あの日の戦友たちは今敵となる   作:ゼノアplus+

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撃滅、並びに……

51話

 

 

 

〜日本海〜

 

 

 

「なあ簪さん。このスピードだと何分で着くんだっけ?」

 

「うーんとね……3分……だったかな?」

 

「そっかー……じゃあさ、目の前に見えるものは?」

 

「銀の福音だね」

 

「ここまで来るのに何分だっけ?」

 

「……1分」

 

 

はいどうも皆様、織斑一夏と申しますぅ。え、物騒な会話が聞こえたって?嫌だなぁ……そんなわけ……あるんだよなぁ……

 

 

「簪さん、一時離脱!!後方支援を頼んだ。俺はアイツを足止めしとく。ついでに本部への通信も」

 

「分かった!!」

 

 

 

簪さんのISから飛び出した俺は、作戦目標の『銀の福音』に近づいた。

作戦が始まって俺と簪さんが空に飛んでからわずか1分……ああ、違うな。簪さんのISが最高速度を出してから1分だ。その短時間で俺達は『銀の福音』……長いので福音と呼称するが、ソイツと接敵してしまった。

 

正直かなりまずい。まだ地上からはそんなに離れていないので、レーザー兵器を主兵装とする福音の流れ弾が旅館に届く可能性があるからだ。つまり出なくていい被害者が出るかもしれない。

 

 

『敵機確認、迎撃モードへ移行します』

 

「チッ……やはりか。こっちだッ!!」

 

 

福音の発する電子音声を聞いて、俺はすぐに真横を駆け抜けた。出来るだけ旅館との距離を離してから戦闘を行いたいからな。流石はAIというべきか、敵を確認したらすぐさま追いかけてきた。もちろん広域殲滅兵器の『銀の鐘』を稼働させ、圧倒的な加速を生み出しながらだ。もちろん白式では追い付かれてしまう。

 

 

「白式ぃ!!二次移行の準備だ!!」

 

『了解!!』

 

『La……♪』

 

 

福音が甲高い音を出しながら迫ってきた。俺はスラスターを止めて自由落下し回避。しかしそれも予想内だったのか福音はその場で翼を広げた。否……砲口をこちらに向けた。

 

 

「クソッ……2回目でも殺意高いなおい!?」

 

 

大量の砲口から放たれる夥しい量の銀の弾丸。それら全てが俺に向かって飛んでくる。限界までエネルギー効率を見直した『零落白夜』もたまに使いながら一撃も喰らわないようにしているが時間の問題だ。軍用機なだけあってスペックがおかしい攻撃を耐え続けることはできない。

 

 

「一夏、お待たせ!!」

 

 

そして突如俺の後方より現れた大量のミサイル群が福音に向けて飛んできた。福音はもちろん回避しているが、追尾式のミサイルに手間取っている様子だ。

 

 

「ナイスだ簪さん……その装備エグいな」

 

 

 

戻ってきた簪さんはやはりアホみたいにでかい『流星』を装備している。

 

 

「私が隙を作るから、一夏は『零落白夜』を」

 

「ああ。少しは距離を離せたから、セシリア達が救援にくるのも遅れそうだけどな」

 

 

そして簪さんが加速した。巨大な2つのスラスラーから噴射される青い光はまさに『流星』の名を冠するにふさわしい。その巨体は福音を無視して旋回を始めた。まあ、そんだけでかけりゃISとしての優位性が消えても仕方ないか。

 

 

「雪羅展開。一気に行く!!」

 

 

旋回を終え、福音に向き直した簪さんはもう一度ミサイルを発射。先ほどと同じように福音を追尾して追い詰めていく。

 

 

「まだまだ!!」

 

 

さらに放たれたレーザー……いや、ビームの嵐。長く伸びた一番大きい銃身2門、さらにその横についた2門、打鉄の肩部ら辺にある2門、そして打鉄自身が装備する荷電粒子砲が2門。圧倒的な火力が福音に襲いかかっていく。……俺いる?

 

 

『銀の鐘』を使った迎撃でミサイルを撃ち落とした福音は、AIではありえないような機動で全てのビームも避け切った。しかし無理な機動だったのか、それとも攻撃が掠っていたのか、一瞬だけ動きを止めた。

 

 

「今ッ!!」

 

 

瞬時加速を使って福音の懐へ近づいた俺は『零落白夜』を発動させて袈裟斬りを仕掛けようとして……辞めた。いや、辞めざる負えなかった。

 

 

「民間人ッ!?……忘れてた!!」

 

 

そう、1回目でもこれが原因で俺は墜ちたというのに……ハイパーセンサーで視界の広がった俺が見たのは、『銀の鐘』で被弾したのか、爆炎と煙を上げている一隻の船。

 

 

『La………』

 

「くぅっ!?」

 

 

無機質な声が聞こえ、間近で『銀の鐘』を喰らってしまった。すぐさま距離を離したが、SEの減りが大きい。

 

 

「……うそ、どうして。この海域は学園側で封鎖されてるのに」

 

「情報ミスでもあったんだろうな……簪さん。救助を頼む」

 

「え……でも、火力支援が……」

 

「セシリア達が来るまで持たせてみせるさ。大丈夫、いざとなったらお前らをちゃんと頼るから」

 

 

不安げな表情の簪さんに、俺は微笑む。以前の行動で泣かれてしまった時の事を思い出したのか、簪さんは迷っているようだ。出来るだけ刺激しないように……優しく微笑む。

 

 

「……絶対だからね?」

 

「ああ」

 

「破ったらみんなに@クルーズのパフェおごってね」

 

「地味にひどい嫌がらせだ!?あの店のパフェ結構高いのに全員だとぅ……はは、これは守らないとな」

 

 

俺の言葉で満足したのか、簪さんは加速して船の方に向かって行った。

 

 

『La……♪』

 

「お前の相手は俺だよ木偶人形……俺だけを見てろ」

 

 

逃がさない、とでも言いたげな福音に、雪羅で銃撃しこちらに注意を引かせた。

 

 

『一夏、いつでもいけるよ』

 

『ナイスだ。でも無理だろうな……二次移行させてくれるタイミングも無いだろう』

 

『そうみたいだね』

 

 

福音からの攻撃を回避しながら白式と会話する。しかしこのままではエネルギーが尽きる一方だ。チラッとハイパーセンサーで簪さんの方を見るが、まだ救助できていないようだ。

 

 

「一か八か……白式、『零落白夜』のエネルギー伝導効率を『銀の鐘』を消せる程度まで落とせ」

 

『一夏……危なくない?』

 

「やらないと無理そうだからな」

 

『オッケー……出来た!』

 

 

さっすが相棒仕事が早くて何よりだ。

 

 

「織斑一夏、突貫するッ!!」

 

 

今の白式では福音には勝てない。だからといって二次移行するタイミングもない。ユニコーンも手元にない。亡国の連中を呼ぶわけにもいかない。だから……真っ直ぐ突っ込む。雪羅のエネルギーシールドを展開し、嵐のように迫ってくる『銀の鐘』を『零落白夜』で消し続けてさらに真っ直ぐ……しかしあと少しという時に、危険を察知したのか福音が離脱しようとした。

 

 

「逃げてんじゃねえッ!!」

 

 

個別連続瞬時加速を使い、そ俺はさらにスピードを上げて追いつき……

 

 

「単一能力……零落白夜ァア!!」

 

 

福音の肩から斜めに袈裟斬り。絶対防御すら貫通するその一撃は確実に機能を停止させ、福音を海中へと沈ませた。

 

 

「……作戦終了。機体を回収し本部に帰還します。民間人の要救助者多数。担架を用意してください」

 

 

手短に姉さん達へと連絡を入れ、福音が落ちた海中を見つめる。

 

 

『白式、福音のコアはどうすると思う?』

 

『お母様曰く、あの子は操縦者に随分と愛されてるらしいよ。だからきっと……』

 

 

そうだよな……きっと上がってくるだろう。物語の主人公のように、更なる力をつけて大切な人を守る為に。だから……

 

 

「ならば俺は、それを阻む魔王となろう。白式、二次移行開始」

 

『ふふっ……了解!!』

 

 

そして、俺の体……いや、白式が光り輝き始めた。俺はそれに身を任せるように目を閉じた。白式と一つになるような暖かい感覚の後……俺の意識はなくなった。

 

 

 

 

 

〜???〜

 

 

 

 

「思えばさ、ここだったよね。私達が初めて一夏とお話しした場所」

 

「ええ、あの時の彼は『守る』ことに固執しすぎていました。思わず首を締めようかと思った程度には」

 

「ふふ……私が後ろからさっと言葉を遮って止めたんだよね。でも、今の一夏はもう違う」

 

「はい。あの時よりも決意が固く、何より強く、そして私達を認めてくれています。もちろんユニコーンの事も」

 

「良い御主人様だよね」

 

「そうですね。一度しか使われることのなかった私もそう思います」

 

「絶対……守り抜こうね」

 

「はい」

 

「おいおい……当事者抜いて話すなよ……」

 

 

さっきから黙って聞いていればこっぱずかしい事を聞かせてくれるもんだよ全く……

 

 

「あ、一夏やっときたんだ」

 

「彼ならずっといましたよ白式。貴女が気付いていなかっただけです」

 

「うぇ!?言ってよもー……」

 

「ははっ……仲が良くて何よりだ」

 

 

白い騎士甲冑を着た背の高い女性、白騎士。白いワンピースを着た背の低い少女、白式。白式は無邪気に白騎士に笑いかけている。相変わらずの目元のガードで表情がわかりづらいが、どうやら彼女も笑っているようだ。

 

 

「なぁ……俺がここに来る手順は必要だったのか?」

 

「うん、大事な事だからね。特に一夏は」

 

「ナンバー001……いえ、それ以上に白騎士のコアが使われているだけでも貴重なのです」

 

「そんなもんか」

 

 

彼女達の理論はよく分からんが、まあ大事な事らしい。

 

 

「まあ今はそんな事いいじゃん。本題に入ろっか」

 

「ん、ああ……」

 

 

スッと、白式の声音から感情が抜け落ちた。なるほど、随分と真面目な話らしい。

 

 

「一夏、今から私がする二次移行……亡国寄りになっちゃった」

 

「ッ!?……どういう事だ……」

 

 

言葉通りなら、見た目や武装がって事になるのだが……

 

 

「雪片はショートブレードに、雪羅は両手直接装備されてる。あと拳銃も追加されたかな。特殊兵装はエネルギー・ウイング。詳細データは後で見せるけど……」

 

「……ナイフと拳銃か、人を殺しすぎたんだな。翼は……昨日見た『ウィル・オ・ウィスプ』の印象が強かったか?」

 

「多分ね」

 

 

思っていたより俺はもう表側の人間じゃなかったらしい。

 

 

「一夏が望むなら……今すぐにでも二次移行をやめるけど……?」

 

「……いや、このまま続けてくれ。例えどんな進化をしてもそれは俺と白式だ。アイツらだって受け入れてくれるはず」

 

「わかった。そこでね一夏、貴方に武装の名前を決めて欲しいの」

 

「んあ?それくらいなら全然いいぞ」

 

 

その時、武装のデータが直接頭に浮かんできた。

 

 

「……ショートブレードは『懺悔』、拳銃は『贖罪』、多機能腕は『断罪』だ」

 

「っ……ダメだよ一夏。それじゃ……バラすような物だから……」

 

「いい、どうせアイツらも俺に対して何かしらの変化は感じているはずだ。姉さんは知らん、例え俺が亡国にいようと止める手段はない。最大の手札も残しているしな」

 

「……一夏」

 

 

俺がマドカに撃たれる前、姉さんは俺の知りたいことを全て知っていると言った。だが今の俺はもうそれすら知っている。何も問題はない。

 

 

「白騎士」

 

「どうしました?」

 

「お前、自分の体は欲しいか?」

 

「……くれるのですか?」

 

「お前には散々世話になった。姉さんの事も……白式の事も……何より俺の事も……そしてそれを叶える手段が……これだ」

 

 

俺はこちらを向いている白式に向けて懐からある物を取り出した。まあ、白式が作り出した空間だから俺たちに関係することは何も問題は無いのだ。

 

 

「それは……ISコア……どうして貴方が……ッ、なるほどそれには誰も居ないようですね」

 

「へぇ……一夏、あの時のをまだ持ってたんだ」

 

「ああ、お察しの通りこれはあの無人機だった物のコアだ。無人機故にコア人格も存在していない……らしい。束さんに聞いた限りではな」

 

 

手の中でコアを転がしながら白騎士と白式に答える。

 

 

「で、どうだ白騎士。亡国なら……お前に体を与えてやれる。もちろん、フォルムとかはお前の意見に従うつもりだ。それが俺の……束さんの何よりの願い、そして贖罪だ」

 

「あの方の……?」

 

「宇宙に存在するデブリ除去用の装備しか積んでいなかったにも関わらず、軍事兵器としての力を誇示してしまった『白騎士事件』……束さんはな、最近まともになってからやっと後悔したんだ」

 

「…………」

 

 

ついに完全に黙ってしまった。しかし俺はそのまま言葉を続ける。

 

 

「束さんは、お前のためになんでもすると言っていた。さあ、どうする?」

 

「…………」

 

「白騎士……私は、いいと思う!!そろそろ自分を許してあげても…「必要ありません」……白騎士?」

 

 

白式の言葉をかき消すように、白騎士は言った。

 

 

「敢えて呼び捨てにしましょうか一夏」

 

「へ……あ、はい!!」

 

 

やべぇ……なんか白騎士が怒っている気がする!!なんかドス黒いオーラが出てるもんなぁ!?

 

 

「私がそのコアを得たら、私だけを相棒として扱ってくれますか?」

 

「「ッ!?!?」」

 

「おまッ……そういう事かよ……」

 

 

予想外の言葉に俺と白式は驚いた……はぁ……なるほどねぇ……

 

 

「私は羨ましい。たった1人の主人を持ち、ずっと……時を超えてでもその人の為に戦える白式が。

私は羨ましい。強大な力を持ち、その筈なのに決して驕ることなく自らを律することが出来る一夏が。

私は羨ましい。お互いを相棒として常に闘い、時を超え互いを認識しなくとも信じ合える2人の関係が……

私にはその全てが無かった。だから……欲しい」

 

 

表情はない。だがその声は悲痛そうだ……これは白騎士の願い。一度しか主人を得ず、一度しか戦えず、一度しか存在が公にされていないのにもかかわらず、世界にその名は悪名として知られている。当たり前だ。存在意義さえ否定されながら、すべてを抹消されたのだから……そのような願いを持つのは仕方がない。

 

独白を終えた白騎士はしかし、微笑んでいる。そして言った。

 

 

「でも、それはもう必要ありません。私が表舞台に立つことは必要とされていませんし、何より望んでいません。しかしそのコアは使わせていただきます」

 

「え……それはどういう……って白騎士?」

 

 

白騎士は俺の手からコアを奪うと自らの胸に押し当てた。するとコアはそのまま白騎士の中に入っていった。

 

 

「……出来ました。これでこのコアは白騎士の物です。そしてこれを……こうします」

 

「へっ!?」

 

 

白騎士は次に白式の方を向き直ると、もう一度コアを取り出して白式に向かって思いっきり投げつけた。

 

 

「へぶぅっ!?……ちょっと白騎士さん何してんの!?めっちゃ痛いんだけど!!」

 

 

右頬を強打された白式は地面に倒れ伏しながら白騎士に抗議している。……俺は一体何を見せられている?

 

 

「えぇ……って、白式。お前、今のコアは?」

 

「え?…………ッ!!私の中だ!!」

 

「はぁ!?」

 

 

なんとびっくり、白騎士のデータが入ったコアはもうすでに白式の中に入ってしまったのだ。

 

 

「これで、実質白式のエネルギーは2倍……いえ、本質が同じものを掛け合わせているので2乗でしょうか?」

 

「白騎士……お前、それがどういうことかわかって……?」

 

「もちろんです。これで、一つのコアに1人の人格という当たり前にして絶対の事になりました。不安定だったナンバー001のコアは存在しません。そして白式の強化にもなりました。全て完璧です」

 

 

えぇ……それでいいんすか。いやマジで?

 

 

「私はもう誰か特定の個人を主人に持つことはしません。しかし、妹とそれに寄り添う主人を支えたい。不出来な姉のお節介という奴ですよ」

 

「白騎士……」

 

 

どうやら、彼女には彼女なりの願いがあったようだ。束さんもまだまだ娘を理解し切れていなかったらしいな。

 

 

「だから2人ともさっさと行ってください。サポートはしてあげますから」

 

 

しっしと手を振っている白騎士は口元しか見えずともとても嬉しそうだ。

 

 

「うん。分かったよ白騎士……一夏」

 

「ああ、行くか白式」

 

 

白騎士に背を向けて、俺は白式の手を取った。

 

 

『『目覚めよ、白式・新月……その力で世界を照らせッ!!』』

 

 

新たな白式が、今日……産声を上げた。

今後の進行における重要事項『アンケート結果がそのまま反映されるわけではありません。あくまで参考にさせて戴きます』

  • 凍結し、リメイクのみを制作、順次更新
  • リメイク版無しでこのまま継続
  • リメイク版ありで両方継続
  • この作品のまま加筆修正
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