仮面ライダーハッカー   作:六界の魔術師

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大変遅くなり、すみませんでした。


DISK36 語りと目論み〔後〕

「おかしい、だと?

いったいなにをもって、お前はそんなことを言っている!」

「そんな、お前ら自身が一番わかっていることだろ?

もし、それを本気で言ってんなら、お前は下っ端からやり直した方がいいぞ。」

生介の言葉に憤慨し、声を荒くする男とは対照的に、生介は冷静に、若干呆れた表情をしながらため息を一つ吐いて言葉を続けた。

「俺達人狼族は実力社会だ。

どんなに気に食わなくても、上の命令は絶対。

それは番外の俺も例外じゃねえ。

だからこそ俺は、本当は嫌でしょうがない集まりに出ていたんだ。」

「あぁ、なるほど、そういうことなのか。

ちなみに、言うことを聞かなかった場合は、いったいどうなるんだ?」

「その命令の度合いや、聞かなかった者の状況にもよるけど、基本的に懲罰室行きだね。」

「懲罰室?

そんな部屋があるのか?」

「ああ。

俺も昔一回だけ、その部屋に叩き込まれたことがあったけど、あの部屋に入るのは二度とごめんだね。」

もの凄く嫌そうな表情で言い切る生介の言葉に、その場にいたほとんどの人狼が同様の表情をしながら頷いていた。

「…ちなみに、どんなことをやられんだ?」

「なにも。」

「……は?」

「だから、なにもやられないよ。

真っ暗な部屋に一時間から一日放り込まれるだけだ。

ただ、部屋の上にクサヤが吊し上げられ、足元に黒光るGやムカデが終始蠢いているけどな。」

「……なにその拷問。」

「……拷問なんて言葉すら生ぬるいよ。

あれを受けた奴は入った時間にもよるけど、暫くの間は正気を無くす。

俺は初犯だったから一時間で出されたらしいけど、放り込まれてからその後三日間の記憶が無い。」

「それはまた、凄まじいな。」

「……真面目な話、あれはもう二度とごめんだね。」

その言葉に一同が揃って頷いていることから、本当に全員同意見なのだろう。

……とはいえ、

「……まあ、やる理由はわからなくないかな?」

「……言うと思ったよ。」

俺の言葉に一同が驚く中、生介だけは呆れ顔で俺を見ていた。

「いやでも、酷すぎやしないか?」

「いやでも、酷すぎやしないか?」

「…まあ、確かに若干のやり過ぎ感はあるけど、理由を考えれば理解は出来るよ。」

「理由?」

「ああ、そもそもルールって、なんで必要なんだと思う?」

「…なんでって、好き勝手やらない様にするためじゃないのか?」

「ああ、簡単に言うとそうだな。

もっと正確にいうなら、ある基準を作り、それに従わせることで、不特定多数の集団を管理しやすくするため、だな。

ちなみに、人狼族って何人ぐらい居るんだ?」

「俺のところは百人くらいだな。

ただ、会ったことはないけど、他にも人狼族の集まりはいくつかあるらしい。

人数は他のところも似たような数だとは、聞いたことがある。」

「ふむ、なるほど、ありがとな。

……さて、人狼に限らず、そんだけの人数が自分勝手に行動したら、確実に暮らしは滅茶苦茶になる。

だからこそ、ある一定のルールを作る必要があり、それを守らない者には目に見える形で酷い罰を与えて、その人や他の人にルールを厳守させる必要があるのさ。

でないと、一族そのものが滅ぶ可能性があるからね。

だから、懲罰室っていうのがあっても、なんらおかしくはないのさ。」

「なるほど。」

「……まあ、意義は理解できなくはないが、入った経験がある立場からすると、それは到底納得しかねるな。」

「……だろうな。」

苦虫を噛んだ様に、苦い表情をする生介に、俺は苦笑を浮かべるしかなかった。

「……話を戻そう。

上の者の言うことに従わなければならないのは、なにもランク外の者だけではない。

ランク内のやつらも、自分より上位のやつの言葉に従わなければならない。

特に、長であるじいさんの言葉は絶対だ。

これに従わない者は、良くて懲罰室に一日放り込まれ、最悪の場合粛清される。」

「な!?」

「まあ、そりゃそうだろうな。」

「うえぇ!?」

「別段おかしな話ではないさ。

一番上の人物の指示に従わない者は、その集団において邪魔者でしかない。

下手に生かして禍根や不安を残すより、消した方が手っ取り早く済むしな。」

「そ、そうかもしれないけど、粛清はやり過ぎだろ。」

「まあ、粛清は本当に最悪の最後だろうさ。

そんな簡単にポンポン粛清していたら、そのせいで一族が滅ぶ場合があるからな。」

「更に言うなら、罰は懲罰室でじゅ~~~~~~~~~~分過ぎるから、粛清は滅多にない。」

「………イヤに力が込もってんな。」

「…そんだけキツイんだよ、あれは。」

そう言いながらため息を吐く生介に同調する様に、周りからも深いため息が聞こえる。

……よっぽど嫌なのね。

「……しかし、そんだけキツイ罰が待っているにも関わらず、こいつらはじいさんの命を守らずに行動をしたわけか。

随分と殊勝な心がけだこって。」

「いや、それはないな。」

「………はい?」

「……集まりの時、嫌でも顔を合わせるからな、ここにいる奴らとも付き合いは長い。

だからこそ断言出来るんだが、こいつらにそんな殊勝な心がけなんてもんは、欠片も存在しない!」

なんの躊躇もなく断言する生介に、俺達は一瞬ポカーンっと呆けてしまうが、素早く再起動した俺は、感じた疑問を素直に聞くことにした。

「……欠片も、なのか?」

「ああ、ここにいるのは一族の中でも常に自分のことだけを考え、己の為だけに行動する奴だけだ。

そんな奴らが一族の為に、なんて考えて行動するなんて、到底信じられん。」

「……そうか。」

重ねて断言する生介に、俺は頷きながらため息を一つ吐いた。

生介が嘘をつく理由がないから、言っていることは本当なんだろうさ。

…しかしそうなると、こいつらがここにいる理由、一つしかないんだがな~。

そんなことを思いながら生介を見ると、彼と目が合い、なにも言わずに頷いてきた。

…なるほど、想像通りですか。

…さて、どうしたものか?

「……いやいや、二人だけで納得してないで、きちんと教えてくれよ。

こいつらは一体なにをしようとしているんだ?」

『………。』

どうする?と思いながら生介と再び目を合わせると、頷いてきたので頷き返した。

うん、任せた。

「…なあ、神無月。」

「ん?」

「もしお前があいつらの立場だったとして、どういう時に命令に背く?」

「どういう時って……、命に関わる時かな?」

「……他には?」

「他?

………命より譲れない物が侵されそうになった時?」

「それ以外は?」

「えぇ!?

それ以外!?

他には……。」

そう言いながら顎に手をあてて数瞬思巡らすが、次の瞬間にハッとした表情をしながら顔を上げた。

「長より強い奴、あるいはそれに準ずる者に指示された場合か。」

「ああ、その通りだ。

己の利しか考えられないあいつらが動く理由は、それしか考えられん。」

「でも、指示した人物は一体誰なんだ?」

「……この場で該当する奴は、一人しかいないだろ?」

そう言いながら生介が視線を向けた先へ、神無月が目をやると、未だに大の字に倒れている梅沢の姿があった。

「……なるほど。

だけど、なんでそんなことをしたんだろうか?」

「それは……。」

「……チャンス、だと思ったんだろうさ。」

「チャンス?」

「ああ、チャンス。」

言い淀む生介の言葉を継ぐ様に、俺は言葉を続ける。

「状況をよく考えてみろ。

今宵は満月。

自分達十狼士のみを護衛に長は外出。

外出先にいるのは、出来損ないと言われた生介だけ。

しかも生介を懇意にしている第三位は留守番でいないため、邪魔者はいない。

これほどないほどの好条件時に、なにもしないのはただのヘタレだぞ?」

「ヘタレって。」

「そうだろ?

長の命を狙うのに、四の五の躊躇して「ちょ、ちょっと待って!」…ん?なんだ?」

「お、長の命を狙うとはなんのことだ!?」

囲んでいた一人が慌てふためきながら聞いてくる。

「なんだって?」

「ど、どういうことだ?」

「お前は知っていたか?」

否、動揺の大小はあれど、十狼士の連中以外は全員似たような反応を見せていた。

……これは、もしかして、

「……話してなかったのか、こいつらに。」

「ああ、その通りだ。

こいつらには話していない。

いや、話す気すらなかった。」

『な!?』

十狼士の言葉に、周りの奴らは絶句してしまう。

まあ、そうだろうな。

恐らく理由は、

「…話さなかったのは、長の命を狙うのが粛清の対象になるからか?」

「ああ、その通りだ。

ヘタレて逃げ出したり、裏切る者がいるとも限らんからな。」

「そ、そんな。」

「ひ、酷い。」

十狼士の言葉に周りの数人が身体を震わせ、中には涙を流して膝を着いていた。

その姿に、握りこぶしを握る力が強くなる。

「……なあ、睦月。」

「…なんだ?」

「お前の言っていた計画って、これのことなのか?」

「……いや、違う。

なにより、この話にはもうちょい先がある。」

神無月の問いに、俺は首を横に振りながら答えると、一歩前に出た。

「…この際、可能不可能は無視するとして、その後お前らはどうするつもりなんだ?

一族の長になって満足、ってわけじゃないんだろ?」

「ふっ、当然だ。

俺が一族の長になった暁には、この国を征服し、人狼の、人狼による、人狼のための国を造り上げる!!」

『……………………は?』

十狼士の面子と俺とおじいさん以外の全員が男の言葉を理解できず、口を開けてポカーンとしていた。

うん、まあだよね。

普通、そういう反応だよね。

他の人の反応を見ながら、俺は心の中で頷いていた。

奴の答えと、他の人の反応はほぼ予想通りだった。

……予想通りだったわけなんだが、正直外れて欲しかった。

いやだって、普通にあり得んだろ?

人狼族がどんだけいるかわからないけど、科学と情報設備が進んだ今の世でそれができるわけがない。

……だけど、

「…だがしかし。」

ん?

「それも俺の真の目的の前には、それすらも足掛かりに過ぎん!」

………へ?

な、な、なんだってぇぇぇぇ!!??

更にその先があっただと!?

こ、これは予想外だった。

しかし、奴の真の目的とは一体?

「俺の真の目的。

それは世界中の女共を俺達の物にし、俺達の子を孕ますことだぁぁぁ!」

『………はい?』

多分この時、俺と神無月は相当変な表情をしていたと思う。

いやだって、緊迫した状況でいきなり予想の左斜め上なことを言われてみなよ。

普通に理解出来ずにフリーズするぞ?

しかし、他の奴らにとってはそうではないらしく、周りにいた奴らは伏せていた顔を上げ、真剣な眼差しで男のことを見つめていた。

隣を見ると生介もまた、周りと違う意味で真剣な眼差しで聞いている。

……えーっと、なにが彼らのこと線に触れたんだろうか?

そんな風に困惑していると、生介と目が合った。

彼は一瞬驚いた表情をしたが、直ぐに納得した様に頷きながら口を開いた。

「俺達人狼族は、基本的に順位が上の奴ほどモテて、子供も沢山作れるんだ。」

「……いわゆるハーレムってやつか。」

「まあ、そうだな。

そんなわけで、格付けが上であるほど子孫が残し易く、良い思いが出来るわけだ。」

「ふむ。

しかし、子供関係や嫉妬、愛憎とかで揉めたりしないのか。」

「ん~、そりゃまあ、多少な。

だけど、基本的に関係は良好だよ。

子供関係も、産まれた子供は一族みんなの子供。って感じで協力して育てているかな。

まあ、俺は関係なかったけどな。」

そう言って暗い笑みを浮かべる生介に、俺はなにも言えずに冷や汗をかくだけだった。

「……とはいえまあ、そっちは少数派なんだけどな。

大体の人は、格付けや強さの関係なく普通に愛し合い、夫婦になる人達ばかりだ。

まあ結局のところ、女性にこの人の子供を産みたい。と、どうやって思ってもらえるか、どうかに尽きるんだな。

……だから、例え強くても、格付けが上でも、相手にされない奴もいるわけだ。

こうちゃんなら、そこまで言えばわかるだろ?」

「……つまり、あいつらは選んでもらえなかった奴ら。ってことか?」

「そういうことだ。」

なるほど、だからあんな反応なのな。

まあ、言っていることはともかくとして、彼女いない歴=年の数の俺としては、気持ち自体はわからんでもないかな。

「……勘違いをするな。」

『ん?』

「我々は選ばれなかったのではない。

我々に相応しい雌がいなかったから、我々“が”選ばれない様に苦心していたのだ!

だが、長となったからには別だ、全ての民を等しく愛さなければならないからな。

一族の女を皆愛して、平等に俺達の子を孕ませてやる!!

そして、同じ苦しみを味わいながらも耐えていた同士たちよ!

その際には、共に喜びを分かち合おう!」

『………!!

…ぅうおぉぉぉぉぉ!!!』

周りの人狼達は男の言葉を理解出来ずに数瞬硬直をしていたが、意味を理解した次の瞬間、周りの人狼達は喜色に染まった目で男を見つめながら雄叫びを上げた。

……さっきまで落ち込んでいたのに、現金な奴らだ。

そんな奴らに対して、

「…へー。」

生介はそう呟きながらひどく冷静に、絶対零度の視線彼らに送っていた。

「……長になった程度で、相手にされるとは思えないけどね。

そもそも、そんなことあの人が、香さんが到底許さないと思うけど?」

「ふん、そんなの長の強権を行使するに決まっているだろ?

どんなに強かろうと、長にそれを行使することは出来ん。

散々舐めたマネをしてくれたからな、今までのことを後悔させながらたらふく可愛がって、雌の鳴き声を上げさせてくれるわ!!」

そう言って男は大口を開けて、わっはははっと笑い始めた。

……うん、生介の反応と名前から、なんとなくそんな気はしていたが、やっぱり香さんって人は女性だったんだな。

どんな人かは想像つかないが、第三位張るぐらいなんだから、世紀末風な方か、女子レスリングや女子プロレスラーみたいな感じなのかな?

まあ、なんであれ、生介にとっては大事な人にはちがいないんだろうさ。

……だから、…だからさ、上気分になって馬鹿笑いをするのは構わないからさ、

「……ほ~。」

あいつに爆弾を投下するのは止めてくんないかな!?

さっきから、生介からのプレッシャーが強くなる一方なんだぞ!

「……なあ、睦月。」

「ん?」

「…僕、今すぐここから逃げたい気分なんだけど、いいよね!?」

「…奇遇だな。

俺も状況が許せば、今すぐ逃げたい気分だよ。」

先ほどから増す一方のプレッシャーに冷や汗が止まらない俺達だったが、その原因であろう人物を、俺達は直視できないでいた。

更に、自分達の周りの体感気温だけが五度ほど下がった様な寒気と、猛烈な悪寒を隣から感じて今すぐ駆けて逃げたいところだが、残念ながら状況がそれを許してくれない。

周りは穴らしい穴が無い上、天慢寺は隙なく俺達を見つめている。

しかも、いつでも攻撃できる様に、先ほどの孔雀の羽根を数本握っていた。

……下手に動くと危険だな。

さて、この状況をどう突破しよ………。

「しかし、香と言ったら、あのFカップはある胸を、おもいっきり揉みまくりてえよな~。」

…え、Fカップ?

「いやいや、揉むべきは、あの安産型のケツだろ!!」

あ、安産型!?

「あのボリュームで、きゅっとしたあのくびれは反則だよな!」

く、くびれ、だと!?

こちらの状況を無視しながら男達が口々にする香さんの情報に、俺は別の意味で戦慄する。

ちょっと待ってよ、つまりなにか?

香さんって方は、峰不二子並のプロポーションでありながら、男達に引けをとらないぐらいの強さを持っている、ってことなのか!?

それって、ある意味最強ではないか!?

くっ、イメージしたいが、いかんせん情報が足りない。

…しょうがない。

かくなる上は、俺の会話スキルを駆使して、情報を聞き出してやる!

え?

そんな下らないことにスキルを使うな?

なにを言うか。

使わずに閉まっていては、ただの宝の持ち腐れ!

スキルは使ってこそ意義があるのだ!

さあ、いくぞ!

彼女の全てを丸裸にしてやらぁぁぁぁ!

 

ーコキッー

 

「くだらない話は、そこまでにしてくれないか?

それと一つ気になったことがあるんだ、答えてくれ。」

「なにぃ!?

ただの人間風情が、俺達に意見を…。」

「……答えてやれ。」

「なぁ!?

お、長まで、なぜ!?」

「答えてやれと言っている。

わしの言うことが聞けんのか?」

「……くっ、わかりました。

……で、なにが聞きたい。」

あ、危なかったぁぁぁぁ。

悔しそうな表情をしながら聞いてくる男を見ながら、俺は心の中でそう思いつつ、内心冷や汗が止まらないでいた。

なぜって、あいつの関節を鳴らす音があと数瞬遅かったら、間違いなく俺は香さんの情報を聞き出すための話術は使っていた。

そして、その数瞬後には、生介の爪によって葬られていたにちがいない。

長い付き合いの俺だから断言できる。

あいつはマジでやると決めた時は、相手が誰であろうとやる奴だ。

この件に関しては、マジで気をつけよう。

そんなことを考えているのをおくびにも出さず、俺は口を開いた。

「……仮に征服が成功し、お前の望みが叶ったとしよう。

しかしその場合、生介の様なハーフが、お前らの言う出来損ないって奴ばっかりになるんじゃないのか?」

「フッ、貴様はなにを言っているんだ?

与える側の我々と受け取った側のあの女では、天と地ほどの差がある。

だから、同じなわけないだろ?」

「…?

どういうことだ?」

「フン、いいか、よく聞け。

我々は貴様ら下等種に、種を与えてやるのだ。

貴様ら下等種が、我々の子供を産めるのだぞ?

これ以上の名誉はあるまい。

だが奴の母は、己より弱い下等種の種を、自ら望んで受け入れたのだ!

これは種族上でも、格付け上でも、あってはならないことだ!

そんな売女の子と我々の子供を一緒なわけがない!」

鼻息を荒くしながら言い切った男に同調する様に、隣にいた奴らと周りの人狼達はうんうんと頷いていた。

「………なあ、睦月。」

「……ん?」

「……僕、日本語がわからなくなったのかな?

彼が言った意味がまるっきりわからないんだけど。」

「……安心しろ、それが普通だ。」

呆れ声の神無月に対し、俺は能面のように無表情で無言でいた。

いや、そうしていないといけなかった。

何故ならば、そうしなければ自分の中から溢れそうになる感情を、抑えきれそうになかったからだ。

だが、まだだ。

まだ感情を吐き出してはいけない。

まだあいつには、どうして確認しなければならないことがある。

それは、どうやってこの国を征服するつもりなのか?

その方法を聞き出さなければならない。

さっきも思ったが、今の科学と情報設備から考えて、そんなこと万が一もあり得ない。

……だが、もしそれが本当に可能であるならば、その事柄は一転して、もの凄く不味いことになる。

それも、どんな手段を使ってでも防がないといけないほどに。

俺はそう思いながら深い深呼吸を一つし、男達へと目を向けた。

 

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