45話
6月も終わり7月になった。今月は臨海学校があり正直憂鬱でしかない。かの『銀の福音』が暴走した時のことを思い出すからだ。
そういえば、なんとなく『レゾナンス』じゃないショッピングモールを回っていた時に見つけた、そこら辺を歩いていた束さんをひっ捕らえお話をした。その時の様子がこれだ。
「や、やあいっくん、こんなところで会うなんて奇遇だね。束さん運命感じちゃったよ。……ところで束さんはなんで縄で縛られてこんな薄暗い地下で椅子に座らされてるのかな?」
「いやぁ、ちょっとお聞きしたいことがあっただけですよ?もちろんそれが終わったらすぐに開放しましょうとも」
「なにが聞きたいの?束さんは縛りプレイはあまり好きじゃないよ?あ、ゲームではよく縛りプレイするけどね」
「知ったこっちゃないですよ……で、箒の誕生日はなにを渡すんです?」
「へ?な、なにって何かな?」
パァン!
「ひぃぃ!?」
「真面目に答えてください。大事な顔に穴が開きますよ?」
「いっくん目のハイライト戻して!?そんなことするような子じゃなかったよね!?」
「友人を見習ってみたんですよ。すごい怖かったんで。あと、どうせ培養技術かなんかで体くらいすぐに修復できるでしょうっていう信頼と期待と偏見です」
「今偏見って言った!?うう……これでも天災って言われるくらいは優秀な人間のつもりなのに……」
「だったら、あと少しで完治する人見知りを治してください。今度やるパーティーで音頭取らせますよ?」
「今日はいっくん脅迫が多いよ!?」
パァン!!
「答えます答えます、答えさせていただきます!!箒ちゃんには、その……第四世代型のISをプレゼントしよっかな〜って」
パァン!!
「束さんちゃんと答えたよね!?」
「ああ、すいません。ちょっと予想通りすぎて……大天災の束さんなら、
「なにそれ怖い!!流石の束さんでもそんなことはしないよ?入社する前ならしたかもだけど……流石に更生したもん!」
その言葉を姉さんと箒に聞かせてやりたいぜ……
「……まあ、信じましょうかその言葉。ちなみに箒のISの性能は?」
「え、どんな局面でも対応出来るようにいっくんの雪片のデータから完成させた展開装甲を使ったマルチロール機だけど?」
「燃費は?」
「中国の第三世代の……甲龍だっけ?それと同じくらいには良くしたよ〜 後は……箒ちゃんの練度によって新しい武装を作ったり出来るし」
「めっちゃ万能じゃないですか。単一能力とかはつけてないですよね?」
「……絢爛舞踏っていう、発動したらエネルギーが回復したり、別の機体と接触するだけでその機体のエネルギーも回復するワンオフをつけました」
「おお〜まさに妹思いな束さんの素晴らしいプレゼントじゃないですか」
「でしょ〜!!や〜さすがいっくん。わかってくれると思って……」
パァン!!
「なんで撃ったの!?」
「いや、すいません。なんとなく、ちょっと全世界のIS開発国に申し訳なくて」
「ひどい!?」
「レイさんと似たような雰囲気感じたんで」
「ああ……レーちゃんいつもいっくんに追いかけ回されてるもんね。ISで」
「束さんもやります?細胞レベルで天災なその体でも引きこもってたら鈍るでしょう?」
「全力で遠慮させていただきます!!」
「……え〜、まあいいか。すいません、ありがとうございました。じゃあそういうことで」
「え……解いてくれないの?束さんは放置プレイも得意じゃないよ?」
「だから知ったこっちゃねえよ!?たくッ、ボスに束さんを捕まえとけって言われてるんですよ。だからまあこうやってついでに縛ったんです」
「なるほどね、いっくん頭いい!!……でも、ここに放置していくのはなんでかな〜なんて聞いてみたり?」
「ああ、意趣返し兼私怨です。IS学園の試験会場まで誘導されたのはまだ覚えてますからね?」
「バレてた!?いっくんあの頃からそれに気づくだけのスペック持ってたの?ていうか私怨って言ったよね今!?」
「さよ〜なら〜」
「あっ!待って〜せめて解いてってよ〜!!」
はい回想終わり。だいたいこんな感じだ。ちなみに当日にボスから『お前のところに篠ノ之博士いない?』みたいな感じの連絡がきて、ちょうどよく出会ったので敢行しただけだ。もちろん、マドカに報告したからすぐに回収されるだろう。その時に、『ああ、またクロエが嘆くな……』って言ってたけど、やはり面倒をかけられてるんだな。指の一本くらい持って行っても良かったかもしれない。
それにしても束さんがまさかちゃんと更生しているとは思ってなかった。しかも福音を暴走させる気もなくて、赤椿の燃費も良くするとは。俺の白式の双璧を成す……みたいなことも言ってなかったし、一般常識もセットで社交性も身についてきている。……アレ?そういや束さんの服もいつものアリス服じゃなくて一般女性が着るようなものだったし……天災だった頃よりある意味で色物作り出してしまった気がするけど……まあ良いや(思考放棄) 姉さんが見たら別人だ、とか言って切りかかるかな?……まあ良いや(二度目)
そして今日は水着を買いに1人で『レゾナンス』に来ている。水着なんて機能性が良ければなんでも良いし。……1人で、なんて言っているがしっかりと視線を感じる。4人分ほど。
「えっと……これで良いか。ん?よく見たら1回目の時に買ったやつと同じだな」
よくよく考えれば一回しか使ってないし、そのために水着を買うってのもなんかなぁ……
会計を済ませて次の目的地へと向かう。ちなみに本屋だ。
その途中……
「おっと……すいません。大丈夫ですか?」
俺としたことが……人にぶつかった。しかも相手は倒れてしまった。
「いえ、問題ありません。こちらこそ申し訳ありません」
「……ならよかった。どこか喫茶店に行きませんか?ぶつかったお詫びがしたい」
「……そうですね。ではお言葉に甘えさせていただきます」
俺は
「……?手を離しても構いません。これでも、
「……へぇ。これは申し訳ない」
俺たちは少し離れたところにあった喫茶店に入る。なぜすぐ近くの店に入らないかというと『@クルーズ』だからとしか言えない。……察してくれ。
「……さてと、少し
「分かりました。『黒鍵』起動。……『ワールド・パージ』」
これで他の人間から、俺たちは普通に会話をしているだけに見えるだろう。
「助かる。後でエネルギーパックをやるよ」
「お気遣い感謝します。……改めて、束様のお世話をしています、クロエ・クロニクルと申します。以後、お見知り置きを」
「ああ、俺は織斑一夏だ。亡国では『S』っていう。よろしくな嬢ちゃん」
正直俺も、さっきぶつかるまで分からなかったが嬢ちゃんがユニコーンを受け取ってくれるらしい。
「……『嬢ちゃん』はやめてください。私には『クロエ・クロニクル』という名前があります」
ほう……生活環境によって意識も変わってきたのか?……何にしてもいい傾向だな。
「それはすまん。じゃあクロニクルと呼ぼうかな。なあクロニクル、甘いものは好きか?」
「……は?」
「いいから」
「……あまりそういうものを食べていません。最近は自分で作ったものの処理をしていますし」
そういやスコールの姉御も言ってたな。完全に忘れてたよ。
「じゃあ、ちょうどいいか。すいません、注文良いですか?」
シュンッ!
「はい、何にいたしましょう?」
うおっ!?店員さん来るの早!!……接客魂が凄いな。
「ショートケーキとブレンドコーヒーのホット。……クロニクルはどうする?」
「では、紅茶を」
「ショートケーキ、ブレンドコーヒーのホット、紅茶、でよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
シュンッ!
……消えたよあの人。忍者かなんかか?ていうか効果音が聞こえたような…?
「ありがとうございます」
「良いっての。わざわざこんなところまで来てもらったんだからさ。……まあちょっと視線が気になるだろうが、無視してくれ」
さっき若干殺気も混じってたから箒とセシリアはいるだろうな。後は……まあ鈴とデュノ……シャルロットだろう(呼び方を変えさせられた、目が怖かったです) ラウラはどうせクラスメイト達に餌付けされてるさ。朝もそうだったし。
「いえ、この程度は問題にもなりません。『ワールド・パージ』も使っていますので」
「『ワールド・パージ』ねぇ……全く、便利な能力だよ」
現実世界では大気成分を変質させ対象に幻覚を見せる。電脳世界では対象の精神に干渉する……相手にしたらなかなか厄介だ。ISを用いれば大気の状態は分かるが、生身では防ぎようもないな。一応、俺らみたいな『越界の瞳』持ちは擬似ハイパーセンサーで対処はできるけどな。
「確か、生体同期型ISだっけ?束さんもまた業の深い事してくれる」
「しかし、束様が『黒鍵』を与えてくださらなければ私がこうしてここでいっくん様と話していないのもまた事実です」
「そうだからこうして黙認するしかないんだよなあ……いっくん様?」
おかしい、何か今変な名前で呼ばれなかっただろうか?
「束様がいつも貴方の事を『いっくん』と呼んでおられましたので。やめた方がよろしいでしょうか?」
首を傾げながら聞いてくる。小動物みたいだなこの子……
「ああ、それでか……まあ良いよ。別に害はないし」
「お待たせいたしましたお客様、こちらブレンドコーヒーのホット、紅茶、ショートケーキでございます。ごゆっくりどうぞ」
……俺が気づかなかった?この店員恐ろしいな。
俺はいま持ってきてもらったコーヒーを飲む。……美味いな。クロニクルも紅茶を飲んでいる。しかし……
「どうしたクロニクル、ケーキ食べないのか?」
「……いただいてよろしいので?」
「子供が遠慮するもんじゃないぞ」
「子供扱いしないでください。年齢は私の方が上です」
まあラウラより早く作られたなら確かにそうだな。でも……
「まだ5年も生きてない子供が何言ってんだよ。ここはおとなしく食べとけって」
「……いただきます」
「おう」
素直でよろしい。若干不服そうだが、気にすることでもない。
「美味しい……」
「そうか」
気に入ったのか、黙々とケーキを食べ進めるクロニクル。それにしても美味そうに食う。
クロニクルがケーキを食べ終わるころには俺もコーヒーを飲み終わっていた。
「……私としたことが」
少し恥ずかしそうに言う。
「気にすんなって。せっかく手に入れた幸せだ。今のうちに噛み締めとけよ。……それよりも本題なんだけども」
「はい。それでは、ユニコーンを預からせていただきます」
「土手っ腹に良いのを貰っちまったからな。レイ博士にもよろしく言っといてくれ」
(ユニコーン、少しの間だ。我慢してくれな?)
『うん』
あのフェンリルってやつの攻撃がユニコーンの装甲を貫通しても、絶対防御が発動しなかった。ビームマグナムの攻撃は普通に受けていたことを加味すると……絶対防御のみを無効化するシステムも密かに組まれてたのか………
俺はクロニクルにユニコーンを渡し、席を立つ。
「支払いは済ませておくから、好きに楽しんでいてくれ。スコールの姉御やマドカ達によろしくな」
「……もう行かれるので?」
「ああ、俺たちは一応たまたま知り合った他人という設定だしな」
「なるほど、ごちそうさまでした。……そうでした。これもお願いします」
「ん?……なるほど。じゃあな、マドカと仲良くしてやってくれな」
俺は店から出るときに店員に2000円を渡す。ちょっと数が多いのはチップみたいなものだ。それにしても、もう、出来たのか。やっぱあの人らすげーな。
「おい、一夏が出てきたぞ」
「そんなに追っかける必要ないと思うんだけど……」
「いえ!もしさっきの子とナニかあってからでは遅いですわ!あんな幼い子に手を出す前に矯正して差し上げなくては……」
「アハハ……一夏はそんな人じゃないと思う……よ?」
聞こえてるぞお前ら……そしてセシリア。俺はそんなに信用ないのか……
俺が歩いている少し後ろを歩きながら、4人ほど付いてくる。鈴とシャルロットは少し面倒そうだな。一回驚かしとくか。
「ん……一夏はどこに行った?」
「え?そこにい……ないわね。トイレでも行ったんじゃないの?」
「いつの間に……シャルロットさんは見てまして?」
「ううん、ちょうど目を離してたから見てないな〜」
気配を消して隠れたからな。しかも全員がちょうど俺から目を離した隙を狙ったし。……これが身体能力の無駄遣いか。
『ISもだよ……わざわざ後ろを見るのにハイパーセンサーまで使っちゃってさぁ』
(戦闘で異常が出てないか調べたのもあるんだからいいだろ?『瞳』と同時使用した時の負荷がかかりすぎていないかも見ないといけないんだし)
『調子いいんだから……』
白式はそう言って戻っていった。
「見失ったんだから帰るわよ。私、部屋に戻って一夏に借りた漫画読みたいんだけど」
「なっ……ダメですわ!そうですわよね箒さん!」
「ふむ……しかし見失ってしまったのは事実だな」
「どうせなら色々回ってみない?僕まだ水着買ってないんだよね」
喋りながら俺が隠れたところを通過して行く4人。すると、鈴だけが足を止めた。
「……アンタ、趣味悪いわよ」
「覗き見してたお前らに言われたくはねえよ。てか、気づいてたのか。見てない時に隠れたと思ったんだけどな」
「ここら辺にすぐ行ける場所はないわよ。よく来るから覚えてるの」
鈴が立ち止まっていることに気づいた箒たちがやっと気づく。
「「「一夏(さん)!?」」」
「よう、お前ら。ここまでついてくるとか、逆に感心するわ」
鈴もやれやれといった感じだ。
「い、いた、私たちは買い物に来ただけで……」
「別に、一夏さんを観察していたわけではないですわ!」
「アハハ……セシリア、言っちゃダメだよ」
なんだこいつら、仲良しか?………仲良しか(納得)
「別にいいけどよ。面白いものはなかっただろ?」
「ラウラ似の子って知り合い?」
鈴がそう聞いてくる。勿論誤魔化す。
「ラウラ似?ああ、さっきの子か。言われてみればラウラに似てるなぁ。さっき知り合ったぞ?そういや、今日ラウラはきてないのか?」
「ラウラならクラスの子達に親睦を深めようという名目で餌付けされてるよ」
「えぇ……?」
ラウラさん……いや、この前の素っ頓狂なセリフのせいか。まあ、何にせよクラスに馴染めたのは良かったな。
「あっ、そうだ。一夏も一緒にお店見ない?」
「ん?ああ、いいz『ビー、ビー、ビー』……すまん、ちょっと電話だ」
俺は4人から離れて通信に出る。ちなみに亡国の通信端末だ。
「もしもし」
『一夏?ちょっと仕事を頼みたいんだけど』
どうやら姉御からのようだ。
「いいけど、ユニコーンはさっきクロニクルに預けたぞ」
『ISは使わないわ。また
「またか……言い方悪いけど、もう
『ッ……そう。ごめんなさい』
今のは良くなかったな。
「そういうこと言わない。アンタは上司らしく任務を命令すればいいんだよ。そういうのはまた今度みんなでな」
『ふふ、そうしましょう。……さてと、今回もまたIS学園への侵入よ。国はドイツ、なんでもこの前のVTシステムのデータを抹消したいらしいわ』
「はぁ……相変わらず情報が早いな。政府か?」
『いいえ、独自に行動をさせてる者からよ。VTシステムの研究所がまだ残ってるみたい。そっちはタバネが向かったわ』
「へぇ?あの束さんが……」
あの人にも実働の任務来るのか。開発ばっかりかと思った。
『個人的に許せないところがあるって言って、ボスに直談判に行ったわ。それでね』
「コミュ症完治したなぁ……まあ、了解。場所は?」
『IS学園よ。ドイツ代表候補生ラウラ・ボーディッヒのISを秘密裏に破壊するそうよ。精鋭部隊が揃ってるわ』
「……は?」
ラウラのISを……破壊?
『一夏……どうしたの?』
「姉御、仮面使うぞ?任務に私怨を持ち込むのはよく無いが今回は流石にキレそうだ……」
『……楽しむような事だけはやめなさい。貴方はまだ表の世界で生きていける人間なんだから』
「……S、任務を受諾しました。行動に移ります」
『行ってらっしゃい。気をつけて』
通信終了……
「すまん、中学時のバイトの先輩が入院したらしいから見舞いに行ってくる」
「大丈夫なのか?」
「盲腸って聞いたけど、手術すれば大丈夫らしい」
「手術はしないといけないのね……行ってらっしゃい一夏」
「ああ、悪いな。せっかく合流したのに」
我ながらよくもまあスラスラとこんな嘘が言える。しかもその相手はこいつらなのに……
「じゃあな!」
ああ、なんて腹立たしいのだろう……ラウラに危害を加える人間には……バツヲアタエナイトナァ……
今後の進行における重要事項『アンケート結果がそのまま反映されるわけではありません。あくまで参考にさせて戴きます』
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凍結し、リメイクのみを制作、順次更新
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リメイク版無しでこのまま継続
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リメイク版ありで両方継続
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この作品のまま加筆修正