あの日の戦友たちは今敵となる   作:ゼノアplus+

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予想内の最悪

50話

 

 

合宿はついに2日目に突入した。今日はついに箒と束さんが話をする日だ。束さんが馬鹿なことをしないのは分かっているので『銀の福音』の暴走も起こらない。つまり邪魔される要因はないはずなのだ。

 

 

「ようやく全員集まったか……ふん、おい遅刻者」

 

「はいぃ!!」

 

 

なんとも珍しい。ラウラが寝坊して姉さんに絞られている。環境が変わると寝られ無かったのだろうか?

 

ISの機能の一つを遅刻の罰としてラウラが説明している。ちなみに今日の俺は倉持……亡国から送られてくる装備の試験だ。どうやら『ウィル・オ・ウィスプ』の新装備だ。もちろんあちらでも行っているが、俺の意見も欲しいらしい。隊員によって使う武装が違うから仕方ない。

 

 

「よし、では各自指示されたことに従事するように」

 

 

姉さんの一言で生徒達が解散し、それぞれの行動を始めた。専用機持ちの俺達も動こうとしたその時……

 

 

「ああ、篠ノ之。お前はこちらにこい」

 

「…………」

 

 

姉さんが箒を呼んだ。箒はちゃんと束さんの話を聞いてくれるだろうか。束さんはいつもの馬鹿らしさを発揮せずに箒と話すだろうか……2人の仲はちゃんと戻るのだろうか……不安でいっぱいだ。でも、俺達が出来ることはここまでだ。なぁ、姉さん?

 

 

『大丈夫です。今の母上ならば』

 

『うん、亡国に入ってからお母様はすごく変わったもん』

 

(……そうだよな。ああ、俺が信じなくてどうするんだって話だもんな)

 

 

白騎士と白式の2人から発破をかけてもらってしまった。そして姉さんが会合場所を伝えたのか、不思議そうな顔をしながら箒は入江に向かって行った。

 

 

「なぁ……姉さん……」

 

「今は信じるしかないだろう……篠ノ之はどうかわからんが、束は確固たる意志を持ってお前に頼んだはずだろ?」

 

「ああ」

 

「なら大丈夫だ、アイツらは姉妹だからな。結局はどこかで互いを求めている」

 

 

今までで一番姉さんがカッコよく見える。そうだな……姉妹なんだよなあの2人。頑固で、不器用なところが特にそっくりだ。

 

 

「それとな織斑」

 

「え?」

 

「織村先生と呼べ!」

 

「ぐへぁ!?」

 

 

いってぇ!?……そういや、姉さんって呼んでたな俺……甘んじて受けよう。うう……姉さんからの愛の鞭……いや愛の拳か。

 

 

『いっくん。準備出来たよ』

 

 

急に白式を通して流れてきた通信。束さんからだ。

 

 

『箒もそちらに向かっています……本当に半径10キロ圏内に変な反応は無いんですね?』

 

『うん。ボスの方でも確認してるけど特に問題は無さそうだよ。だからいっくんも安心して装備のテストをお願い。何かあったら束さんもそっちに向かうから』

 

『来んなアホ。アンタは箒と仲直りするまで帰ってくんな』

 

『急に雑だねいっくん!?……うん、ありがと。じゃあ切るね』

 

『はい、俺と姉さんから激励です。当たって砕けろ』

 

『砕けちゃダメじゃないかなぁ!?……はぁ、じゃあね』

 

 

適度に緊張をほぐす事は出来ただろう。さて……俺は俺の事をこなすか。

 

 

「やぁやぁ!久しぶりだね一夏君!!」

 

「ヒカルノさんじゃないですか……ああ、そういや倉持の所長でしたね」

 

「君さ、ウチの技術者に対して辛辣じゃないかい?」

 

「だったらもう少し自重してくれませんかねぇ?」

 

「無理」

 

「即答すんな変態」

 

 

水着に白衣着てる変態こと篝火ヒカルノ、亡国で買収した倉持技研の所長だ。話をしていた俺たちの元へ、同じ倉持所属の簪さんもやってきた。

 

 

「どうもです」

 

「やぁ簪君。打鉄の調子はどうだい?」

 

「良い感じです。メンテナンスも私が出来ますし……」

 

「それは良かった」

 

 

今回、簪さんは追加パッケージがない。その代わりに搭載されている『流星』という装備を試すそうだ。俺が聞いたときは変にはぐらかされたからな。

 

 

「んじゃ、一夏君はこのコンテナに積んである武装のテストをお願いね」

 

「あの……このって言われても3つコンテナがあるんですが?」

 

 

結構大きめの白いコンテナがトラックに積まれている。3つもだ。

 

 

「んん?あ、全部よろしくね。少し具合を試すだけで良いからさ」

 

「全部!?1日で!?あの……分かってます?武装を変えるたびに白式の設定を変えないといけないんですけど……」

 

「自分で頼めば良いじゃない?」

 

「このアマ……他人事だと思って好き勝手言いやがって……」

 

 

仕方ない……白式、武装のアンロックを頼む。

 

 

『……ホントに全部やるの?結構面倒なんだけど』

 

 

マジですまん、頼むわ。

 

 

『えぇ……分かったよ。白騎士〜手伝って〜』

 

『仕方ありませんね』

 

 

2人がアンロックしてくれた武装から、順々に手に取っていく。アサルトライフルにロングブレードにショートブレード、ランチャー、レーザーライフル、ジャッククリ、ショットガン、ガトリング……うん?多くね?

 

 

「量産型なんだから武装は多い方がいいのさ」

 

 

そうですか……その分俺達の負担が増えるんですけどね。

 

 

「あの……手伝おうか、一夏?」

 

「大丈夫、なんとかなりそうだしな。簪さんは打鉄のパッケージの調整を頑張ってくれ」

 

「うん、分かった」

 

 

とことこと海辺に走り去っていく簪さんを見送りながら俺は白式を展開した。

 

 

「そうだ、白式のメンテナンスもしておこうか」

 

「自分でやってるから大丈夫です」

 

 

そしてその後は黙々と武装を握り振るう。そしてそのデータを入力しヒカルノさんに渡して行った。

 

 

「このランチャー、手で持たないといけないんですか?絶対無駄ですよ?」

 

「むむむ?…………外観的に、取り付けは似合わないかな〜って思ってたんだけど」

 

「そこ気にします?ラファール以上の取り回しの良さが売りなんですからあらゆるものに対応してくださいよ」

 

「ふむふむ、現場の意見として留めとくよ。それ以上は本社に戻ってからだね」

 

 

そんなこんなで1時間と少し経った頃……恐れていた事が起きてしまった。

 

 

『一夏!!太平洋上に一機のISの反応があったわ!!一直線にそっちに向かってる』

 

 

スコールの姉御から連絡が入った。

 

 

「なに?……ヒカルノさん!!」

 

「ボスから私の方にも連絡があった。一夏君は行って!!」

 

「はい!!」

 

 

俺は少し離れた位置まで走った。どうやら姉さん達にはまだ情報がきてないらしいので先に亡国メンバーとの情報共有をするためだ。

 

 

『姉御、俺だ。状況説明を頼む』

 

『ええ、昨日に引き続き海域で警戒中にISの反応があったわ。亡国に確認したらアメリカとイスラエルで共同製作された『銀の福音』という軍用ISが暴走を始めたそうよ。操縦者のナターシャ・ファイルスを載せたままね』

 

 

やはり福音か……くそっ、どうしていつも……というかやはりアイツらしかいない。フェンリルを作り出したあの声の男の組織だろう。

 

 

『機体の性能に変化は?』

 

『操縦者の安全が守られる程度での最高速度を維持し続けているあたり……おそらく変わっていないんじゃないかしら?目視したわけじゃないから不確定よ』

 

『了解。モノクローム・アバターは海域から離脱。最初は俺達IS学園の生徒で交戦する。万が一に備えて学園側のセンサーギリギリ程度でボスの命令を待って待機してくれ』

 

『分かったわ。2人とも聞こえたわね?それと、一応サラ・ウェルキンとレインにも連絡を入れておくわ』

 

『頼んだ』

 

 

手短に通信を済ませるとちょうどいいタイミングで姉さんからの緊急収集がかけられた。旅館の一室に戻るらしい。

 

 

「……束さんは……状況報告だけしとくか」

 

 

旅館への道を走りながら、俺はメールを打った。

 

 

 

 

〜束side〜

 

 

「だからね箒ちゃん、私は……」

 

(む?いっくんからメール……今は無理なんだけど……)

 

「なんと言おうが私は姉さんと話す事などありません」

 

「それでも……()は、箒ちゃんに聞いてほしいんだ」

 

「……分かりました。でも聞くだけです」

 

「ありがとう」

 

(ごめんいっくん。後で必ず見るから)

 

 

 

 

〜一夏side〜

 

 

束さんからの返信が来ない、だがこれでいい。今は2人の話を優先させてやりたいしな。

 

今は、とある一室で大型ディスプレイを眺めながら、専用機持ちと教師陣が話しあっていた。さっき姉御に説明された事を姉さんが皆に説明している。

 

 

「アプローチのチャンスは一回きりだ。つまり、一回で暴走ISを落とさなければならない」

 

「俺がいくしかないな」

 

 

さっさと話をまとめよう。特にこれについてみんなとの話は必要ない。ただ行って俺が落としてくればいい……しかしそれは、1回目と同じことしか起きない場合だ。今この場には箒と『紅椿』がいない。俺を運ぶ手段がない。

 

 

「あの……」

 

「どうした?」

 

 

そんな時、簪さんが手を上げた。

 

 

「私のISの後付武装の一つに『流星』というものがあります。スペックデータを開示するので見てほしい……です」

 

「「「「「「ッ!?!?」」」」」」

 

 

俺も含めた全員が驚いた。空中に表示された『流星』のデータに唖然としている。

 

通常のISの何十倍はあろうかという大きさの装備だ。特殊な推進剤を利用したそのスピードは圧倒的であるらしい。

 

 

「倉持はこんな武装を……」

 

 

姉さんは目を見開かせながら呟いている。……まあ、対組織用の殲滅兵器の試作品だろうけどな。こんな恐ろしいもん競技用で使えねぇよ。

 

 

「なるほど……更識、音速下での戦闘訓練時間は?」

 

「48時間です」

 

「十分だな。では、織斑と更識の両名による目標の追跡並びに撃墜だ。更識、装備の量子変換は?」

 

「すでに……完成しています」

 

「では15分後に開始する。各自準備を怠らないように!!」

 

「「「「「「了解!!」」」」」」

 

 

場は解散。俺と簪さんはすぐに倉持の元へ行きISのチェックを始めた。

 

 

「簪さん、移動は任せた」

 

「うん……『流星』の武装で援護もするから、一夏は安心して突撃して」

 

「ははっ、頼もしいな」

 

 

お互い緊張をほぐすためか軽口を言い合う。

 

 

「2人とも、機体はバッチリだよ」

 

 

ヒカルノさんが簡易的にISのチェックをしてくれた。

 

 

『白式、二次移行の準備は?』

 

『完璧♪後は一夏と私のイメージ次第だね』

 

 

こっちも準備は出来ているらしい。そして、出撃前に一番聴きたかった声も聞けた。

 

 

『応答しろS』

 

『ッ……ボス、なんでしょうか?』

 

『今回は貴様個人に秘密裏に任務を与える』

 

 

ボスからの秘匿通信だ。ISからではないが、白式に直接連絡してきている。

 

 

『ハッ……その内容は?』

 

『ナターシャ・ファイルスの勧誘だ』

 

『……ボスは、私が失敗する事を考慮されていないのですか?』

 

『ふむ、その時はまた稽古をつけてやろうか?』

 

『任務、受諾しました。是が非でも成功させますんでボスとの稽古だけはどうか勘弁を』

 

『ふっ……その意気だ。成果を期待している』

 

『了解!!』

 

 

ボスに直々に言い渡された……なるほど、これは失敗出来ないな……さて、時間だ。修理中のユニコーンの分まで頑張らないとな白式。

 

 

『うん!!』

 

 

あれ……そういえば何か忘れているような……いや、忘れるような些細なことだろう。それより今は作戦に集中しないとな。




〜???〜


「第二の試練を始めよう」

「はぁ……今回も趣味の悪い物を用意しましたね」

「失礼な。※※※と話し合ったが、結構好評だったぞ?」

「それはお2人の感性がどうかしているだけです」

「……まあいいだろう。今回の織斑一夏はユニコーンを所持していない。恐らく余裕だろう」

「どうでしょうか……どうだったのですか?」

「さてね……おっと、あの2人から通信だ。少し外す」

「む……まあいいでしょう。はぁ……私に覗きの趣味は無いのですが……っと、今更でしたね」

今後の進行における重要事項『アンケート結果がそのまま反映されるわけではありません。あくまで参考にさせて戴きます』

  • 凍結し、リメイクのみを制作、順次更新
  • リメイク版無しでこのまま継続
  • リメイク版ありで両方継続
  • この作品のまま加筆修正
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