あの日の戦友たちは今敵となる   作:ゼノアplus+

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勝利の余韻に現を抜かし……

54話

 

 

 

「ごめんな箒……後でとっておきの誕生日プレゼントをやるから許してくれ。ふぅ……白式、全ての人間がドン引きするような蹂躙劇を始めよう」

 

 

俺は箒の後ろ姿を見送り、改めて福音に向き直った。

 

今の俺の姿を説明すると、元の白式の装甲を極限まで薄くし余った装甲を全て8枚あるエネルギー・ウイングを維持するために使っている。そのため絶対防御が発動する箇所……被弾面積が圧倒的に大きい。しかし、全ての翼を自由自在に扱える俺にとっては攻撃を避けることは容易い。二次移行したことで機体性能も大きく向上したし、何よりも大きかったのが……

 

 

『ふふ……私のおかげでしょうね』

 

 

そう……白騎士だ。束さんのゴーレムのコアのコア人格として再誕を果たした白騎士は白式のコアと融合することで白式の出力を大幅……いや、最高に引き上げてくれた。彼女自身がもう一度ISとして誰かを主人に持つことを捨ててな。

 

 

「そうだな。本当に感謝しているよ白騎士。お礼に姉さんでもぶん殴っとこうか?」

 

『いえ…彼女は悪くないので別にいいです』

 

『あっはは……なんか、私達の在り方は変わっちゃったのにいつも通りだね』

 

「ユニコーンも早く直ればいつも通りだな」

 

 

まあ、いないのは仕方がない。俺が無茶な使い方したのが悪いんだしな。……さてと、

 

 

「随分とアイツらを痛めつけてくれたじゃねえか」

 

 

瞬きして『越界の瞳』を発動させながら俺は福音に問いかけた。しかし福音は先程撃墜させられたことを福音自身が覚えているのか警戒して動かない。

 

 

「お前には色々と聞くことがあるから少しは手加減してやるが……無事でいられるとは思うなよ?」

 

 

刹那、福音の前から俺が消えた。いや、新たに発現した単一能力を使っているだけだ。

 

 

『La…!?』

 

 

すぐに福音がハイパーセンサーを用いて白式を捜索するが360度、全く見つからない。

 

 

「お前程度に見つかるわけがないだろう?」

 

 

福音がその声を聞き、振り向いたときにはもう俺の姿はない。

 

 

「お前に一撃も与えない理由が分かるか?ISだって人格があるんだ。ちゃんと自分で考えろ」

 

 

福音の周りをひたすらに飛び回り彼女の警戒心を煽る。

 

 

『La……ッ!!』

 

「なるほど、そう来るか。妥当だな」

 

 

己の周囲にいる事を理解したのか全方位に『銀の鐘』で範囲攻撃をしてきた。もちろんそんなものは意味を為さない。

 

 

「まずは左足だ」

 

 

俺は左手に持っている拳銃で福音の左足の一部を射撃。

その一撃は()()()パーツの継ぎ目をえぐり取り、装甲が剥がれ海へと落ちた。

 

 

『La!?』

 

 

それに驚いたのか攻撃の手を止めてしまった福音は、脅威レベルを最大限に上げたのか離脱を図ろうとした。

 

 

「ははっ、逃げるなよ。悲しいじゃないか」

 

 

最大限のブーストを付加して爆発的な加速を生んだ福音だが、俺も4対合計8枚のエネルギー・ウイングにエネルギーを集中させ福音よりも早いスピードで正面に回り込んだ。

 

 

「次は右足を……っと」

 

 

また拳銃を構えた俺に詰め寄り、福音は俺の両腕を押さえつけた。これでは『懺悔』も『贖罪』も使えないな……

 

 

『La!!』

 

 

そして絶対に離さないとでも言いたげな福音はまたもや『銀の鐘』を稼働させ……

 

 

「残念だったな」

 

 

俺は翼を通して全身に『零落白夜』纏わせた。それによって俺に触れている福音の手からバチバチと音が鳴ってエネルギーを削り始めた。

 

 

『La……』

 

 

仕方無しとばかりに福音は距離を取ってから連射を始めた。

 

 

「効かん」

 

 

俺は人差し指を福音に向けて、『断罪』も機能の一つである荷電粒子砲を発射させた。ばらまかれた銀の弾丸を貫きながら福音の左のウイング・スラスターを破壊した。

 

 

「どうした福音。お前が守りたい物は次々と露わになってるぞ」

 

 

零落白夜を使わないブレードや拳銃による一方的な攻撃は全て福音の装甲を削り取っていく。時折格闘戦を交えてくる福音だがそれらの全てを確実に躱しながら俺は攻め続けた。

 

 

「福音、お前にだって叶えたい願いがあるだろう。だが、今の俺はお前の全てを否定する。私怨混じりなのは申し訳ないが、後で直してやるよ」

 

 

ボロボロになっている福音を見据えながら俺は零落白夜まで用いて大きく4対の翼を広げた。

 

 

「単一能力『月華乱舞』……恐らく今日は良い月が出るだろう。まだ昼だがなッ!!」

 

 

俺が宣言すると同時に、エネルギーの奔流が辺りに吹き荒れる。一つのISコアが内包するには過剰な量のエネルギーを敢えて零落白夜として撒き散らしているからだ。実弾兵装がない福音の抵抗手段を確実に潰すためだ。

 

 

「ひとまずさよならだ。主人を守る為に奔放する幼子よ」

 

 

俺は『懺悔』の装甲を展開させ零落白夜をさらに過剰に纏わせる事でその刀身を肥大化させ……振り下ろした。

 

 

『Laッッッッッ!?!?!?!?』

 

 

体を丸め残った翼で全体を覆って操縦者を守る福音は、自らを犠牲にしてでも主人を守りたいという意思で溢れていて……そのまま白いエネルギーに呑まれて行った。

 

 

 

 

 

〜篠ノ之箒〜

 

 

 

圧巻、私が見た光景を一言で表すならその一言だった。鈴を小島に下ろした後、ISのダメージだけで済んでいたセシリアとシャルロットと合流した私は、海に落ちたラウラを回収して戻ってきた。気絶していた簪はいつのまにか目が覚めていて無事だった本体の打鉄を操作してこちらにきていた。

 

 

「い……ちか……?」

 

「鈴、目が覚めたみたいだね」

 

 

どうやら鈴の目も覚めたらしい。一応全員の無事が確認された事で安堵した私達は、今まさに福音を打ち倒した一夏を眺めていた。

 

 

「天使のようですわね……」

 

 

セシリアが呟く。的を得ていると思った。白く光るエネルギーの中心で4対の翼を大きく広げる一夏は、確かにテレビやアニメでイメージされる天使みたいだ。

 

 

「ははっ……確かに私が足手纏いと言われるわけだ。桁違いではないか」

 

 

あの時の一夏の表情が浮かんでくる。

私を見ているようで見ていない、どこを見ているのかわからないその瞳。

触る物全てを切り刻んてしまいそうなほどの鋭利な殺気。

 

あれは本当に私達が知る一夏だったのだろうか。たったほんの少し見ないだけであれほどの変化が起きるだろうか。

 

そんな疑問が私の中で渦巻くが、他のみんなは一夏の勝利に笑みを浮かべている。……そうだな、ひとまずミッションは終了したんだ。何はともあれ、一夏の勝利を祝おう。

 

 

「よう、無事かお前ら?」

 

 

零落白夜を解除したであろう一夏が、その両腕に福音のパイロットらしき女性をお姫様抱っこで抱えている。む……やはり一夏は年上の方が好みなのだろうか?コンプレックスでしかない私の()()も最近は女性の魅力として自信を持っていたのだが……

 

 

「ああ……私は少し海水を飲んだくらいだ。死ぬほど不味い」

 

「あはは、後でちゃんと口を濯がないとね。ラウラ」

 

「わたくしとシャルロットさんは機体の損傷が激しいくらいで済みましたわ」

 

「私も大丈夫よ。過度の集中で気絶しちゃっただけだし」

 

「私も問題ない。それほどダメージも喰らっていないのでな」

 

「私は……少し体が痛いかも」

 

 

私達は降りてきた一夏の元へと駆け寄った。私は簪に肩を貸しながらだ。どうやら一夏の雰囲気はいつも通りに戻ったらしい。本当に良かった。

 

 

「簪さん、少し見せてくれるか…………少し痣になってるが重症じゃないな。どういう状況だったのか見てないからわからんけど、『流星』が半壊してた辺りだいぶ無茶しただろ?」

 

「うぐっ……それは……」

 

「たくっ……仕方ない状況だったとしても、もっと自分の体を大切にしなさい」

 

 

そう言って一夏は簪の頭をポンポンし始めた。な、なんとふしだらな……羨まし……くなんてないぞ!?本当だからな!?

 

んん……すまない、取り乱してしまったようだ。他の全員も鋭い視線を送っている。珍しく鈴もだ。

 

 

「ん?……ああ、もちろんお前らもだぞ」

 

「2番目だとついで感が凄いわよ一夏。頑張った私達をもっと褒めなさいよ」

 

「そう言われると褒めたくなくなるな……うん、みんなよく頑張ったな。ありがとう、お前らのおかげで福音を倒せた」

 

 

一夏が笑顔で礼を言ってきた。好きな人の笑顔とはどうしてこう眩しいのだろうか……

 

 

「……あ、それともう一つ。ちょっとこの人を預かっててくれ。セシリア、シャルロット、ラウラ、頼む」

 

「え、ああうん」

 

 

3人が福音のパイロットを受け取ると、私の方を向いてきた。どうしたのだろうか?

 

 

「これ、お前への誕生日プレゼントだ。戦闘の衝撃でちょっと傷がついたんだけどな……」

 

「これは……ミサンガ?」

 

 

一夏が私に手渡してきたのは、赤と白の糸が使われたミサンガだ。可愛い……

 

 

「お前に似合うと思ってな。誕生日プレゼントにしてはちゃっちいかな〜って思ったんだけど……どうだ?」

 

 

少し照れ臭そうに笑う一夏……そんなわけないだろう。

 

 

「ありがとう一夏。ずっと大切にする」

 

「ん……気に入ってくれたようで何よりだ……ってうわ!?」

 

「どうしたのだ一夏……って、あっ」

 

「「「「「あっ……」」」」」

 

 

私が手首で結んだ瞬間、ミサンガは切れてしまった……せっかく一夏から貰ったばかりだというのに!?

 

 

「ねぇ箒、何か願い事でもあった?しかも最近叶った事で」

 

「シャルロット?……ふむ、ああ、あったな」

 

 

姉さんとちゃんと話せたし、今の姉さんとならちゃんと家族に……ッ!!

 

 

「ふふ、ちゃんと叶って良かったね箒」

 

「付けた瞬間に切れるミサンガって……一夏アンタ……」

 

「俺かよ!?箒……後日また新しいのを……」

 

「いや、これで良い……これが良いんだ」

 

 

私と姉さんを引き合わせてくれたのは、案外一夏かもしれないな。考えすぎか?ううん、そんなことはないだろう……

 

 

「んんッ!!誰か、作戦本部に連絡しているのか?」

 

 

ラウラがわざとらしく咳払いをした……今いい雰囲気だったのに……ラウラめ……

 

しかし、今の優先順位はそれが上だから仕方ない。

 

 

「あ、私がしとくわ」

 

「んじゃあ、帰るか……って言いたいところだが、先に帰っておいてくれ。俺は『流星』の残骸を回収できるだけ回収しとくから」

 

「私も手伝うよ一夏……私の装備だし……」

 

「簪さんは民間人の方に行ってくれ。きっと不安だろうからな。ラウラ、ISは?」

 

 

テキパキと一夏がみんなに指示を出している。こんなに逞しかったか?だが……カッコいいな一夏……はっ!?今はそんな状況ではないというのに……わ、私はなんという……

 

 

「じゃあ箒は……って、箒?」

 

「ひぁい!?」

 

「ははっ、なにビックリしてんだよ。箒はこの人を頼む」

 

「……ああ、分かった」

 

 

一夏の前で変な声を出してしまった……

 

 

「よし、じゃあ各自行動を開始してく……ッ!!クソッ!?」

 

「……一夏?」

 

 

一夏が急に何かに焦り始めた。なんだろうか……と思っていた私達だが、次の瞬間視界が赤い閃光で染まった。

 

 

「やらせるかァァァァアアアア!!!!」

 

「「「「「「一夏(さん)!!」」」」」」

 

 

思わず目を瞑ってしまったが目を開ければそこには、白式を展開して全力でシールドを張っている一夏の姿があった。

 

 

「お前ら今すぐ逃げろッ!!あれは……あれだけはどうにもならねぇ!!」

 

「え……でも…」

 

「いいから早く!!死にてぇのか!!とっとと旅館に戻って現場を報告してこい。どぅぉらぁ!!」

 

「「「「「「ッ……了解!!」」」」」」

 

 

一夏の必死な叫びで、私達はすぐに離脱した。ISが展開できないセシリアとシャルロット、それ福音のパイロットを抱えながら……

 

なにが……なにが起こっているというのだ……もう福音は倒したではないか!!私達には……逃げることしかできないのか……?

 

 

 

 






「うーむ……足りないな」

「織斑一夏の実力が……ということでしょうか?我々によって機体性能を強化した福音をたやすく撃破したのなら及第点では?」

「そこは問題では無い……いや、問題といえば問題だが……ううむ……」

「珍しいですね。貴方がそこまで頭を抱えるのも」

「茶化すな……仕方ない。私が少し揉んでやるとしよう。もしかしたら死ぬがな」

「お戯れも程々になさってください……事後処理は誰がやると思っているのですか?」

「君だが?」

「……あの2人に、貴方に虐められてるって言付けますよ」

「ククッ、それは勘弁して欲しいな。どの道私が酷い目に遭うのが分かっているのに追撃する気か?戦闘後よりも帰還後の方がダメージが多そうだ」

「はぁ……行くなら早く行ってくださいな。あの子達、帰ってしまいますよ」

「おっと……それは急がねば。さて……久々の戦闘だ。滾るなぁ我が相棒?」

今後の進行における重要事項『アンケート結果がそのまま反映されるわけではありません。あくまで参考にさせて戴きます』

  • 凍結し、リメイクのみを制作、順次更新
  • リメイク版無しでこのまま継続
  • リメイク版ありで両方継続
  • この作品のまま加筆修正
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