仮面ライダーハッカー   作:六界の魔術師

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DISK23 部隊長と古の一族(後)

「………問題ない様なので、話を続けるぞ。

さっき生助は、周りの奴らを十狼士のメンバーだと言っていたが、ここには八人しかいない。

残りの面子はどこにいるんだ?」

「……答えんと駄目か?」

「いや、半分確認みたいなものだから、答えたくなければそれでも良い。」

「……そうか。

 

……いないのは第1位と第3位なのだが、第1位は今欠番中でな、今の十狼士は元々人数が少ないのだ。」

「欠番?」

「ああ、前の第1位はそやつの、大津の母でな、順夜祭の時はいつも圧倒的な力を見せつけておったよ。

だから、半端な強さでは私はもちろん、他の人狼も認めなかったから、未だに欠番なのだ。」

「へ~、お前のお母さん、すごい人だったんだな。」

「正直なところ、よくわからん。

なにせあの人、俺がガキの頃に死んだからな。

もう顔も覚えてないよ。」

そう言いながら生助は、ため息を一つ吐いた。

「んで、もう一人は?」

「3位の者にはなにかあった時の為に、他の一族の者を守ってもらっておる。」

「はん、あんな裏切り者、いない方がせいせいするぜ。」

「まったくだな。」

「裏切り者?」

「ああ、そうだ。

あいつは俺達に、人と争うべきではない、仲良くやってくべきだ。と、言ってきたのさ。

優れた力を持ちながら、その力を人狼族の為に使わないなんて、裏切り者以外のなんでもない!」

そう言い息巻く男に、同意する様に周りから頷いたりしていた。

「……ふーん。」

そう言いながら俺は、人差し指をおでこにつけつつ、周りを見渡した。

周りの人狼達がにやりと笑い、神無月達が周りを睨む中で、おじいさんは目を細め、天慢寺はなにかを考えているかの様に、怪訝な表情をしていた。

………うん、今の言葉に感じたものは気のせいじゃなさそうだ。

「………なあ、生助。」

「なんだ?」

「二つ確認、良いか?」

「良いぞ、なんだ?」

「一つ、お前以外の人狼って、普段なにやっているんだ?」

「……基本的に人間の中で、一緒に仕事したり、生活している。

だけど、上手く馴染めない奴もいて、そういう奴は仕事もしないで、他の人狼の稼ぎで暮らしている、とは聞いたことはある。」

「……まあ、要はヒモか。」

「ああ、そういうことだ。」

「へ~。」

そういう言いながらもう一度見渡すと、渋い顔をしている奴が何人かいた。

「……んじゃ、もう一つ。

お前、順位は何位?」

「……………まだ順位はない。

そもそも順夜祭には、二十歳を越えなきゃ参加出来ないんだ。

一応、来月から参加予定だったんだが、通常は見学位は幼い頃からさせているらしい。

まあ、要はずっと省かれていた、ってわけさ。」

「……ふむ。

…ちなみに、その他の交流は無かったのか?

「いや、満月以外の日の集まりには、何度か呼ばれたことはある。

もっとも、呼ばれた理由はただの給仕役だった上、俺や母さんの悪口ばっかり聞かされてたけどな。」

「……ひでえ話だな。」

「まあ、そうは言っても、主だってしてたのはここにいる十狼士の人達と一部の人達だけで、香(かおる)さん以外の人達は命令されて仕方なく、って感じだったかな。」

「香さん?

誰だ、その人?」

「……この場にいない第三位の方だ。

よく飲みに連れて行かれては、潰れるまで飲まされる。

給仕をやろうとしても、『俺の性に合わないから止めろ!

それよりも飲むのを付き合え!』って言ってくるんだ。」

「あやつらしいの~。」

「しかも、酔いが回ってヤバくなって、飲みのを拒むと『俺の酒が飲めないのか!』って、良く言われている。」

「それはまた、随分と強引な方だな。」

「ああ。

しかもあの人、寝る時は腹出して寝るから、こっちは風邪引くんじゃないか?って、心配になるし。

本当に困った方だよ。」

そう言いながら深くため息を吐く生助だったが、その表情はどこか優しかった。

「……なるほど。」

それを見ながら俺は、人差し指をおでこにつけたまま目を細めた。

そして、人差し指をゆっくりと離すと、俺はおじいさんに向き直って、深く頭を下げた。

「………なんのつもりだ?」

「……あなたの思いを、ふいにしてしまったことを含め、生助を巻き込んだこと、お詫びします。」

「……お前がしなくとも、いずれはこうなっていたのだろう。

だから、気にすることではない。」

周りに怪訝な表情で見られながら、おじいさんはゆっくりとため息を一つ吐いた。

「……そう、成るように成っただけだ。」

まるでおじいさんは、自分に言い聞かせる様に呟いた後、目を静かに閉じてしまった。

「………さて、確認も聞くことも終わったし、やるか。」

そう言いながら数歩前に出る俺を、その場の全員が怪訝な表情で見てくる。

「ん?なんだよ、やるんだろ?

早くかかって来いよ。」

そう言いながら誘う様に、人差し指をクイクイとやると、周りがざわっと殺気だった。

「……てめえ、ふざけているのか?」

「ふざける?

雑魚相手には勿体ないくらいに、誠実に言っているつもりだけど?」

「ちょ、お前、止めろって!

マジで落ち着けよ!」

不敵に笑う俺に、周りが更に殺気だっていく中、生助がそう言いながら俺の肩を掴んだ。

「落ち着け?なんでだ?」

この時俺は、いったいどんな顔をしていたのだろうか?

生助は俺の表情を見て、酷く驚いた表情をしていた。

「あのな?

これでも俺、今相当頭にきてんだぞ?」

「な、なんでだ?」

「そんなもん、自分の大事な親友や、敬意を払うべき人を馬鹿にされたからに決まってんだろうが!

それ以外に理由あったら、逆に俺が聞いてみてえよ!」

「え、あ、うん、ごめん。」

俺の逆ギレに引きぎみに謝る生助だったが、俺は気にせずに奴らに更に数歩近づく。

「いいか、もう一度言うぞ!

てめえらは、俺に一番やっちゃなんねえことをやったんだ!

お前らの覚悟の有無を聞く気は一切ねえ!

その下らねえプライドごとぶっ潰してやるから、さっさとかかって来やがれ、三下共ぉぉ!!!」

その言葉を受け、俺に一斉に飛びかかる人狼達。

それに対して身構えた、その瞬間、四本のプラグが飛び交い、コードが奴らの足を引っ張り、手を払い、重心をずらして、奴らを遠ざけた。

「…………なに余計なことをしてんだ、お前は。」

そう言いながら俺は、プラグを戻しながら静かに近づいてくる神無月を睨み付ける。

「誰が助けろなんて言った!!」

「ん?いや、誰も言ってないよ?」

「じゃあなんで手をだした!!」

「友達が友達を助けるのに、特に理由がいるのかい?」

「…………………はい?」

「頼れよ、僕達は友達だろ?」

「い、いや、で「それに、だ。」も?」

「友達を馬鹿にされて怒っているのが、君だけと思ったかい?」

そう言いながら鋭い目付きになる神無月を見て、俺は頭を掻きながらため息を一つ吐いた。

「……引かねえんだな?」

「勿論だよ。」

そう言いながら神無月はベルトを取り出し、腰に装着してスイッチを押した。

「変身!!」

『仮面ライダーハッカー ディスプレイフォーム。』

「……そっか。

なら、一つだけ言っておく。

こいつらは…。」

「大津と同じ組み合わせにする必要はない、だろ?

彼と組み合ったのは僕だよ?

わからないわけないだろ?」

驚きの表情をする俺を見ながら、神無月はイタズラに成功した子供の様に笑みを浮かべていた。

「……わかっているなら良い。

さっさとフォームチェンジさせろよ。」

「無論だよ。」

そう言いながら神無月は、ディスクを二枚ドライブに挿し込んだ。

『仮面ライダーアギト!』

「変身!」

『仮面ライダーキバ!』

ーカプ、チューー

 

変身!!」

「未来の可能性と闇の王の力、使わせていただきます!!」

『ミクストール!

仮面ライダーハッカー シャイニング “ロード” オブ ザ ダークネス!』

ウィンドウが弾けると、中から赤のプロテクターの上に黒のベスト、額に左右対称に広がる金色の角を持つ戦士が現れ、隙無く構えた。

「さて、やろうか?」

「ああ、じゃあそっちの三匹は任せた、こっちの四匹は俺に任せ「ちょっと待て。」……なんだよ?」

「なんで君の方が数が多いんだ?

普通は変身している僕に比重を寄せるだろ!?

僕がこっちの五匹をやるから、君はあっちの二匹にしておきなよ!」

「なんだよ、それ!

ズルいじゃん!

別に俺の方が多くても良いだろ!?」

「良くはないよ!

僕の方が君より戦えるんだぞ?

それなのに、君に戦わせてどうするんだ!

5:2は譲らないぞ!!」

「4:3!!」

「5:2!!」

「ごちゃごちゃうるせえぇぇ!!」

『ん?』

疑問符を浮かべながら声の方を見ると、一人の人狼が飛び掛かってきた。

降り下ろされた一撃を難なく避けた俺達を、唸りながら睨み付けていた。

「好き勝手言いやがって、あいつを倒したから調子に乗っているんだろうが、残念だったな!

あいつの順位は第10位、つまり我々の中で一番最弱!

お前の技はあいつに効いたかもしれないが、第5位の俺に効くと思うなよ!

死にさらせばぁふぁだあああぁぁぁぁぁ!」

叫び声を上げながら男は、俺達に再び襲いかかろうとするが、音もなくその間に割って入った人物の強烈なアッパーを受けて、男は奇声を上げながら宙を舞い、そのまま縁を越えて落ちていった。

「……まったく、なんで人の問題に、こうも首を突っ込むかね~。

おかげで俺も参加するほかないじゃないか。」

ほとほと呆れたという表情をしつつ生助(人狼Ver)は、俺達にそう言いながらため息を一つ吐いた。

「よく言うよ。

本当はやりたくてしょうがなかったくせに。」

「まったくだ、人を言い訳の材料にするなんて、なんて奴だんだ!」

「はて?

俺にはなんのことだか、さっぱりと?」

そんなことを言いながら互いにニヤリと笑い合うと、互いに背中合わせになって襲撃に備える。

「…しかしさっきの奴、色んな意味でテンプレ通りの奴だったな。」

「たしかに。

っていうか、あいつ大丈夫なのか?」

「まあ、人狼族は基本的に頑丈だから大丈夫だよ。

もっとも、頭から落ちればその限りではないけどね~。」

『おいおい。』

「大丈夫大丈夫。

混ざりものって言われた俺でも、体勢を整えるぐらいは出来るんだ。

生粋の人狼が出来ないわけがないよ。」

「…まあ、そうだよな。」

「だよな~。」

乾いたと笑いをしながらそう答える生助に、俺達は若干引きながら頷くしかなかった。

「さて睦月、相手にする数は3:2:1で行こう。

さっき君は一人倒しているんだ、それで良いだろ?」

「………わかった、それで良いよ。」

「うし、決まりだな。

なら俺は、目の前の二人を『なに言ってだ、お前(君)は?』………へ?」

『お前(君)の相手は、あいつだ。』

俺と神無月が声を揃えながら指差した方を生助が見ると、怪訝な表情をした第2位の男がそこにいた。

「……いやいやいやいやいやいや!!

二人してなに言っているんだ!?」

「ん?

俺達、なんか変なことを言ったか?」

「いや?

そんなことはないだろ?」

「いやいや!言ってんだろ!

相手は一族の第2位なんだぞ!?

わかっているのかよ!?」

「そんなのさっき教えてもらったよ。

それで?

それがどうかしたか?」

「……へ?」

「……君があいつのなにを恐れ、どれくらい強いかは僕達にはわからない。

けど今の君の強さなら、さっき戦った僕達が一番わかっている。

その上で、君ならいけると思っているよ。」

「今夜は満月なのだから、本来なら順夜祭なんだろ?

せっかくなんだから、あいつとの上下の格付けを済ませて来いよ。

……まあ、どうしてもやりたくないと言うなら、俺がやるからそれでも構わんよ。

あいつの顔に、グーパンチを入れたいんでな。」

「ちょっと待て。

そういうことなら、僕にやらせて欲しい。

僕自身、あいつの言動には腹がたっていたんだ。」

「いや、俺が!」

「いや、僕が!」

「俺!」

「僕!」

「い、いや、ちょっと待て!

誰もやらないなんて一言も言って『じゃ、任せた。』……うぉい!」

まるでコントの様なやり取りに、俺と神無月は意地の悪い笑みを浮かべながら忍び笑いをする。

「……大丈夫、君ならやれる。」

「あいつとは、色々と思う事があるんだろ?

しっかり決着をつけろよ。」

「君の邪魔はけしてさせない。」

「周りの三下の相手は、俺達に任せろ。」

『だから、しっかり勝ってこい(きなよ)!

生助!』

「こうちゃん、神無月。

……わかった、背中は任せたよ!」

「おう!」

「任せろ!」

その言葉を受け、駆け出す生助を背中越しに感じながら、俺は安堵のため息を一つ吐いた。

「……ふぅ、これでお膳立ては済んだかな?」

「ああ、大丈夫さ。

あとは彼次第かな?」

「……その様子だとおじいさんの本当の目的、お前も気づいたみたいだな。」

「まあ、あの会話を聞けば、なんとなくはね。

しかし、君はなかなかの演技派だね。」

「ん?なんでだ?」

「なんでって、さっき奴らの前で大見得きったのは、大津を参加させるためだったんだろ?」

「……一応はな。」

「へ?一応?」

「ああ、あの時は既に八割方キレていたからな。

成るように成れば良い、とまで思っていたから、悪いがそこまで深く考えてなかった。」

「………じゃあ、あの時君は……。」

「半ば本気で一人でやるつもりだったが、なにか?」

「………おいおい。」

若干呆れた声色の神無月を他所に、俺は気を取り直して構え直すと、周りの人狼達がじわじわと距離を詰めていた。

「…さて、奴(やっこ)さんもやる気だし、俺達もやるか。」

「ああ、そうだな。」

そう言いながら神無月は左半身になり、左手の人差し指と中指を揃えて、相手に向けた。

「……なあ、神無月。」

「ん?なんだい?」

「それ、俺も一緒にやって良いか?」

「それって、これ?」

そう言いながら神無月は自分の左手を指差すと、俺は頷いて肯定した。

「別に構わないけど、なんでだ?」

「そんなもん、格好良かったからに決まっているだ「本当か!?やっぱ、そう思うか!?」…ろぉぉ?」

「いや~、俺も格好良いとは思っているんだけど、なかなかみんなわかってくれなくてさ~。」

共感してもらえたのが、よっぽど嬉しかったのだろう。

敵の目の前にも関わらず、こちらを向きながら笑いかけてきた。

……まあ、その気持ちはすごくわかるけどね~。

とは言え、いつまでもこうしているわけにも行くまい。

「……で?

やって良いのか?」

「ああ、良いよ。」

「悪いな、ありがとう。

代わりと言ってなんだが、助けが必要ならば、いつでも呼んでくれよ?」

「いや、ちょっと待て。

どうしてそうなる。」

ジト目で睨む神無月に俺はニヤリと笑って見せると、素早く右半身になり、右手の人差し指と中指を相手に向け、二人同時にこう言った。

『Are You Ready?』

 




次回よりバトル回。
次のアップは8/4(土)を予定しています。

謎解き解答。
解る方は速攻で解ったと思いますが、それぞれのはいの数は、五十音の横の列、縦の列に対応しています。
例えば、一番最初は1、1なので、あ。
次は11、1なので、ん。
この要領で解くと、この様になります。
「あんた、アホなのか?」
「いや、アホなのか。」
「しらんよ、そんなこと。」
と、なります。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
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