仮面ライダーハッカー   作:六界の魔術師

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遅くなってすみませんでした。
では、後編です。


DISK27 過去の因縁と今の因縁(後)

「なにをいきなり言っているんだ、あんたは。」

「……確かにいきなりだな。

正直なところ、今までお前を半端者と見ていて、舐めていたところはあった。

そのために、正当な評価を出せてなかった。

それに関しては謝ろう。

すまなかった。」

そう言い、深々と頭を下げる梅沢の姿に、俺はかなり動揺していた。

むしろこの状況下、動揺しない方がどうかしていると思う。

梅沢の真意が読めず、なんとも言いよどんでいると、頭を上げた梅沢がゆっくりと口を開いた。

「大津、お前は強い。

俺に届かないにしても、今から十狼士の上位に食い込める位の実力はある。

だからこそ、今ここでお前を失うのがおしい。

もし、お前が俺の右腕になると言うのなら、命は救ってやれる。

無論、完全にではなく、多少の制限はあるだろう。

だが、ここで命を失うよりは良いはずだ。

それに右腕になれば、今の立場からも脱却できるはずだ。

今までのことを全て水に流してくれとも言わない。

だがもし、お前も望んでくれるのであれば、どうか俺と共に人狼達のために戦って欲しい。」

「………今まで散々人のことを色々言っておいて、随分と虫の良い話だな。

それにあんたは良くても、他の奴はどう思うかな?」

「虫が良いのは百も承知だ。

だが俺は、どんな奴でも必要ならば受け入れることにしている。

周りの奴に関しては、俺に任せておけ。

第二位の権限において、文句は絶対に言わせない。

もし必要ならば、そこの人間達も助けられる様に尽力しよう。

だから意地を張らず、力を貸してくれ。

もし力を貸してくれるのであれば、この手を取ってくれ。」

そう言って梅沢は、笑みを浮かべながら右手を前に差し出した。

それに対して俺は、その手をただ見つめるだけだった。

突然のことだったから、戸惑いは確かにあった。

だが、それ以上に梅沢の笑みがなぜか引っ掛かり、二の足を踏んでいた。

「……別に、嫌なら取らなくてもかまわない。

ただし、その時はお前を敵と見なし、容赦なく殺す。

命乞いもその時心変わりしても、なにも聞く気はない。

後ろの奴ら共々血祭りに上げてやろう。」

そう言いながら梅沢は、先ほどの柔らかな笑みとはうって変わって、高圧的で冷たい笑みを浮かべていた。

それを見ながらようやく察した俺は、ため息を一つ吐いた。

つまりこれは、勧誘に見せかけた。

「………最後通達ってわけか。」

「どう受け取ってくれても構わんが、これが最後であることは違いはないな。

そして、お前を失うのがおしいと思ったのも本当だ。

そうでなければ、問答無用で既に始末している。

お前達がどういう仲なのかは知らんが、あんな奴のために命をかける必要があるのか?

そこまでする価値があるのか?

それよりもこれからは、同じ人狼族として、俺達と共にやっていこうじゃないか。

死か?共に生きるか?

好きな方を選ぶと良い。」

そう言い答えを迫る梅沢を見ながら、俺は答えに迷っていた。

これが俺一人なら問題ない、即否定する。

だが二人の、好子の命がかかってくると、話はまた違ってくる。

梅沢の右腕になるなんて嫌だったが、正直なところ、このまま戦っても梅沢に勝てる気がしなかった。

そして俺は、たとえどんなことがあったとしても、あいつだけは、好子だけは絶対に死なせる訳にはいかなかった。

だから、たとえ本意でないとしても従うべきか?と思った、その時だった。

「ふわぁぁぁぁぁぁ。」

誰かのなんとも間の抜けた声が、辺りに響いたのだ。

……いや、誰かなんてわかっているんだよ。

長い付き合いだから、それこそ気配だけでわかるさ。

お前がどんな奴かも重々承知だ、それなりに考えがあんだろう。

だけどな、だけど、

「今このタイミングで、なんで欠伸こいてんだよ、お前は!」

「んあ?」

しかも大欠伸で、悪気も一切なさそうである。

「……なにを考えておるのだ、あの男は?」

「流石にあり得ない反応ね。」

「なにやっているんだ、君は!」

その行動には敵味方問わずに非難し、

「………あれがお前の守ろうとした男、か。

なんとも随分な反応だな。」

「…………。」

梅沢の皮肉に、俺はなにも返すことができなかった。

とても残念なことに、梅沢の言葉は俺の心境その物だった。

ちなみに、言った当の本人の反応はというと、

「……うわ~、なんかスゲーボロクソに言われてんな~。」

と言いながら、ケタケタと笑っていた。

……うん、そろそろこいつを殴っても良いと思うんだけど、構わんよね?

「……笑い事じゃないと思うんだが?」

「いやいや、こんな小芝居や茶番劇を見てたら、誰だって笑いたくなるし、欠伸もでるさ。」

「……茶番劇?」

「小芝居だと?」

「ああ、こんな答えや結果が見えている問答なんて、見てるだけ退屈ってもんさ。」

「ほぉ、それは興味深い。

是非どんな結果になるかを教えて欲しいものだ。」

「敵になんでもかんでも情報をやるほど、俺はお人好しではないさ。

ただ強いて言うなら、ある奴の答え次第で味方と敵の数が上下する、ってぐらいかな?」

「ほぉ、ある奴の答え、ねぇ。」

そう言いながら梅沢は、俺の方へ視線を向けてきた。

いや、梅沢だけではない。

今この場にいる全員の目が、俺に集中していた。

正直、勘弁して欲しい。

「あ、あと生助。」

「ん?」

「お前に一言言っておくが、人を負けの理由にするのは止めてくれ。」

「………は?」

「だから、人を負けの理由にするのは止めてくれ、って言ったんだ。

はっきり言って迷惑だ。」

「……いきなりなにを言っているんだ、お前は?

誰もそんなこと言って…。」

「言ってなくても、それき近いことを思っただろ?」

「………なんでそう思うんだ?」

「むしろ、なんで気付かねえと思ったよ?

長い付き合いなんだ。

お前がなにを考えているかなんて、気配でなんとなくわかるわい。

まあ、お前があいつの軍門に下るのは別に構わんよ。

お前の人生だ、好きにしろ。

ただ、その理由はお前が弱かったからで、間違っても俺のせいにすんじゃねえぞ。

………まったく、自分の弱さを棚に上げて、人のせいにするなん「………せえよ。」……ん?」

「うるせえよって言ったんだよ、この馬鹿野郎!

黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって、お前はそんなに俺に喧嘩を売りてえのか!?」

「それは心外だな、俺は欠片だって売った覚えはないぞ?

俺はただ事実を言ったまでだぞ?」

「ふ・ざ・け・ん・な!

なにを持ってそんなことを言ったのかは知らないが、そんなことは欠片だって思っていない!!」

「ほぉ、あくまでも白をきるってわけか?」

そう言いながら詰め寄る俺に合わせて、好子も合わせて詰め寄ってきた。

「だいたい、負けると思って戦う訳がないだろうが!

適当な事を言ってくんじゃねえよ!」

「ほぉぉ、耳を情けなくへたらせていたやつが、なに偉そうに言ってんだ?

そういう台詞は、一切折れない心と覚悟を持ってから言うんだな!!」

「ほう、つまりなにか?

俺には覚悟が足りねえってか?」

「ああ、本気で覚悟があるのなら、親友の命も一緒賭けて、相手に打ち勝つぐらいのくそ根性を見せてみやがれ、このすっとこどっこい!!」

「なんだと!?

ふざけんじゃねえぞ!!

実際に戦う訳じゃねぇのに、よくもまあ、そんな好き勝手言えるな、お前は!」

「そんなの知ったことか!!

そもそも、俺はお前の前では常にこんな感じだろうが!!」

「ああ、そうだったな!!

お前はいつも無茶や馬鹿な事を言って、俺を困らせてくる、そんなひでえ奴だったな!」

「なんだと!

てめえはそれ、本気で言っているのかよ!!」

「ああ、本気も本気、超本気!!

お前なんかもう知らん!!

なにがあっても、後悔すんなよ!!」

そう言って俺は、肩を怒らせながら梅沢の方へ歩き始めた。

「っ!

ああ、そうかい!

それなら敵にでもなんでもなっちまえよ!!」

後ろで怒鳴る好子の声を無視しながら梅沢の前に立つと、奴はニヤリと笑みを浮かべた。

「どうやら、心を決めてくれたようだな。」

「まあな。」

「ふっ、そんな顔をするな。

所詮奴らとはわかりあえないのさ。

あんな身勝手な奴は、切り捨てて当然だ。

これからは同じ種族同士、共にやっていこう!」

そう言って梅沢は改めて手を差し出してきた。

俺はその手に向けて手を伸ばし、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

掴まずに梅沢の手の甲に裏拳を打ち込み、その手をおもいっきり払った。

「………なにをしている。」

「手に裏拳を打ち込んだ。」

「そういう意味ではない!!

なぜこんなことをしたのか?と聞いている!!」

「……言わなきゃわからないか?」

そう言いながらニヤリと笑って見せると、梅沢は苦虫を噛んだかの様に顔を歪めながら、ギリッと歯ぎしりを鳴らした。

「……なぜだ、なぜあんなに身勝手な奴を選ぶ!」

「たしかにあいつは身勝手だ。

だけど、今まで人のことを省いたり、散々貶したりしておきながら、利用できるとわかれば、コロリと手のひらを返す。

俺からすれば、あんたの方も十分に身勝手さ。」

「ならばなぜ、なぜ同族の俺ではなく、奴なんだ!

身勝手であるのは、同じはずだろう!?」

「そんなもん、あんたとあいつじゃ積み重ねてきた物の違いだよ。」

「……?

どういうことだ?」

「別に俺達は、今までずっと仲良しこよしでやってきた訳じゃない。

価値観も考え方も違うのだから、今まで何度も言い争ったり、衝突もしたさ。

でも、その度に相手の考え方を知って、思いを知って、互いに互いを理解し合っていったんだ。

今でも口喧嘩ぐらいはするさ。

でも、それと同じぐらいに危ない時、間違えそうな時に互いに助け合っているんだ。

だから俺達は、今さらどうこうなるような一朝一夕の間柄じゃねえんだよ!!」

「っ!」

真っ直ぐ睨みながらそう言い切る俺を、梅沢は顔を更に歪ませながら睨みつけていた。

「そういう訳だ、こうちゃん。

悪いけど、最後まで付き合ってもらうぞ?」

「え~~~~。」

「………お前が煽ったんだよな?」

「わかっている、そんなに怒んなよ。

ただの冗談だろうが。

……しかし、奴さんはまだかくし球があるみたいだけど、この決断で良かったのか?」

「良いからこの決断をした。

それとも、俺に敵に回って欲しかったか?」

「さっきから言っているが、お前の人生なんだから、俺からは口出しする気はないよ。

……ただ、………。」

「ただ?」

「…ただ、お前相手に技は使いたくなかったからな、少々安堵している。」

「………お前も素直じゃないねぇ。」

「……うるせえ。」

そう言いつつ、互いにニヤリと笑って見せると、俺は梅沢に目を戻した。

梅沢は頭を垂らしながら、なにかをぶつぶつと呟いていているのだが、彼からなんとも言えないなにかが醸し出されており、背筋に寒気が走っていた。

その数秒後、梅沢がゆっくりと顔を上げたのだが、その顔は無表情で瞳はどんよりと濁っていた。

そのまま少しの間、梅沢は俺の事ををじーっと見続けていた。

「……そうか、お前達母子(おやこ)は、なにがあっても俺を拒むというのだな。」

「……は?」

「……もういい。

そっちがその気なら、全て……。」

その瞬間、梅沢の中で溜まっていたなにが膨れ上がり、

「全て終わりにしてやる!!」

その叫び声と共に、それがが弾けたのを感じた。

「冥土の土産だ、見せてやろう。

なぜ俺が第二位であるかを!

俺の本気を!!」

 




次回は9/17予定です。
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