仮面ライダーハッカー   作:六界の魔術師

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第3章 Wolves of the feast(狼達の宴)
DISK20 喧嘩と仲直り


「ふぅ~。

さて、これからどうする。」

 

ーなでなでー

 

「まあ、移動するべきだろうな。

今の音で人が来る可能性が高いしな。」

変身を解きながら問う神無月の言葉に、生助も人狼から人の姿に戻りながらはそう答え、

 

ーもふもふー

 

「まあ、だよな~。」

俺はそう言いながら、犬を撫で続けていた。

 

ーさわさわー

 

「……。」

 

ーなでなでー

 

「……。」

 

ーもふもふー

 

『………………。』

 

ーくしくしー

 

『お前(君)はいつまでやってんだ!!』

「ほえ?」

先ほどからずっと犬達を撫で続けている俺に、二人は同時に声を荒げるが、俺は犬を撫でる手を止めずにいた。

何故ならば、

「あ~、あと1匹だから、ちょっとだけ待ってくれないか?」

『はぁ!?』

「いやだって、そいつだけやらなかったら可哀想だろ?

それに助けてもらったのに、なにもお返ししないのは嫌だし、俺の信念にも反する。」

「言っていることはわかるけど、お前は状況がわかっているのか!?」

「そんなのわかっているよ。

5分もかからないから、少し待ってくれ。

…よし、最後の子は~……、あ、いたいた、おいでおいで。」

そう言って手招きする俺だったが、犬は照れているのか、もじもじしながらなかなか近付こうとしない。

むう、仕方ない。

時間がないし、久しぶりにやるか。

「……ふぅ、では。

わん、わんわんわんわわん。わふくぅ~、わわわん。」

俺が声かけながら手招きを続けると、もじついていた犬は意を決した様に近づいていき、俺の手の中に収まった。

うむ、素直が一番だ。

「よしよし、良い「いやいや、ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁ!!!???」……なんだよ、ビックリしたな~。」

「君は今、なにをしたんだ!?」

「なにって、呼んだだけだぞ?」

なに変なことを言ってんだ?

こいつは?

「僕をおかしな奴と思っている様だが、どう考えたっておかしいのは君だろうが!!

なんで普通に犬と喋っているんだ!」

「なんでって、小さい頃からぷー助と話してかけていたら、自然とできる様になっていたけど?」

「そんな馬鹿な話がある「んだよ、実は。」……え?」

「お前の言いたいことは良くわかるよ。

俺も同じ気持ちだったからな。

だが俺は、ぷー助とこいつが意思の疎通をしているところを、何度か見ている。」

「う、嘘だろ?」

「むしろそっちの方がこちらも助かるのだが、非常に残念ながら本当だ。」

そう言いながらと、生助はとても深いため息を吐いた。

……なんでだ?

そう思いながらも俺は撫で続けると、何匹が服を噛んでクイクイっと引っ張っていた。

「ん?お前達はもうやってあげただろ?

時間もないし、もう終わりだ。」

そう言われた犬達は離れていくが、一匹だけいやいやと、首を振りながら離れずに噛み続けていた。

「お前もだ。

ほら、我が儘を言わないで。

いい子だから。」

そう言いながら見続けると、噛むのを止めて俺から離れると、しょんぼりと頭を垂れてしまった。

「……そいつもやってあげたら良いんじゃないか?

今更一匹ぐらい変わらんだろ?」

「悪いが、そういうわけにはいかないよ。

俺のせいで遅くなっているのに、これ以上待たせるわけにはいかない。

なにより、こいつをやり始めたら、絶対に周りの子も自分も!となるのは目に見えているしな。」

「……なるほど、確かにな。」

そう言いながら生助は周りを見渡していた。

恐らく彼には、ジーっと期待の眼差しを俺に向ける犬達が見えたことだろう。

「……はい、終わりだ。

みんな、力を貸してくれてありがとな。

本当に助かったよ。」

そう言いながら立ち上がると、みんながしっぽを振りながら見上げる中、あからさまにしゅんっと頭を垂れている子がいた。

「……なんか可哀想だね。」

「まあね。

でも、ここでやっちゃうと、際限なくやることになるからね。

「それに、寄ってくれた動物と女は平等に愛する、っていうのが俺のモットーなんでな、特別扱いをするわけにはいかないんだよ。」

「へ~、なるほどね。」

「…とか言っているけど、寄ってくるのは動物だけで、女は影すら無いけどな。」

「うるさい!」

「ああ、そういえば君、魔法使いになりたかったんだけ?

なるほど、そう言う信条を持ちつつ、女性を近づけないのは、そのためか。」

「魔法使いっていうのはただの立ち位置の話で、けしてなりたいわけじゃねえ!!

勝手に人の夢を作り替えんな!!

女に至っては、ただお近づきの機会がないだけで、近づけないわけじゃない!!」

「ん?そうだったのか?

てっきり神無月が言うように、そっちを目指していたのかと思っていたが?」

「そんなわけあるか!

あまりふざけていると、いい加減俺も怒るぞ!」

「まあまあ、落ち着きなよ。」

「誰のせいだと思ってんだよ!!」

「…誰って、お前だろ?」

「なんでやねん!!」

そう言いながら大津にツッコミを入れる俺を、神無月は苦笑しながら見ていた。

「……そう言えば二人共、最初と呼び方が変わっているけど、なんでだ?」

「いや、昔は互いにこう呼びあっていたんだよ。

それを大学にに上がった時ぐらいにこいつが、【お互い良い歳なんだから、あだ名で呼ぶのは止めようぜ。】って言ってきたから、止めてただけだよ。」

「へ~、そうなのか?」

「ま、まあな。

やっぱり、そこら辺は大人として変わっていかないといけないしな、うん。」

「……とか言って、本当は後ろめたくなかったからじゃねえのか?」

「ぐっ。」

「後ろめたくなったから?」

「…こいつが組織の命令で俺に近づいてきたのは、多分本当なんだろうな。

でも、付き合っている内に本当に友達と思ってきたんだろ?

だけど、親しくなればなるほど、組織の命令で近づいたことが心苦しくなってきて、少し距離をとる為にそう言ったんだろ?

違うか?」

そう言いながら生助を見ると、あいつはなにも言わずに顔を反らしてしまうが、ブスッとしたその表情から、自分の考えが外れていない確信を持った。

「しかし、それなのに自分から呼んじゃうとか、アホかお前は。」

「うるさい。」

「まあ、おかげで俺もまた呼べる様になったんだけどな。

とはいえ、慣れねえことをやるから、ボロが出るんだよ、馬鹿が。」

「お前に馬鹿とは言われたくない!」

「バーカ、バーカ、バーカ、バーカ、バ~~カ。」

「馬鹿馬鹿言い過ぎだ!

馬鹿野郎!!」

「あ~、馬鹿って言った~。

知っているか?

馬鹿って言った方が馬鹿なんだぜ?」

「お前の方がよっぽど言っていただろうが!!

ふざけなんな!

この大馬鹿野郎ぉぉぉぉぉ!!!」

ゼーハーゼーハーと、息を切らしながら睨んでくる生助に対し、俺と神無月はそれぞれ一つため息を吐いた。

「…子供の喧嘩でもしてるのかい?」

「スマン、腹がたっていたから、ついね。」

「腹がたつ?

なんで?」

「………なあ、しょうちゃん、本当のことを話してくれてれば、俺だってもう少し違う対応をしていたかもしれないんだぞ?

なんでお前の身体のことや、父さん達のことを、正直に話してくれなかったんだ?」

「そんなこと言ったってしょうがないだろうが!

…俺だって、俺だって素直に言えれば、言いたかったさ。

でも、本当のこと言っても普通信じてもらえないだろうし、最悪の場合騙していたのかと言われ、お前との縁を切られる可能もあったんだぞ?

そんなの絶対にいやだった!

それに、仮に信じてもらったとしても、お前まで巻き込むことになる。

そんなことできるわけ「巻き込めよ!!」…っ!」

「お前だって言っただろ?

俺達は友達だろうが!

なんで巻き込まなかった!?

自分で言っておいて、お前自身はやらないのかよ!?」

「馬鹿野郎!

なら巻き込みたくない気持ちもわかんだろうが!」

「そんなこと知るか!!

自分で言ったことに責任を持てよ!!」

お互いに声を荒げながら、言い合いをヒートアップさせていった、その時だった。

「二人共、いい加減にしろ!!」

大声を出しながら、神無月が割って入ってきた。

「今そんな言い争う時間も、喧嘩をする時間もな『うるさい!!』っ!」

「横から入ってくんじゃねえ!」

「黙っていやがれ!」

「いいや、黙らないね!

こんな時に言い争いとか、なに考えているんだ!

そんなことしている暇はないだろ!」

真っ正面から言い返してくる神無月の迫力に押されてか、自分の中の熱が下がっていくのを感じた。

だが、

「っ、横からごちゃごちゃと!

だいたい、お前はいったい何者なんだ!」

「…そうだな、それは俺も気になっていた。

腕の機械といい、ハッキング技術といい、ハッカードライバーといい、普通では手に入らないものばかりだ。

いったいどうやって手に入ったんだ?」

生助の方は逆にヒートアップした様で、神無月に食ってかかっていた。

とはいえ、彼が言ったことは自分も気になっていたことだったので、便乗させてもらうことにした。

「……すまないけど、僕の素性や機械とかについては、今はなにも言えない。」

「ん~?

お前は秘密主義者なのか?」

「そういうわけではないよ。

だけど、色々とあって、今は話すことができないんだ。」

「ふざけんな!

そんなの納得「ちょ、落ち着け、しょうちゃん。」っ、落ち着けるわけねえだろ!!」

今にも殴りかかりそうな勢いの生助を、俺の前から腹に抱き着き、なんとか必死に抑えつける。

「なんで止めんだ!

こいつのせいで、俺もお前も大事な物をなくしたんだぞ!

それなのに、こんなふざけた答えがあってたまるか!」

「ふざけていると思われるのは心外だ。

僕は真面目に答えているぞ。」

「なにも言えない、っていうのが、ふざけているって言ってんだ!

人をおちょくるんじゃねえ!!」

「ふざけていないし、おちょくってもいない!

だいたい、そんなこと言ったら君だって睦月に自分のことを話していなかったじゃないか!」

「それは今の話しと関係ねえだ「いいや、あるね!」っ!?」

「睦月が言う様に、君が始めから素直に言ってくれていれば、こちらもそれなりに対応出来たはずだ。

それを怠り、ただただこちらを責めるだけなんて、その方がふざけるなだ!」

「悪いが俺は、お前みたいに素性もわからない野郎がいる前で、ペラペラペラペラ喋るほど無用心な人間じゃないでな。」

「ほぉ~、それはつまり、僕が居なければ睦月に話していた。っと言っているのかな?」

「場合によっては、な。」

「ちょ、二人共落ち着け!!」

睨み合いながら口論をする二人の間に、俺は無理やり体を捩じ込んで二人の体を押さえた。

『うるさい!

邪魔をするな!!』

「ちょ、神無月お前、木乃伊盗りが木乃伊になってどうする。」

「む。」

「しょうちゃんも、お前の言ってることは間違ってないが、本当に怪しいだけの奴なら、俺が一緒に行動するわけないだろ?

確かにこいつは、約束を破ったりするや「ちょっと待て。」…つ?」

「今の言葉、ちょっと聞き捨てならないな。」

「ん?なんでだ?」

「さっきも言ったが、僕は約束を破っていない。それに、君だって無理をしない。って、約束を破っているじゃないか!」

「人聞きの悪いな。

俺は無理はしていない。無茶をしたんだ!」

「むしろ駄目な方じゃん!!」

胸を張って言う俺に、すかさず大津のツッコミが入った。

コントか?と思わんばかりのテンポの良さだが、ここら辺は阿吽の呼吸は、付き合いの長さのおかげなんだろう。

「しょうがないだろ?

あいつの鞭捌き自体は凄かったんだから、無茶の一つや十や百はする。」

『多過ぎだぁ!!』

「あ、すまん、風呂敷を広げ過ぎた。

百じゃない、五十だ。」

「たいして変わんないだろ!」

「いやいや、三桁が二桁になるんだぞ?

だいぶ変わるだろ?」

「そういう問題じゃねえ!!」

「じゃあ、どういう問題なんだ?」

「無茶した回数が多すぎなんだよ!」

「なら、何回ならして良いんだ?」

「何回もなにも、しないのが普通だ!!」

「普通じゃなかったんだから、しょうがないだろ?」

「だったら囮なんて引き受けるな!!」

「……はぁ~、やれやれ。

ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う。

まったく、我が儘だな~。」

『お前が言うなぁぁ!!』

二人同時に大声でツッコミを入れた後、ゼイゼイと荒い呼吸をしながら、二人は凄い形相で俺を睨んでいた。

少しの間、場を沈黙が包んだが、

「……ぷっ。」

『……ん?』

「くっくくくくく。」

突然笑いだした俺に、カチンっときた二人の睨む力が増していく。

…まあ、当然と言えば当然だけどな。

「……なにが面白いんだよ。」

「ああ、すまない。

さっきまで口論してた奴らが一緒になってツッコミを入れているから、つい、ね。」

「…つい、って。」

「……お前な~。」

俺の言葉に呆れたという表情をしながら、二人は深くため息をついた後、互いに顔を見合わせる。

「……なんか、怒っていたのがアホらしくなってきたな。」

「…奇遇だね、僕もだ。」

そう言いながら二人共苦笑を浮かべ合うと、先ほどまでの重たかった空気が、だいぶ軽くなった気がした。

「……色々と勝手なことを言って、悪かったな。

言い辛いことだってあるよな。

俺もそうだったからわかるよ。」

「謝る必要はないよ、非は僕にある。

僕の方こそ、君の気持ちを考えずに酷いことを言って、ごめん。」

「それこそ気にするな、だ。

……なあ、こうちゃん。

一つ、聞いてもいいか?」

「ん?なんだ?」

「……お前は、さっきの神無月の言葉で納得してんのか?」

「当然だが、納得はしてない。

だけど、今は、って言葉と、言わないではなく言えない、って言った神無月の言葉を信じるよ。」

「…睦月。」

「…勘違いはするなよ?

今は聞かないってだけだからな。。

こっちだって死にかけたんだ。

必ず話してもらうぞ?」

「ああ、約束する。

必ず話すよ。」

そう言いながら俺達は、互いに笑みを浮かべて頷き合った。

「…そっか。

お前がそこまで言うなら、俺からはもう言うことはないな。」

「……いつもすまんな。

今回も振り回しちまって悪かったな。

あと、気にかけてくれてありがとうな。」

「長い付き合いだ、気にするな。

それに、無茶に巻き込まれる前提で、お前と一緒にいるしな。

お前の無茶には、もう慣れたよ。」

「……それはそれで酷くないか?」

「そうかな?

僕もそのぐらいの覚悟は必要かと思っていたけど?

君、そこら辺の加減しなさそうだし。」

「ああ、その通りだぞ。

こいつ、半端じゃないぞ?」

「だろうね。

彼と知り合って、まだ一日も経っていないけど、その事はもういやになるぐらいに理解したよ。」

「理解してもらえてなによりだ。

他の人には、なかなか理解してもらえないんだよ。」

「まあ、彼はだいぶ個性的だからね。

付き合える人はなかなかいなさそうだよね。」

「そう考えると俺達は、けっこう稀有な存在だね。」

「ちがいない。」

「………お前ら、そういう会話は、俺がいないところでやれ。」

ニヤリと笑みを浮かべ合いながら会話する二人に、俺は苦虫を噛んだ様な表情をしながらツッコミをいれた。

 

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