……もう自由なのだから』

 

(ッ!?その声は……フフッ、そういう事か。ああ、頑張ってみるさ。私は……私の名前は……ラウラ・ボーデヴィッヒなのだからな)

 

 

私に、新しい憧れができた。

 

 

 

 

〜一夏〜

 

 

「……ッ、ここは?……保健室か」

 

 

何度か見た天井だ。

 

 

「今は……何時だ?」

 

『16時30分だよ一夏』

 

「白式か、サンキュ。もう夕方か、結構寝てたのな」

 

『まあ、出血すごかったし。唐突にオペみたいなの始まってたよ』

 

 

恐ろしい……てか此処にそんな器具やら人員やら揃ってんのかい。

 

 

「まあ、どうせ治って……るな。たくっ、こういう時だけ俺を作ったやつに感謝だな。治りが早いのは助かる」

 

『じゃあ認める?』

 

「なわけあるか。見つけ次第ぶっ壊してやる。これ以上俺たちみたいなのが増えてたまるかよ。ボーデヴィッヒみたいなのもだ」

 

 

ボスだって言ってた。『人間は完成していないからこそ、面白い』ってな。……いや、まあ俺は完成されているっていうか超えてるんだけどな。

 

 

「どうしよう、1回目の時はだいたい都合のいいタイミングで誰か来てたからどう動けばいいのか分からない……起きたことを報告すべきか、まだ寝とくべきか、………黙って部屋に戻ろうかな」

 

『それ多分、織斑千冬に大目玉食らうんじゃ……』

 

「だよなぁ…… それにしても、あの声、褒美とか言ってたな。何のことだ?」

 

『ああ、そのこと?それなら多分……』

 

「失礼……しま〜す」

 

 

誰か来たようだ。

 

 

『やっぱ後でね一夏』

 

(ああ)

 

 

「えっと……一夏が寝てるベッドは……」

 

「ここだよ簪さん」

 

 

保健室のベッドのところにあるカーテンから顔を出し、自分の位置を知らせる。喋り方と声ですぐに誰かわかった。

 

 

「一夏!もう大丈夫なの?」

 

「まあ、まだ痛むところがあるけど、とりあえずは大丈夫かな」

 

 

嘘です、もう全力戦闘できます。

 

 

「そう……良かったぁ……血だらけで運ばれる一夏を見たとき、死んじゃうのかと思った……」

 

「それは……ごめん。でも、ちゃんと勝ったし、こうやって生きて帰ってきたから結果オーライだな」

 

「そんなわけないでしょ!!一夏は、ちゃんと自分の事を見たほうがいいと思う!!」

 

「……え?」

 

 

簪さんがこんなに怒ってるところ、初めて見た……

 

 

「私との訓練の時だって、メニューを考えたり、機体性能の引き出し方を考えてくれたのは一夏。作戦だって私はちょっとしか考えてない。いっつも無理してるでしょ!」

 

 

えと……いや、睡眠はそこまでいらない体だから、その時間をそういうのに当ててるだけなんだけど……

 

 

「今日だって、無理して戦って怪我して、ちゃんと自分の事を考えなさい!!」

 

「えっと……あの……すいません」

 

「そんなに私は頼りない?」

 

「そんなことはない」

 

 

簪さんは本当に頼りになる。それは1回目の時も、今も変わらない。

 

 

「だったら……」

 

「だっ……たら?」

 

「もっと私を頼ってよ……私だけじゃなくて、一夏の周りには頼れる人はたくさんいるんだから。そんなに……抱え込まないで。一夏が死んじゃったら、私……悲しいよ」

 

「……ッ!!」

 

 

簪さんは、涙を流しながら俺にそう言った。……俺だって、好きでこんな事してるんじゃない。『これは必要な事だ、起こるべくして起こる悲劇を生まないために。そのために、人工の命である俺程度ならいくらでも捧げてやる』……そう思ってたけど……

 

 

「本当にごめん。そこまで、考えてくれてたんだな。……そうだな。ちょっと使命感に駆られてたかもしれない。俺個人でどうにかなる問題じゃないのにな」

 

 

これじゃ、ボーデヴィッヒに笑われるな。『私には頼れと言っておいて、お前が頼らないのは道理が違う』って。

 

 

「……今までも頼りにしてたけど、これからもっと頼ってもいいか?今更だけどな」

 

「うん!」

 

 

1回目の時シャルが、『一夏って憎たらしいほど自分に鈍感だよね』とか言ってたけど、なるほど今やっとわかった。思ってたより迷惑かけてたんだなぁ……

 

 

「さてと、ひと段落ついたところで、姉さんのところに行こうかな。起きたこととか伝えないといけないし」

 

「え!?まだ寝てたほうがいいよ一夏。傷痛いでしょ?」

 

「いや、痛み止めが打ってあるのかわからないけどほとんど痛くないんだよ。さっき歩いて確認してたし。ついてきてもらっていいか?」

 

「……うん。わかった。危なそうだったら、ISで抱えてベッドに戻すからね」

 

 

ワァーオ、ダイナミックな運搬方法だなぁ……

 

 

それから、普通に姉さんのところに行き、痛みがないのをいいことにひたすら事情聴取されました。まあ、ほとんど無我夢中だったんでとか、ほとんど意識がなかったから覚えてない。で通したけどな。流石に、めっちゃ強かった。とかは言ったぞ?……そのせいで余計時間食ったけど。

 

結局、部屋に戻れたのは深夜だった。……治ったとはいえ、怪我人になんて無茶させるんだよ……

 

 

 

 

〜ラウラ・ボーデヴィッヒ〜

 

 

少し遡り、一夏が目覚める数分前のこと。

 

 

「教官も、言っていた。ラウラ・ボーデヴィッヒになれと……全く、あの姉弟は言いたいことだけ言って何処かに行ってしまう」

 

 

数時間前に織斑先生と話をして、それからもう一度眠る気にもなれなかったボーデヴィッヒはずっと起きていた。

 

 

「頼る……か。黒兎隊の隊長である私が、人に頼ることなど確かに今までなかった。結果、隊員達にも無理を強いていたのかもしれない。ハハッ、まともに動けるようになったら、すべき事だらけではないか」

 

 

最近では滅多になかった、自然と出る笑い声。今のように落ち着いているのも、織斑姉弟のおかげである。しかし、ボーデヴィッヒは日本に来る前、とある副隊長に日本のことについて教えてもらっていたが、これを頼るなどとは思っていない(実際にまともな事は教わっていない)

 

 

「私のISも原型を留めていなかったし、予備パーツは確か……レールガン以外はあったから動けるようにはなるか。全く、祖国も面倒な事をしてくれる。今更、恨む気にもなれないが」

 

 

大体は更識簪が多数のミサイルで破壊しまくったことから始まったが、ボーデヴィッヒには知る由もない。

 

 

「自分のことながら、今日はよく喋るな。……いや、喋ってないと落ち着かない」

 

「……ッ、ここは?……保健室か」

 

(ッ!?織斑一夏、隣のベッドだったのか!?」

 

「今は……何時だ?」

 

(……答えるべきだろうか。いや、そうしたほうがいいには違いないのだが……あの会話をした後では話しかけにくい)

 

「白式か、サンキュ。………」

 

(白式?確か、織斑のISの名前……会話をしたような物言い………まさかな)

 

 

そして、織斑一夏の会話のような独り言を聞き続けるボーデヴィッヒ。その内容には、思わず声が出そうになる。

 

 

(『俺を作ったやつ』……だと?まさか、織斑があの時言っていた『姉弟みたいなもの』というのは……いや、それでは実の姉である教官もそうなるのか……?)

 

 

ボーデヴィッヒの思考は続く。入ってきた更識簪に気づくこともなく、その会話を聞くような余裕もなく。

 

 

(いやしかし、教官の遺伝子からという線も…… 分からん、一体どういうことだ?織斑の言っていることが正しいのならば、織斑がISに乗れる理由にも納得がいく。教官とほぼ同じ遺伝子だからだろう。それが男でも、というわけか)

 

 

ガラガラ……

 

 

(ッ!!……今のは、部屋を出たようだな)

 

 

隣のカーテンを開け、誰もいないのを確認する。

 

 

「……織斑姉弟は私と同じ、遺伝子強化個体。しかし、教官の身体能力の高さ、織斑のいう回復力。もしかしたら、私のような遺伝子強化個体よりももっと上位の……しかも教官の、存在が公になった時期を考えると……ッ、一体いつから、この研究は続いていたんだ」

 

 

織斑、という存在がどれだけ異質な運命を背負っているのか。今のボーデヴィッヒには計り知れないが、ただひとつだけは確実に言える。

 

 

「この世界の人工物でない、天然の最強は篠ノ之束ただ一人。今や世界中の女共が夢見る存在は……ヒトとして作られたモノだったという事か。……この世界は……!!この世界はどれだけ……」

 

 

ラウラ・ボーデヴィッヒという存在が生まれて何年経っただろうか。いや、しみじみと数えるほど生きてはいない。この短い年数で、世界の闇の中心ともいうべき事実にたどり着いてしまったボーデヴィッヒ。その精神状態は安定してはいない。

 

 

「でも……裏を返せば私は、教官や織斑とは存在としては近い者同士。もしや、同じ遺伝子から作られている可能性も……おお、それは……それは……素晴らしい!!」

 

 

VTシステムで過度な精神的ストレスを負ったからだろうか、考えすぎで参ってしまったのか、いや両方だろう。少なくとも、今のボーデヴィッヒはまともな思考ができていないのは確かだ。

 

 

「つまりは、教官とは家族同然。という事は……織斑は……先輩?いや、本人も言ってたから……兄か!!」

 

 

もう一度言おう。ボーデヴィッヒは、まともな思考ができていないのである。

今後の進行における重要事項『アンケート結果がそのまま反映されるわけではありません。あくまで参考にさせて戴きます』

  • 凍結し、リメイクのみを制作、順次更新
  • リメイク版無しでこのまま継続
  • リメイク版ありで両方継続
  • この作品のまま加筆修正
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