仮面ライダーハッカー   作:六界の魔術師

1 / 40
第1章 The Curtain Went Up(そして、幕は上がった)
DISK1 真夜中と侵入者


 

-カタカタカタカタ、カタカタカタカタ-

 

草木も眠る丑三つ時。

 

-カタカタカタカタ、カタカタカタカタ-

 

誰もが身体を休め、夢の世界に旅立っている時刻にも関わらず、休まずに巡回する警備員がいる、ある建物の一室。

 

-カタカタカタカタ、カタカタカタカタ-

 

その部屋には、何か重要な物が保管されているのか、鍵穴の無い重厚な鉄の箱を中心に、周りには幾重にも赤外線が張り巡らされ、床には電流が流されるという、非常に厳重に警護されていた。

 

-カタカタカタカタ、カタカタカタカタ-

その部屋の片隅で、青年をノートパソコンのキーボードを黙々と素早く打ち込んでいた。

 

彼の打ち込むノートパソコンからはケーブルが伸び、近くのパソコンの端末に繋がっており、彼のノートパソコンの画面には、数字や文字の羅列が並んでは別のウィンドウが開き、また並んでは別のウィンドウが開き、を繰り返していた。

しばらくして、

「……ふぅ~、できた~。」

そう言いながら彼は、ぐぐっと身体を伸ばす。

「ん~~~、ふぅ~、良し。

あとは、こ~れ~で~、終わり♪っと。」

そう言いながら彼は、最後のボタンを押した。

周りにカタッと、音が短く響いた、その数秒後。

 

-ピピ-

 

という電子音と共に、画面に『ALL GREEN』と浮かぶ。

それとほぼ同時に、鬱陶しいほどに張り巡らされた赤外線と、床を走っていた電流が解除され、青年はそれを確認すると、ノートパソコンを閉じ、ゆっくりと鉄の箱に近づいていく。

彼があと数センチまで近くと

 

-プシュー-

 

という音と共に箱が4つに割れ、中に保管されていた物が姿を現した。

中には一枚のディスクが入っており、青年はそれを持ち上げると、満足そうに笑みを浮かべながら頷いた。

「良し。

いただく物はいただいたし、とっととずらかると…。」

そう言いながらディスクを、横にかけてあるディスクケースに入れた瞬間。

 

-ヴゥーー、ヴゥ――ヴゥ――-

 

いきなり建物全体に響き渡るほどの大音量で、警戒音が鳴り響いた。

「……あ゛~、解除されちまったか。

やれやれ、面倒なことになったかな?

うーん、わりとえげつねえのを送ったんだけどな~。」

そう言いながら彼は、四隅にある四つの監視カメラの内一つに目を向けた。

 

 

 

青年が箱を開ける少し前、

 

-カタカタカタカタ、カタカタカタカタ-

 

同じ建物の別の一室、管理室で一騒動起きていた。

 

-カタカタカタカタカタン-

 

「状況はどうなっている!」

「警報器のシステムはあと少しで解放できそうです!」

「開閉システムの方は!」

「申し訳ございません、まだもう少しかかりそうです!」

「く、おのれ~~!!」

男は苦虫を噛み潰した様な表情をしながら、目の前の大画面を見つめる。

本来ならそこに監視カメラの映像が映っているのだが、今は『残念賞!』と言いながらアッカンベーをする顔文字が映っていた。

「えぇい!とにかく、さっさと解除するのだ!急げ!」

怒鳴り声をあげる男横で、その部下達は急ピッチで作業を続ける。

彼らが相手しているのは、とても強力なウイルスではあったが、彼らとて様々企業から引き抜かれてきた精鋭であった。

なので、暫くすると

「ウイルスに侵された管理システムの80%奪還しました。」

「警報器復旧しました!

警報器を鳴らします!」

-ヴゥ――、ヴゥ――、ヴゥ――-

 

と、次々とウイルスを駆逐し、コントロールを取り戻していく。

「監視カメラのコントロールを取り戻しました!

画面映します!」

そう言いながら部下がボタンを操作すると、さっきまでの画像は消え、開放された箱と、一人の青年が映しだされた。

「な!…っ、通信システムはまだ復旧せんのか!」

「通信システム、ほぼ復旧完了しました。

警備班と通信繋ぎます!」

そう言いながらボタンを押すと、ピッ、と音と共に通信が接続される。

「警備班!今どういう状態だ!」

「こちら警備班、只今機密室の前で、突入準備中です。

あと1、2分で突入できます!」

「良し!中の奴は絶対に逃がすな!

逃がしたら我々の命は無いと思え!」

「っ!はっ!!

おい!準備を急げ!」

警備隊の慌ただしい声を聞きながら、男は再び画像に目を移した。

「……奴はなにをやっているのだ?」

男の視線の先で、青年は左腕からプラグを4本垂れ流していた。

そして、無造作に左腕を振ると、まるで意志があるかの様に、四隅の監視カメラに向かって四つのプラグがそれぞれ飛んでいき、監視カメラと接続した。

突き刺さったのではない、比喩的表現でもない、文字通り監視カメラのシステムと直接接続されたのだ。

『なっ!?』

これには管理室の面々も驚きのあまり絶句する。

それを知ってか、知らずか、青年は軽く笑みを浮かべながら、流れる様に左腕に着いている装置を操作すると、

 

-プツン-

 

という音と共に画面が切れる。

「なにが起きた!?」

「またウイルスです。

どうやら画像を送れなくしたようです。

とはいえ、この程度なら直ぐに直せます!」そう言いながら部下達は素早く復旧作業に入る。

「こちら警備班、管理室応答願います!」

「どうした!」

「こちら突入準備完了しました!

いつでも行けます!」

「扉の開閉システムも今解除完了しました!」

「良し!

突入しろ!!

必ず捕まえるんだ!!」

その言葉と共に扉が開き、警備班が突入する。

「監視カメラのシステムも取り戻しました!

画面映します!」

その言葉に頷きながら、男は画面に再び目を移した。

そこには、先に突入した警備班に銃を突きつけられた青年が映っていた。

 

 

 

 

 

そう思っていたのだが、

「…なん…だと!?」

「繰り返します、目標ロスト。

部屋の中には誰もいません!」

「そんな馬鹿!!

本当にどこにも居ないのか!?」

「……残念ながら、影も形も。」

警備班の言葉に男は顔を青くしながら、椅子に座り込む。

画面には青年を探す警備班と、空の鉄の箱だけが映っていた。

 




そんな訳で、初ライダー小説でした。
バトルも怪人もライダー出てこない話でしたが、必要な話ではあった(と思う)ので、お付き合いください。
ちなみに、次の話も、ライダーも怪人もバトルも無しです。
ですが、必要な話なので、どうかお付き合いください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。